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『妖怪アパートの幽雅な日常 10』

『妖怪アパートの幽雅な日常 10』
香月 日輪
講談社文庫、2014/4/15、¥572(借)

妖怪アパートシリーズ最終巻。稲葉夕士の親友長谷の祖父恭造の死と同時に姉が原因不明の難病になる。病気の原因が恭造の念にあるとわかった夕士は長谷とともに恭造に立ち向かう。

夕士が世界旅行に出かけたり、教師千晶が歌手になったり、卒業10年後の様子が描かれるが、非現実感全開の香月ワールドで、大団円として面白く読んだ。

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『妖怪アパートの幽雅な日常 9』

『妖怪アパートの幽雅な日常 9』
香月 日輪
講談社文庫、2013/11/15、¥486(借)

高校三年の秋、稲葉夕士の通う条東商業高校は文化祭の季節を迎える。昨年はC組担任教師千晶がプロバンドを率いて歌を歌ったが、夏休みのアンティーク展強盗事件で負傷したため、今年は同級生田代他の発案で
C組はウェイター喫茶をやることになる。白ランを着せられた千晶に、学校の女子だけではなく、他校からも女性が押し寄せ、大盛況となる。

一方、文化祭の準備期間から同級生富樫が裏サイトに同級生の悪口を書き始める。進路に悩む富樫のために、夕士は千晶に、難病を患う同級生をなくした自分の過去を語るよう頼む。

難病の同級生は、臓器移植をしたが上手く行かず、再移植のためアメリカへ渡るが、間に合わず亡くなっていた。その同級生が表面は明るく、内面での苦悩をノートに書き残していたというのは、出来過ぎな話ではあるが同じ境遇なので気持ちがよくわかった。

本巻は、文化祭にスポットライトを当てているが、本シリーズの他巻同様あまり内容はない。ただ、勢いがあるので一気に楽しく読めた。

●これだけは間違えないでくれよ。あいつは、本当に前向きな奴だったんだ。スポーツをしたい。医者になりたいというのも、本当に夢見ていたことだった。ただその一方で、もう死にたいとも思っていた。どっちもあいつの正直な心だったんだ。どっちも本物なんだ。(千晶、p.115)

●目一杯今を生きている人間は美しい。(妖怪佐藤、p.170)

●つらいことや苦しいことを乗り越えるのは大変だ。自暴自棄になったほうが、ずっと楽チン。でも本人は、苦しい苦しいって言うんだよネー。楽なほうを選んだくせにさ。そういう人って、お前らに何がわかるんだって必ず言うけど、あんただって、苦難を乗り越えた人の苦労を素人もしないじゃんって言いたいよネ。(詩人、p.182)

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『妖怪アパートの幽雅な日常 8』

『妖怪アパートの幽雅な日常 8』
香月 日輪
講談社文庫、2012/12/14、¥497(借)

高校三年の夏休み、稲葉夕士は親友長谷にもらった優待券でアンティーク展に出かける。途中で偶然出会った担任教師千晶、同級生女子田代他三人組と出かけると、そこには教師青木のグループに属する同級生二人も来ていた。すると、展示会場が突然閉鎖され、アンティーク窃盗団の人質にされてしまう。

本巻で、夕士は千晶に自分の秘密を明かすことになるが、その過程で千晶の過去もかなり明かされる。また、今まで表に出てこなかった千晶のいとこや親友も登場し、ますます本シリーズの中で千晶が重要な位置を占めることになる。

●自分の悲運や不幸を嘆くばっかりの者のところへは、幸福なんて絶対にやってこない。それははぜか?本人が"不幸のフィルター"でまわりをみているからサ。(詩人、p.59)

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『江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統』

『江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統』
原田 実
星海社新書、2014/8/26、¥886(L)

最近様々なところで聞くようになり、いかにも道徳のお手本のように喧伝されている江戸しぐさ。そこはかとない怪しさを感じていたが、本書によってそのデタラメぶりが明らかになる。そもそも1980年代に一人の老人の愚痴から始まった江戸しぐさ。こうだったらいいな、をそのまま歴史として作り替えていくもう一人の人物。適当にでっちあげた偽歴史がいつのまにか道徳の教科書にまで取り上げられるようになる過程は、驚きに満ちている。

