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『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』

『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』
山田修
ぱる出版、2013/4/13、¥1,575(有隣堂亀戸)

『エクセレント・カンパニー』や『ビジョナリー・カンパニー』といった経営書は、コンサルが適当に書いた本で実際には使えず、その後の経過を見ても決してエクセレントだったりビジョナリーだったりしない、ということを実証する。その上で、実際に使える経営戦略をたてる方法を提示する。

大変参考になり、一部ぜひ使ってみたいところもある本。

▲2001年12月にFast Companyというアメリカのビジネス誌が『トム・ピータース、真実の告白』というインタビュー記事を掲載し、その中で著者とム・ピータース自身が、
「『エクセレント・カンパニー』の中で我々はデータをねつ造した」と認めてしまった。
「あれはマッキンゼーのゴミ箱から出て来たガラクタで、『ヒップ・ポケット・プロジェクト』、まったくのでっち上げだったんだ」とまで語っている。(p.5)

▲経営セオリーについて:まずひとつは、経営セオリーには流行りがある、ふたつは、いくら流行って人気があるセオリーでも、すべてが正しいとは限らない。(p.5)

●リゾート再生を受託すると、星野社長には定型的な初期の経営ステップがあります。それは次のようなものです。
1. 現場の社員と「個別面談」を行う。
2. そのリゾートに関する徹底的な「市場調査」を行う。
3. そのリゾート個別の「コンセプト」を現場の社員たちにたてさせる。
4. 「コンセプト」を承認した後は「信頼して任せる」。
 これら4つのステップの中で、星野社長が最も重要だと考えているのが実は「コンセプト」作りなのです。だから、星野社長の再生経営術とは、実は「コンセプト経営」と呼ぶことができるのです。(p.47)

●並行して、徹底した「市場調査」を行います。再生するその施設の従来顧客や、見込み顧客を対象として、一連のアンケートや聞き取り調査を行うのです。これには、ホテル経営学MBAとしての星野社長のマーケティング知識が総動員されます。加えて星野社長夫人もマーケティングでは指折りのとある米国経営大学院のMBAで、現在は大手国産自動車メーカー本社で市場調査部門の執行役員を勤めているほどの専門家だという環境があります。市場および顧客調査における星野社長の造詣は日本屈指と言っても過言ではないでしょう。
 しっかりと設計された市場調査を徹底して実施すると、その調査結果を分析すれば、「基本的にどんなことをすればよいのか」、「どんな方向に進んでいけば良いのか」が導き出されます。これを星野社長は「コンセプト」と呼び [略] 「すべてはコンセプトから始まる」と考えています。「コンセプト」とは、「充分に起こりうる可能性」という性質を持ちますから、実はひとつの市場調査からいくつかの可能な「コンセプト」を読み出すことができます。
 星野社長が企業再生に置いて巧みなところは、そのいくつかの「コンセプト」を自分で当該施設の従業員たちに押し付けないこと、なんですね現場の支配人や核となる従業員を何人か選び、グループとしてその事業所の「コンセプト」を考えさせるのです。実施した市場調査のデータや結果を使って状況を分析、討議していくと、マーケティングの専門家でなくとも同じような結論ー「コンセプト」ーに到達するものです。その市場調査が周到に練り上げられたものなら、ますます結論は出しやすい。ましてや、星のリゾート社の練達した社員が参加して討議の方向をファシリテート(舵取り)していきます。[略]
 従業員たちが用意した、その施設の再生のための「コンセプト」について、星野社長は「それは何でもいいんだ」と言っています。「従業員たちが用意し、自分が納得できればいいんだ」とも言っています。それは、例の市場調査であらかじめ導かれていたいくつかの「コンセプト」ーそれは星野社長には事前に見えていますーのどれかに落ちれば良いということです。[略]
 従業員たちはその「コンセプト」を自分たちで討議して考えだしたのですから、納得感があるし、思い入れさえできている。その「コンセプト」に沿って威信腐乱に現場の改善にいそしむ、という構図です。ですから星野経営とは、とても効率の良い「ヒット・アンド・アウェイ経営」だとも言えるのです。(pp.49-51)

☆非常にわかりやすい分析で説得力がある。

●「全員参加型」の戦略立案を推奨したり、そんなことがあり得るかのように書いたものを見かけますが、そんなことは経営現場の実情にそぐわないことです。経営戦略の立案と言うのは、企業の盛衰を決定する重要な行動なので、経営責任者自身あるいは少なくとも経営者を中心とした少数のマネージャーたちによって立案されなければなりません。(p.55)

☆同意。

●ランチェスター戦略の最大の美点は、「弱者の戦略」という考え方を示していることです。(p.70)

☆一点突破、全面展開。

●私自身は[略] 3C分析だけがあれば経営者には十分だと考えます。3Cとはカンパニー、コンペティター、カスタマーの3つです。それぞれのCで重要なことと言えば、(自社の強み)、(競合の強み)、(重要顧客の要望)ということです。これらにより、当社の進むべき大きな方向を決めます。[略]
(重要顧客の要望)では、特に「不」のつく言葉をさがせ、と言っています。顧客の不満、不便、不利益、不合理などを見つけて、それを解消してあげる方向を探していきましょう。(p.163)

☆自社に応用。

●GEの経営技法から日本の会社が学べることはどんなことでしょうか。それは、まずその「進取の姿勢」だと私は思います。いつも自社の現在の状況に満足することなく、次の大きな一手を考える、そしてそれはビジネスの現場での個別な対応策などではなく、経営全般に関わる大きな新技法を取り入れて、次の段階へと昇っていく、こんな経営者の「改革への欲求」という姿勢でしょうか。(p.203)

☆自分に必要なもの。

●ウェルチは「選択と集中」戦略だけでなく、「シックス・シグマ」(品質改善技法)や「ワークアウト」(問題抽出のための社員ミーティング)などの経営技法も積極的に取り入れました。成功する経営者とは、大技・小技を間断なく繰り出すものだということがわかります(p.207)

▲私は、経営者が実行している無数の経営行動の中で、企業の成功のためには特に重要な次の4つの要素があると考えました。
1. 成長戦略
2. 組織効率
3. モチベーション
4. コミュニケーション
このうち、123はかけ算の関係で1×2×3で全体としての結果が出る、4は123のすべてを支える基盤。(p.219)

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『日本人のための世界史入門』

『日本人のための世界史入門』
小谷野敦
新潮新書、2013/2/15、¥819(八重洲BC)

