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『ちょっと今から仕事やめてくる』

『ちょっと今から仕事やめてくる』
北川恵海
メディアワークス文庫、2015/2/25、¥572(BO108)

ブラック印刷会社に勤める隆は線路に飛び込もうとしたところをヤマモトと名乗る男に救われる。その後、ヤマモトは3年前に自殺したことを知り、真相を知るため大阪の実家を訪ねる。そして隆は会社をやめる。

一息に読めた。なかなか現実は自殺を引き止めることは難しく、本作のようにはいかないだろうと思いながら、それでも希望として読むことができた。

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『四月一日(わたぬき)さんは代筆屋』

『四月一日(わたぬき)さんは代筆屋』
桜川 ヒロ
宝島社文庫、2018/10/4、¥691(有隣堂亀戸)

広島県熊野町。そこにキツネとタヌキに似た男と男女二人の高校生が営む古い文房具屋と併設する代筆屋がある。色々な悩みを持つ人がそこを訪れ代書を頼む。

ツバキ屋文具店のパクリかと思ったが、時系列が前後したり、ややオカルトが入っていたりして若干流れに乗るのに苦労した。読み終わってみればなるほどそういうことかという結末だった。

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『マウス』

『マウス』 村田沙耶香
講談社文庫、011/3/15、¥596(BO360)

小学5年になった田中律は、クラス変えで一人誰とも話をせず、時々どこかにふらっといなくなる瀬里奈の後をつける。トイレの用具入れに隠れていた瀬里奈にくるみ割り人形の話を聞かせると、彼女は主人公のマリーを演じるかのように性格が変わり、クラスの中心人物になる。

大学生になった律は、クラス会に行く途中に瀬里奈に会い、彼女がまだ毎日出かける前にマリーになることを知る。くるみ割り人形を読むのをやめるように言う律は、彼女が閉じ込められていたのではなく自分が狭い世界に閉じ込められていたことを知り、違う世界へ飛び出そうとする。

自分を目立たないマウスという律が、瀬里奈によって変わっていくジュブナイル小説。不思議な空気感のある小説で、世界をしっかり掴む前に読み終わってしまった。村田沙耶香はこういう小説を描く人なのかな、と面白く感じた。

 

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『鴨川食堂はんなり』

『鴨川食堂はんなり』
柏井 壽
小学館文庫、2018/4/6、¥659(有隣堂亀戸)

鴨川食堂シリーズ第5巻。
三年前振られた彼に連れて行かれた京都の食堂の親子丼を探すインスタ映え命の女性。
京大在学中中華料理店でバイトしていた息子が家に持ってきた焼売をその時食べず、その後息子が交通事故で亡くなったためその焼売を探す母親。
何をしてもうまく行かず、昔両親を事故で失い、その後妻子も事故にあった時に自分だけ生き残り、家族と食べたきつねうどんを探す男。
お見合いで結婚した夫がずっと家で夕飯を食べなかったことで離婚したが、元夫が倒れた後、夫はずっとあるおでんやでずっと大根を食べていたことを知り、理由を知りたくてその大根を探す女性。
親友と登山した時に雪で道に迷い、その時に食べた芋煮をそこへ行って探すが探しきれず、鴨川食堂に依頼にきた理系の男。
夫を早くに亡くした女性が、晩年になって上高地で出会った男性が作ってくれると言って結局食べさせてもらえないままこの世を去ったため、一体どんなハヤシライスだったかを知るために鴨川食堂にきた男性。

解決まで3週間かかったり、オカルトが出てきたり、今までとは少し趣の違う話もあり楽しく読めた。

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『鴨川食堂おまかせ』

『鴨川食堂おまかせ』
柏井 壽
小学館文庫、2017/1/6、¥616(有隣堂亀戸)

鴨川食堂シリーズ第4巻。フォーマット固定で、シチュエーションだけ変える方式が完全に定着。

司法試験合格まで家に帰らないと誓った息子が、自宅出立の朝母親に作ってもらった味噌汁。
若い料理人とのデートで、プロポーズかと思いきや4年待ってほしいと言われた女性がその時に食べさせてもらったおにぎり。
同窓会を期に不倫関係になった女性が作ってくれた生姜焼きを探してもらい、あわよくば復縁しようとする男性。
自分ではすっかり忘れていたが、痴呆症になった父親に自分がとても好きだったと聞かされ、死ぬ前に一度父親に食べさせようと祖母の作ってくれた冷やし中華を探す女性デザイナー。
一度も勝てなかった野球部の最後の試合の後、食堂で食べさせてもらった焼き鳥を探し、自分の商売に生かそうとする若い男性。
不倫のため親権を手放し、長年一人でいた看護師の女性が、たまたま吟行会旅行で入った喫茶店で食べたマカロニグラタンを見て、息子に違いないと経緯を暗に調べてもらいにきた女性。

本シリーズはあまりきわどい話は扱わない傾向があるように感じるが、本巻では不倫に絡む二編が含まれ、若干苦い思いを抱かせる話になっている。いずれにしろ面白くは読めた。


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