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2015年の10冊

2015年に読んだ107冊の中から選んだ、今年の10冊+α。
今年も3回入院し、免疫抑制剤の副作用による下痢・嘔吐など体調不良が続き、厳しい時期が長かったが、なんとか100冊以上読むことができた。今年はノンフィクションより小説を読みたい気分の年で、伊坂幸太郎、北森鴻、有川 浩などを多く読んだ。特に北森鴻は大変面白く、ほとんどの作品を読破したように思う。

1. 『「日本人と英語」の社会学 −−なぜ英語教育論は誤解だらけなのか』:日本人の英語に対する言説がほとんどすべて根拠のないものであることを統計を用いて証明した本。なんとなく感じていたことを根拠づけてくれたという意味で自分にとって大変有意義だった本。
2. 『帳簿の世界史』:中世ヨーロッパで生まれた帳簿、会計がいかに政治的に用いられ、支配の道具となってきたかを明らかにした本。
3. 『昨夜のカレー、明日のパン』:7年前に夫を亡くしたテツ子が、いかにして立ち直っていくかを温かく描いた本。
4. 『花の下にて春死なむ』:三軒茶屋のビアバー香菜里屋のマスター工藤が、常連の持ち込む謎を解いていく。北森鴻の中でも大変面白く読めたシリーズ。
5. 『和菓子のアン』:デパ地下の和菓子店でアルバイトを始めたアンちゃんが様々な経験を通じて和菓子の奥深さに触れていく。
6. 『オー!ファーザー』:伊坂幸太郎は評価が難しい小説が多かったが、本作は4人の父による息子への愛がよく伝わり、面白く読めた。
7. 『シアター!』:有川浩。潰れかけの劇団に200万の借金を負わせ、一見厳しい条件ながら応援してしまう兄の弟への愛を面白く読んだ。
8. 『オレたちバブル入行組』:ドラマ『半沢直樹』の原作。
9. 『村上春樹 雑文集』:これまでにいろいろなところに書かれたエッセイなどをまとめた本。村上の文鳥のうまさを感じる。
10. 『置かれた場所で咲きなさい』:ベストセラーになった本で、大したことはないだろうと思いながら読んだが、良いことが書かれていた心に残った。
11. 『東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン』:リリーフランキーの自伝。偏見に満ちているなどの評もあるが、リリーの母への愛がよく伝わった。
12. 『舟を編む』:辞書作りに人生をかける男たちの物語。
13. 『椿山課長の七日間』:浅田 次郎。あの世の入り口に立たされた椿山課長が自らの人生を振り返るために現世に7日だけ戻る。
14. 『神様の御用人』:浅葉なつ。フリーター萩原良彦はひょんなことから神様の御用を代行する任務を与えられる。夏目友人帳にそっくりなところが玉に瑕だが、面白く読めた。

1000冊まで72冊。

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『鲁西西和龙珠风波』

『鲁西西和龙珠风波』
郑渊洁
二十一世纪出版社; 第1版 edition (2008/3/1)、 4.80元(kindle)

鲁西西は兄の皮皮鲁と自宅に迷い込んだ龍を助けたお礼に珠をもらう。それを使って水泳の世界記録に迫る記録を出した鲁西西は国家水泳チームに入れられるが、その活躍を見た窃盗団に誘拐される。沈没船のお宝をサアス手伝いをさせられた鲁西西は、龍の王と協力し、窃盗団を懲らしめる。

初めて中国語の小説を読んだ。児童小説とはいえ、一冊通して読めたのはそれなりに自信になった。

10万字3時間。

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『オレたち花のバブル組』

『オレたち花のバブル組』
池井戸 潤
文春文庫、2010/12/10、¥713(BO410)

『オレたちバブル入行組』の続編。東京中央銀行の本店営業第2部次長の半沢直樹は、不良債権寸前の伊勢島ホテルの担当と命じられる。時を同じくして金融庁検査が入り、その標的が伊勢島ホテルであると目された。ホテルの再建と金融庁検査を同時に進行しなければならない難題を半沢はどう乗り切るか。