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『あるようなないような』

『あるようなないような』
川上 弘美
中公文庫、2002/10、¥637(BO108)

川上弘美のエッセイ集。季節の移り変わりや本のことなど。川上が内田百閒に私淑していることは知られているが、百閒についても多く書かれている。

十年以上前の作で、離婚前ではあるが、すでに俳句の会での人間関係を思わせる記述があり、エッセイ集を読むのもよしあしだな、と思った。

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『妖怪アパートの幽雅な日常7』

『妖怪アパートの幽雅な日常7』
香月 日輪
講談社文庫、2012/2/15、¥464(借)

条東商業高校学年末の最後のイベント、三年生を追い出す予餞会の準備が始まった。稲葉の同級生田代らが仕切る中、追い出される三年生の神谷生徒会長は、千晶の出演を要請する。千晶はプロ並みのバンドを率い、皆を驚かす。

いよいよ卒業に向け話が動き出す。稲葉は妖怪アパートや千晶など大人との交流を通じ、人生の意味を学ぶ。最後に大学進学を志す。

千晶がプロ並みの歌を歌うことはすでに既巻で明かされているが、教師になるまえ何をしていたかが本巻で明かされる。著者の筆も乗ってきて、一息に読めた。


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『妖怪アパートの幽雅な日常 6』

『妖怪アパートの幽雅な日常 6』
香月日輪
講談社、2011/7/15、¥529(借)

高校二年の冬、修学旅行でスキーに出かけた稲葉夕士は、滞在するホテルで異様な気配を感じる。部屋の暖房が効かない、女子学生の具合が悪くなる、生活指導の教師千晶が倒れる。異変を感じる稲葉は、魔道士の師匠、秋音に助言を仰ぎ、事態に立ち向かう。

高校生の修学旅行の楽しさと、幽霊の怖さ悲しさが絶妙に混ざり合い、息をつかせぬ巻になっている。千晶がいつのまにか準主役のような扱いになり、稲葉との関係が深まっていくところは、上手いなと思わせる。大変面白く読んだ。

●君の人生は長く、世界は果てしなく広い。肩の力を抜いていこう。(龍、p.33)

☆本シリーズは高校生中心の若者向けだと思うが、このような警句がちりばめられ、大人でも面白く読める工夫がされている。この言葉は、本シリーズの全ての巻に出てくる、本シリーズを貫くテーマの一つ。

●人は、強い力に惹かれるからね。それがなんなのかわからなくても、確かな力がそこにあるというだけで、人は惹き付けられるんだ。(詩人、p.38)

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『妖怪アパートの幽雅な日常 5』

『妖怪アパートの幽雅な日常 5』
香月 日輪
講談社文庫、2011/1/14、¥572(借)

高校二年の夏休み明け二学期。魔道士レベルアップ修行にも慣れてきた稲葉夕士の学校に、新しい教師が二人やってくる。一人はざっくばらんな男性教師千晶、もう一人は思い込みの激しい女性教師青木。英会話クラブには協調性のない一年生山本が入部し、問題を起こす。

本巻も勢いを保ったまま一気に読ませる。


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『妖怪アパートの幽雅な日常 4』

『妖怪アパートの幽雅な日常 4』
香月 日輪
講談社文庫、2010/6/15、¥497(借)

魔道士のレベルアップ修行に励む稲葉夕士。夏休みのバイト先では、今時の感情が薄い大学生2人とコミュニケーションをとるのに苦労する。一方、自殺未遂の女子小学生を助け、大人への成長を手助けする。

本巻は、コミュニケーションの重要性に焦点を当てたエピソードでまとめられている。勢いだけで読ませるのはいつも通りで、面白く読んだ。

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『妖怪アパートの幽雅な日常 3 』

『妖怪アパートの幽雅な日常 3 』
香月 日輪
講談社文庫、2009/12/15、¥443(借)

アパートに戻った稲葉夕士は、魔道士訓練を続けながら平穏な日常生活を送っている。しかし、転勤してきた英語教師が通常ではない雰囲気を持っていて、英会話クラブで一緒の田代に危険が迫る。ついに夕士の魔道書が火を吹くのか?