歴史は偶然の連続、歴史家はなんでも理屈をつけすぎる、といった独自の思想に基づいて世界史について綴った本。「世界史入門」とは言うものの、「僕の考える世界史」と言った趣で、真剣に読むのはちょっとおすすめできない。また、読んでいるうちに著者が色々話題を提供している人物ということに思い当たり、真剣に読むのをやめた。とにかく自分以外のすべての思想が嫌いだということは伝わってきた。

あまり参考にはならない。

●歴史哲学に限らず、現代においては、深い意味がないところに深い意味を探ろうとする人が多く、それが悪化して、例の「ニューアカデミズム」とかポストモダンといった空騒ぎを生み出したのである。(p.29)

☆著者の一貫した考え。

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映画『モネ・ゲーム』

映画『モネ・ゲーム』
ユナイテッド・シネマ豊洲
監督:マイケル・ホフマン
脚本:ジョエル・コーエン 、イーサン・コーエン
出演:コリン・ファース、キャメロン・ディアス、アラン・リックマン

学芸員のハリーが、大金持ちのジャバンダーにモネの名画『積みわら、夏の終わり』の贋作を売りつける詐欺を計画し、アメリカテキサスのカウガールPJを巻き込んでドタバタを演じる。

脚本がコーエン兄弟。コメディとして見る分にはいいがちょっと緻密さに欠ける印象がある。Savoyホテル内でパンツ一丁で歩き回ったり、他人の部屋に入ったりして見つかるところ等、普通なら逮捕されるはずだが、映画内では簡単に流されているなど詐欺の映画としては破綻しているように思った。
一応の結着を見た後、最後にもう一ひねりあるが、これも事前にある程度予測がつくように作られている。もう少し演出で工夫できたのではないか、と残念。(それともわかるように撮ったのか?)

アランリックマン(ハリーポッターのスネイプ役)がジャバンダーをバカっぽく好演。

佳作。

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『いつやるか? 今でしょ!』

『いつやるか? 今でしょ!』
林修
宝島社、2012/3/10、¥1,260(くまざわ錦糸町)

流行りなので買ってみた。

予備校講師は人気商売なので、大変な工夫をしているとは思うが、どんな心構えでいるのかなど興味深い内容。旬の人の書いたものは一応目を通すべきだな、と思った。

●「プロ」である我々が「わかりやすい授業」をするのはあまりにも当然のことであり、それは前提にすぎません。にもかかわらず、それが目的になっていた自分を恥じました。
 予備校の授業時間よりもずっと長い受験生の日常時間に、彼らが「行進」すなわち勉強をしようという思いをかき立てることこそが、我々の真の仕事だとようやく気づいたのです。(p.3)

●表情力をアップするためのポイントとは、具体的には次の二つです。
 1. 人間は、自分の顔をわかっていても、細かい表情までは絶対にわからない。したがって、記録手段を利用して、定期的に確認すべきである。
 2. 表情にはどうしても内面が表れる。したがって、内面の活性化が表情力アップの最大のカギを握っている。(p.36)

●僕の場合、自分の出演したテレビ、あるいは自分の映像授業を見ていて、舌をペコちゃんのように出す悪い癖を見いだすことができました。それだけでなく、間のよしあしや話し方の癖などいろいろな欠点もよくわかって、改善に努めました。確かに自分のビデオを見るのは照れくさいし、人から見たら「ナル〜」と言われかねない行為です。でも、自分の対外的な魅力アップには不可欠な行為でもあるのです。[略]
 人が見ている自分こそが本当の自分であるーそういう自分を確認する技術が開発されたのですから、上手に活用しようではありませんか。(p.38)

●自らの表情力のアップを意識し、さらには実践に努めるようになったあとで、さらに認識すべき事実があります。それは、「人には利き手同様に『利き顔』がある」ということです。(p.41)

▲第一印象力を高めよ!
 人間は無意識に相手を頭の中のいくつかの「ゾーン」に振り分けて生きている。その振り分けはたいてい最初の出会いのときに行われて、その後の関係の中で他の「ゾーン」への入れ直しはなかなか行われない。だから、一回目が勝負!という感覚を持って生きなければならない。
 もちろん、授業の内容が最重要だが、いくら内容が良くても「あの先生、なんか生理的に受け付けなくて」女子高生にこう言われたら終わり。死刑宣告。だから第一印象力を高めなければならない。その中で外見が一番変えやすい。最大のキーワードは「清潔感」これにつきる。
 1. 髪:最低でも月に一度は調髪に行くこと。すてきな髪型の女性に店を教えてもらう。
 2. 顔:「アブラぎった」は最大の否定語→ちょっと高いな、と思う洗顔石けんを思い切って買ってみる。ヒゲはそる。
 3. 香り:女性の方がうんと嗅覚が鋭い!まず口臭を徹底的に消すこと。ついで香水をつけて反応を確かめる。梅雨時や冬のスーツのにおいもケアーする。何のための「ファブリーズ」か?
 4. 洋服:安くてもいい、とにかく「折り目正しい」ものを着よう。アイロンが苦手なら形状記憶のものを利用。
 5. 靴:とにかく磨くこと!一拭きするだけでピカピカになる便利なグッズもある。
 6. 小物:ポイントはハンカチ。アイロンは必須、持っていないのは論外。
 7. 手:ここまで神経が行き届くのは上級者。爪を磨き、手の「質感」もキープする。カサカサした手はダメ。しっとりした手は、女性の心をわしづかみにする。
 歯・靴・爪を磨いて、男を磨け。そういってもいい。この7ポイントが外見の印象を大きくアップする。(pp.45-46)

●相談者は多くの場合、すでに答えを用意しながら、あえて相談しているのです。この傾向は、特に女性に顕著です。
 そして、自分の思っている通りの答えを言ってくれる人のことを「あの人はいい人だ、自分のことを本当によくわかってくれている」と評するのです。[略]
 1.とにかく相手の話を良く聞くこと。おかしいなと思っても遮らずに、最後まで話を聞くこと。→これが最重要!これだけで解決することすらアリ。
 2. 相づちには感情を込めること。相談者は気のない相づちには非常に敏感です。「なるほど」、「そうなんだ」など、ある程度言葉を変えながら、真剣に対応すること。→これも案外重要です。けっして手抜きしないように。
 3. 相手の答えを読み取って(たいてい簡単に読み取れます)、それをさも自分の考えのように言ってあげること!カッコいい言葉をちょっと足してあげると、もう効果抜群!(pp.54-55)

