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『沈みゆく大国アメリカ』

『沈みゆく大国アメリカ』
堤 未果
集英社新書、2014/11/14、¥778(honto)

オバマケアによって一見国民皆保険が成功したかに見えるアメリカ。現実は数々の抜け道によってかえって国民を苦しめる政策だった。薬価決定権を失っているアメリカで、オバマケアによって保険業界、製薬業界がさらに利益を上げる一方、中流階級は医療破産に追い込まれ、オバマケアを扱う病院はほとんどなく、医者は膨大な事務処理と保険会社との交渉に疲弊し医療崩壊を引き起こしている。

アメリカの保険業界・製薬業界は日本を次のターゲットに定め、安倍自民党による特区制度によって日本にも上陸しようとしている。

著者の特徴である緻密な取材によって、アメリカの医療政策を巡る実情が詳細に語られ、大変説得力がある。ただ、前書でもそうだったが、引用元やインタビュー先の信頼性がはっきりしないものを使っているため、多少割り引いて読む必要がある。また、日本の皆保険制度を守らなければならない、と主張しているが、財政的に逼迫している状況でどのように守っていくべきなのか、現実的な提案がないところも若干説得力を減じている。その点を留意した上で、本書は大変勉強になった。

●人生の終わり方を自分で選ぶ自由を与えるという崇高な目的を掲げ導入された、安楽死を許可する<尊厳死法>は、いつの間にかふくれあがる医療費に歯止めをかける、最大の免罪符になった。(p.31)

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