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『潜入ルポ 中国の女』

『潜入ルポ 中国の女』
福島香織
文藝春秋、2011/2/22、¥1,500(L)

 「エイズ売春婦から大富豪まで」と副題にあるように、様々な中国の女性について取材を重ねたルポルタージュ。特に印象に残ったのは、中国には都市戸籍と農村戸籍の厳然とした区別があり農民が非差別階級として固定化されていること、強烈な男尊女卑思想があり人身売買がまだ多く見られること、同時にセクハラ・レイプが当たり前で女性の人権は存在しないに等しいこと、男子を生まなければ女性は存在価値がないこと。
 もちろん本書の内容だけが中国のすべてではないが、現代といっても実態は倉山満の言うように古代と中世を繰り返しているだけなのではないか、と思わせられる内容だった。また、身の危険を顧みず中国女性の実態をここまで詳しく調べた福島の胆力には敬服するしかない。

●[エイズ村として有名な文楼村には] ときどき天津や北京の製薬会社の人間が勝手に薬を持ち込んで、非合法の臨床試験を行っているらしい、ということは、呉月から聞いていた。その副作用で、村の老人が失明し、先月末には死んだという。[略] 私たちには、こういった情報の裏をとるために、警察や県政府に問い合わせをする権利がない。この農村は外部に開かれていないのだから、外部から問い合わせしたり事実を調べたりすることは基本的にできない。(pp.59-60)

●中国では50年代に整備された独特の戸籍管理制度が今も続いている。農村部に生まれた子供は農村戸籍となり、都市で生まれた子供と区別される。都市への人口集中を避けるため、というがこれは中国版アパルトヘイト(人種隔離政策)であり、事実上の身分差別制度といえ、農民の移動や就職選択の自由は大きく制限され、農民を貧しいままにしておく重石となった。90年代に入り、農民の都市への出稼ぎは比較的自由になったが、それでも農民戸籍のままで暫定居住証という都市居住資格だけを持つ二等市民に据え置かれ、都市住民が当然受ける医療・福祉・教育の恩恵を受けられず、安価な労働力として搾取される対象だ。中国の経済は農民という"国内奴隷"を利用して発展してきたと言っても過言ではない。[略] 農村では娘の地位は低い。しかし、大学を卒業して都市の仕事につけば、男女に地位が逆転することもある。(pp.64-65)

●中国人口の半分以上は農民であり、農村には中世封建時代と変わらぬ厳しい男尊女卑の価値観がねづいているのが現実だ。売春婦は、世の中でもっともいやしい職業のくせに金を持っている、という意味でしばしば、低層社会の敵意の的にもなっていた。[略] 売春婦の殺害や失踪はしばしば発生している。ただ、警察が事件として取り扱わないし、関係者も事件として告発しないから、表に出てこないだけだ。(pp.84-85)

●「客の子を妊娠したのよ。もう三年くらい前かしら」[略]
「で、生まれた赤ん坊はどうしたの?」と私。
「生まれてすぐ売ったって」とこともなげに言った。(p.96)

●胡蓉は1971年生まれの、恐らく中国初の女流少年漫画家である。[略] 彼女は日本の女流漫画家の大御所の一人、佐伯かよののアシスタントを経験しながら日本流のストーリー漫画を学んだ。彼女が日本でのデビュー単行本『ZERO CITY』を上梓したときは、一部日本のメディアもインタビュー記事を組んだ。(pp.182-183)

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