« (日本人) | トップページ | 『親不孝通りディテクティブ』 »

『深淵のガランス』

『深淵のガランス』
北森 鴻
文春文庫、2009/3/10、¥617(BO360)

銀座の花師・佐月恭壱は絵画修復師でもあり、決まった仲介者(多分冬狐堂)からの仕事しか受けない。本書は三編を納めている。

 深淵のガランス:北条真弓は、祖父長谷川宗司の遺作を管理している。ある絵画の修復を依頼された佐月は、表面の絵の裏に、もう一つの作品が隠されていることに気づく。それは長谷川宗司が留学中とされていた時期に日本で描かれた絵で、表に出すことのできない作品だった。表題作だけあって、謎の建て方も優れていて、引き込まれる。
 血色夢:佐月は、岩手県雫石の旅館の主人多田から、未発見の洞窟絵画の修復を依頼される。謎多き権力者朱大人の企で、冬狐堂も絡んで別の分割絵画の争奪戦に巻き込まれる。事件のプロットがやや複雑ではあるが、整理して読むとよく判る。
 凍月:留学から帰国したばかりの佐月は、父が修復した絵画のクリーニングをする。そこに父が込めた謎が浮かび上がる。若い頃の佐月のある種の初々しさがよく描かれている。

いつもながら、すぐに世界に引き込まれ、最後まで気持ちよく読んだ。

|

« (日本人) | トップページ | 『親不孝通りディテクティブ』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/40886/62166963

この記事へのトラックバック一覧です: 『深淵のガランス』:

« (日本人) | トップページ | 『親不孝通りディテクティブ』 »