『読書のチカラ』
『読書のチカラ』
齋藤孝
だいわ文庫、 2015/6/12、¥702(有隣堂亀戸)
どんな本を読むかで人生が決まる、ということを主要な論点として、具体的にどのような本をどのように読むのが良いかを著者の視点から述べる。
古典、漱石などの文学を読め、現代の本はあまり役に立たない、というのが重要な主張なのだが、古典といえど、その時代にはたくさんのクズ本が出ていたはずであり、出版状況はそれほど現在と変わるところはなかったと思われる。その中で、時代の淘汰を経て生き残った本と、現代のまだ評価の定まらない本を比較すること自体があまり意味のあることとは思えなかった。とりあえず未来の古典となりそうな本を片端から読むしかないのではないか、と思った。
また、水村美苗の『日本語が亡びるとき』を引いて、英語に圧倒され日本語は滅びる、と日本語文化の危機を訴えるが、歴史を通じて漢字や英語などの影響を受け続けてきたのだから、昔の日本語はすでに滅びている、ということもできるし、変化し続けるものこそが日本語であるということもできると思うので、著者の意見には同意しかねる。
主張自体にはあまり賛同できなかったが、本を読む技術については参考になる点があった。
●[本の読み方として]特に有効なのは、本を買った直後に[喫茶店に] 立ち寄ることだ。およそ読書のモチベーションというものは、買った直後が最も高い。(p.158)
本書の推薦書:「E=mc2 世界一有名な方程式の伝記」
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