▲できる生徒とできない生徒の差の1つめは視線の問題。できる生徒は現場を徹底的に見ていて、なかなか視線を切らない。(p.60)

▲僕がギャンブルから学んだのは、「流れをとらえる眼」と「縦の勝負と横の勝負の感覚」。
 いい流れなんて、滅多にくることはないからそれに乗り切れないようでは成功できない。そして流れは必ず変わる。
 勝利の酔いーそれこそ敗北の序章。酔わず、驕らず、浮かれず。
 悪い流れは意外と飽き性、そう信じて耐える。焦らず、腐らず、諦めず。
「普通」は今の時代絶対ダメ。「普通」とはいつでもほかの人と取り替え可能という評価にすぎない。 
「勝ち易きに勝つ」(孫子)道を選べ。「たいした努力をしなくても勝てる場所で、努力をしなさい」
「幸福の秘訣は自分がやりたいことをするのではなく、自分がやるべきことを好きになることだ」(イギリスの劇作家ジェームズ・バリー)
 本当に得意な分野はそんない多くはない→大切なことは、僕はこれしかできません、でもこれでは誰にも負けません、と胸を張って言えること。 
 負けから学ぶこと、そして時に潔く負けること。自分の負けパターンを知っている人は強い。こういうときはマズい、修正を図ろう、あるいは撤退だ、と迅速かつ冷静に判断できるから。
 麻雀は縦の勝負・縦の視線=自分の手牌、と横の勝負・横の視線=ほかの3人の手牌、の勝負。
 縦の視線と横野視線のバランスは、仕事によって変わるべきもので、自分のタイプとあわせて冷静に判断する。(pp.150-180)

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『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日』

『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日』
門田隆将
PHP研究所、2012/11/24、¥1,785(丸善日本橋)

表題通り、東日本大震災時福一所長だった吉田を中心に、事故処理にあたった所員らの動きを追ったノンフィクション。事故の是非については色々意見はあろうが、吉田所長に人望があり、事故当時彼らが命を賭けたことで最悪の事態をなんとか回避したということは評価するべきだろう。

本書はまた、「現場は優秀トップは無能」という常々指摘される日本人の特性を余すことなく表したケーススタディとも言え、他山の石とすべき事例でもある。

●吉田は、こう語る。
「海水注入なんて、誰でもすぐできると思っているかもしれませんが、そんなことはないんですよ。それを簡単にできるかのようにおっしゃる方もいますが、そういう話を聞くと、憤りを感じますね。現場が、どんな気持ちで水を見つけ、そして進路を確保してやっているのか、そういうことをまったくわからないまま、想像もしないまま、話していますからね。頭で考えるよりも、時間はいくらでもかかるわけです」(p.101)

●海江田大臣と小森常務の[ベントについての]記者会見について、池田 [副大臣・現地対策本部長] はこう語る。
「東電は安全性を確保するために規制当局の判断を仰ぎながら、少し(圧力を)出す、ということでしたが、やはり、ここに東電の経営姿勢が凝縮して現れていたわけです。規制当局の判断に従って、少し出すんだ、ということですからね。これは、やはり私が言うように東電が責任を持ってやるべきことでしょう。しかし、東電というのは、そういう会社なんですよ。当事者なのに当事者意識が薄いと言っていい。それをそのままにして、政府が先に出すぎたように見えましたね」(pp.109-110)

●池田自身が現地に到着し、オフサイトセンターが立ち上がってから、まだ何時間も経っていない。そんな段階に総理がやってくるとは、どういうことなのか。[略]
「最初の72時間は最大限、救出活動に全力を挙げるというのが世界の常識です。それなのに、総理が原発にやってくるということがわかりませんでした」(pp.131-132)

●本店に [総理視察用装備の余裕が] ないのならば、「工夫しろ」「探せばどこかにあるだろう」という頭が吉田にはある。必死で事態に対応している緊急時対策本部としては、"総理ご一行様"を迎えるために現場の作業に必要なものまで割くわけにはいかなかったのである。(p.138)

●ヘリが着陸して、さあ降りようとした班目は、ここでむっとすることがあった。
「まず総理だけが降りますから、すぐには降りないでください」
 一行は、すぐにはヘリから降りることを許されなかったのだ。管首相が現地に視察に来たことを「撮影」するためだった。原発の危急存亡の闘いのさなかに、「まず撮影を」という神経に班目は驚いたのである。(p.144)

●このとき、管のすぐ近くにいた池田はこう語る。
「現場で作業を終えて帰ってきて(検査を受けるべく)待っている作業員の前で、"なんで俺がここに来たと思っているんだ!"って怒鳴ったんです。一国の総理が、作業をやっている人たちにねぎらいの言葉ではなく、そういう言葉を発したわけでね。これは、まずい、と思いました」(p.150)

●吉田は、現場のトップとして、次々と新たな手だてを打たなければならなかった。六基の原子炉を抱える福島第一原発の所長として、それぞれを制御している責任者である。
 だが、本店とテレビ会議でやり合っている途中、あるいは、現場で部下たちに指示を与えているさなかに、官邸からの電話が入ってきたのである。しかも、それが、
「官邸がもう、グジグジ言ってんだよ!」
というレベルのお粗末な話である。なんで"素人"の理不尽な要求が直接、現場の最前線で闘っている自分のところに飛んでくるのか。吉田は、そのことが腹立たしくてならなかった。(pp.220-221)

●班目は、東電をこう批判する。
「私、言っておきますけど、政治家には多分に同情的なんです。だって、専門的なことは政治家にはわからないんですからね。私は官邸にずっと閉じ込められていますから、官邸側と同じような心理状態なんです。それに対して、東京電力や保安院なんかについては、ものすごい不信感を持ってます。当時、官邸は東京電力をまったく信用していない。なに言ってるんだ、東京電力は、という思いになっていたのはよくわかりますよ」(p.261)

●現場の人間の旨に次の言葉が突き刺さった。
「撤退したら、東電は百パーセントつぶれる。逃げてみたって逃げ切れないぞ!」
 逃げる?誰に対して言っているんだ。いったい誰が逃げるというのか。この管の言葉から、福島第一原発の緊対室の空気が変わった。
(なに言ってんだ、こいつ)
 これまで生と死を賭けてプラントと格闘してきた人間は、言うまでもなく吉田とともに最後まで現場に残ることを心に決めている。その面々に、「逃げてみたって逃げ切れないぞ!」と一国の総理が言い放ったのである。(p.263)

