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『鴨川食堂いつもの』

『鴨川食堂いつもの』
柏井 壽
小学館文庫、2016/1/4、¥616(丸善日本橋)

東本願寺前の目立たない鴨川食堂シリーズ第三弾。もう完全にパターン化した展開で水戸黄門を見ているように読める。目立たない鴨川食堂にたどり着いた依頼人は、最初に依頼に至った思いを振り返りながら料理を食べ、こいしに話をする。流が「ようけ話をお聞きしたか」と聞き、「二週間後においでください」と結ぶ。二週間後に再度来店した依頼人は、流から料理を出され、それをまた思い出に浸りながら堪能し、流からどのように見つけたかを聞くうちに(それがどのようなものであれ)心を決めて新たな一歩を踏み出す。
このパターンが繰り返されるので、エピソードごとの状況は異なっていても、安心して読める。

能楽師の父の後を継がず、ダンサーになった男が、説得を諦めた父に最後に食べさせられた蕎麦。
反対を押し切って作家になれない男と夫婦になり、男を守るために人をはずみで殺した娘が、最後に結婚の説得に訪れた時に作ってくれたカレー。
初めての恋にピアニストとしての将来を捨てても良いと、自分の手を傷つけてしまった女が、その時に恋人に作ってもらっていた焼きそば。
二股をかけていた男が、振った女の両親に謝りに行った時に食べさせてもらった餃子。
勉強のできない同級生に教えに行っていたが、同級生が大学に合格し、自分は落ちたことで人生が狂ったと思っている。その男が同級生の母親に作ってもらっていたオムライス。
母子家庭で育った文学賞受賞間近の女性作家が、幼い頃貧しさから近所のコロッケ屋から盗んで食べていたコロッケ。

それぞれ趣のある話が並び、面白く読めた。

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