という話。内容は相変わらず薄いのだが、勢いだけで読めてしまうのが面白いところ。夕士はなんだかんだいいながら、少しずつ成長しているようで、そこを楽しむ小説なのだろうと思う。


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『白ゆき姫殺人事件』

『白ゆき姫殺人事件』
湊 かなえ
集英社文庫、2014/2/20、¥648(借)

化粧品会社の美人OLが殺害される。フリーライターの赤星は同僚の城野美姫を疑い、周囲に話を聞く。ネット上やゴシップ誌で過熱する噂。しかし犯人は意外な人物だった。周りの噂がいかにあてにならないか、立場によっていかに話が食い違うか、その恐ろしさを描いた小説。

twitterらしい画面や、雑誌の記事を作中に掲載する等、意欲的な挑戦をしているのはわかるが、犯人自体は最後に警察によって簡単に見つかるというのは推理小説としては少し安直かも。ただ、本作の主眼は推理自体よりも周囲の人がいかにいい加減なことをいい、それが一人歩きして真相をゆがめていくことの恐ろしさを描くことにあったと思うので、そういう意味では成功したと言えるのではないか。

面白く読んだ。

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『妖怪アパートの幽雅な日常 2 』

『妖怪アパートの幽雅な日常 2 』
香月 日輪
講談社文庫、2009/3/13、¥464(借)

普通の生活では物寂しくなった夕士は、妖怪アパートに舞い戻る。なぜか魔道書の使い手として見込まれた夕士は、秋音からトレーニングを受けることになる。

1とは趣が変わり、魔法の世界になっている。内容が薄いが、勢いで読ませる。

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『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題 』

『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題 』
ジェーン・スー
幻冬舎、2014/7/24、¥1,404(honto)

四十路を迎えた著者が、独身女性の怨念をこれでもかとばかりに吐き出したエッセイ。女性の複雑な心中をかいま見ることができて面白く読んだ。

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『GOSICK II ゴシック・ その罪は名もなき』

『GOSICK II ゴシック・ その罪は名もなき』
桜庭一樹
角川文庫、2009/11/25、¥679(L)

灰色狼の末裔とされたヴィクトリカは、久城とともに中世の趣を残した村に向かい、ヴィクトリカの母を巡る謎を解く。

推理小説としては少し浅さが見られるが、勢いで最後まで読める。

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『赤朽葉家の伝説 』

『赤朽葉家の伝説 』
桜庭一樹
創元推理文庫、2010/9/18、¥864(BO400)

山の人たちに置き去りにされた万葉は、赤朽葉の製鉄所に勤める若夫婦に育てられる。赤朽葉の大奥様タツに見初められて若旦那の嫁になった万葉は、千里眼奥様として赤朽葉家を支える。

タツ、万葉、毛鞠、瞳子と、赤朽葉を支える女性の年代記。少しマジックリアリズムのような雰囲気で、『百年の孤独』に似ていると思ったら、著者もそれを参考にしたことがあとがきに書かれていた。大変面白く読んだ。

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『妖怪アパートの幽雅な日常 1』

『妖怪アパートの幽雅な日常 1』
香月 日輪
講談社文庫、2008/10/15、¥529(借)

中学で両親を失った俺、稲葉夕士は、高校入学と同時に入る予定だった寮が火事になったため、急遽アパートを探す。ようやく探したアパートは妖怪アパートと呼ばれ、数人の人間のほかは皆妖怪が住人だった。

妖怪との生活を通して成長していく主人公の物語。ライトノベル。笑いあり、涙ありで面白く読めた。

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『難病で寝たきりでも「他力本願」で年間50億円稼ぐ! 』

『難病で寝たきりでも「他力本願」で年間50億円稼ぐ! 』
大塚健
青志社、2012/11/9、¥1,404(L)

筋ジストロフィーの著者が、同人誌古本書店を開業し、50億のチェーンK-Booksを築くまでの自伝。身体が不自由ながら、アイデアと熱意と周囲の協力でここまでできる、ということが書かれていて、胸が熱くなる。

●僕は、人間には3種類あると思っている
 1つ目が、実行して、成功する人。世間的には「勝ち組」と呼ばれている。
 2つ目が、実行して、失敗する人。いわゆる「負け組」だ。
 3つ目が、いろいろ言うが、何も実行に移さない人。僕は、こんな人たちを「負け犬」と定義している。

