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『大世界史 現代を生きぬく最強の教科書』

『大世界史 現代を生きぬく最強の教科書』
池上彰、佐藤優
文春新書、2015/10/20)、¥896(丸善日本橋)

現代の世界で起きている問題を、地域別に歴史から説き起こして解説した本。中東、ISIS、中国、ドイツ、沖縄などについて解説したのち、日本の教育の荒廃について語り、教養の重要性と勉強法についてまとめる。刺激的な本。

●イギリスのMI5の活動を描いたテレビドラマ「スプークス」でも、アメリカの大統領がイギリスにやってくると、アメリカのシークレットサービスが乗り込んできて、警備を巡ってイギリス側と揉めるという話が出てきます。(p.126)

☆見ること。

●今ヨーロッパで何が起きているかを示すものに、ミシェルウエルベックの『服従』というフランスの小説があります。邦訳書(大塚桃訳、河出書房新社)に解説を書いたのですが、最近ヨーロッパ人やイスラエル人と話すとこの本が頻繁に話題になります。

☆フランス大統領選でイスラム同胞団が勝利し、フランスがイスラム化するという話。

▲ドイツがロシアと資源を巡ってどのように付き合うかについてはジョージフリードマンの『新・100年予測』がこの辺りの事情をよく見ている。(p.131)

▲イランの核保有をきっかけに、数年後には核拡散が起きるでしょう。大きいのは、サウジアラビアとパキスタンの秘密協定の存在です。イランが核を持った場合、資金援助をしてパキスタンの核開発を支援していたサウジアラビアはパキスタンから核弾頭を数発受け取ることになっている。(p.184)

☆核拡散は不可避。

●「人権」の反意語は「独裁」だと考えられがちですが、これは間違いです。「人権」の反対は、「独裁」ではなく「神権」なのです。「人権政治」に対する「神権政治」。(佐藤、p.197)

☆イスラム国の原理。

▲早稲田大学で教える先生が、英語で伝えた場合日本語の3割くらい、学生の理解度は2割くらいという。日本語での授業に比べて、6%しか伝わらない講義をして、それをグローバリゼーションと言っている。
 日本語の用語がなかった神学を40年かけて必死の努力をして日本語で授業できるようにしたものを、なぜ英語でやる必要があるのか。(佐藤)
 むやみに英語で授業をしても、自ら英語植民地に退化するようなものです。そもそも大学の授業を母国語で行えることは、世界的に見れば数少ない国にしか許されていない特権です。その日本の強みを自ら進んで失うのは、これほど愚かなことはありません。(池上、p.227)

▲世界史Aの教科書で良いのは、順に、第一学習社、清水書院、山川出版社。(池上、p.237)
 時間がある人なら、リクルートの受験サプリの動画サイトもよくできている。(佐藤、p.239)

●今の日本は、歴史感覚がおかしくなっている。現在と過去を結びつける勘が鈍っているから、「永遠の0」を見て、泣いたりできるのでしょうが、現在と歴史をつなぐ良質の映画やテレビドラマが少なくなっています。(佐藤、p.242)

●[不祥事を起こした会社の記事を示した上で] 「君たちは、こういう会社に入って、この立場になったら、さあどうする」と問いかけると、その途端、皆の顔色が変わります。 歴史に学ぶとは、そういうことです。「歴史を学ぶ」だけでなく、「歴史に学ぶ」のです。(池上、p.247)

●反知性主義とは、客観性、実証性を軽視もしくは無視して、自らが欲するように世界を理解する態度を言う。反知性主義者は知性を憎んでいる。それだから、客観的かつ実証的なデータを示しても、「それがなんだ。僕/私はそう思わない」と言って、自分の殻に閉じこもってしまう。(佐藤、p.249)

●シュライエルマッハーによれば、「諸学問を媒介する学問」としての哲学は、専門的諸学問とともに学ばれて初めて意義を持つ。従って大学の教師は、哲学を純粋思弁としてではなく、個々の専門科目と連関させて教えるよう要求される。(佐藤、p.252)

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