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『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
村上 春樹
文春文庫、2015/12/4、¥788(有隣堂亀戸)

主人公の多崎つくるは、名古屋の高校で仲良し5人組だったが、大学受験を機に東京に上京し、2年の夏に突然名古屋に残った4人から絶縁を言い渡される。理由も全くわからず自我が崩壊したつくるは、死の淵に追いやられるもなんとか踏みとどまり、鉄道会社の駅を作る仕事に就く。16年後、付き合い始めた沙羅にそのことを打ち明けたつくるは、なぜ絶縁されたか彼らに聞いて解決すべきだと諭される。そしてつくるの巡礼が始まった。

村上春樹の小説は、具体的な説明がなく投げっぱなしのエピソードがよくあるが、本作では、大学で一時期友人となった灰田の父親が、若い頃に出会った緑川という人物についてのエピソードがそれにあたる。死神と契約すると、世の中について全てを見通すことができるが、近日中に死に至る、という話だが、何を言いたいのか全くわからなかった。

話の筋としては、心に傷を抱えた主人公が様々な経験を通じて自分を取り戻す、という村上春樹に共通したよくある話だと思うが、結局最後に結論が沙羅に投げられているところで終わるので、救われるかどうかはわからない。現実問題として、別に女に振られたから死ぬというのはあまりないことだが、村上小説の中では現実として受容できるだろう。

「だから何」という説明を許さないのが村上春樹小説だと思うので、それを受け入れた上で、楽しく読むことができた。

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