☆勝ち組と負け組はいつでも入れ替わるし、入れ替われる。負け犬はずっと負け犬。負け犬にはなるな。

●「人生の岐路に立った時、立ちすくみ、チャンスに目をそむけてはいけない。運が目の前に来たときに何も行動に移さないと、運は必ず逃げていく」(p.41)

●「自分の仕事の一番の基本に、絶対の自信を持つ」(p.64)

●ライバルに勝つには、「プロ意識」を高めるしかない(p.100)

●決断のスピードはお金に直結している。契約等も含め、スピードはすべての分野に必要で、「待たずにやる」のがいい結果につながるのだ。(p.102)

☆即断して必ずいい結果になるとは限らないが、迷ってもいい結果は出ない。

●何千万円つぎこんで開店させても、負け戦なら、すぐに撤退する(p.102)

●[僕は] 税金を払いたいと思っていた。[略] それは、僕が障害者だからである。[略]
 [社会のお荷物と思われることに対して] 「年金で生活を支えてくれていた社会への恩返しとして、誰よりも多く税金を払ってやる。いや、払いたい!」と思ったのだ。
 お金は、障害者である僕にとって、社会に頼らず自力で生きていくためのツールだ。懸命に働き稼ぎ、懸命に税金を納める。この思いが、僕のビジネスを支えるひとつの柱になっている。(pp.110-111)

●「ふたつを中途半端にやるよりは、将来性のある新刊コミックスに力を入れるべきだ」
そう考え、男性向け委託同人誌から撤退することにした。
 中途半端をやめ、一つのことを徹底的に伸ばすことこそが、成功の鍵なのだ。(p.121)

●時間を拘束されたから給料がもらえると思うな
 僕は、「自分の給料分くらいは稼げ」と、社員に口をすっぱくして言う。
 会社に利益をもたらし、もたらした利益のうちの一部が給料になるのだから、それくらいの意識を持って働くべきだろう。(p.138)

●運はどんな人にもある。人によっては、運の量は多少違うかもしれないが、ただ、運のない人は絶対にいないはずだ。
 要は、目の前にきたその運をどう掴まえるかだ。逃げないように、その尻尾をしっかり掴まえることが大事なのだ。僕は、それを掴まえるのが上手かったのだと思う。その運を掴むのに必要なものはなんだろうか。
 それは、絶対に行動する力だと思う。挑戦していく力だ。
 そしていつも、前向きにあきらめない心だ。
 プライドを持って生きていく強さも必要だ。
 自分を信じ、自信を持って歩いていくことだ。自信のないところに、成功はついてはこない。(pp.180-181)

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『ユニ・チャーム 共振の経営 「経営力×現場力」で世界を目指す』

『ユニ・チャーム 共振の経営 「経営力×現場力」で世界を目指す』
高原 豪久
日本経済新聞出版社、2014/6/24、¥1,728(有隣堂亀戸)

ユニチャーム社長による経営哲学の本。

●に事情法は、「誰もが入手可能」という利便性があるが故に、その情報から優位性を生み出すことは非常に難しいと思うのです。[略] とはいえ、よくよく考えると情報格差がなくなっているのは二次情報だけであり、一時情報から得られる人それぞれの気づきが色あせることはないのです。つまり、「どれだけ現場に足を運び、ありのままの現実を直視し、耳の痛い話を聞いたか」によって差が生まれることに変わりはありません。(p.25)

●中長期の経営計画を策定する過程では、10年先を見て3年後を考える、つまり、いま取り組むべきことだけでなく将来取り組むべきことも洞察して最善の一手を打つことを念頭においていますが、このとき最も注意していることは「にせものの現場主義」に惑わされないようにすることです。(p.38)

☆現場に行くこと自体に目的や意義を見いだすのではなく、経営上の判断をおこなう上でのヒントや答えを得るための情報を探しに現場に行くことが重要。

●壁を越える5つのポイント
1) 形や型のあるものは理解されやすい。
2) 「不」を解消する付加価値は受け入れられやすい。
3) ホーム(日本)での勝ちパターンを移植するほうが成功確率は高い。
4) 社歴20年以上のエース人材を10年スパンで派遣する。
5) 閾値を超える(=成功する)まで諦めない。(pp.57-58)

●成功に必要な3つの前提条件
 「良い商品」「強い営業」「巧みなマーケティング」の3つにおいてベストをそろえること(p.65)

