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『海賊とよばれた男 上・下』

『海賊とよばれた男 上・下』
百田尚樹
講談社、2012/7/12、¥1,680/¥1,680(丸善日本橋)

安倍総理のFBで推薦されていたので購入。

出光興産の創業者・出光佐三がイギリス海軍の封鎖を突破してイラン原油を輸入した「日章丸事件」をモデルにした小説。

国岡鐵造は、まだ石炭全盛で石油の使い道が見いだされていなかった頃から石油の将来性を見抜き、小売りから始めて元売りとなり、日本有数の石油会社に成長させた。その間の様々な冒険を生き生きと描いている。色々なところで推薦されるだけあり、大変面白く読んだ。

●それまで [昭和16年] 日本政府も軍部も米英との戦争はなんとしても避けたいと考えていたが、米国が石油の全面禁輸をおこなったことにより、事態は急展開した。日本は石油を確保するために、連合国のオランダ領dえあるボルネオとスマトラの油田を奪わなければならなくなった。つまり日本は石油のために大東亜戦争を始めたのだった。(上p.26)

☆開戦に至るまでの筋道は様々だろうが、最後のボタンを押したのは石油禁輸だったということ。

●GHQの最大の目的は、日本の軍事力を解体し、アメリカにとって都合のいい国に作り変えることだった。占領直後は、日本の工業力を根こそぎつぶし、農業国にしてアメリカ製品の市場にするという計画であったが、これは後に方向転換された。ただし石油に関してだけは一貫して厳しい態度を見せた。石油の供給はほぼ完全にストップしていた。すなわちこれは石油が最重要な戦略物資であり、同時に経済の根幹をなすものだったからだ。(上p.38)

☆石油の重要性。これは今も変わらない。

●「国岡商店のモットーのひとつは『黄金の奴隷たる勿れ』だ。仕事は金で選ぶものではない」(上p.78)

☆経営理念。戦後のタンク底に残る石油をさらう仕事について決断する場面で。

●聯合艦隊が輸送船を護衛することはほとんどなく、防御手段をもたない速度の遅い輸送船はアメリカの潜水艦に発見されれば、なすすべもなく沈められた。(上p.373)

☆本書中日本軍首脳の無能が繰り返し指摘されるが、ただでさえアメリカの700分の一しか持たなかった石油の重要性に基づいた政策決定をしなかったことは負け戦をさらに確実なものにした。

●白人たちに植民地にされたフィリピンもベトナムもインドネシアもマレーも悲惨だった。彼らはいっさいの工業力を与えられず、ただ資源を搾取され、そしてその奪われた資源で作られた製品を買わされるという二重の搾取をされていた。白人たちはそうやって百年も彼らを支配し、ネジひとつ作ることのできない国にしてきたのだ。
 鐵造がそれを言うと、武知 [陸軍中野学校出身] は「そのとおりです」と言った。
「アメリカは日本が朝鮮半島や満州を侵略したと糾弾しますが、日本は挑戦においても満州においても台湾においても、おびただしい資本を投入して、さまざまな施設を作り、法を整備しました。ダムを作り、発電所を作り、学校を作りました。おそらく朝鮮も満州も台湾も、この投資を基にこれから大いに発展するでしょう」(下pp.14-15)

☆日本の植民地支配の一面。

●「聯合艦隊はアメリカ海軍に多くの海戦で敗れましたが、この敗因のいくつかは石油が足りなかったからです」[略] 鐵造は黙ってうなずきながら、一国の命運を握っているのは石油であるという信念をあらためて強くした。(下pp.79-80)

☆石油があればもっとよい勝負ができたとはいっても、現実に石油がなかった以上どうしようもなかった部分もあるのではないか。

●参考図書:「マルクスが日本に生まれていたら」出光佐三(下p.353)

