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『ラノベのなかの現代日本 ポップ/ぼっち/ノスタルジア』

『ラノベのなかの現代日本 ポップ/ぼっち/ノスタルジア』
波戸岡 景太
講談社現代新書、2013/6/20、¥777(八重洲BC)

ライトノベルの興隆を起点として、戦後日本における若者たちの意識の変容を読み解こうとした本。

アメリカ文化をそのまま受け入れたポップカルチャーの時代→村上龍・村上春樹に代表されるポップの相対化→アメリカ文化を日本的に受容するオタクの時代→オタクを拒絶し(アメリカ文化を拒絶し)故郷の喪失という現実を取り入れたエヴァなど世界系→世界に一人で相対する「ぼっち」の時代
おおまかにはこのような認識のもとに書かれている。

そもそも、序章で「ラノベを読んだ大人がどれくらいいるだろうか」、とさも大人はラノベを読まないような考えでいることから、著者の意識の古さを感じた。いや、普通に読んでるし。

本書の分析で面白かったのは龍と春樹の違いで、龍はアメリカ文化を消費者の立場で読み解き、春樹は生産者・流通の立場で読み解いて、それぞれ小説という形で世に問うたという点。反面、タイトルにもなったライトノベルやオタクについては、あまりぴんとこなかった。引用しているライトノベルが少なくて偏りがあり、たぶん著者はもともとライトノベルを読まない人なのだろうと推察できる。また、オタクについての評論が、「オタク遺伝子がない」オタクwannabeである村上隆からの引用であったりして、著者も(多分)オタク遺伝子がないために、本書の記述のすべてが何か決定的にズレてしまっている。

また、「ぼっち」というキーワードでラノベと現代日本を読もうとしているが、べつにラノベは「ぼっち」物だけではないし、ちょっと無理があるのではないか、と思った。たぶん、時代の変化、というのは東浩紀や北田暁大らの分析のほうが説得力があるのではないか。

著者自身が(多分)よくわからないのに無理にラノベについて書かず、龍と春樹を中心に分析をする本にすれば面白かったと思う。そして、ラノベについて知りたいなら、ラノベを読めばよい、というのが本書を読んだ感想。それとも自分の読み方自体がずれてるのか?


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