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『最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常』

『最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常』
二宮 敦人
新潮社、2016/9/16、¥1,512


藝大生の奥さんを持つ小説家の著者が、あまりに面白いので自分の興味から藝大を取材して、一般人にはうかがい知れない藝大の裏表を面白おかしく描き出す。というより、そこに在籍する学生たちが、その生態を描くだけで面白くなってしまう特性の持ち主ばかりだということなのだろう。勉強にもなり、面白くもある、お得な本。

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『バブル:日本迷走の原点』

『バブル:日本迷走の原点』
永野 健二
新潮社、2016/11/18、¥1,836

タイトル通り、日本経済が経験したバブルを、その淵源から説き起こし、崩壊に至る道筋を精緻に振り返って行く。日本経済新聞社の記者だっただけあり、大変力強い筆致で最後までダレることなく読ませる。自分が同時代を経験したこともあり、大変面白く読んだ。

●バブルとは、グローバル化による世界システムの一体化のうねりに対して、それぞれの国や地域が固有の文化や制度、人間の価値観を維持しようとした時に生じる矛盾と乖離であり、それが生み出す物語である。(pp.7-8)

●会社の経営をギリギリのところで守るのは、運や偶然ではない。いつの時代も、現場への信頼と、組織としての規律、そして経営者の決断である。(p.150)

●日経が生み出した「財テク」という言葉は、その内容をしっかりと吟味して定着させるべき言葉だった。「営業利益」から「経常利益」が企業評価の新しい基準になることは、同時に、為替、金利、株式などの市場のリスクが、営業外の収益を通じて、経営を大きく左右する時代を迎えたということだった。(p.152)

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『問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論 』

『問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論 』
エマニュエル・トッド (著), 堀 茂樹 (翻訳)
文春新書、2016/9/21、¥896(吉田書店)

タイトル通り、主にイギリスのEU離脱から現代の問題を解き明かす。著者の主張は、米英のアングロサクソンは欧州型の民主主義とは違い、動きが早く、今回のBrexitはアングロサクソンが民主主義体制の変化をいち早く捉えて対応した結果だということで、一定の説得力があった。

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『幻想古書店で珈琲を』

『幻想古書店で珈琲を』
蒼月 海里
ハルキ文庫、2015/9/18(吉田書店)

神保町の大型書店の一角に普通は入れない不思議な空間があり、主人公の名取司はそこにまよいこむ。そこは自らを魔法使いを名乗る亜門が店主の古書店だった。名取はそこでアルバイトすることになり、亜門とそこで起こる謎解きをすることになる。

設定が古書店ということに惹かれて購入したが、不思議物語ということと物語がありがちということもあり、いまひとつ乗り切れなかった。

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『「自分には価値がない」の心理学』

『「自分には価値がない」の心理学』
根本橘夫
朝日新書、2016/11/11、¥842

自己肯定感をいかに得るか、その考え方について説明していく。結局自分を大事にしろということを述べているのだと思った。

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『社長の掟』

『社長の掟』
吉越 浩一郎
PHPビジネス新書、2014/6/19、¥907

トリンプの元社長だった著者が、その経験をもとに社長としてどうあるべきかを説いた本。根本的に業績を上げ続けないと社長失格だという著者の考え方は大変厳しく、この通りに実践するのは大変難しいと感じた。

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『大国の掟―「歴史×地理」で解きほぐす』

『大国の掟―「歴史×地理」で解きほぐす』
佐藤 優
NHK出版新書、2016/11/8、¥842

現代の国際情勢を地政学の立場から論じる。大きくランドパワーとシーパワーに分けた上で、英米・ドイツ・ロシア・中東・中国に分けてそれぞれ詳しく説明していく。

佐藤の最近の著作は、現代が新帝国主義の時代であると定義した上でそれぞれの問題を論じるスタイルが多いが、それらをわかりやすく述べるので参考になる。

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『政府はもう嘘をつけない』

『政府はもう嘘をつけない』
堤未果
角川新書、2016/7/10、¥864

パナマ文書によるタックスヘイブンの実態が明かされ、各国が調査開始する中調査を拒否した日本、緊急事態条項により大権を得て暴走の可能性がある安倍政権、金融破綻しながらIMFの政策を拒否し、国民を重視した政策により立ち直ったアイスランドの例、など現在我々が置かれているごく一部の金持ちや権力者のための政治と一般国民との対峙について詳しく説明されている。