●[1954年] CIAの画策による[イラン] クーデターが起きなければ、イランと日本の関係は大きく変わっていたに違いない。国岡商店のその後もまったく別のものになっていただろう。しかし、それが良かったのか悪かったのかは誰にもわからない。ただ一つ言えることは、イランのアメリカに対する憎しみは永久に消えないということだ。アメリカは石油の利権を得るためにイランを踏みにじった。このことはおそらく将来にわたって大きな禍根を残すことになるだろう。(下p.358)

☆現在のアメリカイランの対立につながる話。

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『小さな会社の社長の戦い方』

『小さな会社の社長の戦い方』
井上達也
明日香出版社、2012/11/15、¥1,575(くまざわ錦糸町)

業務系クラウドシステム制作会社の社長が自らの経験をもとに書いた経験論。状況が違うので役に立つところ、あまり参考にならないところ、それぞれ。類書と似たことも多く書かれているが、経験に裏打ちされているので説得力はある。

▲経営は成功する方法に従っても成功はないが、失敗する方法の逆をすれば成功する。
 失敗には法則があり成功には法則がない。
 1.どんなものでも少しは売れてしまう。
 2.「いくらをいつまでに売る」という概念を頭に入れない。
 3.常に新しい商材を探し続ける。
 4.中小企業が手を出してはいけないものに手を出す。ex. 薄利多売商品(pp.26-40)

☆失敗例を参考にする。

●商品というものは死にものぐるいになって初めて売れる。(p.40)
▲値下げは危険。価格を下げずにどうやって売るかを考える。(p.47)
▲お金持ちはお金儲けがうまいのではなく、普通の人よりもお金を使わないからお金をたくさん持っている。→富裕層ビジネスでもうけるのは困難。(p.48)
▲ビジネスを考えるときに重要なことは「普通」に考えること。「普通そういうものって売れないな」と思ったら売れない。(p.54)

☆いろいろ参考になる。

●私は今まで、「今、売れるもの」を創ってきたのです。「今、お金になるもの」を創ってきたのです。これが失敗の根本的な原因です。[略]
 ここは重要です。この一行を読むだけでこの本を買った価値があります。
 それは、「成功するために必要なのは、今、お金にならないことをすること。つまり「未来に売れるビジネスを今、創ること」なんです。(p.87)
▲マーケティングとは、どんなものでもたくさん売る技術ではなく、「まだ知られていない、よいものを人々に知らしめる技術」だったのです。よいものでなければいかに広告しようがプロモーションしようが最終的には相手にされなくなる。→お金がかかってもとにかくよいものを作れ。(p.90)
●「未来を予測し、今を行動する」これが成功するための「カギ」だと思います。(p.99)

☆本書の核心。

▲ドラッカーが「ネクスト・ソサエティ」で言っていたことの意味→これから起こるのは少子高齢化ではなく少子「超」高齢化。ただの高齢化ならば成り立つ産業も超高齢化では商売にならないものもたくさん出てくる。ex. 老人ホームのテニスコートは今だれも使わなくなっている。(入居者が高齢から超高齢になりできない)
 社長には、「ある事象から、未来を読み解く能力」が不可欠。(pp.104-105)

☆日本の未来を思い描く。

▲すべての失敗と成功は「人」が運んでくる。(p.120)

☆運のいい人とつきあう。

▲頭の良い人を見分けるコツ:課題を与えて文章を書かせ、書ける人はハズレがない。もっと簡単にしたいなら簡単な漢字テストでもよい。(p.154)

☆採用などで使える。

▲なぜ経営をするのか、本音で目的を決めること。「お金持ちになって遊んで暮らしたい」でもよい、「社会貢献」など本音と違うものはモチベーションにならない。目的が決まって初めて目標、手段が決まってくる。(p.188)

☆まさにその通りだな、と読んで思った。

●成功しない人はとにかく「手段」に固執します。自分が考えた方法へのこだわりが強く、それ以外は受け付けない、やりたくないというタイプです。「よい方法だとは思うけど私はこの方法でしかやらない」
 こういう手段にこだわる人はまず成功しません。
 伸びる人はみな、手段に対して非常に素直です。(p.194)

