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『秘帖・源氏物語 翁‐OKINA』

『秘帖・源氏物語 翁‐OKINA』
夢枕 獏
角川文庫、2011/11/30、¥637(フタバ書店スナモ)

光源氏の愛人夕顔が何者かにとりつかれ急死する。その後懐妊した妻葵の上も何者かに取り憑かれ、体調を崩して臥せっている。光源氏は様々な祈祷師に祓わせるものの手に負えない。最後に外法の陰陽師・蘆屋道満に依頼し、六条御息所の生き霊を祓うも、まだ何かが残っている。さまざまな手を使い、ついに隠れていた翁が姿を現す。しかしそれは光源氏の内心に他ならなかった。

蘆屋道満が出て来たから安倍清明も出てくるかと思ったが、出てこなかった。源氏物語を夢枕 獏風にアレンジした話で、仏教・神道からキリスト教まで幅広く出て来て、面白く読んだ。

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『書店ガール 2 最強のふたり』

『書店ガール 2 最強のふたり』
碧野 圭
PHP文芸文庫、2013/3/19、¥720(フタバ書店スナモ360)

書店ガールシリーズ第二弾。ペガサス書房吉祥寺店の閉店に伴い、大手書店チェーンの吉祥寺店長に転じた理子は、ペガサスから移ってきた亜紀を始め数人の部下と、新興堂書店生え抜きの副店長田代他の新しい部下をまとめ、順調に店を軌道に乗せていた。亜紀の仕掛けた本が本屋大賞を授賞し、亜紀もメディアに取り上げられるようになった矢先、妊娠が発覚する。保守的な夫の伸光との意見の相違から夫婦仲が危うくなるが、伸光が編集するコミック誌に南京大虐殺を巡るトラブルが発生し、責任を取らされて解任される。
一方、理子は副店長の田代の献身的な支えにより次第に心を寄せるが、田代には妻子があり、葛藤を深める。そんな中、吉祥寺近辺の書店でフェアをやることになり、吉祥寺店の入るマルシェの他業種の店舗とも協力して成功させる。
伸光は閑職への異動を機に心を入れかえ、亜紀との仲も修復する。田代は妻子を選び、福岡本店へ帰っていく。

本作は、出版社・流通・書店を巡る問題の根深さが余すところなく描かれ、その川下業界にいる人間にとっては他人事とは思えず、一息に読んだ。著者の作風の手触りはが自分の感覚とは少しずれているようで、今ひとつ没入できない部分があったが、恐らく女性著者で女性特有の心理描写に理解できない部分があったからかもしれない。また、池波正太郎や北森鴻といった、料理描写の上手な著者を比較的読んでいることもあり、碧野の食事場面の描写が淡白すぎて現実味を感じづらいこともあったかもしれない。他の場面についても、もう少し丁寧に書いても良いのではないか、と思うことが時々あった。ただ、あくまで主題は出版業を巡る問題提起であり、取材も行き届いていて内容はよく練られているので、面白くよんだ。

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『ROEって何?」という人のための経営指標の教科書 』

『「ROEって何?」という人のための経営指標の教科書 』
小宮一慶
PHPビジネス新書、2015/6/19、¥940(吉田書店大島)

タイトル通り経営指標について解説した本。タイトルだけ見ると初心者向けに見えるが、内容はかなり高度で、ある程度予備知識がなければ読みこなせないと思う。

自分自身にとっては、今まではっきりしなかった、ROAに営業利益と経常利益のどちらを使うか、ROAと資本コストの比較、キャッシュフローの詳細やキャッシュフローマージンについての考え方がわかり、大変参考になった。

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『珈琲店タレーランの事件簿 4 ブレイクは五種類のフレーバーで』

『珈琲店タレーランの事件簿 4 ブレイクは五種類のフレーバーで』
岡崎 琢磨
宝島社文庫、2015/2/5、¥713(L)

