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『もういちど村上春樹にご用心』

『もういちど村上春樹にご用心』
内田 樹
文春文庫、2014/12/4、¥724(博文堂信濃町)

『無花果とムーン』のあとがきで言及されていたので買ってみた。村上春樹の小説に通底する主題を鮮やかに解説し、同時にどのように読むべきか、そして時代によってどのように変遷してきたか、がわかる。

著者は、村上春樹の特徴は、常に邪悪なものに危険にさらされる日常生活を守る為に雪かきをするがごとく、小さな力で小さな秩序を取り戻そうとするセンチネル(歩哨)を主人公にしていること、そして父の不在が主題になっている、と説く。そして1Q84で父の不在は解消され、父の支配をどのように逃れるかが一つの主題となる。

今までなんとなく読んでいた村上春樹の小説に、明確な補助線を引くことができて、大変面白く読んだ。

▲『冬のソナタ』と『羊をめぐる冒険』の説話論的構造は、複式夢幻能を元にしたもの。(p.116)

●(内田)サリンジャーはさすがにそのとき読まなkッタですけど、『ギャツビー』はグイグイきましたね。チャンドラーはどの本を開いても、傷ついた男のメンタリティに本当に寄り添ってくる。世の中に多少投げやりな気持ちになって、価値のあるものなんか何もないと思っても、最後に踏みとどまって、「生きていけば少しはいいことがあるかもしれない」っていう一筋の期待を持って強がりながら生きていく、みたいな。(p.151)

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