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『ズルい奴ほど成功する!』

『ズルい奴ほど成功する!』
内藤 誼人
宝島社、2009/7/15、¥1,260

「もう、いい人では生き残れない!」をキャッチフレーズに、マキャベリを下敷きにしていかにうまく世の中を立ち回るかについて論じた本。自分でやるつもりはなくても、本書のようにやられる可能性を考えて知っておくのはよいかと思い購入。

王道ではないので、すべて使えるわけではないが、いろいろ参考になるところもあり、楽しく読んだ。

●反省も後悔もいらない。初心だって忘れて構わない。いっそ過去のこと等、なにも考えないほうがいいくらいだ。なぜなら、人間は過去のことを考えるほど、自己評価が低くなってしまうからである。(p.38)

●感情を揺さぶって思考を停止させろ。大きく感情を揺さぶられた時、人は一種の思考停止状態に陥って、物事を無批判に受け入れてしまうと分析している。(p.58)

☆褒めた直後に怒るなど、アメとムチを同時に使って相手をショック状態にする。日常的に使うものではない。

▲ちょっとだけでも相手に触れる。接触によって親近感がわく。(p.60)

☆挨拶のときの握手など。

▲「ウソも100回言えば真実になる」。同じ話をなんども聞かされると真実味を帯びてくるのは真理学的に見て正しい。(p.66)

▲スーツ、服装で人間性を判断される。ショップ店員にイメージを伝えて希望に見合ったスーツやネクタイをコーディネートしてもらえ。(p.96)

☆「どっしり落ち着いて見えるようなスーツを」など。

▲人間は「どんな話題を選ぶか」によって、そのまま人物評が決まってしまう。数式や科学の話をすれば、論理的な人に見える。スポーツやアウトドアの話なら明るくて健康的なひとに見える。歴史や文学なら思慮深い人に見える。ゲームやアニメの話だとオタクっぽく、野暮ったく見える。自分の印象の操作は案外簡単である。(p.87)

▲嫌なことは他人にやらせ、自分は好きなこと、得意なことに集中しろ。問題が発生したら自分で解決せず、ネットワークを使ってできる人に解決してもらえ。勉強等にも言えるが、自分の苦手分野を克服しようとするのは大いなるムダである。(p.100-102)

●われわれは「第三者から偶然聞いた話」にはとてつもない信憑性を感じて信じ込んでしまうのだ。これを心理学では「漏れ聞き効果」という。[略] 「漏れ聞き効果」は、人を褒めるときのも多いに活用できる。(p.108)

☆逆も真。

●ざわついた人ごみの中でも自分の名前を呼ばれると、すぐに気がつく物である。そのため、相手の名前を声に出して読んであげることは、こちらに注意を向けさせる最善の策なのである。(jp.118)

●さらなる人たらしになりたければ、交渉相手の奥さんの名前、子供の名前、さらには犬や猫の名前まで、すべて暗記しておくべきである。(p.120)

●部下に撮って、もっとも恐ろしい上司とは「普段は優しいけど、怒らせると怖い」という人物なのである。[略] やる気のない人間は叱り飛ばし、やる気のある人間は優しく見守るのがいちばんなのである。(p.149)

▲一人をしかれば全員を動かせるようになる。ご褒美(報酬)を与えられた行動は増える。罰を与えられた行動は減る。(p.154)

●心理学の世界には「拡張自我」という言葉がある。自我とは、要するに自分自身のこと。そして我々人間は、「自分の居場所・持ち物までが"自分"」なのだと考える。
 ブランド物の高級腕時計をはめていれば、その腕時計まで含めて"自分"だし、大きなベンツに乗っていれば、そのベンツまで含めて"自分"となる。
 人間は、こうやって自我を拡張しながら考えるものなのだ。もちろん、やすっぽい服装をしていれば、それを含めて"自分"になってしまう。(p.163)
●ファッションに気を使うのは、女の子にモテルためでだけではない。自分自身を大きく育てるため、ファッションに気を使うのだ。あなたも試しにちょっと高級な腕時計の一つでも買ってみるといいだろう。[略] いい靴やいい時計を毎日使っていると自信に満ちあふれてくるはずである。(p.165)

●音とは人間に撮って恐怖の源泉なのだ。(p.172)

☆大きな音を立てて場の空気を支配する。

●あるセラピストは、鬱病の患者さんに対して、「次回からはまったく新しい服を買ってから着て来てください」とお願いしているのだそうだ。もちろん、これは治療の一環で、実際にうつ症状が改善される効果が上がっているのだと言う。[略] 「新しい服を買う」という行為は「新しい自分を手に入れる」ことへとつながっていくものだ。(pp.178-179)