京都の喫茶店タレーランシリーズ第4作。主人公でタレーランのバリスタ美星は本作ではどちらかというと脇に控えてあまり表には出てこない。べつの登場人物に起こる事件を影で解決したりしなかったり。

一つめは、介護学校に通う伊達涼子は教師の佐野と親しくなるが、それが学校にばれて別れることになる。しかし実は涼子は。。。という話。事件という事件はなく、読者にミスリードさせた涼子の年齢が実は違う、というオチ。

二つめはアオヤマがダーツバーで高級なダーツを盗まれ、その謎を解く。美星にアドバイスを求めたのかと思いきや、自分で解決していた、という話。

三つめは、行き詰まった女子美大生のデッサンに描いたはずのない小人が現れる。実はその絵は男友達が描いたものだったが、どうやって小人の絵を出したり消したりしたのか。

あとは、タレーランの看板猫がどのように拾われたかの由来についてのちょっとした話と、美星が悩んでいたときにマスターの亡き妻がレモンを使って慰めた話。

いずれもトリックらしいトリックはなく、美星も主人公らしい活躍はしていない。シリーズ物の作りとしてはどうかと思うが、さらっと読むにはよい。

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『神様の御用人 (4)』

『神様の御用人 (4)』
浅葉 なつ
メディアワークス文庫、2015/6/25、¥637(フタバ書店スナモ)

御用人シリーズ第4作。これまで短編を積み重ねてきたが、本巻では初の長編となっている。本人の知らないうちに御用人見習いから御用人への昇格を掛けたものとなった本巻の御用は、紀国の国造天道根命(あめのみちねのみこと)が持つ感ざしの由来を調べること。

神武東征により降伏をよぎなくされた名草戸畔(なくさとべ)とアヤタヒコの姉妹と、その子孫である大野家の家族が時代を超えて結びつき、家族の絆を描く物語になっている。今までの話に比べると若干重めのストーリーとなっているが、新しい展開に挑戦しているという意味では成功しているのではないか。

良彦を取り巻く常連の狐黄金、大国主命、須勢理毘売(すせりびめ)夫婦、に加え、本巻では大野家の弟達哉もかつての良彦の野球仲間として登場する。そして大主神社の宮司の娘、穂乃香は、良彦を手伝いながら、次第に恋心を抱くようになる。

話が進むごとに著者の筆運びもスムーズになり、物語世界も豊かになってきたように感じる。次作が楽しみなシリーズ。

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『狐闇』

『狐闇』
北森 鴻
講談社文庫、2005/5/13、¥896(BO460)

冬狐堂シリーズの長編。古物商宇佐見陶子は、市である鏡を手にいれる。家に戻ると、なぜか三角縁神獣鏡にすり替えられており、その後殺人容疑をかけられ、古物商の免許を剥奪される。絶望の淵に立たされた陶子は、北森の他シリーズの登場人物である民俗学者蓮丈那智や、同業者の腰名集治などの助けを得て、真相に迫っていく。

陶子の緊迫感が非常によく描かれ、一気に読んだ。

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『緋友禅―旗師・冬狐堂』

『緋友禅―旗師・冬狐堂』
北森 鴻
文春文庫、2006/01、¥617(BO310)

冬狐堂シリーズの短編集。古美術商の宇佐美陶子が巻き込まれる事件を描く。北森は、長編よりも短編の方がキレが良い感じがする。

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『最貧困女子』

『最貧困女子』
鈴木 大介
幻冬舎文庫、2014/9/27、¥842(吉田書店大島)

「職業としてのAV女優」の著者が、様々な取材の過程で出会った、福祉の網からこぼれ落ちてしまい、さらに同じ性風俗の仕事している女性たちから非難されてしまう最貧困女子について、読者に知ってもらう目的で書かれた本。

