『チョコレートコスモス』

『チョコレートコスモス』
恩田陸
角川文庫、2011/6/23、¥880(BO460)

空手道場の家に育った飛鳥は高校の同級生に演劇を教わり、大学で演劇サークルに入る。才能を開花させた彼女は演劇界の大物に見出され新作演劇のオーディションに呼ばれる。他の大物女優とのオーディションが続くとますます才能に磨きがかかり関係者を震撼させる。しかし彼女は最終オーディションを棄権すると言い出す。

恩田陸版ガラスの仮面といった趣の小説。すっと引き込まれて最後まで息も切らさずに読み通した。演劇自体が人を引き込む題材なのに加え飛鳥の成長をオーディションの進行とともに見せることで面白くないわけがないという仕上がりになっている。蜜蜂と遠雷のように映画化してほしい小説。


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『散りしかたみに』

『散りしかたみに』
近藤史恵
角川文庫、2001/8/23、¥594(amazon)

歌舞伎の公演中桜の花びらが一枚だけ散る。菊花師匠は小菊に命じて今泉に真相を明らかにするよう依頼する。若手歌舞伎役者には里子に出された弟がいたが、それが悲劇を招き彼の死を招いたことが明らかになる。

歌舞伎シリーズは筋が複雑で追うのに苦労する。


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『桜姫』

『桜姫』
近藤史恵
角川文庫、 2008/2/1、¥565(amazon)

大物歌舞伎役者の跡取り息子として期待されていた少年音也が死亡し、その後妹笙子は兄を絞め殺す悪夢に悩まされる。子供の頃音也が大磯の別荘にいたときに遊んだ京介は長じて歌舞伎役者銀京となり笙子に兄を探すことを提案する。今泉は調査を進めるうち音也は死んでいないことを突き止める。調査を進める中子役が死んでいるのが見つかる。今泉は大学時代の友人小菊の師匠菊花の依頼でその真相も明らかにする。

描写のトリックという分野になるかもしれない。実は音也が笙子であり、性別がはっきりしない病気の音也が幼い頃発した「京介が好き」という言葉を聞いた母親が性別を女に決めたために様々な悲劇が起こったことが明らかになる。切ない話ではあるが歌舞伎に通じている著者だから思いついた設定ということになるかもしれない。今泉シリーズは他のシリーズと違って暗い描写が多くやや読みづらいが辛抱強く追っていくと次第に引き込まれていく。


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『京洛の森のアリス』

『京洛の森のアリス』
望月麻衣
文春文庫、2018/2/9、¥715(BO410)

幼い頃両親を亡くし叔母の家に引き取られていたありすは、幼い頃に暮らしていた京都の舞妓修行のために京都に戻るがそこは異世界の京都だった。そこでは本当にやりたいことをしていないと老いて最後には追い出されてしまうため舞妓修行で老いてしまったが本当にやりたいことを考えるうちに本屋を開き朗読をすることで元の姿に戻る。カエルのハチスとウサギのナツメと共に暮らすうちに御所の王子蓮に会うことができるが、それは昔あった彼ではなかった。盗賊に誘拐されて助けられたりしているうちにハチスが本当の蓮であることがわかったありすは元の姿に戻った彼や執事と仲良く暮らすのだった。

軽いファンタジーとして読める。


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『ガーデン』

『ガーデン』
近藤史恵
創元推理文庫、 2002/12/12、¥814(BO241)

今泉シリーズの発端となる話。大学の講師をしていた今泉はなぜか探偵をしている。同じアパートに住む奥田真波が突然同居人の火夜が行方不明になったと彼女の指を見せたことで彼女の捜索をすることになる。しかし巻き込まれた彼は捜査が進むうちに関係者がどんどん殺され、その死体はこびをする羽目になり、深みにはまっていく。ついに真相を突き止めた時には真波も他の主な関係者も全て死に火夜だけが生き残っていた。そして今泉は助手山本が実は精神病にかかっており「自分は名探偵の助手である」という妄想によってのみ日常生活が送れるため探偵を演じていたことが明らかになる。しかしただの芝居だったはずの探偵ごっこはもはや芝居ではなく探偵業を本格的に営むことになる。

登場人物が比較的多く、しかもそれぞれが錯綜してどんどん死んでいくので話の筋を追っていくだけで大変だった。著者が若い頃に書いて一度お蔵入りにしたというのもわかる複雑な話だがその分著者の思いが詰まっていて面白く読めた。




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『ふたつめの月』

『ふたつめの月』
近藤史恵
文春文庫、2010/5/7、(BO334)

久里子シリーズ第二弾。

服飾雑貨の輸入会社に契約社員として働いていた久里子は部長に正社員に登用され喜んでいたが突然上司にクビにされてしまう。しかし実は会社では自主退社扱いになっていたと知り、国枝こと赤坂老人に久しぶりに会ったことで相談すると、真相が明らかになった。

