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『夢を売る男』

『夢を売る男』
百田 尚樹
太田出版、2013/2/15、¥1,512(丸善日本橋)

出版直後に購入したが、なかなか気が進まず1年以上寝かせていた本。

自費出版(ジョイント・プレス)を業務とする丸栄社の編集長牛河原は、日々自己表現したい素人に金を払わせて出版させている。大手出版社の編集長をしていた彼は、プロの作家といえども素人とほとんど変わらないとうそぶきながら仕事をする。

後半新興ライバルの狼煙舎の殴り込みで営業成績にかげりが見えた丸栄社は、自費文庫の発行、ブログ出版営業など新機軸で対抗するが芳しくない。そこで、狼煙舎にスパイを潜り込ませて内情を探り、その顧客に訴訟を起こさせる。

フィクションとはいいながら、実際にあった大手自費出版3社の争いをなぞったような内容になっている。また、牛河原の文芸界への批判も的を射ていて気持ちがいい。

●「現代には、映像やゲームに勝てるほどの小説なんて滅多にないんだ」と牛河原が言った。「これはどんな世界にでも言えることだが、才能とは金のある世界に集まるんだ。現代ではクリエイティブな才能は漫画やテレビ、音楽や映像、ゲームに集まっている。小説の世界に入ってくるのは、一番才能のない奴だ。金が稼げない世界に才能ある奴らが集まってくるはずはないんだ」(p.164)

●「小説家の仕事というのはぶっちゃけて言えば、『面白い話を聞かせるから、金をくれ』という奇妙奇天烈な職業だ。だから、その話は聞く者を楽しませるためにする、というのが基本のはずだ」(p.183)

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