性風俗をしながらその日暮らしになってしまう女性たちの悲惨さはどこから出てくるのか、そして虐待、知的障害などの彼女たちがいかにしてい転落していくかを取材に基づいてリアルに描かれている。ここまで見捨てられてい待っている女性たちをいかに救えばいいのか、読めば読むほど著者と同様の絶望感を感じる。

良書。

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『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』

『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』
橘 玲

自己啓発で能力は開発できる、という言説は必ずしも正しくない。どれほど努力してもできない人はできない。では、どうすればよいか。資本主義は比較優位の世界であり、絶対的能力はAさんがBさんより勝っていても、Aさんがより得意な分野に特化し、Bさんが得意な分野(ただしAさんよりは劣る)によってAさんとのwinwinの関係を作っていくしかない。したがって、結論としては自分の得意なことを仕事にするしかない。また、ロングテールの時代において、どれほどマイナーな分野もロングテールの構造をしており、自分がショートテールになれるところまで分野をブレークダウンして、そこで生きていこう、という趣旨の本。

「伽藍からバザールへ」というのは、伽藍=会社構造、バザール=ショートテールで参入退出が自由、と置き換えて会社にこだわらず自分の好きな仕事で生きて行く道を見つけようというキャッチフレーズ。

ほとんど救いになっていないような解決法が提示されているが、これこそ表題にある「残酷な世界」での処方箋だ、と言われれば一理あるだろう。

⚫️[無限回繰り返す囚人のジレンマのゲームをコンピュータプログラムに置き換えて競ったゲームにおいて] この競技を制したのは全プログラムのなかでもっとも短い「しっぺ返し戦略」と名付けられた単純な規則だった。しっぺ返し戦略は、次の二つの規則からなっている。
1. 最初は協力する
2. それ以降は、相手が前の回に取った行動を選択する (p.134)

☆実際のビジネスでも同様。

⚫️かつてのお金持ちは、お城のような建物の最上階の奥まった部屋に潜み、超越的な権威で周囲を畏怖させ、組織を睥睨し支配する権力者だった(西武鉄道グループのオーナーだった堤義明みたいに。それが今では、世界中を飛び回り、ひととひと、ビジネスとビジネスを結びつけることで富を生み出している(ソフトバンクの孫正義がその典型だ)。彼らは権力ゲームの勝者ではなく、貨幣空間のトリックスターだ。(p.144)

☆著者の分析では、世界は愛情空間と友人空間からなる政治空間から貨幣によって繋がれる貨幣空間に移行しているという。

⚫️地縁や血縁の強い絆で結ばれた政治空間(安心社会)では、社会的な地位はコネによって決まる。その一方で、ひととひととが弱い絆でつながる貨幣空間にも、紹介という"人脈拡張機能"が備わっている。そして面白いことに、困った時に本当に役に立つのは強い絆の「コネ」ではなく、弱い絆の「紹介」なのだ。(p.152)

⚫️[様々な調査の結果] アメリカの労働者の方が日本のサラリーマンよりもはるかに仕事に充実感を持ち、会社を愛し、貢献したいと思っていたのだ。「日本的経営は社員を幸福にする」という、誰もが信じて疑わない「常識」はでたらめだった。日本人は、むかしから会社が大嫌いだった--。驚天動地とは、まさにこのことだ。(p.241)

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『和菓子のアン』

『和菓子のアン』
坂木 司
光文社文庫、2012/10/11、¥720

ちょっとふくよかな梅本杏子(通称アンちゃん)は、デパ地下の和菓子店「みつ屋」でアルバイトを始める。個性豊かなスタッフに囲まれ、次第に和菓子の奥深さに触れていく姿が描かれる。

とても柔らかい雰囲気の小説で、心が洗われる。

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『写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉』

『写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉』
北森 鴻
新潮社文庫、2008/1/29、¥514(BO310)

異端の民俗学者蓮丈那智シリーズの短編集。民俗学の話と殺人事件が絡み合いながら複雑なミステリーになっている。表題の『写楽・考』では、古美術を巡る殺人で、フェルメールの絵が日本で発見されたのではないか、という話から持ち主が殺害される。カメラオブスキュラといった当時の最先端技術も絡み、複雑な人間関係が描かれる。