原作だから当然だが、テレビドラマとほぼ同じ展開。近藤のタミヤ電機からの本店復帰は、ドラマよりも淡々と描かれている気がした。

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『続・100年予測』

『続・100年予測』
ジョージ・フリードマン (著), 櫻井祐子 (翻訳)
ハヤカワ・ノンフィクション文庫、2014/9/25、¥886(amazon)

同じ著者の『100年予測』の続編。前作では今後100年を予測したが、本作は2001現在から10年を予測する。

アメリカは引き続き超大国でいつづけるが、世界は混沌とし、そのコントロールに細心の注意を払う必要が生じる。アメリカはすでに帝国になっており、それを自覚する時期となる。ロシアは地域大国として生き返り、エネルギーヲ必要とするドイツを協商を結ぼうとするがそれを阻止しなければならない。イラクガ崩壊した今イランは中東の大国となるが、それを抑え得るのはトルコだけである。アメリカはイランと協力することで中東のバランスをとる必要がある。日本は中国への対抗から軍事力を強化する。

ISISが勃興する前の本なので、分析が若干古くなっている部分もあるが、アメリカとイランの接近など、現実に沿ったシナリオも予測されており、地政学的な考え方として参考になった。

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『オレたちバブル入行組』

『オレたちバブル入行組』
池井戸 潤
文春文庫、2007/12/6、¥713(BO410)

ドラマ「半沢直樹」の原作小説。

ほぼドラマの展開と同じだが、近藤のエピソードがなかった。最後の浅野支店長に対する半沢の処分は、奥さんに救われた部分があったとはいえ、犯罪行為を見逃しているので、やはり現実にはありえないだろう。

ドラマ同様面白く、一気に読んだ。

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『こうして、思考は現実になる』

『こうして、思考は現実になる』
パム・グラウト (著), 桜田直美 (翻訳)
サンマーク出版、2014/4/21、¥1,836(BO960)

いわゆる「引き寄せの法則」の実践書。思えば叶う、を実践するための方法を具体的に記している。が、当然のことながら本書の通りにやったからといってできるとは限らない。ただ、思ったことが起きなければ「心から願わなければ実現しない」という本書の文句が免罪符となり、反証することができないところがミソ。

自己啓発本として参考になる部分もあるので、その辺りを上手く拾って読むべき本。

●自分なりの世界観にそぐわない情報が入ってくると、自分でも気づかないうちにその情報を変えてしまう。限られた思い込みの中に無理やり押し込んでしまうのだ。(p.114)

●人は自分と同じ周波の振動を引き寄せる。この法則に例外はない。

☆前向きな人は前向きな人を、後ろ向きな人は後ろ向きな人を引き寄せる。

●自分の欲しいものがわかっていれば、それを手に入れることができる(p.144)

●望みが叶えられないのは、一度にたくさんのことを「望んで」いるのが問題なのだ。(p.152)

▲最も重要なことは自信を持つことだ。自分なんてこの世で最もつまらないちっぽけな人間だという思い込みを捨てることだ。自分で自分に励ましの手紙を30日連続で送ったこともある。(p.164)

●病気は運命ではない。自分で選んだ状態だ。(p.208)

●私たちは、「足りない」ことに対する心配や不平に、エネルギーの大部分を使ってしまっている。[略]
 この世界には、すべての人が十分に手に入れられるだけのものがある。宇宙には無限の豊かさがある。この「足りない」という根拠のない恐怖を乗り越えることができれば、物を溜め込むクセも捨てることができる。(p.260)


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『99%の社長が知らない銀行とお金の話』

『99%の社長が知らない銀行とお金の話』
小山 昇
あさ出版、2015/11/17、¥1,728(Amazon)

タイトルの煽りに釣られて購入。「99%の社長が知らない」とあるが、ほぼ常識的な内容で、自分の知識の棚卸には役に立った。

経営計画書は書いておいたほうが良い、ということは再認識した。


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『掟上今日子の挑戦状』

『掟上今日子の挑戦状』
西尾 維新
講談社、2015/8/19、¥1,350(丸善日本橋)