●およそ六百人が退避して、免震重要棟に残ったのは「六十九人」だった。海外メディアによって、のちに"フクシマ・フィフティ"と呼ばれた彼らは、そんな過酷な環境の中で、目の前にある「やらなければならないこと」に黙々と立ち向かった。(p.278)

●日本だけは、「テロの対象」になり得ない、あるいは、日本では原発がミサイル攻撃を受けるはずがない、という幼児的とも言える楽観思考は、原子力行政にあたる指導者として、あるいは実際の原子力事業にあたるトップとして「失格」であると私は思う。(p.370)

●私は、事故以来、巻き起こった反原発運動の凄まじいエネルギーを「当然」と思う反面、火力発電などで起こる地球温暖化などの環境問題について指摘する声が急になくなったことも、恐ろしいと思っている。
「極端」に流れるのではなく、代替のエネルギーができ上がるまで、資源小国の日本がなんとか成り立つ方策は何か、国民全体で冷静に知恵を絞らなければならないと思う。(p.372)

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『愚者のエンドロール』

『愚者のエンドロール』
米澤穂信
角川文庫、2012/10/1、¥560(T東大島)

古典部シリーズ第2巻。文化祭に出展するクラス制作の自主映画、廃屋の密室で少年が腕を切り落とされて死んでいた。しかしそのトリックを明らかにしないまま脚本家役の女子高生はダウンしてしまい、そのトリックを古典部が明らかにする。

特に可もなく不可もなく。


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『抜擢される人の人脈力』

『抜擢される人の人脈力 早回しで成長する人のセオリー』
岡島悦子
東洋経済新報社、2008/12/12、¥1,575(丸善日本橋)

発行が少し前になるが、丸善で平積みになっていたので購入。

表題通り、どのように人脈を作り、それを駆使して上を目指すか、という上昇志向の本。すごくギラギラした感じが伝わってくる。著者の言う人脈スパイラルモデルは次の5ステップ。

1. 自分にタグをつける(自分が何屋なのか訴求ポイントをはっきりさせる)
2. コンテンツを作る(「お、こいつは」と思わせる実績事例をつくる)
3. 仲間を広げる(コンテンツを試し合い、お互いに切磋琢磨して、次のステップを共創する)
4. 自分情報を流通させる(何かのときに自分のことを思い出してもらうよう、種をまく)
5. チャンスを積極的に取りにいく(実力以上のことに挑戦し、人脈レイヤーを上げる)(p.9)

シンプルでわかりやすいので、一つの考え方として参考になる。

●蛇足になりますが、私は困ったときにはいつも「敵を押ささえるには、まず胃袋を押さえろ」という母の教えを信じて実行しています。(p.30)

☆人間の本能をついて本音を引き出す。

▲アメリカのビジネスパーソンには、若い頃から、相手目線のキャッチコピーを考え、「自ら機会を創り出すための努力をする」という人脈作りの習慣が根付いている。→「私はこれができます」という「自分目線」ではなく、「その事象に対し、自分はどのような貢献ができるか=あなたから見てもオトク」という「相手目線」の説明をする「購買支援型」のモデル。(p.36)

☆自分の売り込み方。

●「チャンスの女神には、前髪しかない」とよく言います。女神が来たら「えいっ」と飛び込む勇気が必要です。そのためにも、いつ女神に出会っても、期待に応える結果を出せるように、能力や武器を磨き、いつでも発揮できるように準備しておくことが必要です。この手の抜擢のチャンスとは、すなわち「誰かに買いかぶられて、実力以上のことに挑戦する機会」です。(p.54)

●仕事に必要なのは「自分と相手の双方にメリットをもたらすWin-Winの関係」です。[略] ビジネス人脈の要件として
・ギブ&テイクの関係が成立することを双方が認識している
・お互いへの期待値がどこかで合致している
・一定の期間限定の可能性もあり、関係の永続性を前提としない
といったことが挙げられます。この前提を崩す「ちょっとくらいなら、いいじゃない」というような甘えは、ビジネス人脈の関係ではせいりすしないのです。フリーライダーな人、というレッテルを一度貼られてしまえば、人脈仲間での強い口コミの中で、コミュニティから排斥されることもあり得ます。(p.61)

▲タグはWill、Skill、Valueから考える:
 1. 将来どんな仕事をしたいか(Will)
 2. 自分にできることは何か(Skill)
 3. 相手にどんなメリットをもたらすか(Value)(p.102)

●「ギブ&ギブ。ずっと後になってからでもいいから、何かテイクできればラッキー」くらいの気持ちが必要。(p.135)

●コンテンツの市場価値=能力×実績×意欲 で評価される。(p.139)

●勉強会で身に付く「メタ認知力」「複眼思考力」:
勉強するときにもいえることですが、一定のインプットをした後は同程度のアウトプットをしたほうが学習効果が上がります。[略] 誰かに話すことで知識が定着したり、理解がより深まるということが、よくあります。[略] そして、さまざまな集まりの中で話す効果として特に大切なのが、「自分が何をわかっていないか」がわかることです。(p.171)

▲勉強会や集まりは、誰でも参加できるオープンなものではなく、できるだけ招待性のクローズドなものでなければならない。ディスカッションの質を保ち、より生産的なものにするためには、メンバーが週通力を発揮しやすい場にしておく必要があるため。できれば4〜5人の少人数ー最大でも8人くらいにしておくべき。(p.176)

●では、「上昇気流が吹いているかどうか」は、一体どのように判断していけばいいのでしょうか。その目安は、「今までやれそうもなかった仕事に挑戦できそうなとき」「これまで会えそうもない人と話をするチャンスが生まれたとき」です。(p.217)

☆人脈上昇のためのノウハウいろいろ。


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『万能鑑定士Qの短編集II』

『万能鑑定士Qの短編集II』
松岡 圭祐
角川文庫、2012/12/25、¥580(L)

凛田莉子短編シリーズ第二弾。短編でテンポよく進むので、さらっと読み終わる。ひねったトリックはないので、各編読み始めてだいたいどのような内容か推測はできるが、だから面白くないといったことはない。

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『チャイナ・ギャップ』

『チャイナ・ギャップ 噛み合わない日中の歯車』
遠藤誉
朝日新聞出版、2013/2/28、¥1,785(丸善日本橋)

