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『ストーリー・セラー』

『ストーリー・セラー』
有川 浩
幻冬舎文庫、2015/12/4、¥583(BO460)

会社の目立たないアシスタントだった彼女は、ふとしたことで同僚に書き溜めていた小説を読まれる。彼は彼女の小説を称賛し、二人は結婚する。やがて彼女は彼に勧められ文芸誌に小説を投稿し、それをきっかけに小説家として成功する。しかし同時にかつて彼女の所属した大学の文芸部員や家族からの嫌がらせにより精神的に追い詰められ、精神的な難病にかかる。医師に書くことを止められながら書き続けた彼女はやがて命を落とす。

というside:Aが、side:Bで実は彼に勧められて彼女が書いた小説であることがわかる。そして次に彼が死ぬというプロットで小説を書き始めたが、現実に彼が悪性腫瘍になり死に直面すると、彼女は小説で現実を変えようとする。やがて彼が亡くなったことが示唆されるが、それすらも小説であったことが最後の2ページで後書き風に描かれる。

メタ的な構造を持った小説で、どこまでが小説内の真実で、どこまでが小説を書いている作者というメタ視線なのかがはっきりしない。そのために最後まで息をつかせずに読ませられる。ただのお涙頂戴ものに終わらせない著者の腕を感じる一冊。

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