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『サヴァイヴ』

『サヴァイヴ』
近藤史恵
新潮文庫、2014/5/28、¥594(有隣堂錦糸町)

自転車ロードレースシリーズ第3巻。石尾の死によってヨーロッパに渡った白石誓のミッコとの出会い、赤城が監督助手で復帰した日本チームで世界選手権に出場する伊庭、若き石尾がチームオッジに入り、赤城がそのアシストになる経緯、エースになった石尾とともに走る赤城と日本自転車ロードレース界を金で動かそうとするIT企業、ポルトガルチームに移籍した白石とミッコのチームメイトの薬物疑惑など、それぞれ興味深い話が語られる。

シリーズを通して引き込まれる面白い小説。

●出口のない不安で、押しつぶされそうだった。どうすればここから抜けられ流のか、必死で光を探していた。見つけたと思ってはまた絶望し、またなんとか這い上がろうとする。それを繰り返すうち、次第に心は絶望に馴染んでいく。絶望が着慣れた服のようになっていく。そうなれば、もう脱ぐことさえ難しかった。(白石、p.29)

●目の前には見えないレールが存在していて、それを逸脱することは簡単ではない。逃れたと思っていても、気がつけば、いつの間にかそのレールの上に引き戻されているのだ。運命なんて大げさなものではない。要するに、人にはできることとできないことがあるというだけだ。(赤城、p209)
それで出した結論がこれだ。人間は自分の運命さえ、自分で選べない。(赤城、p.211)

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