『終電の神様』

『終電の神様』
阿川大樹
実業之日本社文庫、2017/2/3、¥640(有隣堂亀戸)

それぞれの事情を抱えながら日々を過ごす登場人物が、人身事故などによる電車の急停止によってお人生を変える出来事が起こる。

危篤になった床屋の父親のいる病院に急ぐサラリーマン、33年前に命を助けられた男性を見つけるためずっとキオスクに勤める女性、の二編がもっとも心に残った。

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『鴨川食堂おかわり』

『鴨川食堂おかわり』
柏井 壽
小学館文庫、2015/11/6、¥616(有隣堂亀戸)

京都東本願寺前にひっそりと佇む鴨川流こいしが営む食堂。雑誌『料理春秋』の一行広告に導かれ思い出の食を求めて様々な人がやってくる。

シリーズ第2巻。思い出の食を再現してもらうためにやってくる様々な人々。こいしが聞き取り、流が再現する。形式はワンパターンだがそれぞれに事情が違うためそれぞれに違う情緒を醸し出す。ゆったりとした時間を楽しめる小説。

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『英語の神様』

『英語の神様』
小野七夏
Amazon Services International, Inc.、¥0(Kindle)

Primeで無料だったので。

外人上司がやってきて、英語ができずにメンタルを病んだサラリーマンが、インドに英語の神様がいるという噂に導かれてインドに行って、怪しいシンガポーリアンに英語の教えを乞い、エロ本速読、絵本チャンツ、音読千回、少女の世話をして泥縄イングリッシュを身につけ、日本に戻って外人上司をやっつける、という小説。

英語を話すネイティブは4億、公用語14億、第二外国語40億だから、多少インチキ英語でもいいというのはその通りだが、本書は結局英語公用語国のインドで数ヶ月英語漬けになるメソッドでサバイバルイングリッシュを身につけることはできる、と海外語学留学と同じことをすればいいという結論に見える。
これだとブロークンOKであまりいい英語は身につかないと思うけど、目指すところがそこならいいんじゃないの、という感想。

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『鴨川食堂』

『鴨川食堂』
柏井 壽
小学館文庫、2015/5/8、¥616(有隣堂亀戸)

京都の東本願寺近くで鴨川流と娘のこいしがひっそりと営む鴨川食堂。雑誌『料理春秋』に掲載される一行広告に導かれ、昔食べた食の味を探してもらいに客がやってくる。こいしが客の思い出を聞き取り、流が作る。それぞれ思い入れのある客のために作られる思い出の料理は客の心に響く。

あまり深刻にならずに気楽に安心して読める料理+探偵物。いずれも見つけづらそうな料理をうまく探し出すところは御都合主義といえば言えるが、それも本作の味になっているので良い。

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『A Gentleman in Moscow』

A Gentleman in Moscow
Amor Towles
Windmill Books、2017/11/2、¥790(Kindle)

洋書ファンクラブ で勧められていたので。ケネスブラナーが本作の映画を撮るとのことなので楽しみ。

19世紀末に生まれたアレクサンダーロストフ伯爵はロシア革命でメトロポールホテルでの生涯軟禁の身となる。ホテルのスタッフ、ホテルの客などとの出会いと別れを繰り返し、自殺寸前のところでふとした偶然で思いとどまった伯爵は、ホテルのスタッフとして働くことにする。ホテルで少女の時に出会ったNinaが大人になり、再び現れた時すぐに戻ると言ってその娘Sophiaを伯爵に預けた。収容所送りとなった夫の後を追ったNinaはしかしそのまま戻らなかった。ロシアの有名女優Annaとの関わりを持った伯爵は、その後のレストランBoyalskyのウェイターとして働きながら裁縫室のMarinaやAnnaの助けを得ながらSophiaを立派に育てる。ピアノの才能を見出されたSophiaは楽団のParis公演に行くことになり、以前伯爵がスパイにならないかと誘われたRichardの助けを得てSophiaは亡命する。伯爵はもともとうまくいっていなかった総支配人に亡命の企みを見抜かれ、彼を地下室に閉じ込めて自らも数十年暮らしたホテルを脱出する。Sophiaのピアノ講師Victorの助けを得て伯爵は追手を逃れ、故郷の町でAnnaと落ち合う。

ロシア革命の激動を生き抜いた伯爵の一生を描いた小説で、昔の貴族というのはこういうものだということが垣間見られる。最後のオチは少し詰めが甘いと思うが、それを上回る圧倒的な物語でとても面白く読んだ。

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『英語リーディングの探究』

『英語リーディングの探究』
薬袋 善郎
研究社、2010/8/21、¥1,728

7年ほど前に購入して最初の1ページで断念した英語読解の本。今回読んでみたら読めるようになっていたので7年の学習の積み重ねがあったものと思う。

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『コンビニ人間』

『コンビニ人間』
村田沙耶香
文春文庫、2018/9/4、¥626(有隣堂錦糸町)

幼少の頃から人のいうことを文字通り解釈してコミュニケーションの障害に悩む古倉恵子は36歳でコンビニバイト18年。普通の人に合わせようと色々試みるが結局失敗してコンビニ店員に戻る。

芥川賞受賞作で文庫になったので読んでみた。アスペの主人公に回りが振り回される話で、著者の「ほら現代はこんなに病んでいるんですよ」という目線が透けて見えて自分には合わなかった。どうも芥川賞の傾向は自分に合わないような気がする。著者の目線で現代社会を分析する小説は求めていないし、そんなものは日々経験しているもので小説で言われることでもない、という感想が先行してしまう。小説は日常からの逃避で楽しい時間を過ごせるものが好みということなのだろう。

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『菓子屋横丁月光荘 歌う家』

『菓子屋横丁月光荘 歌う家』
ほしおさなえ
ハルキ文庫 ほ 5-1、2018/8/9、¥691(有隣堂亀戸)

活版印刷三日月堂シリーズの著者による新しい小説。川越という舞台は変えず、家の声が聞こえる大学院生が古い家に住み込む話。子供のころのトラウマから人と距離を置くようになった大学院生の遠野は教官の勧めで川越の古民家で地図博物館の住み込みスタッフになる。近所に住む後輩や喫茶店の主人、以前古民家で暮らしていた老婦人などと触れ合ううちに遠野は心を開いていく。

ゆったりとした文体はそのままに、流れに身を任せて気持ちよく読める小説。

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『水族館ガール』

『水族館ガール』
木宮 条太郎
実業之日本社ジュニア文庫、2016/6/30、¥842(有隣堂亀戸)

平積みになっていたので購入。市役所から水族館に出向になった由香が堅物先輩梶や水族館の面々に鍛えられイルカの調教や水族館全般について学び、一年立ったところで出向ではなく転属を希望する。

随所に生々しい夢の描写があるのが本書の特徴で好き嫌いが分かれるかもしれない。自分はあまりこういうスタイルは好まないが、ストーリー自体は水族館の抱える問題などが提起されていて啓発的な小説だった。続編は多分読まないけれど。

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『さいはての中国』

『さいはての中国』
安田 峰俊
小学館新書、2018/10/3、¥886(丸善日本橋)

普通の観光ではわからないディープな中国を知る新書。最終章慰安婦や南京大虐殺についてカナダの中国人団体の過激さの一端は彼らの触れる日本人が左翼だけであるという実態が明らかにされていて、一部の日本人が欧米のそのような偏見に加担していることがわかったことが印象に残った。

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