ファミレスロンドの同僚で今はイタリアで修行している弓田と恋人未満の関係になっている久里子。久しぶりに帰国した弓田から幼馴染で年下の小園明日香の相談に乗るよう頼まれて複雑な気持ちになる。しかし相談に乗ると明日香は人を殺すかもしれないと物騒なことを言い出す。中退した高校の生徒から情報を得ると明日香が一時期拒食症だったことがわかる。赤坂の言葉にヒントを得てonlineでしか知らない拒食症患者を煽ることで殺そうとしていうとわかった久里子は明日香を止める。明日香から弓田は久里子のことを好きだと聞いた久里子は弓田に告白する。

散歩コースの歩道橋でいつも会う赤坂老人が車にはねられ入院する。久里子は赤坂に頼まれて歩道橋にある街灯を壊す。しばらくして赤坂が実は空き巣グループを歩道橋から撮影して警察に写真を送っていたことがわかる。そして目の悪くなった老女性が月のつもりで見ていた光が街灯だったことを知った久里子は、ただの白内障ではない老女の病気を「月が見えるうちは大丈夫」と励ましていたことを知る。

詐欺を繰り返す国枝こと赤坂老人の正体は明かされないが、久里子が赤坂に様々な相談をしながら成長していく物語としても読める。



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『賢者はベンチで思索する』

『賢者はベンチで思索する』
近藤史恵
文春文庫、2008/6/10、¥693(丸善日本橋)

ファミレスロンドでバイトする久里子は常連で正体不明の老人国枝に近所で起きる事件の解決を手伝ってもらう。

友人がくれると行っていた子犬が突然死ぬ。周囲で犬の不審死が相次ぎ、母が保健所でもらってきた犬も久里子が散歩中に何かを食べて死にかける。国枝が協力し犯人を見つける。その過程で鼻黒の犬を引き取る。引きこもり気味の弟信に姉としてコミュニケーションを取ろうとする。

ロンドで食べ物で気持ち悪くなる客が相次ぎ、国枝と協力して解決する。国枝に言われ早朝のロンドに行くと信はシフトに入っている女の子に会うために通っていたことがわかる。

ロンドによく来ていた家族づれの子供の兄弟のうち弟が国枝に誘拐される。久里子は国枝から連絡を受け弟を迎えに行く。実は兄に虐待されていたことを知った国枝が狂言誘拐を仕組んだものだった。信は引きこもりをやめ大学受験することにする。

単なる日常の謎かと思いきや、そこは近藤史恵なので少しブラックな苦味も効かせているところが面白かった。


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『Wishtree』

『Wishtree』
Katherine Applegate
Feiwel & Friends、2017/9/26、¥1,268(Kindle)

近所の人が紙切れなどに願いを書いて巻きつける願いの木レッド。引っ越してきたイスラム教の家族に「去れ」と幹に彫り込みが入れられる。木の持ち主フランチェスカはレッドを切ることに決めるが、レッドは切られる前にイスラムの娘サマルの「友達を作りたい」と言う願いを叶えるため隣の家のステファンと仲良くなるよう計画を始める。レッドに人の言葉で話しかけられたサマルはステファンとレッドが切られないよう動き始める。フランチェスカはカラスのボンゴに木の上にずっとあった日記帳をわたし、彼女の祖母の人生と木の関係を知り、また木を切る当日に町中の人が集まるのを見て切るのをやめた。

児童書の割に読み通すのに時間がかかった。

22,000 words 4h30m
81 words / minute

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『ゆるく考える』

『ゆるく考える』
東浩紀
河出書房新社、2019/2/26、¥1,980(三省堂本店)

東浩紀の2009-2018くらいのエッセイ集。若者の代表から中年に差し掛かり色々悩みも増えた著者の愚痴や思いがわかる。

本書に書かれたシェイクスピアカントリーパークは道の駅になったらしい。

●若者と同じように話をすれば無責任だと言われ、議論すればハラスメントだと言われるのだ。それが年齢を重ねるということであり、僕たちはそれを受け入れて生きていく他ないのである。(p.54)

●プラトンはこの「失敗」[人間は論理的でない] から出発し、ベン年に壮大な理想国家論に取り組むことになる。その試みの意味は、2400年を経た今も全く色あせていない。人間は論理的ではない。話し合えば正しさが実現するわけではない。全ての政治と哲学は、この前提から始まらねばならない。(p.66)

●批評の本質は新しい価値観の提示にある。価値観は事実の集積とは異なる。[略] 同じ現象に異なった評価が下されることはありうるし、むしろ文化にとっては複数の価値観が並立するのが好ましい。批評の機能は、まさにそのような「複数価値の併存状況」を作り、業界や読者の常識を揺るがすことにある。だから、批評が「業界の常識」とずれるのは当たり前なのだ。というよりも、そのズレがなければ、そもそも批評には存在価値がないのである。(pp.79-80)


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『カナリヤは眠れない』

『カナリヤは眠れない 』
近藤史恵
祥伝社、1999/7/1、¥681(BO108)

変わり者の整体師合田は、ある日訪れた墨田茜を見て何かを感じる。彼女は夫に従属した生活をしているが以前カードで買い物依存症になった経験がある。実はそれを夫は利用しようとしていた。

この著者は本当になんでも書けるなぁと感心する。

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