●そもそも、戦略とは「誰に対してどんな会社になりたいか」を決めるだけではなく、その顧客に対して「価値を継続的に感じてもらえる仕組み」をつくり、それを実際に「実行できる能力を組織全体で身につける」ための方法を示すことだと考えています。(p.71)

▲リーダーに必要なのは「熱い怒りのようなエネルギー」(p.191)

●√N回の原則
 N人に一度にコミュニケーションする場合には、√N回のコミュニケーションをしないと、1人ずつコミュニケーションしたときと同じ効果は生まれない。つまり100人を一堂に集めてコミュニケーションする場合には同じことを10回繰り返し言って、やっと一人一人と1回ずつコミュニケーションするのと同じ効果を期待できる。(p.199)

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『孔雀狂想曲』

『孔雀狂想曲』
北森 鴻
集英社文庫、2005/1/25、¥555(借)

下北沢の古物商雅蘭堂の主人、越名集治に起こる謎・事件の数々。ジッポの万引き未遂からアルバイト店員になった安積が脇を支えながら、短編連作の形で話は進む。骨董の世界の闇を描きながら、必ずしも暗いだけの話にはなっていない。それぞれの蘊蓄も面白く、楽しく読めた。

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『GOSICK ―ゴシック―』

『GOSICK ―ゴシック―』
桜庭 一樹
角川文庫、2009/9/25、¥596(BO108)

第一次大戦終了後あたりのヨーロッパの小国ソヴュール。極東の島国から留学した久城一弥は、聖マルグリット学園の図書館塔で出会った奇妙な美少女・ヴィクトリカと、ひょんな巡り合わせで豪華客船に乗り込む。しかしそこに招待された客たちは次々に殺されてしまう。

一時だいぶ流行った時期があって、その時に読みそびれたので手に取ってみた。それなりにさらっと読める推理小説風ライトノベル。

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『メイン・ディッシュ 』

『メイン・ディッシュ 』
北森 鴻
集英社文庫、2002/3/25、¥679(借)

小劇団「紅神楽」を主宰する女優・紅林ユリエの家に正体不明の男ミケさんが転がり込み、恋人兼料理人のような立場で、劇団に起こる問題の数々を解決して行く。次第にミケさんの正体が明らかになると共に、姿を消すミケさん。そして意外な解決へ。

ミケさんの謎を解いているようで、その実劇団付作者小杉の推理だった、というのは意外な展開。しかもそれが当たっているようで微妙に違う、というところがよけい読者をミスリードする。池波正太郎の『食卓の情景』に出てくるどんどん焼き屋の町田のおやじ、の話が重要な役割を果たす。読んだことのある話だったので、著者の解釈には驚かされた。短編連作の形式を取りながら、一冊で一つのお話になっている、というのはよくある形式だが、よく計算されていて面白く読めた。

●わずかな可能性を信じて、自分と老いた妻が今でも元気であることがその人物の目に留まることを信じて、そしていつか目の前に現れてくれるのを待っている。それが池波正太郎のエッセイに書かれた、町田の親父の正体ではないか、そんなことを考えたんですよ。(p.146)

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『優雅なのかどうか、わからない』

『優雅なのかどうか、わからない』
松家 仁之
マガジンハウス、2014/8/28、¥1,728(L)

日経書評欄で紹介されていたので。

バリバリのキャリアウーマンを妻に持ち、渋谷に住んでいたが、自分の浮気がばれて離婚された50間近の出版社勤務の男。彼が吉祥寺の森に囲まれた一軒家に引っ越して、自分の好きなようにリフォームしながら、偶然元浮気相手が近くに住んでいたことから焼け木杭に火がつき、なんとなく付き合うようになる。息子はMBA取得のためアメリカに渡っていたが、芸術に詳しい彼と一緒に過ごし始める。元浮気相手の父親に少々認知症が入ったことで彼女との距離を掴みかねる主人公は、彼女の隣家が火事を出し、土地が売りに出たことからそこを買って隣に住むことに決める。

出来の悪い村上春樹のような現実感の希薄なファンタジー風大人の恋愛小説。本当に離婚したり息子がホモだったり、元浮気相手と町で顔をあわせたりしたら、現実ではもっとドロドロすると思うのだが。そこが「大人の恋愛小説」と言うことならばそうなのだろう。また、表題の「優雅なのかどうかわからない」については、これが優雅でないなら世の中に優雅な人はいないんじゃないか、というくらい優雅な主人公だと思った。