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『毎日同じ服を着るのがおしゃれな時代 今を読み解くキーワード集』

『毎日同じ服を着るのがおしゃれな時代 今を読み解くキーワード集』
三浦 展
光文社新書、2016/10/18、¥799(吉田書店)

『下流社会』の著者がこれまでに書いてきたキーワードを集めた本。タイトルに騙されて買った。「毎日同じ服を着るのがおしゃれ」な理由を分析する本当思って買ったがそうではなかったのが残念。

「自己関与性」が売れるためのキーワードというのは面白かった。人間は常に手を出したがる動物で、その観点からすると完全自動運転車は売れない、ということになる。確かにその通りだと思った。

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『消えた古代豪族「蘇我氏」の謎』

『消えた古代豪族「蘇我氏」の謎』
『歴史読本』編集部
KADOKAWA、2016/5/13、¥691(博文堂書店)

古代豪族蘇我氏が、仏教を護持し、それに反対する物部氏との闘争に勝利し、天皇家との姻戚関係を結ぶことで権力を思うままにし、専横のために滅ぶまでを描く。

軽い読み物として一息に読めた。歴史を面白く読める本。

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2016年の3冊

2016年に読んだ95冊から選んだ3冊。体調不良が続き、何を読んだかほとんど覚えていない。読んだ本でもブログに記録していない本があり、思い出したら逐次記録を追加したい。そんな中で、印象に残ったのが3冊だった。

1. 『しんがり 山一證券最後の12人 』:山一証券が自主廃業するに至る過程で、その報告書をまとめる役を担った社員が、上層部と軋轢を生みながら真相を明らかにしていく様子が描かれた小説。
2. 『宿澤広朗 運を支配した男』:生きていれば三井住友銀行の頭取になっただろう人物を描いたノンフィクション。
3. 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』:村上春樹の新作長編。自分がなぜ友人から遠ざけられたかの真相を求めて彷徨う主人公を描く小説。相変わらずその不思議な空気がよかった。

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『お寺さん崩壊』

『お寺さん崩壊』
水月 昭道
新潮新書、2016/12/15、¥821(有隣堂亀戸)

人口減少に伴う檀家減少により寺院経営が危機的になっている現状を明らかにした本。特に地方寺院の厳しい状況を数字を使って説明されており、本山への影響も懸念されるということが書かれている。

今までなあなあで済まされてきたことがもはや立ち行かない状況に至り、経営状況の明確化や責任体制の確立の必要性が主張されている。確かに驚くことが多かったが、寺の理屈がもはや時代遅れになっていることの表れではないかと思った。本書も最終的には仏教の精神性の重要性を説くことに帰着し、抜本的な解決策の難しさが伺える。

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『珈琲店タレーランの事件簿 5 この鴛鴦茶がおいしくなりますように』

『珈琲店タレーランの事件簿 5 この鴛鴦茶がおいしくなりますように』
岡崎 琢磨
宝島社文庫、2016/11/8、¥713(吉田書店)

アオヤマは初恋の彼女眞子に会う。眞子は付き合っている男と問題があり、アオヤマはその問題に巻き込まれていく。

相変わらずすごく面白いというわけではなく、といって全くつまらないというわけでもない微妙な小説。時間を潰すにはちょうど良い感じ。

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『ばけもの好む中将 伍 冬の牡丹燈籠』

『ばけもの好む中将 伍 冬の牡丹燈籠』
瀬川 貴次
集英社文庫、2016/9/16、¥562(有隣堂亀戸)

悪徳僧侶が殺される現場を見た宣能は怪異探しをする意欲を失う。宗孝は心配しれ様々な怪異の話を持ち込むがことごとくうまく行かない。一方、東宮は相変わらず十二の姉に執心し、騒ぎを起こす。それを知った母弘徽殿の女御は十二の姉を呪詛する陰陽師を雇う。

次第にタイトルから話がずれていくようだが、本当に怖いのは人間、という真理が明らかになってきた感じ。


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