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『和菓子のアンソロジー 』

『和菓子のアンソロジー 』
坂木 司
光文社文庫、2014/6/12、¥713(BO410)

和菓子をテーマに10人の作家がそれぞれ書いた短編を集めたもの。和菓子そのものをテーマにしたものもあれば、和菓子を人をつなげる鍵にしたものもあり、と多彩な作品を楽しめる。特に、警察官がいきつけの和菓子店で、家族の悩みと姉の妹に対する葛藤を聞かされる話などは、うまいなあ、と思わせられた。

●男に騙されていたと知って妹が悲しむ。それが文子の復讐の筋書きだった。だが予想と反する結果となった。本人だけでなく、夫まで実家に寄生されるかと思ったら、耐えられなくなった。文子は電話で妹に積年の思いを語った。
 そんなこと、とつぜん言われても。だいたい、それってあたしのせい?おじいちゃんとお父さんとお母さんのせいじゃんーー
「そう言い返されるだろうって、思ってました」
 寂しげな声だった。
 文子も判っていたのだ。悪いのは妹ではない。妹を自分と違う育て方をした祖父と両親だ。怒りをぶつけるのなら三人であって、里香ではないと。
「でも里香は何も言わなかった。ごめんねとだけ言って、電話をきりました」(pp.72-73)


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