☆もしかしたら自分はこのタイプかもしれない。

●成功して生き残るには近道はありません。とにかく24時間仕事をし続けることです。そこまでやれば必ず活路は開きます。(p.201)

▲成功するための三つの貯金
 ・信用の貯金=信用第一。信用の一つとして人に好かれることも重要。
 ・知識の貯金
 ・お金の貯金 フローの売り上げ(一度限りのもの)をあげながら、それをストック(繰り返しの仕事)にしていく。ストックの例:保守料金、月額利用料。(p.202)

▲成功する人の資質
 ・自分を律することができる。社員や取引先にはすしを奢っても自分は牛丼を食べるなど自分に対してケチ。逆に成功しない社長は給料をいかに下げるかなど人にケチ。
 ・決断が早い。ビジネスはしょせん五分五分。ほかに先んじた方がかつ確率は高い。
 ・単独行動をする。勝手に一人で行動し様々なことに興味を持ち、自分で学び調べる。
 ・裏表がない。
 ・何が本質かわかる。
 ・耳の痛いことを言う社員を許容できる。(p.220)

☆それぞれ参考になる。

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『現実を視よ』

『現実を視よ』
柳井正
PHP研究所、2012/9/21、¥1,575(丸善日本橋)

表題の通り、日本はすでにグローバル競争に乗り遅れつつあるから、もっと外を見て戦え、という本。
柳井は以前の著書でもドラッカーを参考にしている旨述べていたが、本書中でも常にそこに戻っていることが端々から伝わってくる。

●景気が悪い、為替が安定しない、顧客が減っている…モノが売れない理由を並べたてるのは簡単。しかし、その企業がほんとうに顧客の立場にたって、何がほしいのか、何を求めているのかを頭がショートして煙が出るくらい考えなければ、ビジネスは成功しない。(p.48)

☆ドラッカーの応用。

●最終的にファーストリテイリングはなにをめざしているのか。その答えはただ一つ、「圧倒的なナンバーワン」。
 なぜナンバーワンでなければならないのか。それはウィナー・テイクス・オール」だからである。
 現代のビジネスはどの業界でも、世界ナンバーワンでなければ儲からない構造になっている。ナンバーツーやナンバースリーはそこそこ儲かり、それ以下はなかなか儲からない。(p.63)

☆競争構造の変化。

●今必要なのは、現実を直視すること。この二十年の間、世界はものすごいスピードで、ドラスティックに変貌を遂げてきたが、その事実に日本人はきちんと向き合おうとしなかった。[略] 自らを変えようとはしなかった。新しい成長戦略を考え、実行する努力を怠ってきた。(p.81)

☆本書の最も言いたいこと。

●アジアの若者と話すと、自己主張が強く、自分の意見をはっきりもっていることに驚かされる。彼らはそれを珍しいことだとは思っていない。社会に出て生きていくためには、そうした人間のほうが有利であると理解しているからである。どの国も競争に勝てる人間をどう育てるか、に腐心している。[略]
 人間の成長は失敗から生まれる。挑戦して失敗し、そこでいろいろなことを学び、再び挑戦する。これが成長のサイクルである。だから人より多く失敗すればするほど、より早く成長できる。(pp.112-113)

☆競争を避けるな、との主張。

●The Greatest risk is standing still. 立ち止まることは最大のリスク
 欧米ではよく、こういう言葉を耳にする。現状維持でいい。そう思った途端、進歩は止まる。外の世界では、絶え間ない進化と発展が続いている。何もせずに同じところにとどまっているのは、じつは最大のリスクなのである。(p.188)

●Whatever is, is reasonable. 起こっていることは、すべて正しい。(p.190)

●自分たちにないものをもっているなら、それを取り入れることで競争力を高められるなら、世界のどこにある企業だろうと出向いていって、教えを請う。[略] そうしたフットワークの軽さがないと、変化の早いグローバルマーケットを勝ち抜くことは到底できない。(p.198)