ドラマを見たので買ってみた。

一日で記憶をなくしてしまう忘却探偵掟上今日子が、一日で解決できる程度の事件を解決する、という筋立て。短編3編が収められている。

そもそものキャラクター設定がファンタジーなので、本格推理小説としてでなく、軽い読み物として読むべきもの。本筋に関わらない細かい描写が少し回りくどいが、それなりに楽しく読んだ。

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『さよならのあとで』

『さよならのあとで』
ヘンリー・スコット・ホランド (著), 高橋和枝 (イラスト)
夏葉社、2012/1/27、¥1,404(アマゾン中古)

『あしたから出版社』の著者島田 潤一郎が、この本を作りたいがために出版社を興したという一冊。たった24行の詩が一冊の本に作り上げられ、しかもそれが「本」という物理的な形を持つことで説得力を持つということがわかる本。

本の力を感じる一冊。

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『大世界史 現代を生きぬく最強の教科書』

『大世界史 現代を生きぬく最強の教科書』
池上彰、佐藤優
文春新書、2015/10/20)、¥896(丸善日本橋)

現代の世界で起きている問題を、地域別に歴史から説き起こして解説した本。中東、ISIS、中国、ドイツ、沖縄などについて解説したのち、日本の教育の荒廃について語り、教養の重要性と勉強法についてまとめる。刺激的な本。

●イギリスのMI5の活動を描いたテレビドラマ「スプークス」でも、アメリカの大統領がイギリスにやってくると、アメリカのシークレットサービスが乗り込んできて、警備を巡ってイギリス側と揉めるという話が出てきます。(p.126)

☆見ること。

●今ヨーロッパで何が起きているかを示すものに、ミシェルウエルベックの『服従』というフランスの小説があります。邦訳書(大塚桃訳、河出書房新社)に解説を書いたのですが、最近ヨーロッパ人やイスラエル人と話すとこの本が頻繁に話題になります。

☆フランス大統領選でイスラム同胞団が勝利し、フランスがイスラム化するという話。

▲ドイツがロシアと資源を巡ってどのように付き合うかについてはジョージフリードマンの『新・100年予測』がこの辺りの事情をよく見ている。(p.131)

▲イランの核保有をきっかけに、数年後には核拡散が起きるでしょう。大きいのは、サウジアラビアとパキスタンの秘密協定の存在です。イランが核を持った場合、資金援助をしてパキスタンの核開発を支援していたサウジアラビアはパキスタンから核弾頭を数発受け取ることになっている。(p.184)

☆核拡散は不可避。

●「人権」の反意語は「独裁」だと考えられがちですが、これは間違いです。「人権」の反対は、「独裁」ではなく「神権」なのです。「人権政治」に対する「神権政治」。(佐藤、p.197)

☆イスラム国の原理。

▲早稲田大学で教える先生が、英語で伝えた場合日本語の3割くらい、学生の理解度は2割くらいという。日本語での授業に比べて、6%しか伝わらない講義をして、それをグローバリゼーションと言っている。
 日本語の用語がなかった神学を40年かけて必死の努力をして日本語で授業できるようにしたものを、なぜ英語でやる必要があるのか。(佐藤)
 むやみに英語で授業をしても、自ら英語植民地に退化するようなものです。そもそも大学の授業を母国語で行えることは、世界的に見れば数少ない国にしか許されていない特権です。その日本の強みを自ら進んで失うのは、これほど愚かなことはありません。(池上、p.227)

▲世界史Aの教科書で良いのは、順に、第一学習社、清水書院、山川出版社。(池上、p.237)
 時間がある人なら、リクルートの受験サプリの動画サイトもよくできている。(佐藤、p.239)

●今の日本は、歴史感覚がおかしくなっている。現在と過去を結びつける勘が鈍っているから、「永遠の0」を見て、泣いたりできるのでしょうが、現在と歴史をつなぐ良質の映画やテレビドラマが少なくなっています。(佐藤、p.242)

●[不祥事を起こした会社の記事を示した上で] 「君たちは、こういう会社に入って、この立場になったら、さあどうする」と問いかけると、その途端、皆の顔色が変わります。 歴史に学ぶとは、そういうことです。「歴史を学ぶ」だけでなく、「歴史に学ぶ」のです。(池上、p.247)

