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『ゲンロン4 現代日本の批評III』

『ゲンロン4 現代日本の批評III』
東 浩紀 (編集)
株式会社ゲンロン、2016/12/7、くまざわ書店錦糸町

現代日本の批評3として2001-2016を取り上げた特集のほか、日本のリベラル/左翼の再起動をどう図るかなどの記事。

特集記事はゼロ年代になって東浩紀一人勝ちの時代となり、その状況が10年代後半に入っても続いていることへの諦念が書かれている。思想が難しい時代になったのは事実だが、だからと言って社会学者や思想家たちが

現状に馴致し、テレビ芸者になるのはいかがかと思った。
また、リベラルの再起動に関しては、山口二郎や津田大介を招いての対談形式だったが、左翼の負け犬の遠吠えにしか読めず、ここでも「保守ではない層」に将来の明るい展望がないことが明らかになっている。

浅田彰との対談は歴史として面白く読んだ。

特集記事以外にはあまり興味を惹かれなかったが、買って読む価値はあった本。

本書を読んで感じたこととして、左翼/リベルの言葉に力がない時代に東の言葉に少なからず説得力が残っているのは、彼自身がゲンロンを経営していることで、保守の言葉を理解しつつ、リベラルとして自分の思想を主張しているからだと思う。その点は、大学などの安全な場所に身を置いて綺麗な言葉を使う多くの左翼/リベラルの人たちよりはよほど信頼できる。

●柄谷[行人]は、[敗戦によって] 言葉と現実が一致しない、一致できない国と時代に生まれた。だから批評という病を患った。だとすれば、批評という病は、言い換えれば言葉と現実の乖離は、ねじれそのものが解消されなければ癒えることがない。そしてそのねじれは今も変わらずに存在している。したがって病は癒えるはずがないのだ。たとえ本人がデモに赴こうとも。(東、p.37)

●歴史的に見ても、続けた人が最後は勝利するんですよ。あたりまえだけど。(大澤聡、p.139)

●佐々木敦:少なくとも [左翼は] 負けたという事実は認めてもらわなければならないとまずい。でも彼らはその出発点にも立ってくれない。[略]
東:理想を掲げることと、現状で勝利することは両立するはずですよ。いまの日本のリベラルはたんに現実逃避を続けている。(p.157)

●ブランドになって初めて継続性が生まれる。僕が引退したとして、ゲンロンを誰かが引き継ぐ。ただ、引き継いだ人は完全に自由にできるわけではない。なぜなら僕が作った『ゲンロン』の観客に制約されるからです。それこそが観客=外部が作るアイデンティティです。このような視線がなくては継続性は生まれません。(東、P.167)
⭐︎誰かが引き継げるとは思わないが、ブランドという概念については理解できる。

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