☆拡張自我の応用。

●「人は慎重であるよりは、むしろ果断に進むほうが良い。なぜなら、運命は女神だから、彼女を征服しようとすれば、打ちのめし、突き飛ばす必要がある」(『新訳君主論』/マキアヴェリ・池田廉訳/中央公論新社)(p.187)

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『読書のチカラ』

『読書のチカラ』
齋藤 孝
大和書房、2011/5/22、¥1,365(L)

ネットだけでは精神は表面的になる、読書によって深い思考を手に入れよう、という本。最近著者のいう「二軍」のような本ばかり読んでいるので、反省を迫られた。

▲『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』『百年の孤独』などが読みづらくても必読書になりうる。これらの古典的良書を避けて底の浅い本ばかりを読むということは、一軍でのプレーを恐れて万年二軍でまんぞくしているようなもの。(p.44)

▲読書には三種類ある。第一は、情報を得るための読書。第二は一人の時間を楽しく有意義に過ごすための頭の中でイマジネーションを膨らませる読書。第三は自分を鍛え、精神を豊かにするための読書。(p.48)

●本との出会いが、視界を一気に広げてくれることもある。たとえば、私は美術が好きだが、『巨匠に教わる絵画の見方』(視覚デザイン研究所)や是に関連するシリーズ本に出会って、「なんてわかりやすく技法が説明されているんだ!」と驚いた。(p.65)

☆ほかに『巨匠に学ぶ配色の基本』が紹介されている。

▲問いをたてながら読む習慣をつけると、興味・関心の時zl区力を高められるし、それによってより内容を吸収し易くなる。文中の「〜か」という問いを山カギで括りながら読むと、著者がどのような問題意識で本を書いているかがはっきりする。それがわかると話の展開が見え易くなるし、次にどういう問いが来るかも予想できるようになる。(p.137)

▲「読んだ内容を1〜2分程度で説明できるか」を念頭において要旨をつかむことを心がけて読む。(p.164)

▲難解な長編小説でも会話部分は大抵平易なので、そこだけ拾って読む「快速読み」を試すのもおすすめ。(p.188)1

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『英語を学ぶのは40歳からがいい 3つの習慣で力がつく驚異の勉強法』

『英語を学ぶのは40歳からがいい 3つの習慣で力がつく驚異の勉強法』
菊間 ひろみ
幻冬舎新書、2011/7/28、¥798(BO¥400)

今ひとつ読者ターゲットがはっきりしない本。40歳以上の英語が苦手な社会人向けといった装いながら、内容は細かいところがあり、ある程度英語をやっている人でないとわからない部分が多そう。ところどころ参考になるが、「3つの習慣」は語学学習の王道で、「驚異の勉強法」というほどではない。年齢に関わりなくその勉強法ができる人は英語が上達するでしょう、という内容。

学校の英語教育をだいぶ悪く書いているが、自分は学校の英語教育こそが基本だと思っているので、その点については同意できなかった。が、日本人が間違いやすい英語のニュアンスなど、勉強になる部分も多かった。

●英語をモノにするためには、英語に触れることを習慣化することが大切です。その習慣はズバリ、3つだけです。
1 音読をする
2 多読をする
3 英語表現を覚える(p.44)

▲アメリカ大学院の宿題で出される課題の本は、各章のイントロ部分と最後の結論部分だけを読み、授業のディスカッションに臨む。英文の読書でも、文章の最初と最後を先に読むのが鉄則。(p.90)

●お金をかけるより、時間をかける。(p.122)

●何度も音読した英語は、音読していない英語と比較して格段によく聴き取れるようになります。(p.128)

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『代表的日本人』

『代表的日本人』
内村鑑三
ワイド版岩波文庫、1997/9/16、¥1,155(丸善日本橋)

内村鑑三が海外に向けて、5人の日本人を取り上げて日本人の精神を紹介した本。紹介されているのは、西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人。

●今日も西郷の墓には、涙を浮かべて訪れる人の群れが絶えません。
 もっとも偉大な人物が世を去りましたが、最後のサムライであったのではないかと思われます。(p.35)

☆「ザ・ラストサムライ」の出典か?

