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『社長は会社を「大きく」するな! 』

『社長は会社を「大きく」するな! 』
山本 憲明
ダイヤモンド社、2012/10/13、¥1,575(くまざわ錦糸町)

会社は大きくするものだ、という通常の考え方の反対をタイトルにすることで、人目を引こうとした本。その理由は何か、と思わず手に取ったが、著者のマーケティングにまんまとはまった感じ。

大きくすると人件費や事務所費などの販管費が幾何級数的に増え、売上が上がっても利益を残すのが難しくなる、というのが著者の基本的な主張。
重要なのは売上高ではなく、一人当たり粗利益であり、最低1000万程度は稼ぐように会社を設計することが重要と説く。特に異論はないが、逆に言えば、一人当たり粗利1000万を確保できればその分会社を大きくしてもよい、ということができるだろう。
また、これからの日本は人口が減少するので、ただ売上を追うだけではいずれ行き詰まる、という点も特に異論はない。

5人程度までの小企業が本書の対象のようで、必ずしも自分のところにすべて当てはまるとは言えないが、会社経営の基本的な考え方が書かれているので、参考になる点も多くあり、また、良く読めば必ずしも「大きくするな」とは言っていない。

●ハリー・S・デント・ジュニア氏の研究によると、「消費支出が多い40代後半の人口が多いときに景気が良くなり、少ないときに景気が悪くなる」そうです。[略] このセオリーをそのまま使うと、1971年から1974年くらいまでに生まれた人(団塊ジュニア世代)が、40代後半を迎える2016年から2023年くらいは好景気になりますが、そのあと再び景気は悪くなっていきます。(pp.54-55)

☆これは多分正しい、類書でも人口と景気の関係は繰り返し指摘されている。

●「今、どうしても人手が必要なんだ」という方であれば、できるだけアウトソーシングする方法を考えてみてください。繰り返しになりますが、「売上をたくさん上げるために、人(社員)を雇う」という考えは、捨ててください。(p.104)

☆人件費は社会保険負担を含め今後ますます重くなるので、注意してもしすぎることのない点。

●「[商品・サービスなどの] 仕事を減らしたら、売上も減って、お金がなくなる」と思われた方もいらっしゃるかと思いますが、以下の質問に答えてみてください。
「会社の仕事の中で、無駄な仕事は一つもないと言い切れるか」
「会社の商品・サービスは、すべて粗利を生んでいるのか」(p.190)

☆点検が必要な箇所。

▲小さな会社での経営者(兼投資家)の仕事は、「会社の方針を考えることと、その方針を実行に移す段取りを組むこと」。(p.206)
▲書類を捨てるときは、ヤマト運輸の「機密文書リサイクルサービス」を使う。(p.212)
▲利回りという視点を持ち、人材に積極的に投資する。(p.229)
▲精神的なストレスに気をつける。自分の人生なのだからまったく遠慮する必要はない。最後に責任を取るのは自分。(p.238)
▲少しでも利益を出して、納税することだけで立派な社会貢献になる。(p.243)
▲安易な拡大戦略はとらず、社会が大きく変化したときに柔軟に対応できるよう、身軽な状態でいることが重要。(p.248)

☆それぞれ参考になる点。


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