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『運命を拓く』

『運命を拓く』
中村天風
講談社文庫、1998/6/12、¥637(三省堂神保町)

力、勇気、信念をキーワードに、人生を明るく生きるための処方を説く。自己啓発本の走りのような本だが、明治生まれの著者がこれだけのことを悟っていたことに驚かされる。

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『沈みゆく大国アメリカ』

『沈みゆく大国アメリカ』
堤 未果
集英社新書、2014/11/14、¥778(honto)

オバマケアによって一見国民皆保険が成功したかに見えるアメリカ。現実は数々の抜け道によってかえって国民を苦しめる政策だった。薬価決定権を失っているアメリカで、オバマケアによって保険業界、製薬業界がさらに利益を上げる一方、中流階級は医療破産に追い込まれ、オバマケアを扱う病院はほとんどなく、医者は膨大な事務処理と保険会社との交渉に疲弊し医療崩壊を引き起こしている。

アメリカの保険業界・製薬業界は日本を次のターゲットに定め、安倍自民党による特区制度によって日本にも上陸しようとしている。

著者の特徴である緻密な取材によって、アメリカの医療政策を巡る実情が詳細に語られ、大変説得力がある。ただ、前書でもそうだったが、引用元やインタビュー先の信頼性がはっきりしないものを使っているため、多少割り引いて読む必要がある。また、日本の皆保険制度を守らなければならない、と主張しているが、財政的に逼迫している状況でどのように守っていくべきなのか、現実的な提案がないところも若干説得力を減じている。その点を留意した上で、本書は大変勉強になった。

●人生の終わり方を自分で選ぶ自由を与えるという崇高な目的を掲げ導入された、安楽死を許可する<尊厳死法>は、いつの間にかふくれあがる医療費に歯止めをかける、最大の免罪符になった。(p.31)

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『トップの決断力―私たちはこうして危機を乗り越えた』

『トップの決断力―私たちはこうして危機を乗り越えた』
週刊ダイヤモンド編集部
ダイヤモンド社、2008/4/4、¥1,296(L)

すでに引退した上場企業のトップが、自らが率いた時代に直面した問題にどのように立ち向かったかを自叙伝的に述べた本。

すでに功成り名を遂げた人たちの話なので、どうしても多少自慢が入るのはやむを得ないが、それぞれ勉強になるところがあった。

●どんな事業であれ、利益を出している売上のみが本来の売上であり、赤字は悪なのだ。(東洋紡会長 津村準ニ、p.157)


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『考古学とポピュラー・カルチャー』

『考古学とポピュラー・カルチャー』
櫻井 準也
同成社、2014/9/30、¥1,944(L)

図書館の新刊棚に陳列されていたので借りた。考古学が映画を始めとするポップカルチャーにどのように扱われてきたかを年代とともにその移り変わりを解説する。

当初大学教授風に扱われていた考古学者が、インディジョーンズの登場によりサファリルックとなり、ととろの父親によって優しい父親像を生むことになる。さらに2000年代に入ってからはドラマ・アニメなどでも広く扱われるようになり、かなり広い範囲で見ることができるようになったが、必ずしも現実の考古学者の姿とは一致しない。

大学の授業用に書かれた教科書のようで、非常に教科書的で読みづらかったが、内容は興味深く読むことができた。ただ、なぜそれぞれの時代にそれぞれの考古学者像が現れたのか、もう少しカルチュラルスタディーの面から分析があると思っていたが、単に時代に沿って現れた映画やドラマ、アニメ等の羅列になっていたのが少し残念。


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『青年のための読書クラブ』

『青年のための読書クラブ』
桜庭 一樹
新潮文庫、2011/6/26、¥473(L)

東京山の手の広々とした敷地にある聖マリアナ学園は、伝統ある女学校である。そこに通う清楚な女学生から漏れた、異形の学生たちが集う魔窟、それが読書クラブであった。読書クラブは、1919年に聖マリアナが創立してから男女共学となる2020年までの100年間に、学園正史に残されない黒史を書き留めてきた。その事件の数々を描いた物語。