●藤樹は「積善」について次のように述べました。
 人は誰でも悪名を嫌い、名声を好む。小善が積もらなければ名はあらわれないが、小人は小善のことを考えない。だが君子は、日々自分に訪れる小善をゆるがせにしない。大善も出会えば行う。ただ求めようとしないだけである。大善は少なく小善は多い。大善は名声をもたらすが小善は徳をもたらす。世の人は、名を好むために大善を求める。しかしながら名のためになされるならば、いかなる大善も小さくなる。君子は多くの小善から徳をもたらす。実に徳にまさる善事はない。徳はあらゆる大善の源である。(p.122)

☆朱子学に限界を感じ、陽明学を自分流に改良して使ったことで明るさのある教えになった。

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『ブランド 元スターバックスCEOが教える「自分ブランド」を築く48の心得』

『ブランド 元スターバックスCEOが教える「自分ブランド」を築く48の心得』
岩田松雄
アスコム、2013/7/31、¥1,470

著者は、名称、ロゴ、デザインなどを組み合わせ、他社の製品・サービスより優れていることを顧客に認識させることを「ブランド」と定義している。その定義に従い、本書では個人をいかにブランド化=差別化していくか、ということについて考察している。帯の「あなたの価値が10倍になる!」は誇大広告だと思うが、それなりに参考になる部分はあった。本書は、読者に向けた本というより著者自身が「スターバックスの岩田」から抜け出すために苦闘している現在の自分自身に向けた本という趣なので、そのつもりで読んだほうが良いかもしれない。

●「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」江副浩正(p.104)

●自分のイメージは、他人に聞くより他にない(p.203)

●自分自身のこの世における存在理由を文章にしておくと、迷いが生まれたときに、つねに「戻る場所」ができます。(p.220)

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『君にはもうそんなことをしている時間は残されていない』

『君にはもうそんなことをしている時間は残されていない』
千田 琢哉
あさ出版、2013/1/8、¥1,365(BO¥700)

「時間は命の断片だ」をキーワードに、時間をどのように大切に使うかについて述べる。1分遅刻の方が(不可抗力による)1時間遅刻より罪は重い、など、ちょっと常識と違うような内容が著者の人気の秘密かもしれないと思った。本書の主張についてはもっともなことで、今までの自分の認識よりももっとシビアに時間に向き合うべきだと思った。

▲取材やインタビューは圧倒的な準備をしてから行い、終了予定時刻の5分前に終わらせる。(p.89)

●どんなに読むのが遅い人でも、一瞬で速読できる方法がある。
 あらかじめ1冊を読む時間を決めてしまうことだ。「この本には30分しか費やさない」自分でそう決めたら、30分で面白いと感じた部分のみ拾い読みする。(p.104)

☆我慢して読み通す必要はない。

▲お礼状は当日書いて当日と投函すること。お礼状を100枚出し続けると、きっと人生に変化が訪れる。(p.124)

☆はがきを10枚くらい常にストックしておくとよい。

●習い事で我慢を感じたら、即日退会手続きをすませよう。[略] お金よりもが万から脱出して楽しい人生を送ることのほうがずっと大切なのだ。(p.143)

●「ではキリのいい来月から」が口癖の社長は、会社をつぶす。(p.146)

▲まったくなじみのない新しい仕事にチャレンジする際は、2週間でざっと大枠を掴むトレーニングをすると良い。[略] 最初の1週間は社内で業界に詳しい人材にレクチャーを受けながら、業界紙を2年分通読する。次の1週間はプロジェクトメンバー同士で教え合いのアウトプット。これでその道何十年の重役に大きな迷惑をかけずに話を進められる。(p.175)

●一年間袖を通さなかった服は、まとめて処分する。(p.199)

●1年寸で合わなかった土地に、別れを告げる。(p.202)

●準備ばかりしていると、本番なしで人生は終わる。(p.210)

☆ある瞬間でアウトプットに切り替えること。

●ふと気になった身内には、その都度会っておく。(p.225)

●お礼を言いそびれた人には、今からでもお礼を伝えておく。(p.228)

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『好きなことだけして生きていけ』

『好きなことだけして生きていけ』
千田 琢哉
PHP研究所、2013/9/25、¥1,365

好きなことを仕事にして成功できる、という本。実際に好きなことをして成功している人がいるから読者にもできる、という内容だが、全員が好きなことを仕事にできるわけではないし、それで成功できるわけでもない。結構難しいことを要求しているな、という印象。

●母親の一言は、意外に本質をついている。(p.50)

●フィーリングが合う著者の本をとことん読み込め。(p.81)

