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『読書という荒野』

『読書という荒野』
見城 徹
幻冬舎、2018/6/6、¥1,512(有隣堂亀戸)

今まで見城が書いてきたことの焼き直しだが、「読書」という観点からまとめ直したもの。見城にとって読書が人生にとって抜き差しならない営みであったことは伝わった。ただ、読書は極く個人的な営みだから、彼にとって大事な本でも自分には共感できないものがあるのは当然だろう。例えば「深夜特急」は彼にとっては非常に大事な本だが、自分はそこまで共感しなかったし、何が面白いのかよくわからなかった。また見城の三島由紀夫への傾倒は、時代が違うこともあるし、自衛隊で自決することの愚かしさしか感じないので共感できない。そうしたことを理解した上でメタ的な視点に立って読めば、本書は読書がいかに人生を豊かにするかを体感できる一冊。

●旅の本質とは「自分の貨幣と言語が通用しない場所に行く」という点にある。貨幣と言語は、これまでの自分が築き上げてきたものに他ならない。それが通じない場所に行くということは、全てが「外部」の環境にさらされることを意味する。
 そうした環境では自己愛は成立し得ず、裸形の自分がさらけ出される。必然的に自分と向き合わざるを得ない。つまり自己検証、自己嫌悪、自己否定を余儀なくされるのだ。だから僕は、旅ほど人生を改変することに作用するものはないと思う。旅の意味合いをこれほど鮮やかに描いた本は他にはなく、僕は沢木文学の最高傑作だと考えている。(p.172)

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『王妃の帰還』

『王妃の帰還』
柚木 麻子
実業之日本社文庫、2015/4/4、¥600(有隣堂亀戸)

お嬢様女子中等部2年の範子は、自分たちの地味グループにクラスの姫グループから追放された滝沢を受け入れることになる。それまで平和だったクラス派閥は入り乱れ、権力闘争につぐ権力闘争、そして自分たちのグループも崩壊の危機を迎える。

多感な女子中学生の世界はこんなに厳しいのか、とため息をつきながら読んだ。登場人物の説明が若干わかりづらく、誰が誰でどういう関係か把握するまでは読み進めるのが辛かったが、それを把握し、権力闘争が激しくなってからは一息に面白く読めた。

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『動物農場〔新訳版〕』

『動物農場〔新訳版〕』
ジョージオーウェル
ハヤカワepi文庫、2017/1/7、¥756(有隣堂亀戸)

ソビエト革命を風刺した小説。

どの政治体制を選ぼうと指導者は独裁を築くものだ、と言う一般論としても読める。

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『ばけもの好む中将 七 花鎮めの舞』

『ばけもの好む中将 七 花鎮めの舞』
瀬川 貴次
集英社文庫、2018/5/18、¥583(有隣堂亀戸)

宣能は花見を企画し、12の姉と春若が出会うよう仕向ける。それを右大臣に見られたことで宣能は右大臣の後継者としての仕事を承諾する。右大臣に導かれ裏の仕事を請け負う多情丸に引き合わされ、幼い頃自分を襲ったのが彼であると知る。

ばけもの好むと言いながら、もはや怪談ではなく人間同士の政略物語になった本シリーズ。書中「本当に恐ろしいのは人間」「それを言うな」と言う会話があるが、本書への書評に対する解答と見て良いのだろう。

難しく考えずに読む本。

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