チャイナシリーズ第三弾。尖閣問題の発端と、カイロ密談から中国側の矛盾を明らかにする。『チャイナナイン』『チャイナジャッジ』の前二作に比べ、資料発掘とその解説という面が強く、物語性はそれほどないが、著者の執念を感じる良作。

1943年カイロにおいて行われた米ルーズベルト大統領と、中華民国蒋介石主席の会談において、蒋介石が尖閣諸島を含む沖縄諸島の領有権を放棄していることを明らかにし、その施政権を継承した中華人民共和国においてもすでに尖閣諸島の領有権はないことを、アメリカの公文書から解明していく。大変緻密な議論で、おそらく論理的には中国側はもはや領有権の主張はできないだろう。

他の中国関連書の著者にはない、実体験に裏打ちされた中国人の思考パターンをしっかりと明らかにしているところなど、説得力のある良書。

●まず最も決定的な事実は1943年における「中華民国」の主席・蒋介石と、アメリカのルーズベルト大統領の間で交わされた「機密会談」である。まさに密室における「決定的な会話の記録」を、なんと『中国共産党新聞網』と『新華網』が暴露しているのを見つけた。暴露した日付は2008年1月16日。[略]
>1943年11月23日よる、エジプトのカイロで、蒋介石とルーズベルトがひそかに会ったときに、ルーズベルトが蒋介石に「琉球群島を中華民国に上げるよ」といったのに、蒋介石は拒否してしまった。2日後の25日夜に、ルーズベルトは再び「米中で共に日本に出兵し日本を占領しようではないか」と持ちかけるが、蒋介石は再び断ってしまう。しかし蒋介石は拒否したことを後にひどく公開した。(pp.10-11)

●アメリカ国務省の公文書館の奥の奥に、きちんと「カイロ密談」に近い「カイロ宣言に至るまでの議事録」のようなものが残っているではないか!そこには『中国共産党新聞網』と『新華網』にある内容とほぼ同じ記録が会ったのである。[略] これは私たちに何を教えてくれるのか。それは、
「中国(中華民国)は中国共産党を倒すことを優先して、自ら沖縄の領有権を放棄した」と結論づけていいことを示しているのである。(p.14)

☆しっかりとした証拠に基づく議論。

●あの [1971年の忍者外交の] ときキッシンジャーは周恩来に、「日米安保条約は日本の暴走を押さえるために存在している」と囁いている。そして「アメリカ軍が日本から引き揚げてしまったら、日本はまた軍国主義国家として暴走する危険性がある」という趣旨のことを言っている。(pp.20-21)

☆アメリカの一面の本音。

●反日デモで、なぜ「中国の若者が、あそこまで暴力的になれるのか」と、恐ろしく思うと同時に、不思議にさえ思った日本人は多いと思うが、共産党の性格そのものの中に、最初から「暴力」があったことを、認識した方がいい。もちろん改革開放によってそれらは否定されたが、しかし「革命の血」の中にたぎる、「暴力的要素」は、あの大地の底にまでしみ込んでいる。(p.35)

☆共産党の本質。

●[キッシンジャーと周恩来の会談の] 内容がアメリカで公開されたのは2001年になってからのこと。[略] それによれば、キッシンジャーは終始に本に対して厳しい見方をしており、「日米安保条約は日本の暴走を抑えるために存在している」という趣旨のことを周恩来に何度も述べている。「日本が経済大国として発展していけば、必ず"軍事大国"としての野望を果たそうと無謀な夢を抱き始めるだろう」とアメリカの二歩に対する警戒感を吐露しているのである。(p.40)
●日本が完全にアメリカの傘の下で守られていると信じて日米安保条約のために膨大な経費を注いで在日米軍基地を重要視していたとき、なんとアメリカは中国と裏で手を握って、日本を危険視し、「在日米軍は日本が再び再軍備へと暴走しないように抑え込むために置いてあるのだ」と、キッシンジャーは周恩来に言ったことになる。日米安保条約とは、「真珠湾攻撃をしてアメリカに多大な損害を与えた暴れ者、日本を再び暴れださないようにするためのものだ」と言ったに等しい。
 だからこそ周恩来は、日中国交正常化にあたって「日米安保条約」に言及しなかったのだろう。それを破棄せよとは要求せず、破棄を要求したのは日本が「中華民国」との間で交わした終戦協定に相当する「日華平和条約」だけだったのだ。このキッシンジャーの日本観は中国に深く根を下ろし、今もなお米中関係を濃密にしていることを見逃してはならない。(p.43)

☆アメリカと中国の本音。

●[『周恩来・キッシンジャー機密会談』を読むと] キッシンジャーが周恩来との密談で、「日本は戦略のない国」と酷評したことは、頭の片隅にでも置いておいていただきたい。
 日中国交正常化に関しても、日本はこのとき長期的世界戦略やグランドデザインがあって動いたのではない。背後でご苦労なさった方は別として、田中角栄の「勢い」で「よっしゃ!」とばかりに動いた要素が大きい。(p.44)

☆よく言われる日本人の欠点。

●ソ連が崩壊した瞬間に、中国は態度を180度転換させた。そのため時系列表の1991年と1992年の間の線だけは太くしてある。ここにターニングポイントがあるからだ。[略] 中国が領有権に関する主張を「日本」に対して展開し始めたのは「1992年」である。ソ連が崩壊した翌年だ。ソ連さえいなくなれば、日本との関係はそれほど重要ではなくなる。もう怖いものはない。だから1992年に領海法を成立させた。72年や78年の時のような「棚上げ」も、もう必要ない。日中国交正常化の時の中国の外交戦略であった「韜光養晦」は、この時点で捨てたのである。(p.117)

☆中国は一貫した戦略に基づいた外交を展開している。日本はそれにどう対抗するのか?