100年という単位といい、異なる世代が次々と物語を生んでいくところといい、『百年の孤独』を彷彿とさせる。女学園という閉ざされた世界ならではの物語は、読者を飽きさせない。大変面白く、機会があれば再読したい一冊。

●凛子は十五夜の感想を聞くと、瞬く間に論理の空中楼閣を建設し言葉の火矢や砲弾を打ち込んでは、十五夜の単純な純粋さを糾弾した。(p.150)

☆論理構築を空中楼閣という表現が面白い。

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『老荘思想の心理学』

『老荘思想の心理学』
叢 小榕
新潮新書、2013/2/20、¥734(東京堂神保町)

老荘思想を、心理学という補助線を引くことでわかりやすく解説した本。上善は水のごとし、杞憂、足るを知る、主僕の夢(物極まれば反る)など、よく聞く成語が非常にわかりやすく書かれており、腑に落ちる。

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『「本が売れない」というけれど』

『「本が売れない」というけれど』
永江 朗
ポプラ新書、2014/11/4、¥842(東京堂神保町)

本が売れていない、というのは新刊が売れていないといっていることで、新刊・中古・図書館等を合計すると、読書自体は減っていない。街の本屋や中堅書店は、コンビニ・郊外書店・アマゾン等により次第に追いつめられ、今後は書籍だけでなく雑貨・カフェなどの併設によって生き残りを図る必要がある。

現在の出版業を巡る状況が的確に描かれていて、勉強になった一冊。

●[活気がある本屋の特徴の] 三つめは客層についての思い切りである。菊地 [敬一ヴィレッジヴァンガード創業者] の言葉でぼくが好きなのは「誰からも愛されたいと願う者は、誰にも愛されない」というもの。書店を取材していて「どんな書店を目指していますか」と質問すると、「誰からも愛される書店を目指します」と返ってくることが多い。しかし菊地は、だからだめなのだという。誰からも愛されるように八方美人で全方位的に品揃えをすると、結局はどこを取っても中途半端でつまらない店になってしまうという。(p.200)

☆書店だけに限らず全ての業種に応用できる。

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『メディアミックス化する日本』

『メディアミックス化する日本』
大塚英志
イースト新書、2014/10/22、¥980(三省堂神保町)

自身の物語消費論の応用として、現在進行するメディアミックス現象を読み解く。角川春樹と歴彦のメディア感の違いを、作者の存在を前提とする近代と作者を不要とするポストモダンの対比を通じて明らかにし、
角川とドワンゴの合併によるメディアミックス化が、消費者を作者として機能させると説く。そして、角川の戦略が、同人誌等にみられる共有文化としてあるべき二次創作の世界を、メディアミックスによって捕らえマネタイズしていくことにあり、モラルなきインフラとして立ち現れるメディアミックスに対する危機感をあらわにする。

大変面白く示唆に富む本。

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『誰でもできるけれど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則』

『誰でもできるけれど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則』
ジム・ドノヴァン
ディスカヴァー・トゥエンティワン、2000/8/31、¥1,404(L)

題名通り、類書でもよく出てくる成功の法則、ゴールの設定・ポジティブに・行動する・恐れないなどが書かれているが、実行することが肝心だ、という本。どこかで推薦されていたので読んでみた。

わかりやすく書かれていて、要は実行するのが一番難しい、ということがわかった。

●この本からたったひとつのことだけ学びたいというのなら、「ゴール設定」にしてほしい。ゴールを書き、それを達成するために必要な行動をとることは、最も強力な方法だ。どうしてそうなるのかはわからないが、ゴールは確かに実現する。
  *成功への提案38 ゴールを決めるだけで、成功は確実だ。ゴールを決めよう。(p.103)