●仕事にしても好きなことが本当に好きなこと。(p.92)

●大好きな物以外は、全部捨てる。(p.156)

●好きなことを貫くと、人脈も入れ替わる。人脈の質は量に反比例する。(pp.160-161)

▲先祖に感謝する。まず両親に感謝することが、先祖に感謝することのスタートになる。両親に感謝できる人は、他のすべての人に感謝できる。(p.182)

▲口にしたことはそのまま行動に移され、行動が習慣になって人生を作っていく。だから冗談でも「お金なんていらない」と口にしてはいけない。好きなことを換金できない人の特徴は、ただ漫然と好きなことをやっているということだ。漫然と好きなことをやっていると、その道のチャンピオンにあっさり負けてしまう。あなたはあなたの勝ち方を見つけるのだ。そのためには、漫然とした抽象的な目標ではなく、"超"具体的な目標にすり替えることだ。"超"具体的とは、細分化することだ。好きな分野を極限まで細分化していくと、得意分野が浮き彫りになってくる。その得意分野で壁を突破してから、好きなことを拡げていけばいいのだ。(pp.186-188)

▲多くの人が欲しいのは、成功のためのノウハウ、一時間のレクチャーで効果が得られるノウハウ。ノウハウの提供で成功する。(p.194)

▲ノウハウ公開をブログでするのに出し惜しみしてはいけない。(p.199)

▲実用的でない仕事のほうが、年収は高い。(p.206)

●今、やっている仕事が、次の仕事のマーケティング。(p.210)

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『時間がない人ほど英語は上達する』

『時間がない人ほど英語は上達する』
中村澄子
講談社、2008/7/9、¥1,365(BO)

英語学習の目標をはっきりさせ、集中力を高めて限られた時間を有効に使い学習する、というのが著者の主旨。ごく当たり前のことだが、具体的な勉強方法を含め整理して書いてある。「欧米では」「エールでは」など著者の主張が少し出すぎている印象はあるが、その点留意しておけば、頭の整理に良い。

●自分の意見を述べるときは、最低でも3つの例を出すように。(p.52)

▲ビジネスの文書では省略形を避ける。he'll, I can't, you shouldn't → he will, I cannot, you should notなど。(p.161)

●アメリカ人は「言葉遣い」で相手のレベルを判断する傾向が強くあります。とくに東海岸のビジネスパーソンに顕著な傾向ですが、彼らは幼稚な言葉遣いが頻出するメールや文章を読むと、書き手が外国人であっても、相手の知的レベルや能力が低いといった判断をしがちです。[略]
 端的に言うとWSJなどの一流経済誌に登場する用語が「それらしい」表現ということになります。(pp.166-167)

●欧米のビジネスの世界も「見た目」が大変重視されます。正確に言えば、シチュエーションやTPOに合った格好をすることがシビアに求められるのです。(p.178)

●欧米、とくにアメリカ社会の大きな特徴は、自分のスキルや能力をどんどんアピールし、自分の意見を言える人が評価されるということです。ポジションの低い人でもトップと話ができ、能力や可能性を認められればどんどん抜擢される、それが日常的なのです。(p.180)

☆欧と米を同一視しているところはどうかと思うが、アメリカについては多分その通りなのだろう。


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『すべてはモテるためである』

『すべてはモテるためである』
二村 ヒトシ
文庫ぎんが堂、¥2012/12/2、¥700

幼稚舎出身のAV監督という経歴に惹かれ、書店の平積みを見て衝動買い。

あなたがモテないのはキモチワルイため、どうしたらモテるのか、を真剣に考えた本。ということなのだが、独り語りのようなAだけどAじゃない、じつはA'なのではないか、みたいな哲学的な語りを延々とする。結局最後まで著者の思考の道筋をたどることができずに終わってしまった。本文がゴシックで、強調部分を明朝にするなど、体裁面でも読みづらく、組版がもう少し読み易かったら印象が違ったかもしれない。

●対話とは、相手の言ってることばを「まずは、聴く。けれど【判断】しない、決めつけない」こと。それから「自分の肚(ハラ)を見せる」ことです。それはキャバクラでの会話のしあkた、風俗でエッチなことをする前にすべき話し方と、さらに言うとエッチの上手なやり方とも同じです。
「対話できる」ということが、つまり「相手と同じ土俵に載れる」ということなんです。(p.132)