☆それぞれ参考になる。


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『小山薫堂 幸せの仕事術』

『小山薫堂 幸せの仕事術―つまらない日常を特別な記念日に変える発想法』
小山薫堂
NHK出版、2012/8/30、¥1,260(博文堂信濃町)

小山がNHK「仕事学のすすめ」で放送された内容についてまとめたもの。仕事をする上での心構えのような本。平凡な日常を特別な一日に・ブランディングの重要性、など普段思いつかないようなことが書かれていて刺激になった。

▲大学生にカレーを食べますか?と聞いても誰も反応しなかったが、「イチローのお母さんがつくったカレーです」というと全員が手を挙げた。これをブランディングという。(p.26)

☆ブランディングとは商品やサービスに対する意味付け、ストーリー化の技法。差別化を図る上で重要。

●何をするにも、僕のベースには「誰かを喜ばせたい」という気持ちがあります。ユアハピネスイズマイハピネス=「あなたの幸せが、私の幸せ」。これは僕が企画を発想するときの原点です。いつも、どうやって人を喜ばせようかと考えているんです。(p.3+)
●僕はタクシーに乗ると、必ずと言っていいほど運転手さんに話しかけます。せっかくなら短い時間であってもタクシーという空間自体を楽しくしたいと思っていますし、何より、その運転手さんを喜ばせたいと思う。大げさに言えば、その人の人生に自分の足跡を残したい、ということです。(
p.38)

☆仕事をする上での理念。

●僕の仕事は、誰かから「やってみませんか?」と声をかけられて始まるものがほとんどです。[略]
 実際にお引き受けするか否かを考えるときに、僕の中には明確な三つの基準があるんです。それは、「その仕事は誰を幸せにするか」「その仕事は自分にとって楽しいか」「その仕事は新しいか」ということ。(p.79)

☆仕事は人のため、自分のため。

●[日光金谷ホテル従業員の名刺をつくるときの] 仕掛けとは何かというと、自分の好きな場所が裏面に印刷された名刺をつくること。名刺にそんな写真がプリントされていれば、「こんないいところで働いているんだ」といつも胸を張って人に渡せますよね。(p.120)

☆面白い企画。

●僕はいつも、父の言っていたことを思い出すんですよ。「人生はいいほうに、いいほうに進んでいる」という言葉を。いまも確かに、楽しくたくさん仕事をさせてもらっているのですが、それは次にもっと幸せになるための通過点にすぎないと思っているんです。(p.184)

☆楽天主義の重要性。


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『起業家』

『起業家』
藤田晋
幻冬舎、2013/4/12、¥1,575(有隣堂亀戸)

サイバーエージェント社長の回顧録。ネットバブル崩壊後からアメーバ立ち上げまでを描く。会社全体に目配りしながらアメーバにすべてを賭ける決断を下すところでは、経営者の孤独がよく伝わってくる。ベンチャーとはいいながらすでに数百億円を超える売り上げを持つ会社の話でもあるので、なかなか書けない部分もあったろうが、ここまでの本を出したということに意味があるのではないか。

M&Aが当たり前のIT業界で自前主義を貫くことで、スピードを犠牲にしながら品質を保つ経営方針、堀江との交友など興味深く読んだ。

▲2000年3月に上場したときにある投資家に
「営業利益率10%はほしいね」と言われ、それが中長期計画の数字に影響した。(p.22)

☆ひとつの目標値。

●合宿を始めたのは、リクルート創業者の江副浩正さんの著書『かもめが跳んだ日』を読んだことがきっかけでした。リクルートの役員合宿(じっくりT会議)について触れられていて、当社でもやってみようと考えたからです。(p.60)
 [ネットバブルが崩壊し、日本型経営を目指した頃] ソニーの盛田昭夫さんの『MADE IN JAPAN』と、ホンダの本田宗一郎さんの『得手に帆あげて』を読んで感銘を受けました。(p.75)

