『ボクたちはみんな大人になれなかった』

『ボクたちはみんな大人になれなかった』
燃え殻
新潮社、2017/6/30、¥1,404(吉田書店)

様々なところで高評価を得ていたので買ってみた。ツイッターに書いていたものが流行って書籍化したらしい。

エクレア工場でバイトしていた著者は、雑誌の文通欄で出会った彼女と付き合うことになる。テレビ美術制作の仕事に転職して会う時間がなくなり、好景気に踊る一方で彼女は別の男と出会い去っていく。自分より好きになった唯一の人の思い出。

という体裁の「僕の思い出日記」風小説。名だたる芸能人が褒めちぎっているが、要は業界内の褒め合いの一つで、内容自体は自分にはあまり響かなかった。「ノルウェイの森」を1/10に薄めた感じ。

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『かばん屋の相続』

『かばん屋の相続』
池井戸潤
文春文庫、2011/4/8、¥680(BO360)

銀行員が仕事で立ち会った様々な事件などを集めた短編集。表題作は京都の一澤帆布をモデルにした兄弟の相続争い。他に資金繰りに追い詰められていく女社長や手形をめぐる男女の事件などいつ自分の身に降りかかってもおかしくない身につまされる話が多かった。


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『投資家が「お金」よりも大切にしていること 』

『投資家が「お金」よりも大切にしていること 』
藤野 英人
星海社新書、2013/2/26、¥886(有隣堂亀戸)

お金とは何か、と150円のペットボトルジュースを買うことが経済へどのように波及していくかから説起し、お金は悪いものではないこと、清貧の思想が日本をダメにし、清富の思想こそが日本を救うこと、ブラック企業を生んでいるのは消費者であること、日本人はすべて投資家であることなどをわかりやすく説明してある。自分が漠然と思っていたことを明確にまとめて書いてあり、大変勉強になった。良書。

●私の座右の銘に「自他不二」という言葉がありますが、これはまさに互恵関係と同じことを言っています。自分と他人は二つに分けることはできない、という意味であって、もともとは大乗仏教の考え方なんですね。
 自分の喜びは他人の喜びにつながり、他人の幸福は自分の幸福につながる。だからみんなの幸せを考えることが、最終的に自分の幸せを考えることにつながっていく。(p.95)

●私たちは、孤独を埋めるための商品やサービスに、思わずお金を使ってしまっている。[略]
 60代や70代の人たちは、自分たちの子供が独立しているので、単身世帯か二人世帯が多いです。お金は余っているけれど、話し相手がいない。そういう人がたくさんいるのが現実です。
 そういう生活の中で、大銀行や大証券会社の若手営業マン・営業ウーマンが、自宅の玄関まで投資信託を売りに来ます。自分お息子や娘、孫世代の、しかも感じの良い若者たちが来て、話し相手をしてくれるわけです。[略]
 販売員は「毎月分配型」の商品などをお勧めするわけですが、だからと言って、老人たちは毎月のお小遣いが欲しいわけではありません。必要だから買うわけではなく、心の寂しさを埋めてくれるから買っているわけですね。[略]
 だから、私たちのような投資信託をうる人間からしてみれば、高齢者の"孤独スイッチ"を押してあげれば、すんなり契約に結びついてします。[略]
 結局、孤独を埋める商品・サービスが売れるからと言って、そのことになんの疑いも持たず、単に孤独を煽ってしまえば、結果として孤独感は増幅していき、孤独な人がさらに増えていくことになるでしょう。(pp.117-119)

●世の中に「虚業」なんてひとつもない(p.121)

●「私の成功とは、長期的な人間関係を築いて、人に奉仕することだ」ウィプロテクノロジーズ会長(p.157)

●スタートトゥデイの社是は「カッコいいこと」です。[略] 「カッコいいかどうか」という問いは、非常に本質的で深いものです。それは、あいさつや遅刻といったことだけでなく、ビジネス全般にも関わってくる問いです。(pp.160-161)

▲ビルゲイツは未来の話しかしない。〇〇という未来を実現したいから、我々は存在している−こういった「ミッション・オリエンテッド(使命志向)」な考え方は、インドのインフォシスやウィプロ社と同じでしょう。

☆プロダクトやサービスがいかに優れているかではなく、その「価値観」を共有し、「あるべき未来」を実現していくという考えが重要。


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『政争家・三木武夫 田中角栄を殺した男』

『政争家・三木武夫 田中角栄を殺した男』
倉山満
講談社+α文庫、2016/12/21、¥680(博文堂書店)

田中角栄ブームに違和感を感じる著者が、田中のアンチテーゼとしての三木武夫を書いた本。戦中から政治家となった三木の経歴と、田中を倒し政権を奪取する様は、バルカン政治家の名にふさわしい。

三角大福中と言われた激しい政争も今は昔となり時に懐かしくもなろうが、それを防ぐために小選挙区制が生まれたのだから、この制度を大事に守っていくしかないだろう、と読んでいて思った。

●公明党は幹事長時代の田中角栄に大きな借りがありました。評論家の藤原弘達が『公明党を斬る』を出版しようとした時、印刷工に学会員がいたことからその内容が漏洩し、出版を妨害しようとしたため、言論の自由を侵害する大事件として国会でも取り上げられることとなりました。窮地に立たされた公明党をかばったのが、田中でした。藤原は三木の親友ですが、こうした因縁がのちに複雑に絡み合い、田中や三木の運命を動かします。(p.161)

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『ぶたぶた日記 』

『ぶたぶた日記 』
矢崎 存美
光文社文庫、2004/8/1、¥514(BO108)