●現在の中国の若者たちの反日デモにおける暴挙は、荒(すさ)ぶる大地の中に根を下ろした、この「退路を断たれた農民が、より凶暴でなければ自らが血祭りに上げられる」という恐怖から来ていると考えるとわかりやすい。いつでも「より強暴であればあるほど、糾弾が激しければ激しいほど、革命的である」と英雄視される土壌からきている。私はこれを「大地のトラウマ」と名付けて、これまで何度も論じてきた。(pp.193-194)
●日本のチャイナ・ウォッチャーは反日デモがあると、すぐに「ガス抜き」という言葉でこの現象を安直に片付ける、あるいは「共産党の基盤が弱くなったので、反日に目を向けさせて関心をそらしている」という訳知り顔の発言をする人が多い。私はこの二つの言葉とも嫌いだ。そんな言葉を使っている限り、中国の招待は絶対に見抜けないと、実に失望する。このような説明はただ単に日本人を一時的に安心させ納得したような気持ちにさせるだけだ。
 いまの中国政府が恐れているのは、実は半日デモであり反日暴動である。なぜならそこには「人民の声」が潜んでいるからだ。いかなるデモでも最終的には必ず矛先を政府に向けてくる。反政府ベクトルを持つ運動を政府が「やらせ」るだろうか。それを見抜かないと中国の実態も弱点も見えてこない。(p.196)

☆中国人の本質。

●[中国に残留した] 天皇のために闘っていた「皇軍」が、あっさりとその思想を捨て、天皇を「テンチャン」と呼べるかどうかで「革命度」を測るようになった。それを拒否した私の父は、この浅ましい日本人たちの激しい攻撃を受けた。革命度が高くないと今度は自分自身が標的にされるのを避けるためとはいえ、日本人はこういう環境に放っておくと、節操もなく変心することを私は身をもって体験している。(pp.343-344)

☆日本人の一面の本質。

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『春秋名臣列伝』

『春秋名臣列伝』
宮城谷昌光
文春文庫、2008/3/7、¥610(BO¥350)

中国春秋時代の名臣20人について宮城谷が書いた本。

●漢の時代に成立した『淮南子』という書物の中に、
 陰徳有る者は、必ず陽報あり。隠行(いんこう)有る者は、昭名(しょうめい)有り。
 という文があり、これが [楚の] 孫叔敖(そんしゅくごう)の逸話とむすびついて、広く深く人々の心をとらえ、成語として不滅になった。(p.179)

☆人に知られない善行をおこなった者に、天はそれに報いて福をさずけるという成語。

●組織が老朽化するのは歴史的事実である。(p.235)
 王朝もその例に漏れず、500年以上王朝が存続したのは古代にしかなく、そのひとつは商であるが、それは人が政治を行うというより神がおこなうという形態で、いわば神政王朝であり、商王朝より長くつづいた周王朝も政治に宗教的要素をもっていた。その宗教的要素を排除すると、王朝という組織はずいぶんもろくなった。(p.235)

☆では日本はどういう位置づけになるか。

●儒教が決定的に欠如しているのは、民の目、であり、儒教はつねに指導者の意識を保持し、いわば貴族の哲理である。支配する側に立ち続け、支配される側にたたない哲学である。それゆえ公共事業の有益とか社会福祉の意義などは大衆にかかわりあることで、儒教には、大衆の力はまったく措定されていない。(p.297)

☆晏子が孔子を嫌った理由。

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『アルゴ』

『アルゴ』
アントニオ・メンデス、マット・バグリオ、真崎義博 (翻訳)
ハヤカワ文庫、2012/10/4、¥861(八重洲BC)

映画で話題になっていたので、とりあえず原作を読もうと思って購入。

1979年11月、イラン革命時アメリカ大使館が占拠された。その際脱出した外務省職員・家族6人を脱出させるためCIAは映画製作話をでっちあげる。当時の作戦責任者がその詳細を明らかにしたノンフィクション。

6人脱出作戦は成功したものの、軟禁されている大使館員の解放交渉がうまくいかず無謀な軍事作戦にも失敗したカーター大統領に対して若干辛口なところがあり、著者の考えが透けて見えた。

奇想天外な話で大変面白かった。

●今回の [大使館占拠事件] ような事態が発生した場合、通常、国は四つの選択肢を検討することになるー公式外交(イランの革命政府を外交交渉の席につかせる作業を含む)、軍事攻撃、秘密外交、秘密工作である。(p.59)

☆今後アメリカの外交を見るときに参考になる。

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『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』

『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』
岩田松雄
サンマーク出版、2012/10/9、¥1,470

 元スターバックスジャパン社長によるリーダー論。俺についてこいではなく、下から支えるタイプのリーダー論。
 著者は最初に自らをリーダータイプではなく、リーダーシップは生まれつきのものではない、と述べている。しかし、いつの間にかリーダーを命じられるようになった、という経歴を読むと、著者はまさに「生まれつきリーダーシップが備わっている」にも関わらず、自分でそれに気づいていないことがわかる。それを読んだ時点で読むのをやめるか迷ったが、最高になる点もあるかと思って最後まで読んだ。

●細かい理屈はおいておいて、中長期的な目標は、直感でいい。(p.115)

☆これくらい[の売り上げ] はできるだろう、程度でよいとのこと。直感は結構正しい。

●大切なのは、「人を信じてもいいけれど、人のすることを信じてはいけない」ということです。人は時に前胃が得るのです。してはいけないことや、する必要のないことをしてしまう。ところが、それを理解せずに相手の言うことを鵜呑みにしてしまうと、今度は自分が痛い目に遭ってしまいます。 [略] 現場に近い仕事ほど、実は高いリスクを持っているのです。
 だからこそ、「人を信じてもいいけれど、人のすることを信じてはいけない」のです。たとえ部下にいやがられたとしても、細かなことだったとしても、たびたびチェックする。(p.139)

☆「すること」は細かく見る。

●私は、午前0時というのは、とても大事な区切りだと思っています。午前0時の前に寝ているか、寝ていないか、あるいは眠っていなくても目をつぶって休んでいるか、というのは、次の日のチア長に大きな影響を及ぼすと思っています。休むのが午前0時をすぎてしまうと、疲れが抜けきらないのです。(p.179)

☆寝る時間の目安。

●悪口を言うことは、むしろ自分をおとしめることになる可能性が高いことに注意をしておかなければなりません。(自分のこともどこかで悪く言われていると思われる)自慢話も同様です。(p.223)

☆口には注意。

●留学のための予備校で、校長先生がこう言われたのです。
「みなさんは今、大変だけど、来年の今頃は、もうアメリカのどこかのビジネススクールのキャンパスの芝生の上で寝転がっているのです。それをイメージしてみてください」
 この言葉で、ぐっと気が楽になりました。今は先が見えず大変だけど、一年後には、この苦しい状況が必ず終わって、どこかのビジネススクールには入学できている。[略] 時間が経てば必ずなんとかなってこの苦境から脱しているのだから、うまくいっている自分の未来を勝手にイメージすることも、時には重要だと思います。(p.246)