一人暮らしを始めた主人公に野良猫「ふみ」が寄り添うが、「ふみ」について書かれている部分は楽しく読めた。

書評で高評価を受けるほどの小説かと言われると、少し頭をかしげるが、あまり毒がなく、さらっと読むのには良い小説。


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『なぜ時代劇は滅びるのか』

『なぜ時代劇は滅びるのか』
春日太一
新潮新書、2014/9/16、¥778(Amazon)

日経書評欄で高評価だったので購入。

自分も昔の時代劇に比べて最近の時代劇が薄っぺらでまったく面白くないと感じていたので、どのような内容か興味があった。

1950年代の時代劇黄金期から長い凋落を経て、もはや時代劇の体をなさなくなった昨今の状況まで、悲痛なまでに的確に描き出す。著者の時代劇への愛とそれ故に深い絶望感が心の叫びとなってほとばしった一冊。

映画会社、プロデューサー、監督、裏方、俳優、と様々な人々の蓄積がいかに失われてしまったか、時代劇への愛も理解もない俳優が安直に演じるなんちゃって時代劇への憤怒など、枚挙にいとまがない。特に、岸谷五朗への辛辣な批判は他を圧倒している。

博士号を持つ著者だけに、分析が深く、的確で、説得力がある。大変良い一冊。

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The Party v the people

Whatever their motivation, the protests present a troubling challenge for the Communist Party. They are _____ not just of uprisings that have toppled dictators in rent years from Cairo to Kiev, but also of the student protests in Tiananmen Square 25 years ago. (The Economist Oct. 4, 2014, p.13)

A) memorizing
B) remember
C) reminiscent
D) reminiscently


Ans. C) reminiscent:思い出させて Lv.9
   topple:ぐらつく、倒れる Lv.10

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『ホテルローヤル』

『ホテルローヤル』
桜木 紫乃
集英社、2013/1/4、¥1,512(借)

看板屋の大将田中大吉が、愛人を連れてラブホテル「ホテルローヤル」を開業してから、30年後に廃業し、その廃墟に人が訪れるまでの歴史を、その時々のエピソードを短編のようにつなぐ形でできた小説。ただし、時系列は逆になっており、廃墟にカップルが訪れるところから物語が始まり、最後に開店するところで終わる。

北海道の裏寂れた風情や、人々が必死に生きようとする様子がよく描かれていて楽しく読めたが、著者の作風に合わせるのに少し時間がかかった。あと、あえて逆時系列を使う必要があったかどうかは少し疑問が残った。

小説の雰囲気としては同じ北海道ということもあり『海炭市叙景』に似ているが、海炭市の方が重苦しいので、本作程度の方が読み易かった。

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『アヒルと鴨のコインロッカー』

『アヒルと鴨のコインロッカー』
伊坂 幸太郎
創元推理文庫、2006/12/21、¥700(借)

整形外科にかかるので、待ち時間用に借りた。2時間待つ間に読み切った。初伊坂幸太郎。

大学生に入るため仙台に越してきた僕椎名は、引越早々河崎という男に書店強盗に誘われる。目的は広辞苑1冊。よくわからないまま進む物語。話は現在と2年前が交互に出てくる形を取る。2年前、河崎と別れ、ブータン人留学生ドルジと付き合っていた琴美は、公園でペット殺しの若者たちを見つけ、つきまとわれるようになる。次第に身の危険を感じながらも彼らを捕らえようとする琴美。守ろうとするドルジ。それとなく近くにいる河崎。三者三様の物語がクライマックスに向けて収束していき、なぜ僕が書店強盗に巻き込まれたか次第に明らかになる。

ボブディランの「ライクアローリングストーン」が小説のテーマとして繰り返し流れる。今までどこかで読んだことがあるな、ないような作風。心地悪くはない。

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Electric conductor

When Andris Nelsons takes the podium for his first official concert as music director of the Boston Symphony Orchestra on Sep.27th, it will mark an end to more than three years in the wilderness for a venerable musical institution. The selection of the _____ Mr Nelsons seems calculated to banish memories of that period. (The Economist, Sep. 27, 2014, p.84)