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『老後に破産する人、しない人』

『老後に破産する人、しない人』
中村 宏
KADOKAWA/中経出版、2014/6/20、¥1,512(L)

老後に最低限3000万の貯金が必要、住宅ローンは極力繰り上げ返済、定期生命保険(死亡保険)は子供が独立するまで、など老後が迫ってきている身には非常に説得力のある本。早く備えなければ、と危機感を覚えた。

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『寝たきりだけど社長やってます』

『寝たきりだけど社長やってます』
佐藤 仙務
彩図社、2014/6/16、¥637(amzon)

脊髄性筋萎縮症という筋肉が動かなくなる病気の著者は、同じ病気を持つ友人と、寝たきりでありながらネットを駆使して名詞制作やホームページ制作を請け負う会社を経営する。普通であれば福祉に完全に世話になり自立が難しい状態でありながら、いかに事業を立ち上げ、軌道に乗せてきたか。

自分の身を顧みて、なんと自分が恵まれた状態でいられることかを反省させられた。良書。

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『Nのために 』

『Nのために 』
湊 かなえ
双葉文庫、2014/8/23、¥680(借)

高層マンションでセレブ夫婦が殺される。現場にいあわせたのは20代の4人の男女。それぞれの証言によって当初考えられていたのとは違う真相が浮き上がってくる。

会話形式なのだが、相手がだれか判らない状態で話しているので、非常にわかりづらい。最初の章では多分警察での証言という想定で、その後それぞれの登場人物が自分の背景とともに事件に到る内面を語っていく。そして、さらに後の章で一人称で登場人物に語らせる形式に変わる。

本作はプロットがかなり甘くなっている。マンションの外側にチェーンをかけたのが誰か、室内で誰が誰を殺したのか、凶器は何か、すべて登場人物の語りによって明らかにされるが、普通に考えれば警察の鑑識によって最初の段階で全て明らかになっているはずで、当然その段階で不自然な点が出てくるから、彼らの目論見は本作の展開通りににはならない。タイトルにあるNについても、Nであることに意味があるというわけではなく、別にNでなくてもよかったんじゃないか、という程度の意味しかない。

また、色々大変な恋愛物語のように書いているが、結局ナルシストの作家志望の男が勝手に横恋慕して自爆した、という話になってしまい、あまり感動はできなかった。


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『往復書簡』

『往復書簡』
湊 かなえ
幻冬舎文庫、2012/8/2、¥648(借)

往復書簡の形式で、四編の短編の連作。四編を通すと海外青年協力隊を軸に一つの話にまとまっているような感じ。

海外にいてなかなか捕まらない放送部で一緒だった5人目の同級生。教師だった恩師のために教え子を訪ねるがなかなか捕まらない6人目の教え子。ある事件がきっかけで付き合っていながらなかなか結婚に踏み切れないカップル。そして海外青年協力隊の同僚からの手紙。それぞれ秘密を抱えながらの往復書簡。

ただ、なかなか読みづらくて自分にはすっと入ってこなかった。どうも湊かなえの「当事者に語らせる」スタイルに乗れないのかもしれない。


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『親不孝通りラプソディー』

『親不孝通りラプソディー』
北森 鴻
講談社文庫、2012/1/17、¥762(BO108)

博多で屋台の主人をするキュータ。ふとしたことで20年前の事件を思い出す。1985年、17歳。不良でならしたキュータは、美人局にあったことで信金の裏金を奪うことになる。うまくいくはずだったが、裏社会もからんでどうにもならなくなる。不良仲間のテッキを巻き込んで、北朝鮮の工作員まで登場する大騒動になる。

メインディッシュとはまた違った筆致で描かれる青春のどたばた。息もつかせぬ展開で次に何が起こるのかまったく想像できない。展開がむちゃくちゃな気もしたが、勢いで一気に読ませる。大変面白く読んだ。

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