北森の他の作品に比べ、蓮丈那智シリーズは非常に複雑でかつ民俗学や古美術などが出てくるため、さらっとは読めないが、それだけに腰を据えて読むには良い作品が多い。

●見える絵が見えなくなるとき、見えない絵が見えてくる。(p.246)

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『ぶぶ漬け伝説の謎―裏(マイナー)京都ミステリー 』

『ぶぶ漬け伝説の謎―裏(マイナー)京都ミステリー 』
北森 鴻
光文社文庫、2009/8/6、¥555(BO300)

支那そばの続編。本巻では前作で登場した怪しげなミステリー作家水森堅と新聞記者折原けいがさらに暴走し、新たな事件を巻き起こす。

ドタバタの事件と有馬次郎の謎解きで、本作も楽しく読めた。

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『支那そば館の謎 裏京都ミステリー』

『支那そば館の謎 裏京都ミステリー』
北森 鴻
光文社文庫、2006/7/12、¥576(BO300)

京都嵐山の奥にある貧乏寺、大悲閣千光寺の寺男有馬次郎。かつては裏の世界で鳴らしていたが、今は表の世界でひそやかに暮らしている。しかし、事件を呼ぶ体質なのか次々に事件が発生し、新聞記者の折原けいにつきまとわれながら事件を解決していく。

北森 鴻は本当に色々趣の違うミステリーを書いていて、飽きずに読むことができる。

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『ビジネスマンのための「発想力」養成講座』

『ビジネスマンのための「発想力」養成講座』
小宮一慶
ディスカバー携書、2015/5/28、¥1,080(有隣堂亀戸)

発見力でインプットしたアイデアをアウトプットするためにどうするか、という視点で発想力を鍛えるための本。

●新しくなにか経験する機会があれば、ちょっとおっくうでもぜひ挑戦していただきたいと思います。それによって、関心の幅が広がり、ものの見方、ひいては発想力に差が生まれます。(p.57)

●一番いいのは、アウトプットの機会を増やすことです。(p.120)

●失敗への恐れよりも、自分にはできる、きっとできる、なにかできる方法があるはずだ、と思うこと。「発想力」はその前向きの気持ちから生まれてきます。(p.124)

●迷ったらやる、これも「発想力」の豊かな人に共通する習慣ですが、その前提として、ふだんから身体を動かす習慣があることにも注目してください。[略] まず、日常生活の中で腰を軽くするよう心がけてみるとよいでしょう。ちょっとしたことでもやってみる、動いてみることです。(p.162)

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『B勘あり!』

『B勘あり!』
飯田 真弓
日本経済新聞出版社、2015/6/4、¥1,620(L)

大阪のある税務署管内で起こる脱税事例を、調査官と税理士の視点から物語仕立てで描いていく。ドラマチックに見せるためにそれぞれの事例が重なり合っているが、少し錯綜してわかりづらいところがあった。また、脱税に主眼を置いた本なので、できれば最終的に修正申告によってどのような解決が図られたか、をもう少し詳しく描いてほしかった。

ただ、なかなか目にすることのない税務の現場を描いた本なので、大変面白く読んだ。

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『思い出のとき修理します3 空からの時報』

『思い出のとき修理します3 空からの時報』
谷瑞恵
集英社文庫、2014/12/21、¥648(L)

恋に破れて昔住んでいた商店街の理容店に越してきた明里は、時計屋の主人秀司と交際を進めている。ある日、骨董店の娘が時計店で店番をしていたことから、明里は秀司との仲を疑い始める。