A) ebullience
B) ebullient
C) ebulliently
D) ebulliate


B) ebullient: 大喜びで Lv.23
  banish: 追い払う

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No respite

Far from giving banks respite, they are toughening up old rules and _____ new ones, perhaps heralding a new wave of restructuring. (The Economist Sep. 27, 2014, p.71)

A) revising
B) devising
C) revise
D) devise


Ans. B) devising:工夫する、考案する Lv.4
  respite [re'spit]: 休息期間、猶予
  herald: 告知する、予告する

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『小さな会社のブランド戦略』

『小さな会社のブランド戦略』
村尾 隆介
PHP研究所、2008/12/10、¥1,296(L)

小さな会社が生き残るには、ブランドを作ることが大切、というコンセプトで書かれた本。言っていることは極めて正当で、大変勉強になった。要再読。

●小さなブランドを築いた人は、仕事の中のディテールにこだわる、徹底力のようなものを持っています。「ラスト10%」のつめが、後に大きな差になってくることをよく知っています。[略]
 定期的にディズニーランドに足を運び、"大人の社会科見学"を行う経営者もいます。「ラスト10%」の徹底力は、ディズニーランドから多くを学ぶことができるからです。(pp.103-104)

☆徹底力・ラスト10%、の重要性。

●いつも頭にポジショニングを
「ビジネスは戦いである」は、本当でしょうか?小さな会社は、空きポジションを使って、上手に「不戦勝」し続けることが可能なはずです。(p.116)

☆激戦区から少しだけずれたところにポジショニングすることを心がける。

●社長には「3年後に生き残っている理由を考える」という仕事があります。(p.128)

●ポジショニングを、時代の変化と共に変えていくことを「リポジショニング」と呼びます。でも、いきなり商売自体をガラリと変えてしまうような極端なリポジショニングには、リスクが伴います。
 ですので、小さな会社は、常に自社のポジショニングや、地域・業界全体のポジショニングを確認しながら、少しずつ、その立ち位置を調整していく必要があります。これができている会社の未来は明るいです。(p.134)

●たった1項目でも良いです。どんな書き方でも良いです。より良いチームをつくるためにも、社長の負担を軽減するためにも、仕事観や、職場の口癖、会社の文化を表現するようなフレーズを、ぜひ一度、紙にリストアップしてみてください。各項目をかっこよく書こうとする必要はありません。「あいさつは必ず自分の方からしよう」など、一般的なことを書くのでも構いませんし、社長がいつも口うるさく言っているようなことをクレドとして挙げても構いません。[略]
 [名刺大のカードに印刷した] クレドカードは、各スタッフに配布し、財布等に携帯してもらいます。そして、最大5名くらいのグループで、クレドだけに特化したミーティング(クレド・ルーティン)を週に1度程度開催します。地道ですが、これが継続されると、スタッフのブランド力は、大きく変わります。(p.153)

●私のセミナーで、以前、「『頭の良い人』の定義」というディスカッションをやったことがあるのですが、参加者の一人が、「自分の定めた"しあわせ"に向かって、具体的に歩んでいる人」と発言しました。聞けば、その方も、アメリカで教育を受けていたそうです。(pp.165-166)

●ビジネスは、シンプルに削ぎ落として考えると、たった「3つの力」で成り立っています。
 一つ目の力は「売り物をつくる力」です。言い換えれば、商品やサービスの開発力です。また業態によっては、価値ある商品やサービスを選んで仕入れる力です。
 二つ目に必要な力は「売り物を売る力」です。消費やサービスを販売する営業力や、市場に伝えていくための伝達力、コミュニケーション力が、この中に含まれます。
 そして、三つ目の力が「管理する力」。会社組織には、人材・在庫・金銭関連など、管理すべきものが無数にありますが、仕事に必要なあらゆるものをマネジメントする力が、この「管理する力」です。
 この「3つの力」が、会社にバランスよく備わって、はじめて経営は上手くいきます。(p.168)

参考図書:『だれかに話したくなる小さな会社』浜口隆則・村尾隆介→クレド作成等

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Mission relaunched

America, meanwhile, seems swamped by the forces of disorder, either unable or unwilling to _____ a world that is spinning out of control. (The Economist Sep. 27, 2014, p.11)

A) stable
B) steady
C) stability
D) steadying


Ans: B) steady: 安定する Lv.3
   swamp: 押し寄せる Lv.5

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