●反知性主義とは、客観性、実証性を軽視もしくは無視して、自らが欲するように世界を理解する態度を言う。反知性主義者は知性を憎んでいる。それだから、客観的かつ実証的なデータを示しても、「それがなんだ。僕/私はそう思わない」と言って、自分の殻に閉じこもってしまう。(佐藤、p.249)

●シュライエルマッハーによれば、「諸学問を媒介する学問」としての哲学は、専門的諸学問とともに学ばれて初めて意義を持つ。従って大学の教師は、哲学を純粋思弁としてではなく、個々の専門科目と連関させて教えるよう要求される。(佐藤、p.252)

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『新装版 不祥事』

『新装版 不祥事』
池井戸 潤
講談社文庫、(2011/11/15、¥751(丸善日本橋)

「花咲舞が黙ってない」の原作小説。本店事務部事務管理グループ調査役の相馬健とアシスタントの花咲舞が、支店の営業課の臨店指導に赴き、そこで遭遇する事件を解決する小説。

銀行の派閥あり、コネ入社行員の姿あり、誤払いに見せかけて金を横領しようとする女子行員あり、と色々な事件が発生するが、花咲舞が気持ち良く解決していく。

コネ入社行員の嫌がらせで運転資金が借りられず、商工ローンに手を出して決済をする、という場面は、非常に臨場感があって身につまされた。

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『人生を面白くする 本物の教養』

『人生を面白くする 本物の教養』
出口 治明
幻冬舎新書、2015/9/30、¥864(丸善日本橋)

「教養とは人生における面白いことを増やすためのツール。 であるとともに、グローバル化したビジネス社会を
生き抜くための最強の武器である」を謳い文句に、教養とは何か、どのように身につけるか、について書いた本。出口にしろ佐藤優にしろ、「教養」が最近のキーワードになっているようだ。

●日米の大学生が在学中にどのくらい本を読んでいるかを調べた調査がありました。それによると、日本の大学生が平均約100冊の本を読んでいるのに対して、アメリカの大学生は平均約400冊という結果が出ていました。実に日本の四倍、勉強量に圧倒的な差があります。(p.42)

▲オックスフォード大学のあるカレッジの学長が、オックスフォードの学生には自国の没落をリアルに認識し、いかにそのスピードを緩めるかがいかにチャレンジングな難しい仕事であるかを理解してほしいと言いましたが、驚くと同時に感動を覚えました。オックスフォード大学は恐ろしいほどのリアリズムと深い哲学のもとに、未来のリーダーたちに本当に必要な教育を展開しようとしているのです。(p.48)

☆佐藤と同じことを考えている。

●物事を考えるには、いくつかのコツがあります。その第一は、「タテ」と「ヨコ」で考えるということです。「タテ」は時間軸、歴史軸、「ヨコ」は空間軸、世界軸です。(p.63)

●日本の新聞に加えて英字紙を読めば、「世の中」が世界に広がります。私は前職で海外業務を担当していた時には、FT(フィナンシャルタイムズ)やエコノミストを読んでいました。タイトルを眺めるだけでも、欧米人はどのようなテーマに敏感なのかが、なんとなくわかるようになります。(p.82)

●「門前の小僧、習わぬ経を読む」ということわざがありますが、それは当たっていて、とにかく大量の情報に接すると、おのずとその分野に関して造詣が深くなるものです。好きな分野であれば四の五の言わずに情報収集に努めること、ひたすら量を積み重ねること、それも知の蓄積のコツの一つです。(p.84)

●本を読むスピードを上げる最も効果的な方法は、本をたくさん読むことです。例えば、英語の文章を読むのに、英語に通じている人が読むのとそうでない人が読むのでは、格段にスピードに差が生じます。(p.104)

●グローバル基準で考えれば手捕り年収の半年分ないし1年分は預貯金に置いておくのが普通です。(p.167)

●[中国の大学での] 講義を終えて、大学のゲストハウスに泊めてもらうことになり、そこへ行ったら、女子学生が薄暗い受付に座っていました。彼女はひたすら英語の本を読んでいて、私が近づいても気付かないくらい集中していました。ハングリーの度合いが日本人とはまるで違うのです。このエネルギーが中国の高度成長の下支えになっているのではないでしょうか。(p.212)