☆イメージの重要性。

●重要なのが、一つでも多くのリーダーを経験することです。できれば、会社でも、会社の外でも、リーダーになるチャンスがあれば、手を挙げてみてほしいのです。プロジェクトリーダー、チームリーダーなど、仕事のリーダーに限りません。飲み会の幹事でもいい。結婚式の二次会を仕切るのでもいい。ボランティアのリーダーでもいい。住んでいるマンションの管理組合の理事長をやるのでもいい。理屈だけで物事が進まない場所での経験は、きわめて重要です。
 これぞまさしくリーダーの経験。後に必ず生きてくる経験です。(pp.250-251)
●チャンスがあると思うなら、手を挙げてみる。(p.252)

☆経験を積むこと。

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『運をつかむ技術』

『運をつかむ技術』
澤田秀雄
小学館、2012/9/25、¥1,470(丸善日本橋)

HISの創業者でハウステンボスを再建した著者による経営論。タイトル通り「運」を大切にしており、純粋に理論的に考えて経営している訳ではない、ということがわかる。

●みんながハッピーでなければ、ビジネスは成り立たない。従業員だけハッピーでも、お客様だけハッピーでも、会社がつぶれては仕方がない。逆に、会社だけが儲けても必ずしっぺ返しを食う。お客様も、従業員も、取引先も、会社や株主も、そして地域も良くなっていくバランスを探ること。それこそが持続可能な企業の姿だ。(p.105)

☆持続可能性。

●失敗するのは悪いことではない。むしろ、後から振り返れば、以前に失敗したからこそ、そこで得られた経験を活かして大きな成功を収められたという構造になっていることが大半なのだ。(p.111)
 言い方を変えれば、事業をしている以上失敗することがごく普通で、当たり前で、日常茶飯事なのだ。(p.112)
 失敗を乗り越えられる人、失敗から新たなヒントを見いだせる人は、決して元気を失わない。元気が最大の財産であることを知っているからだ。(p.114)
 元気でいることには、それだけで価値がある。仕事でも遊びでも、やはり元気のいい人と向き合うと気分がいい。理由もなく、気分が明るくなってくる。[略] すると、乗り越えられないと思った壁を突破できるようになる。これが、シンプルだが、失敗を成功に変える方法なのだ。(p.115)

☆失敗しても元気でいること。

●私は「得意淡然、失意泰然」という言葉が好きだ。中国の陽明学の教えで、安岡正篤先生が好んでいた六然のうちの2つなのだが、物事がうまくいっているときにはあっさりと、反対にうまくいかないときにはゆったりと構えよ、ということである。(p.116)

☆参考になる。

●ひとつのことを極める:個人でも企業でも、自分が本来持っている特質や特性、そして夢にしたがって、何か1点だけを選択し、集中して、本気でそれに取り組むべき。これが、私が失敗から得た大切な教訓だった。(p.118)

☆一点集中。

●失敗をしても、むしろ失敗をするほど、だんだん成功には近づいていくことになる。このことが信じられれば、チャレンジし続けることができるようになるはずだ。(p.125)

☆失敗は成功の母。

●目標はシンプルに:夢や目標をシンプルにすると、少なくともほとんどの人が理解できるようになる。実現や達成にはいろいろ問題はあると思われても、少なくともゴール地点を頭に描いてもらうことはできるはずだ。そこまでできれば、各人が間を埋めていく作業は比較的わかりやすい。(p.131)

☆物事はシンプルに。

●…が運んでくる運(天運)と同時に自分が運ぶ運が存在していて、そちらのほうが影響が大きいという事実を認識することが大切なのではないかと思う。言い換えれば、運はコントロール可能でもあるのだ。(p.139)
▲自分が発している暗くて元気がない雰囲気、自分が運んできた運が災いして、本来もたらしてくれたはずの良い運や人物を遠ざけてしまう。同時に、少しくらいいいやと考えて、悪いことに手を染めると、もっと悪いことをしている連中が近づいてくる。逆に、少しでもいいことをしていると、やがていい人ばかりと付き合うようになる。明るく頑張っていると、もっとすごい人が手を差し伸べてくれたり、チャンスを与えてくれたりする。(p.141)
●苦しいこと、どうしようもないことはある。でも、そこで人生が終わる訳でないのなら、「自分は運が悪い」とは思わない方がいいのだ。思ったら最後、本当に終わってしまう。つかめる幸運も逃げていってしまう。(p.156)

☆運の引き寄せ方。

▲ネガティブな人に近づくな:
 言霊という言葉がある。言葉には魂が宿っているのだが、これはネガティブなものにも当てはまる。悪い言霊は強い毒気を持っていて、自分だけでなく周囲の人の運気も落とす。まず、ネガティブなことばかり口にする人には近づかないことが大切だ。(p.158)
●同じように、自分がネガティブな言葉を口にしそうになったら、とりあえず我慢して、ぐっと飲み込んでほしい。これは慣れればできるようになる。(p.158)
●気を高めるには、とにかくポジティブな発信を心がけることだ。元気のない人がいたとする。心配して声をかけるとき、「元気ないですね」と声を掛けるよりも、嘘でもいいから「元気そうじゃない?」とポジティブな言葉をかけるようにする。逆に、人から「元気ないね」と言われたら、「そんなことありません、元気ですよ!」と、嘘でもいいから答える。(p.159)
●もっとも手っ取り早く気を高め、運を上げるには、良い気の出ている、あるいは運のいい人や会社とつきあうことだ。(p.159)
●全体としてバランスが大切なのと同様に、仕事をする際の組織にもバランスが重要だ。ある集団のなかに運の強い人と運の弱い人がいたら、基本的にはより人数の多い方に全体の運が引かれていく。(p.166)

☆運の引き寄せ方。

●[本当にどうしようもないときは]じたばたせず、丈夫な建物の中でひたすら時が過ぎるのを待つ。なぜなら、陰と陽にはバランスが働くから、陰の極地である状況が長続きするはずはない。台風はやがて去る。それがわかっているのなら、いまが悪いサイクルの最も下にいることが想像できるはずだ。逆らわず、無理をせずに身を潜めて、雨がやみ、陽がさす日が来るまで体力を温存することを優先する。(p.168)