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『嘘だらけの日米近現代史』

『嘘だらけの日米近現代史』
倉山満
扶桑社、2012/9/1、¥798

米国の歴史や日米関係の通説が、実はまったく違うという視点から書かれた本。目から鱗が落ちるというか、新しい物の見方ができるので読んで楽しい本。ただ、あまりに過激で本当にそうなのかどうかについてはよくわからない。

ペリーの時代、米国は強国ではなかった。合衆国はそもそもEUのようなもので、脱退が認められていたにもかかわらず南北戦争によってその歴史が消された。アメリカは大日本帝国が恐ろしくてたまらなかった。など驚くような話がいくつも出てくる。本書の真偽はまったく判断できないが、大変面白く読んだ。

●[本書の] 三つのコアメッセージさえ理解できれば、アメリカとの関係はそう難しくありません。
その一、アメリカはバカ!
その二、アメリカはヘタレ!
その三、でも、やるときはやる!(p.8)

●石井菊次郎こそ、当時世界最高の外交官だったといってよい人物です。石井は恐竜のごとく暴れ回るウィルソン[大統領] の動きを止めました。(p.70)

☆著者はウィルソンが世界をむちゃくちゃにした張本人といっている。

▲ウィルソンが放り出した国際連盟に、石井始め外務省エース級の優秀な人物、佐藤尚武や松田道一、新渡戸稲造などが送り込まれた。彼らは1920年代の欧州の紛争をことごとく捌いていった。この時期の国際秩序はまさに日本が支えていたといって過言ではない。(p.72)

●戦間期の国際政治は英米の覇権交代が最大の争点です。しかし、ソ連という共通の敵がいるのに、敵・味方の優先順位を誤ったところから悲劇が始まるのです。(p.77)

☆ソ連のスパイ活動が第二次大戦の原因の一つという主張。

●最近の研究では、ソ連は世界中にスパイを放ち、特に日本の近衛内閣とアメリカのF・ルーズベルト政権の中枢を固め、日米両国を戦争に向かわせて共倒れに持ち込んだということが明らかになっています。(『ヴェノナ文書』)(p.83)

●日米戦争で得をしたのはソ連だけです。なぜかスターリンにだけ都合よく国際情勢が展開していったのです。日米戦争の起点となったハル・ノート[略]の文面を起草したハリー・デクスター・ホワイトはソ連のスパイだったということが戦後に判明しています。(p.90)

●本来ならば、大日本帝国・大英帝国・中華民国と協調すれば、ソ連の勢力などアジアから駆逐できたはずなのに、これら同盟国をみすみすつぶし、あげくには毛沢東の中華人民共和国という強敵まで育ててしまったのです。これすべて、スターリンの口車にのって。(p.112)

●アメリカの軍事力は、破壊力はあるのですが、占有力が極端に弱いのです。クリントン政権の空爆しかしない軍事介入は、この弱点がモロに出た格好で、国際秩序を破壊し、世界中の恨みを買っただけでした。ついでに言うと、クリントンの女性醜聞が問題化するたびに世界のどこかの地域を空爆するということを繰り返しました。ボスニアやスーダンやアフガンです。(pp.159-160)

●なお、コソボ紛争のときに飛び回った高村正彦外相は、日本ではほとんど無名ですが国外で絶賛されています。特に、紛争中にマケドニアに飛んでいます。当時のマケドニアは台湾を国家承認していた数少ない国の一つですから、「火薬庫」のど真ん中に飛び込むだけでなく、中国への牽制の意味もあったのです。(p.160)

●[震災の際に米軍が勝手に仙台空港を修理したことについて] 大事なことは、米軍はいざとなれば日本政府の意思や日本国の主権など歯牙にもかけないという事実が明々白々になったということです。たまたま、米国の行動が概ね善意に働いたようですが、これが完全な悪意だった場合は堂でしょう。日本政府の意思を無視して軍事占領することもいとわないということです。(p.167)
●そもそも、アメリカが「日本再占領」だの「日本征服」だのを企むはずがありません。アメリカは日本のことを「自分の持ち物」あdと思っているのです。[略] 日本人は、現実を厳しく認識すべきでしょう。(p.169)

●[震災後の天皇陛下ビデオメッセージをほとんどの国民が生放送で見ていないという事実は] 空襲警報や政府の非常事態宣言を全国民に伝達する手段すら持たない、恐ろしく脆弱な国家になってしまったということです。(p.171)

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『二代目が潰す会社、伸ばす会社』

『二代目が潰す会社、伸ばす会社』
久保田 章市
日経プレミアシリーズ新書、2013/7/9、¥893(福家書店北砂)