●一年は1日24時間×365日で8760時間です。っでは、そのうち仕事をしている時間はどれくらいかというと、残業を入れてもせいぜい2000時間程度です。ということは、私たちが使徒後に費やしている時間は、8760分の2000ですから二割ちょっとにしかなりません。(p.232)

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『シアター!〈2〉』

『シアター!〈2〉』
有川 浩
メディアワークス文庫、2011/1/25、¥659(丸善日本橋)

サラリーマンの兄春川司から300万を借りた弟巧の主宰する小劇団シアターフラッグ主宰は、刻々と迫る2年の期限に向け借金返済に邁進している。そんな中、劇団員の中でオーディションに合格する者、喧嘩する者などが出て、制作の分担に支障が出かねない状況となる。司は成り行きで相談役になるが、自らもその悩みをプロ声優で新入劇団員の羽田千歳に相談する。

第1巻に比べ劇団内部の人間関係に焦点が当てられ、人物像がよりくっきりとしてきた印象。自分の経験だと小劇団では中でくっついたり離れたりしているものという先入観があるが、ここへきてやはりそちらへ行くか、という思いがした。とはいえ、ドロドロになるわけでもなく、借金返済という本筋を外すこともないので、本巻も気持ち良く読み進めることができた。

●「お前らは芝居とかクリエイティブなことにしか興味がないから分からないんだろうけど、金の遣い方にも実は創造力が要るんだよ。金を遣った結果を創造できる奴じゃないと金は正しく遣えない。(司、p.33)


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『シアター!』

『シアター!』
有川 浩
メディアワークス文庫、2009/12/16、¥659(ツタヤ東大島)

売れっ子声優羽田千歳を入団させたことで、劇団員半数が辞めたシアターフラッグ。経理を担当していた人間が手を引いたことで300万の借金が明らかになり、主宰の春川巧はサラリーマンをしている兄の司に泣きつく。司の条件は2年で毛黄団の収益から300万返すこと。返せなければ解散。果たして巧たちは返せるのか。

ストーリー自体はどこにでもありそうなありふれた話なのだが、著者の筆力の賜物か、一気に読めた。特に自分が経理を預かる立場にあるため、司に共感するところも多く、楽しく読んだ。

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『新・オタク経済 3兆円市場の地殻大変動』

『新・オタク経済 3兆円市場の地殻大変動』
原田曜平
朝日新書、2015/9/11、¥842(丸善日本橋)

最近のオタクは、「電車男」で描かれたようなステレオタイプが絶滅危惧種となり、「リア充」を楽しみながらオタク活動も行うハイブリッドになりつつある、という分析をもとに、現代のオタク市場を読み解く。

一部表層的なところもあるが、実際にインタビューや統計などを通じた分析は大変参考になった。

●物を買わないオタクもいる(p.39)

☆ハードディスクレコーダーやインターネットの発達で、DVDなどのパッケージを買わなくても対象に対して没入できる環境が整ったため、オタクが物を買う金額は劇的に減った。一方、オタクの層が広がり、ライト化したことで、総額としてのオタク市場は拡大した。

●2014年に柳楽優弥主演の深夜ドラマとして映像化された『アオイホノオ』は、オタク第一世代に焦点を当てた作品でした。舞台は1980年代初頭。当時人気だったアニメ作品やマンガ作品が登場し、「それまで子供向けだったアニメやマンガが、いかにして大人が知的に愛好する対象となりえたか」が細かく描かれていたのです。本作には、学生時代の庵野秀明さんや若き日の岡田斗司夫さん、のちに『鋼の錬金術師』などを製作するアニメ製作スタジオ「ボンズ」を立ち上げた南雅彦さんらが実名で登場していました。彼らは皆、オタク第一世代なのです。
 オタク第一世代の特徴は、とにかく博識であるということ。そして、ある種の選民意識が高いことだと言われています。(p.73)

☆要チェック。

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『村上春樹 雑文集』

『村上春樹 雑文集』
村上 春樹
新潮文庫、2015/10/28、¥810(有隣堂亀戸)

デビューの頃から書かれてきた様々な文章を集めた、文字通り雑文集。久しぶりに村上春樹を読むと、その独特のリズムに乗せられるように気持ちよく読めて、文章がうまいなあ、と改めて思う。