●私たちは自分に縛られている。同じタイプ、同じ性格の人間とつきあっていると、お互いを素直に認め合うだけだから、新しい視点や考え方を吸収することが少ない。ラクで楽しいのだが、保守的、自己弁護的になりがちだ。違うタイプの人間と意識して関係を深めると、まず世の中は自分のような人間だけで構成されている訳ではないという当たり前の事実が、深く理解できるようになる。(p.201)

●私の場合は、基本スタンスを「チャレンジ5:守り5」に置く。景気や、自社の状況が通常の状態であれば、半々でいいと思う。チャレンジ6〜7に対して守りを3〜4におくのは、景気も、自社の状態もあまり思わしくないときだ。これを逆に考える人が多い。(p.209)

☆良くないときほどチャレンジを多く。

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『リーダーが忘れてはならない3つの人間心理』

『リーダーが忘れてはならない3つの人間心理』
小阪裕司
フォレスト2545新書、2010/3/10、¥945(くまざわ錦糸町)

人間の心理をベースに、どのように部下を動かし、チームを作るかについて書いた本。
三つの原則とは、次の三つ。
1.「快」と結びつける:人は気持ちのよいことをする。
2.「意味」を与える:何をやるかではなくなぜやるか。
3.「演じさせる」:人はあなたが期待した通りの人間になる。

▲ランチェスター経営代表•武田陽一先生によれば「組織戦略には、経営全体の13%以上を割いてはいけない」(p.31)

▲本書の方法を実践している多くの人が異口同音に言うことがある。どういうときに社員、チームメンバーが変わったか。どういうときに彼らの仕事が「快」と結びついたか。
 それは「お客さんからありがとうと言われたとき」だと言うのです。(p.62)

☆ありがとうと言われることの重要性。

▲そこで「ほめる」ということが重要だ、ということになる。
 お客だけでなく上司、同僚、部下からの「よくやった」ありがとう」という言葉が本当に大切なフィードバック。(p.65)

☆「ありがとう」はお客だけでなく誰からの言葉でも大切。

▲「ほめる」と「ねぎらう」は違う。しかりながら「ねぎらう」場合もある。「ほめる」は条件付き、「ねぎらう」は無条件。

☆「ねぎらう」のは難しい。

▲人が知りたいのは「何をやるか」ではなくて、「なぜやるか」。つまり「意味」。人にとっては「意味」が不可欠。(p.89)

☆「なぜやるか」を伝えているか。

▲人は期待された役割を演じるもの。だから確信に満ちた期待を与えればその通りになるし、逆になるとその通りになる。人は非言語のコミュニケーションでそういうメッセージを伝えている。従って、「こいつは能力のないヤツだ」と思い込んでいると、そう言ってしまっている可能性がある。(p.103)
▲期待を言葉だけではなく、非言語でも表すことが大切。(p.106)

☆本当に思っていないことを言葉で言ってもばれてしまう。

▲楽しさは伝染する。(p.121)

☆楽しんでやれば人もついてくる。

▲ビジョンを明確にしないと人はついてこない。ビジョンを明確にするには、まず自分の理想の一日を描くこと。実際に紙に書いて、5分で、克明に。よこしまな願望で良い。(p.156)

☆かえって難しいかもしれない。

▲人は実は「試練」が好き。試練を乗り越えて普通の人をヒーローに変えるメカニズムを利用する。(p.168)
▲不可能と思える目標を設定するー自分は不可能とは感じていないー計測可能な目標であるー始まりの期日が明確ー終わりの期日が明確。この5要素を持つ計画を立てることでヒーロー変身メカニズムを導入できる。(p.175)

☆そんなにうまくいくか?

▲「旅立ちの儀式」「打ち上げ」を必ずやる。儀式として絶対必要。(p.179)

☆節目のイベントをすることの重要性。一人イベントでもよい。

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『できる人はなぜ「情報」を捨てるのか』

『できる人はなぜ「情報」を捨てるのか』
奥野宣之
講談社+α文庫、2013/1/22、¥720(くまざわ錦糸町)

「戦略的インプットが違いを生む」というキャッチと、どう「捨てるか」に興味があった。
アウトプット前提の情報処理方法なので、一般的な知識収集の情報処理とは少し違う。また本書は著者のノウハウ集だが、ちょっと細かすぎて必ずしも一般人向けではないように思った。

▲ほとんどの人は、「電気自動車」「ガザ地区」といった言葉をいちいち立ち止まって調べない。しかしそうしてばかりいると、「何が分からないか」まで分からなくなってしまう。
 知っていることでも、立ち止まって辞書を引いてみる。この態度は放っておいても身に付かないが、少しのお金と工夫があれば、クセにすることができる。辞書は使ってなんぼなので、すぐ開けられるようにしておく。(pp.88-90)

☆なんでも半知半解になりやすいので、痛い指摘。

▲情報を固まりではなく細かいブロックの集まりとして見た上で、必要なところだけ取っておく。そのために話を箇条書きにして情報を切り分ける訓練をしておく。→テレビを見ながらノートを取る訓練。集中力がいるので、30分程度で切り上げる。NHK教育の『NHK高校講座』などがこのトレーニングに向いている。訓練なので録画でも停止ボタンは使わない。(p.110)

☆面白いトレーニング方法。

▲また来る情報vs次が来ない情報:ベストセラー本などは購入を見送ってもまた文庫になったときに広告が出るため、完全に忘れて安心。反対に、たとえば遠方から来た人の情報「テヘラン駐在員の○○さんが会社に来る」というケースはどんなに忙しくても必ず話を聞きに行きたい。次がいつになるかわからない。(p.136)

☆情報の種類。

▲再入手が可能な情報は、一度取引が済んだら捨ててしまってよい(またもらえばよい)が、自分から湧いた考えは、「自分の考えというのは、メモしておかないと一瞬で霧散する」ので、必ずメモをして取っておく。(p.141)

☆情報の種類。

▲本は、読み返したり、参照したりして使った「回転率」の基準で、低いものから捨てて行くのがよい。辞書や参考書の他、影響を受けた小説や悩んだときに読むエッセイ等、回転率の高い本を、「座右の書コーナー」として本棚に取っておくとよい。(p.180)

☆本の所蔵方法。

▲思いつきや発想だけは、捨てずに拾っておく。(p.214)

☆自分から湧く情報について再確認。

▲自分の考えを検閲しない:思いついた「ネタ」を書いておく時の大事な心構えは、「決して恥ずかしがらないこと」。そんな心配をしていると、未来永劫「人と違うアウトプット」はできない。(p
p.239-240)

☆自分から湧く情報に対しての態度。

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