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2014年の10冊

2014年に読んだ117冊の中から選んだ、今年の10冊+α。
一年で三回入院し、実質二ヶ月ほど読書どころではなかったが、夏以降順調に読み進め、結果的に昨年同様117冊読むことができた。

1. 『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』:日本製紙石巻工場が震災と津波による被害からいかに立ち直ったかを迫真の描写で描くノンフィクション。今年読んだ中で圧倒的な一番の本。
2. 『献身 遺伝病FAP (家族性アミロイドポリニューロパシー)患者と志多田正子たちのたたかい』:遺伝病であるためにその存在すら隠されてきた病気の患者たちといかに向き合ってきたかを描くノンフィクション。
3. 『赤朽葉家の伝説 』:不思議な力を持つ山の人の子である万葉が赤朽葉家を支える様を描く年代記。『100年の孤独』に通じる重厚さを持つ。
4. 『寝たきりだけど社長やってます』:脊髄性筋萎縮症の著者が、同病の有人と一から会社を作る様を描く。大変勇気を与えられた。
5. 『沈みゆく大国アメリカ』:医療すらビジネスにしてしまうアメリカと彼らに狙われる日本の危機を活写。
6. 『悟浄出立』:中国古典に題材を取り、それぞれに登場する脇役の視点から物語を見直す。
7. 『なぜ時代劇は滅びるのか』:黄金時代を経て、絶滅寸前の時代劇に活を入れる力作。
8. 『火星の人』:宇宙人も隕石も飛んでこない、徹頭徹尾科学的描写に徹したSF。
9. 『「本が売れない」というけれど』:本が売れない=新刊が売れない、という視点で鋭く分析する。
10. 『ホテルローヤル』:北海道のラブホテル「ホテルローヤル」という場を巡り、人間が必死に生きる様を描く。「海炭市叙景」に通じる寂寥感を持つ小説。
11. 『メディアミックス化する日本』:カドカワとドワンゴの合併から、二次創作が日本を覆う様を分析する。
12. 『メイン・ディッシュ 』:居候となった料理上手のミケさんが、様々な謎を解いていく描写が面白い。
13. 『難病で寝たきりでも「他力本願」で年間50億円稼ぐ! 』:筋ジストロフィーの著者が同人漫画書店をいかに経営しているか。自分にもまだできることがあるはず、と勉強になった。

今年はノンフィクション、ライトノベル、経営書、自己啓発書などを読み、中でもノンフィクションの力作と、桜庭一樹に出会ったことが収穫。

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『あらゆる領収書を経費で落とす! - 「金持ち社長」に学ぶ禁断の蓄財術 』

『あらゆる領収書を経費で落とす! - 「金持ち社長」に学ぶ禁断の蓄財術 』
大村 大次郎
中公新書ラクレ、2014/12/9、¥799(有隣堂亀戸)

タイトル通り、「あらゆる領収書を経費で落とす」シリーズの本。会社を作ることで交際費等の経費を使えるようになり、節税ができる、という本。サラリーマンにも会社を作れ、などかなり煽っている。

著者は税務署出身だけあって、いかに税金を安くするかという視点だけに立っているが、著者の言う通りにしていると総合的な会社の体力が損なわれ、経営の健全性が危うくなるような気がする。本書の言うことには一理あるが、そのまま鵜呑みにせず、あくまでも経営の基本を分かった上で読むべき本。

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『日本人が一生使える勉強法』

『日本人が一生使える勉強法』
竹田 恒泰
PHP新書、2014/8/18、¥821(L)

お金持ちになることが善という西洋の価値観ではなく、人の役に立つことが幸せだという日本の価値観に基づいて生きる上で、勉強をすることが重要と説く。

成功哲学として、日本的精神を根本に据えること以外は、類書とほぼ同様の内容。大変分かりやすく読みやすかった。本書での一番の驚きは、著者が塾高ESSでディベートをし、KESSでドラマをやっていたということで、ちょうど十年くらい下の後輩に当たることを知ったこと。

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『ビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ~』

『ビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ~』
三上 延
メディアワークス文庫、2014/12/25、¥616(有隣堂亀戸)

太宰の『晩年』を巡り、栞子と大輔の先祖が関係していたことを知る。

シリーズ第6巻は、それまで別々に語られていた先祖の話が意外なところでつながりを持ち、さらにその関係者と、栞子に怪我を負わせた青年も再登場し、非常に複雑な展開になる。しかしそれを最後にすっきりとまとめ、非常に楽しく読んだ。

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『火星の人』

『火星の人』
アンディ・ウィアー (著), 小野田和子 (翻訳)
ハヤカワ文庫、2014/8/22、¥1,296(L)

日経新聞の書評欄で推薦されていた。

第三回有人火星探査に参加していたマークワトニーは、突然の砂嵐に吹き飛ばされ、一人だけ脱出に失敗する。火星に取り残されたワトニーは、植物学者としての知識と、残された機材を駆使して、来るかどうかわからない救援を待つために生存の闘争を始める。

宇宙人の登場や突拍子のないアクシデントは起こらず、徹頭徹尾科学的な想像力に貫かれたSFで、アメリカで相当売れたというだけあって、大変読み応えがあった。


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『珈琲店タレーランの事件簿 3 ~心を乱すブレンドは』

『珈琲店タレーランの事件簿 3 ~心を乱すブレンドは』
岡崎 琢磨
宝島社文庫、2014/3/24、¥702(L)

長編ミステリー風に仕上げた第三作。美星は関西バリスタコンペティション(KBC)の予選を勝ち抜き本戦に進む。しかし、そこで異物混入事件が相次ぎ、美星は優勝をあきらめ犯人探しに専念することになる。

相変わらず文体が独特で、しかも今作はちょっと話を複雑にしているので読み進めるのに時間がかかった。また、トリックがかなりリスキーに感じられ、完成度としては少し甘さが残るように感じた。さらに、最後の謎解きで、赤いものを混入する謎について語られるが、そのものの特性上、時間が経つと変色してしまい、トリックとして成立しないような気がした。

色々甘さの残る展開だが、この著者の特徴だと思えばそれも味だろう。


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『ほんとうの心の力 』

『ほんとうの心の力 』
中村 天風
PHP研究所、2006/05、¥1,080(東京堂神保町)

天風の言葉を短く項目別にまとめたもの。天風哲学のまとまった著作を読んだ後の方がわかりやすいかもしれない。

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『君に成功を贈る』

『君に成功を贈る』
中村 天風
日本経営合理化協会、2001/11/16、¥1,944(amazon)

中村天風の哲学を、その発言からわかりやすく抜粋したもの。

●有意義な幸福な人生に生きるために大切なことを、[略] 大事なことだけ言うよ。
 第一に他人に好かれること。他人に好かれようと思ったら、自分が好き嫌いを言わないこと。それから同時に、どんな場合があっても、思いやりをもって「もしも自分があの人ならば」という真心で親切に応接する。
 それから他人に迷惑を絶対にかけないこと。
 さらに他人から受けた恩義は、どんなささいなことでも重大に考えて、本当に心からの感謝で報いるようにすること。(pp.35-36)

●人生は、何をおいても、体力、胆力、判断力、断行力、精力、能力の六つの力をつくらなければいけないんです。
 利からは学問や経験でできるものではありません。ただ、ひとえに心の態度を積極的にする以外に方法はないんであります。(pp.132-133)

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『伏―贋作・里見八犬伝』

『伏―贋作・里見八犬伝』
桜庭一樹
文春文庫、2012/9/10、¥720(L)

江戸に跋扈する伏と呼ばれる犬人間。その発祥は里見八犬伝に描かれたのとは異なる真の伏姫だった。兄道節に誘われ伏を狩るために田舎から江戸へ出て来た浜路は、伏を狩るうち、その真相を知ることになる。

江戸時代と室町時代を交互に描き、厚みのある物語になっている。

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『成功の実現』

『成功の実現』
中村 天風
日本経営合理化協会出版局、1988/9/9、¥10,584(amazon¥8,950)