後継経営者の役割は、「会社をつぶさないこと」「社員の力を結集させること」「経営革新を行うこと」の3つである、と主張し、その役割をどのように果たしていくべきかについて詳しく述べた本。経営者に必要な要素は色々あると思うが、「後継」とあるように社長に就任したばかりあるいはこれからするような若い経営者に特に重要な心構えなどが整理されている。参考になる一冊。

六三印刷の島村博之氏が例として挙げられている。(p.113)

●ある会社の社長から、売上と利益に関して、社内で次のような言葉を言い続けているという話を聞きました。
 売上は顧客の支持 利益は顧客が認めた価値
 できるだけ高付加価値商品を開発して売上も上げる。これが目指すべき姿です。(pp.65-66)

▲ニッチ市場はせいぜい数億円の規模であり、そこで特徴のある差別化商品でシェアをとれば激しい価格競争を避けられる。(p.67)

▲「任せて任せず」(松下幸之助)仕事はそれをやりたい人に任せるべきだが、任せっぱなしにしては行けない。報告や指示を随時すること。(pp.75-76)

▲銀行が返せないと判断する借入水準は「債務償還年数」=「利益で借入金を完済するためにどれくらいの期間を要するか」が10年を超えるもの。
ここで「利益」=「(税引後)当期純利益+減価償却費」、
「返済すべき借入金」=「長期・短期、手形割引残高等の全ての借入金ー経常運転資金」、
経常運転資金=「事業を続ける上で常に必要となる資金」=売掛金+受取手形+在庫ー買掛金ー支払手形。
債務償還年数=(全借入ー経常運転資金)/(当期純利益+減価償却費)(pp.79-80)

●「何を持って憶えられたいか」(ドラッカー)(p.99)

▲中小企業の経営革新は、小さな戦略を成功させるよう努力し、その過程でぶつかった課題を解決する。すると次の小さな戦略を思い浮かぶのでそれを繰り返す。(p.164)

●「経営をするときに、何が一番大事かといえば、経営者の熱意やね。熱意があれば知恵が生まれてくる」(p.196)

●品性とは「何をするかではなく、何をしないか」で測られる(p.197)

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『勉強の結果は「机に向かう前」に決まる』

『勉強の結果は「机に向かう前」に決まる』
池田 潤
サンマーク出版、2013/8/20、¥1,470

本書の内容を一言で言えば、必要な勉強を必要な量継続して行う、という当たり前のことにつきる。
「机に向かう前」に決まるかどうかはよくわからない。机に向かわなければ勉強できないから。

●「質の高い勉強法×必要な勉強量=望む結果」という公式がある(p.70)

●「集中力=環境×肉体×技術×感情」(p.136)

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『通貨燃ゆ』

『通貨燃ゆ』
谷口 智彦
日経ビジネス人文庫、2010/5/6、¥800(L)

第二次安倍内閣で首相のスピーチライターを務める著者による通貨の政治経済学。通貨は単に経済的側面によって理解されるものではなく、政治的に、時には戦争における武器として国家間の威信をかけた闘いの最前線となる。そのような視点から、ニクソンショックによる金兌換停止、人民元体制、第二次世界大戦時の日米通貨戦争、英国から米国への基軸通貨移行を決定づけたブレトンウッズ体制でのケインズの敗北などを詳細に分析する。特に、基軸通貨とは純経済学的にボトムアップで決定されるのではなく、極めて政治的にトップダウンで決定される、という主張や、第二次大戦において、経済的には英国も日本と同じように米国に対して敗戦国だった、という議論は説得力があり面白かった。

大変興味深い力作で、このような戦略的視点を持つ側近を得た安倍首相は幸運というしかない。

●「通貨とは権力現象である。権力なきところ、通貨は通貨たりえない」(p.5)

●(Eric Helleiner and Jonathan Kirshner, ed., The Future of the Dollar, Cornell Univ. Puress, 2009)で、編者の一人ヘライナーがドルの先行きを見る三つの立場として挙げるうちの一つが「地政学的見地」である。米国の覇権がこの先どうなるかに関心を払う立場であって、筆者のそれに近い。( 他の二つの立場とは「マーケット・ベース」、すなわち市場内在的に見ようとするものと、「インストゥルメンタル」、つまりドルとの間に打ち立てた制度の強靭・脆弱を見ようとする立場)。これが英国政治経済学界へいくと、故スーザン・ストレンジの学統を継ぐ人々の間に、むしろ米国以上により強く残っている。(pp.5-6)