それぞれに持つ昔の傷を、時計店を中心にして癒していくシリーズの第三作。作品の空気感は変わらず、少し波乱を起こしてみました、という趣向。

特に深い印象を残す小説ではないが、さらっと読める。

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『速さは全てを解決する---「ゼロ秒思考」の仕事術』

『速さは全てを解決する---「ゼロ秒思考」の仕事術』
赤羽 雄二
ダイヤモンド社、2015/1/23、¥1,620(丸善日本橋)

マッキンゼー出身の著者によるスピードという切り口から書かれた仕事の取り組み方の本。言いたいことはタイトルですべて言い尽くされているといってよい。速さこそが重要で、それを実現するためにどのようなノウハウがあるか、を解説している。

マッキンゼー出身の人物による本はいくつか読んでいるが、なぜか皆「意識高い系」の同じような雰囲気を漂わせていて、少し鼻につくところがあるが、言っていることは参考になることも多いので一読の価値はあった。例えば、帯にもある「パソコンの単語登録は200〜300すべき」というのは時間短縮のノウハウとして参考になった。

●Facebookでは、自分も積極的に記事を投稿したり、シェアしたりすることで存在感を高め、情報が集まってくる可能性を上げることを心がける。
 一つ大事な点として、Facebookを「友達とのネットワーク」とは思わない方が良い。もともとはそういう趣旨であったが、少なくとも日本では、もっとビジネスよりの使い方がされている。ビジネス上の知り合い、若干親しみを覚える程度の友人がかなり緩い形で繋がっているコミュニティだ。mixiがだんだんと廃れ、Linkedlinが日本語対応しないうちに、Facebookの立ち位置がそういった形になってしまった。(p.128)

▲Chromeを使え。Chromeの検索設定でページあたり表示件数を100にする。クリックせずに興味ある良い記事に巡り会う可能性が高まる。→その著者の記事を過去にさかのぼって読め。良い記事を書く著者は常に良い記事を書く。(p.134)

▲関心分野の動向、最新状況を把握するために、月一回は展示会に足を運び、説明を受けろ。(p.143)

▲ネットの情報だけでは足りない。自分と同じ年齢、5年上、10年上、5年下でそれぞれ最低2人、何でも相談できる相手を見つけておくと、情報収集力、現場管、判断力が大いに強化され、視点も格段に広がる。(p.145)

▲勉強会、セミナーの講演や発表はなるべく引き受けろ、情報が集まる。そのためにはステップをふむことが大事。その分野でブログを立ち上げ、記事を20〜0程度は書くことが出発点。週1〜2、3ヶ月〜半年。そのくらいの回数ブログを書くと、素人でもそれなりに詳しくなる。FacebookページかFacebookグループを立ち上げて、ブログを書くたびにそことtwitterに流すようにすると、その分野では結構注目される。(p.148)

▲英語の菊力を強化するには、会話量が圧倒的に多いテレビドラマのDVDを繰り返し見るのが良い。たとえばAlly。(p.153)

●人の話を丁寧に聞くだけで、仕事は速く進む。(p.233)

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『香菜里屋を知っていますか』

『香菜里屋を知っていますか』
北森 鴻
講談社文庫、2011/4/15、¥627(BO360)

香菜里屋シリーズ最終作。今までビアバー香菜里屋に登場してきた常連がそれぞれの事情で去る。飯島七緒は結婚で山口へ、東山・石坂の叔父甥は雫石の旅館へ転職。そしてマスター工藤も修行したレストランの令嬢香菜からの頼みを受けて彼女を助けるためにいずこかへ去る。香菜里屋開店の由来等今まで明かされなかった事情が明らかになる。そして最後に北森キャストがそれぞれの立場から北森について語り、シリーズは閉じられる。4巻というシリーズの中で起承転結が比較的はっきり出され、それぞれの短編も面白く、秀逸だった。

本巻後半は、北森の急死により未完となった、厩戸皇子と蘇我蝦夷の争いにたたら製鉄や鬼が島の謎を交えた「双獣記」が収録されていた。これも大変面白く、北森の死が惜しまれる。

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