☆参考図書。右肩上がりの経営は、現在一般的には難しいが、IT産業は右肩上がりなので適用できる、と考えたのには納得した。

▲事業を自分たちで創っていくという宣言を2004年11月の決算発表で行った。
「これからは黒字化した利益の30%は新規事業への投資にあてます」(p.82)

最初から基準が決まっていればいくらでも新規事業の立ち上げの数を増やすことができる。
 この制度はシンプルで、「1年半で黒字化しないと撤退」ということと「赤字の下限を決めている」という2本の柱から成り立っている。これには、「1年半」という先行投資に期限を設け、「小さく生んで大きく育てる」という概念が盛り込まれていた。(p.84)

☆参考基準。

●[ライブドアの堀江の格をあげる戦略について] 社長の格をあげることは、会社の格を上げていくこと、そしてその会社が提供しているサービスがすごいものだと見せることにも繋がります。(p.127)

☆身だしなみもその一つ。

●新しいサービスやデバイスを自分で使って試さないのは、ネット企業の経営者としては失格です。(p.142)

☆どの業界でも同じ。

●流れが良いと判断した時期は仕事をさぼってはいけない。そういう信条が私にはあるので、集中力を切らさないように、寝る時間以外はすべて仕事に費やしていました。(p.162)

☆松本大も同じことを言っている。一つの考え方として参考になる。

●[アメーバ事業部の] オフィスに引っ越した私は、アメーバ事業部の社員全員をフロアに集め、黄色いメガホンを片手に声を張り上げて言いました。
「我々は一致団結、一蓮托生、アメーバがこけたら皆こける!」(p.228)

☆黄色いメガホンは使えるかも。

●([投資家が] どんなに無関心でもずっと同じことを言い続けるんだ)
(言い続けたことが現実になって初めて信頼を得るんだ)
 この考えは、上場してから黒字化するまで、投資家からの罵声を浴びながらも決算報告をしていた経験から学んだことです。投資家にとっては、社長の発言に一貫性があることが安心感に繋がるのです。(p.242)

☆投資家に限らず関係者にとっても一貫性は重要。

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『「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー』

『「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー』
高橋 秀実
新潮社、2012/9/28、¥1,365(丸善日本橋)

開成高校野球部の練習や試合の様子を追った本。練習時間が週に一度、3時間しかない中でどのように試合にするかを最優先に考えた「弱者の戦略」。それは大量得点大量失点で派手な野球をすること。

超一流校の弱小野球部の物語として面白く読んだが、とても理屈っぽくて自分の本音を理屈で隠す開成高校生の性格がよく描かれていた。また、スポーツは理屈だけでなくて、体が無意識に動くようにならないとだめだと思うので、いくら頭が良くてもこのままでは甲子園は無理だろうな、とは思った。

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『社長は会社を「大きく」するな! 』

『社長は会社を「大きく」するな! 』
山本 憲明
ダイヤモンド社、2012/10/13、¥1,575(くまざわ錦糸町)

会社は大きくするものだ、という通常の考え方の反対をタイトルにすることで、人目を引こうとした本。その理由は何か、と思わず手に取ったが、著者のマーケティングにまんまとはまった感じ。

大きくすると人件費や事務所費などの販管費が幾何級数的に増え、売上が上がっても利益を残すのが難しくなる、というのが著者の基本的な主張。
重要なのは売上高ではなく、一人当たり粗利益であり、最低1000万程度は稼ぐように会社を設計することが重要と説く。特に異論はないが、逆に言えば、一人当たり粗利1000万を確保できればその分会社を大きくしてもよい、ということができるだろう。
また、これからの日本は人口が減少するので、ただ売上を追うだけではいずれ行き詰まる、という点も特に異論はない。

5人程度までの小企業が本書の対象のようで、必ずしも自分のところにすべて当てはまるとは言えないが、会社経営の基本的な考え方が書かれているので、参考になる点も多くあり、また、良く読めば必ずしも「大きくするな」とは言っていない。