☆米国と英国では立場が違う。

▲参考文献:『カジノ資本主義・国際金融恐慌の政治経済学』(岩波書店、1998)スーザン・ストレンジ。(p.28)

☆フーコー的権力概念としての「構造的権力」を通貨に援用した学者。

▲輸出競争力こそは日本経済にとって死活的に重要だという固定観念によって、ニクソンショックによる円切り上げの可能性を見ようともせず、思考自体を放棄していた。様々な情報によって予測が可能だったにもかかわらず。そしてそれは1990年代バブル清算の時にも顕著で、オストリッチ症候群を起こしていたとしか言えない。(p.48)
●ここには日本が抱える弱みが見て取れる。一つには情報に対する感度それ自体の鈍さであり、また常に最悪事態を想定して用意を怠らないようにしようとする戦略的発想の欠如であって、今日にまでつながる問題であろう。(p.49)

☆原発事故も同様。日本人の宿痾。

●[ニクソンショックの例やその他の事例でも] 米国はどこかで必ず制作の方向性を明らかにする国である。大統領府は沈黙していても、議会がある。ワシントンに数多く存在するシンクタンクの報告書は、政権の意向とまったく無縁の、研究のための研究から生まれるものではない。公開情報を丹念に読んでいけば、政権の動き、狙いに当たりをつけることは決して不可能でない。今日われわれがその努力を十分行っているか、改めて反省してみてもいいだろう。(p.54)

●[香港は] 米国に対し信任の、中国にはいまだに留保の、一票を投じていると考えられる。北京には、いつかは終止符を打たねばならない話であろう。[略] 香港がこの制度[ドルを準備通貨とするカレンシーボード制] を廃止するとしたらそれこそは、米中勢力関係の転換を暗示するわけである。(p.123)

●通貨が身にまとう政治性は、戦争状態に置いて最も典型的に表れる。通貨はそれ自体が戦争遂行手段とされ、しばしば砲弾以上の破壊力を秘めた武器に転用される。(p.126)

▲朝鮮戦争開始直後、北朝鮮は韓国の通貨である旧朝鮮銀行券の印刷原版を奪った。紙幣発行によるインフレと経済破壊を防ぐため、無能力の韓国政府に代わりに本の大蔵省印刷局が新韓国銀行券を印刷した。これは事柄の性質からして戦争への参画行為に等しい。(pp.131-132)
●ここで確認しておきたいのは、紙幣は時に砲弾の力をはるかにしのぎ、最も重要な戦略兵器にさえなりうるという事実である。ただし、その「兵器」の製造を旧宗主国に仰ぐほかなかった歴史の皮肉を知る人は、今日の韓国には皆無である。(pp.132-133)

●ブレトン・ウッズ会議に関して今なお真に驚くべきことは、事前の準備が米国において、「真珠湾」とほぼ同時に始まっていた一事である。当時の日本人には想像を絶する事実であっただろう。(p.149)

☆今の日本人にとっても同様。米国がTPPのどこまで先まで見通しているかまったく想像できない。

●ケインズはいわば落日の大英帝国が喫した「マネー敗戦」の前線指揮官であり、「敗軍の将」だった。米国の覇権と正面から激突死、粉砕された一点において、英国と日本の当時の位相は実のところ、かなりの程度重なり合っているのである。(p.151)

●下院に提出された [英国への] 武器貸与法の法律番号は、わざわざ選んで「1776」号としている。言うまでもなくアメリカ合衆国独立・建国の年号だ。かつての宗主国を助けてやる法律に、こういう番号を与え面当てをやりたがるところが米国にはたしかにある。[略] 戦艦ミズーリの投錨地が、ペリー提督が黒船のために選んだ場所と同じだったと記したのを思い出される読者もあるだろう。(p.154)

▲ドルが基軸通貨となった過程に関する限り、「自然的」にではなく会議の結果生まれた条文によってde jureに、すなわち初めから確固たる法源に裏打ちされて、基軸通貨ドルは誕生したのである。米国が第二次世界大戦に託した少なくとも一つの目的は、これを権力的に実現するところにあり、ブレトンウッズがその舞台となった。(p.164)

●結論を言うならばユーロとは、ドイツとフランスを永遠に縛り付ける制度である。(p.212)