●僕がサリンガス事件を扱った『アンダーグラウンド』を書いた時にも思い知らされたことだが、世の中のものごとには多くの場合、結論なんてないのだ。特にそれが重要なものごとであればあるほど、その傾向は強くなってくる。(p.47)

▲安西水丸画伯の不朽の名作『平成版普通の人』(南風社、1993/4)。僕はこの本が大好きで、いく先々でいろんな人に推薦している。(p.52)

●1991年から95年にかけて、アメリカに滞在していて、幾つかの大学で講義を持っていたのですが、そのとき週に一回一時間、「オフィス・アワー」というのがありました。「オフィス・アワー」というのはアメリカの大学特有の制度で、週のうちのある決められた時間には、誰でも先生の件キュ室のドアをノックして、生徒と先生という枠を離れて、なんでも自由に話をすることができます。質問したければ質問をしてもいいし、相談したければ相談をしてもいいし、ただ世間話をしても構いません。とてもカジュアルで自由な時間なのです。(pp.89-90)

☆会社でも同じことができると良い。

●オウム真理教に帰依した何人かの人々にインタビューした時、僕は彼ら全員にひとつ共通の質問をした。「あなたは思春期に小説を熱心に読みましたか?」。答えはだいたい決まっていた。ノーだ。彼らのほとんどは小説に対して興味を持たなかったし、違和感さえ抱いているようだった。人によっては哲学や宗教に深い興味を持っており、そのような種類の本を熱心に読んでいた。アニメーションにのめり込んでいるものも多かった。言い換えれば、彼らの心は主に形而上的思考と視覚的虚構との間をいったりきたりしていたということになるかもしれない(形而上的思考の視覚的虚構化、あるいはその逆)。

☆オウム真理教の信者はフィクションと現実の境を見つけることができなかった。それは小説を読んでいなかったことに起因する。麻原彰晃は分かりやすい世界観を提示することで、フィクションに免疫を持たない人間を取り込んだ、と村上は考えている。


●オウム真理教の信者と話し合った後で、僕は考えるようになりました。小説が基本的に求めているのは、人々の魂の、安全な(少なくとも危険ではない)場所への、自然なソフト・ランディングです。(pp.449-450)

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『決断できる人は、うまくいく。』

『決断できる人は、うまくいく。』
中谷 彰宏
学研パブリッシング、2015/6/2、¥1,404(BO1,010)

タイトル通りの本。決断することが一番重要で、迷うことで良いことはあまりない。

▲「判断」と「決断」は全く違います。判断は、○と×から○を選ぶこと。決断とは、△と△から選ぶこと。「デメリットがあるもの」と「デメリットがあるもの」の2つの中からどちらを選ぶかが、決断。(p.25)

●決断は、正確さよりもスピードを優先します。決断が早いと、自信を感じます。どんなに正しい判断をしても、決断が遅い人に、人はついていきません。(p.28)

●決断できない人は、選択肢が無限にあるように感じます。実は、選択肢を2個に絞るのが、決断するコツです。3個になった途端、人間は選択できなくなります。(p.48)

●決断は、習慣になります。とりあえず決断しやすいことを、1個決断すればいいのです。1個決断すると、次々と決断できるようになります。1個保留にすると、次々と保留になります。まず1つ、簡単なことでイエスかノーかの決断をすると、一気に片付くようになります。(pp.76-77)

●大きなことから小さなことまで、決断する回数が増えるにつれて自己肯定感が上がってきます。何回当たったかではなく、何回決断したかです。(p.115)

●どんなに納涼があっても、決断の早い人には勝てません。(p.135)

●「前にうまくいかなかった」は理由にならない。時代が、変わっているから。
 進化の早い時代に、「前にやってうまくいかなかっった」というのはおかしいです。前にうまくいかなかったことの方が、今うまくいく確率が高いのです。(pp.138-139)

●「決断したけど、実行できない」はない。実行できることが、決断だ。(p.153)

●どっちでもいいことを決めることで決断力が付いてくる。普段からどちらでもいい決断を、ちゃんとすることです。(p.157)

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