ブックオフにぶたぶたシリーズが並んでいたのでどんなものか買ってみた。本作ではぶたのぬいぐるみである中年男山崎ぶたぶたがカルチャースクールのエッセイ講座に義母の代理で参加する。そこでぶたぶたとクラスメートになった仲間たちのそれぞれの動機や悩みがぶたぶたとの出会いで糸口を見つけていく、という物語。

中年男のぶたのぬいぐるみ、という設定が変わっているが、良心の塊をそういう形で象徴したものと考えれば納得がいく。ぶたぶたさんに励まされ、癒され、人は立ち上がる。とても温かい物語として読めた。

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『つるかめ助産院』

『つるかめ助産院』
小川糸
集英社文庫、2012/6/26、¥572(BO100)

夫に失踪されたまりあは、夫と行ったことのあるハート型の南の島に一人で旅をする。そこで出会った助産院の鶴田亀子に妊娠を告げられたまりあは、そこで手伝いをしながら出産することにする。様々な出会いがあり、別れがあり、人間として成長したまりあは、出産を迎える。

小川糸の作品ということで読んだが、食堂かたつむりやツバキ文具店ほど深く掘られた感じがしない。なんとなく単調に物語が進み、最後に夫が島に来たのも強引な印象。マジックリアリズム的なところを狙ったのかもしれないが、川上弘美ほどの深みは感じられなかった。それでもそれを納得して読めば命の大切さをテーマに書いた小説として読むことはできた。

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『大奥の座敷童子』

『大奥の座敷童子』
堀川 アサコ
講談社文庫、2016/5/13、¥713(BO410)

徳川家定の治世。奥州野笛藩では財政が逼迫し、50年前に江戸に座敷童子が行ってしまったことが原因と考えた家老が藩一の美女今井一期(いちご)を大奥に送り込む。

春画を城内にばらまく怪しい人物や妖怪に翻弄されながら座敷童子を探すイチゴだが、最後に意外な真実を見つける。

軽い読み物で楽しく読めた。

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『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』

『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』
加藤 陽子
新潮文庫、2016/6/26、¥810(有隣堂亀戸)

明治以来戦った四つの大きな戦争について時系列を追いながらその理由を考える。栄光学園の歴史部部員の中高生に向けて講義したものを書籍化した本。

その時々の日本人の置かれた立場と考え方、世界の流れがよくわかる大変勉強になる本だった。
そして、太平洋戦争に至る最後の分岐点が1933年2月の熱河作戦だったこともわかり、陸軍の頭の悪さ、政治の弱腰がどうしようもなく悲しい。

▲国際連盟は満州国を認めたいなくて、中国の領土だと言っている。だから、日本が「満州国内で軍隊を動かしている」と考えていても、連盟から見ればそうではない。33年2月は連盟が和協案を提議して、日本側に最後の妥協を図っている時だった。その連盟の努力中に、れっきとした中国の土地である熱河地域に日本軍が進行することは、「第15条による約束を無視して戦争に訴えたる」行為、つまり連盟が努力している最中に新しい戦争を始めた行為そのものに該当してしまう。そうなれば、日本はすべての連盟国の敵となってしまい、連盟規約の第16条が定める通商上・金融上の経済制裁を受けることになり、また除名という不名誉な事態も避けられなくなる。(p.366)

▲1938年に駐米国大使となった国民党中国の胡適はものすごく頭の良い人だった。彼が唱えた「日本切腹、中国介錯」論は壮絶である。中国はアメリカソビエトの力を借りなければ救われない。日本は両国の軍備が完成しないうちに中国に決定的打撃を与えるために戦争を仕掛けてくるだろう。つまり日米戦争や日ソ戦争の前に日本は中国と戦争を始める。そこで米ソをこの問題に巻き込むためには中国が日本との戦争をまずは正面から引き受けて、2・3年負けなければならない。
 第1に中国沿岸の港湾や長江の下流域がすべて占領される。そのために敵国は海軍を大動員しなければならない。第2に河北・山東・チャハル・綏遠・山西・河南と言った諸省は陥落し占領される。そのためには敵国は陸軍を大動員しなければならない。第3に長江が封鎖され、財政が崩壊し、天津・上海も占領される。そのためには日本は欧米と直接に衝突しなければならない。これを2・3年耐えることで次の効果が期待できる。
 満州に駐在した日本軍が西方や南方に移動しなければならなくなり、ソ連はつけこむ機会が来たと判断する。世界中の人が中国に同情する。英米及び香港、フィリピンが切迫した脅威を感じ、極東における居留民と利益を守ろうと、英米は軍艦を派遣せざるを得なくなる。太平洋の海戦がそれによって迫ってくる。(pp.379-384)

☆これだけ優秀な人物のいる中国に対して日本側のなんと尊大で無能だったことか。

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『銀行員大失業時代』

『銀行員大失業時代』
森本 紀行
小学館新書、2017/8/1、¥842(吉田書店)

フィンテックで銀行員の5割は職を失う。フィデューシャリーデューティーの重要性が増し、顧客満足から顧客本位へ。フィンテックでまかなえない専門知識のある人間だけが生き残る。無意識に自分の個人情報を垂れ流すな。

どんなことが書いてあるか興味があり購入した。普通のことが書いてあった。

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『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』

『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』
川上 和人
新潮社、2017/4/18、¥1,512(有隣堂亀戸)

日本に1200人しかいない鳥類学者の著者が、鳥の研究のために絶海の孤島に行ったり、できたばかりの西ノ島に上陸したりと悪戦苦闘する様を描いたノンフィクション。

そんなに鳥に興味があるわけではないが、学者先生は大変だなあと思いながら読んだ。

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