▲ドルが世界の基軸通貨であり続けた理由の一班は、少なからず石油との排他的・独占的交換性に負っている。それなら今ドル体制への挑戦者が狙いを定めるのも、まさしくこの点となることに不思議はない。今問われつつあるのは、「石油・ドル本位制」の余命である。(p.216)

▲旧版刊行以来の五年、筆者が学んだことは二つある。
 一つは、当座の流行に目をとらわれ、大きな底流を見失ってはならないこと。米国と、その友邦をなす海洋民主主義諸国家との同盟・準同盟関係を維持強化することのほか、日本の国益を保全できない。米国の知識人・専門家・ジャーナリストと同じだけの視野、経験、知識をもち、世論形成力を持つ知的集団は米国外に存在しない。また、米国は世界の一隅において起きる出来事を、自分と関係あるものととらえる認識力、すなわち主体意識を持っている。見失ってはならない底流とは、この米国の情報収集・認識力であり、それにもとづいてこそあり得る秩序構想力である。(pp.278-279)

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佐藤優 講演「安倍外交は国益を体現できているか」

13/10/2
演題:「安倍外交は国益を体現できているか」
講師:佐藤優
主催:夕学五十講

演題は国益についてだが、実際の内容はほとんど中東・沖縄問題についてだった。

・安倍外交は国益を体現できているが、多分に運による。
・ロシアのG20で、安倍のイニチアチブで日露2+2協議を提案したことと、オリンピックプレゼンを理由にすぐにロシアを去ったことで、ロシアでの安倍の評価は上がった。→無自覚にシリア情勢についてロシアを支持したことになった。
・日本のマスコミは情報は多いが補助線の引き方がおかしいのでわからなくなる。
 読むべき新聞→朝日新聞+読売or産経&IHT 
 中東に関して、産経の宮家邦彦の記事、IHTの分析は参考になる
 朝日新聞は中国版韓国版を出しているが、それらをGoogle翻訳で読むと、大変右寄りなことを書いていることがわかる。
・麻生はナチスを評価した大臣としてヨーロッパでは避けられている。朝日が英訳したので、逃げられなくなった。
・アメリカの「レッドライン外交」という補助線
 =アメリカが勝手に線を引き、それを超えた政権をつぶす。ex. フセイン、タリバン、アルカイダ
 「我々は特別だから何をしても許される」→これにプーチンが反論
 イランについて正しい分析をしている人
  =宮家邦彦、山内昌之「中東 新秩序の形成―「アラブの春」を超えて」
・アメリカがシリアを攻撃できなかったのは、皆プーチンにだまされたから。プーチンはオバマが嫌い。
 アサドのアラウィ派は千年抑圧されてきたが、1918フランスが彼らに権力を持たせ委任統治した。その後、反体制派は根絶されたので土台がなく、今の反体制派は半グレのようなもの。
・ロシアがシリアにコミットする理由
 1) ロシアの影響力維持=GRUの武器販売ルート保持
 2) プーチンの仕返し=スノーデン事件でオバマの不始末のためメンツをつぶされたから。
 3) ソチオリンピックの自爆テロ阻止=
   a) 1861年ロシアがコーカサス地方を平定しオセチア人を通じて統治
   b) 中東で鍛えた中東チェチェン人と本国チェチェン人の協力により、チェチェン人の独立戦争で1996年実質独立達成。その後中東と本国で内乱。本国チェチェン人が圧倒的不利になる。
   c) 本国チェチェン人がプーチンと組み、中東チェチェン人を皆殺し。その隣がソチ。
   d) チェチェンには7代前までの仇を討つ血の掟がある。
   e) シリアが混乱すると、中東チェチェン人の拠点ができてテロが起こる可能性がある。

・中国は顕在化した危機。尖閣を武力奪取してくる。日本は1895年閣議で編入したと主張しているが、これは秘密閣議で、公開したのは1952年。
 沖縄の内外問題=石垣・八重山等は沖縄本島の植民地だった。
 沖縄のリズムは8886→天皇陛下の琉歌は国家統一のため
 日台漁業協定・尖閣国有化は沖縄を激怒させた。→沖縄独立への道→国家統合の危機

・現在の政権は反知性主義=決断主義の裏返し

・ロシア人は本を読むので書籍発行は増加している。
 ロシアの経済=1.贈与 2.相互扶助 3.商品経済
 ペテン師率 モスクワ5%、ソチ40%、クリル諸島98%

・北方領土については 朝日デジタル7/19「東郷・パノフ共同提言」が参考になる。
 参考文献「日ソ国交回復秘録 北方領土交渉の真実」朝日選書

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