力・勇気・信念を基礎に置く天風哲学の本。自己啓発の本だが、今書店に並んでいるような言葉をすでに昭和前半に説いていて、今でも通用するというのが驚き。

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『秋期限定栗きんとん事件 〈下〉』

『秋期限定栗きんとん事件 〈下〉』
米澤 穂信
創元推理文庫、2009/03/13、¥626(借)

瓜野君の放火事件への執着はとどまるところを知らず、新聞部を使っての犯人探しはエスカレートし、警察による補導などの危険を全く無視している。新聞部を守るために元新聞部長で親友の堂島健吾に頼まれた小鳩君は、放火事件の解決に乗り出す。小山内さんの影がちらつく中で、疑いを持ちながらも罠を仕掛ける小鳩君。一度別れたはずの小鳩君と小山内さんはふたたび相見えることになる。

犯人は意外なところに存在し、次の放火場所として新聞に書かれた場所は自己成就予言であり、犯人は瓜野君の予言に従って次の放火場所を決めていたことが明らかになる。瓜野君は完膚なきまでに叩きのめされ、瓜野君は完全に猿回しの猿だったことが明らかになるが、それはすべて小山内さんが仕組んだことだった。結局小市民として生きられないことを悟った小山内さんは、小鳩君と復縁する。

このシリーズを通してみると、二人は、小山内さんが仕掛け、小鳩君が受ける関係だとわかる。結局お似合いなんだから諦めて付き合えばいいのに、と読者をじらすところが青春小説なのだろう。

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『秋期限定栗きんとん事件〈上〉』

『秋期限定栗きんとん事件〈上〉』
米澤 穂信
創元推理文庫、2009/02/07、¥626(借)

夏期限定の最後で別れた小鳩君と小山内さん。二人はそれぞれ同級生の仲丸さん、下級生の瓜野君と付き合い始める。瓜野君は新聞部で最近続く放火事件を追うことで新聞部を有名にしようとしている。上巻は二人が一般人と付き合うことで小市民として立派に生きようとけなげに努力しているところを描く。

放火事件は次第にエスカレートしていくが、犯人は杳として掴めない。焦る瓜野君は色々あって小山内さんに無理にキスしようとするが上手くかわされる。小鳩君は小山内さんが放火事件に関わっていることを疑い、校内情報屋の吉口さんから情報を聞いている時に、仲丸さんが三股をかけていることを耳にする。

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『夏期限定トロピカルパフェ事件』

『夏期限定トロピカルパフェ事件』
米澤 穂信
創元推理文庫、2006/4/11、¥617(借)

夏休み、小鳩君は普通なら会う必要のない小山内さんからスイーツ巡りに誘われる。不思議に思いながら付き合う小鳩君。次第に雲行きが怪しくなり、ある日小山内さんは誘拐されてしまう。小鳩君は必死になって彼女を助けるが、助けた後、その裏に潜む小山内さんの恐ろしい復讐計画に気づいてしまうのだった。

小市民シリーズ第二弾。春期よりスケールが大きくなり、一つ一つ細かい謎解きを交えながら最後に誘拐事件という大きなプロットに収束する。大変面白く読んだ。

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『春期限定いちごタルト事件』

『春期限定いちごタルト事件』
米澤 穂信
創元社文庫、2004/12/18、¥626(借)

本当は狐のように賢い小鳩君と、本当は狼のように猛々しい小山内さんが、高校入学を機に協定を結び、小市民として生きていくことを約束する。しかし周囲の環境は次第に二人の本性を引き出してしまい、小市民として生きていく目標が揺らぎ始める。

ある日小山内さんの自転車が盗まれる。不良グループの一人が犯人とわかり、執拗に復讐を企てる小山内さん。そしてその謎が見えてしまう小鳩君。依存関係ではなく互恵関係の二人、と言いつつ結構いいコンビに仕上がっている。

プロット自体はそれほど深いわけではないが、さらさらと楽しく読めた。

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