●ハリー・S・デント・ジュニア氏の研究によると、「消費支出が多い40代後半の人口が多いときに景気が良くなり、少ないときに景気が悪くなる」そうです。[略] このセオリーをそのまま使うと、1971年から1974年くらいまでに生まれた人(団塊ジュニア世代)が、40代後半を迎える2016年から2023年くらいは好景気になりますが、そのあと再び景気は悪くなっていきます。(pp.54-55)

☆これは多分正しい、類書でも人口と景気の関係は繰り返し指摘されている。

●「今、どうしても人手が必要なんだ」という方であれば、できるだけアウトソーシングする方法を考えてみてください。繰り返しになりますが、「売上をたくさん上げるために、人(社員)を雇う」という考えは、捨ててください。(p.104)

☆人件費は社会保険負担を含め今後ますます重くなるので、注意してもしすぎることのない点。

●「[商品・サービスなどの] 仕事を減らしたら、売上も減って、お金がなくなる」と思われた方もいらっしゃるかと思いますが、以下の質問に答えてみてください。
「会社の仕事の中で、無駄な仕事は一つもないと言い切れるか」
「会社の商品・サービスは、すべて粗利を生んでいるのか」(p.190)

☆点検が必要な箇所。

▲小さな会社での経営者(兼投資家)の仕事は、「会社の方針を考えることと、その方針を実行に移す段取りを組むこと」。(p.206)
▲書類を捨てるときは、ヤマト運輸の「機密文書リサイクルサービス」を使う。(p.212)
▲利回りという視点を持ち、人材に積極的に投資する。(p.229)
▲精神的なストレスに気をつける。自分の人生なのだからまったく遠慮する必要はない。最後に責任を取るのは自分。(p.238)
▲少しでも利益を出して、納税することだけで立派な社会貢献になる。(p.243)
▲安易な拡大戦略はとらず、社会が大きく変化したときに柔軟に対応できるよう、身軽な状態でいることが重要。(p.248)

☆それぞれ参考になる点。


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『人たらしの流儀』

『人たらしの流儀』
佐藤優
PHP文庫、2013/3/5、¥580(くまざわ錦糸町)

目にとまったので購入。病院で診察待ちの間に読了。

経験談の部分は外務省ロシア時代で止まっているので、どうしても話が古く、また佐藤の他の著書でも出てくる話が多く、目新しさはあまりない。ただ、繰り返し出てくることで、この部分が重要というのがはっきりし、参考になる。

▲拠った相手がふと漏らした[重要な]話は、相手がしらふになってから聞き返してはいけない。(p.43)
▲人脈の作り方で名刺交換後に重要なのは、「教えてください」という心構えでご挨拶に行きたいと自分からコンタクトすること。「あの発言に関して非常に感心を持ちました。もっと詳しく教えてください」と連絡する。(p.47)→教えてくださいと言われて悪い気がする人はいない。
▲御礼の打ち上げはするほうがよい。(p.50)
▲話の枕=引き出しの用意の仕方。例えば、秘書をしている女性を落とす場合、村山由佳『おいしいコーヒーの入れ方』シリーズを読むよう指示する。→ベストセラーなら女子との話のタネになる。1Q84などもよい。
▲店でこちらが払う場合、お店に今日の私のお客さんにはお支払いをさせるわけにはいかない事情があるといって、ぽーんと二万円なりを預けておく。そして会食終了後おつりだけもらうのがスマートなやり方。伝票を回すと組織がうしろにあると思わせるので、場合によってはよくない。→あなたを個人的に大事にしているというメッセージ(p.61)
▲自分の魅力を向上させるために重要なことを端的に言うと、『儲けた銭をばらまく意思があるか否か』という点に尽きる。勝間勝代は印税の二割をある団体に寄付している。できれば自分が化成だ二割を社会に還元する活動を続けることで発想が変わり、結果的にいろいろなモノが回ってくる(pp.65-66)
▲相手と初めて会ってから三ヶ月以内に三度会う。そうすれば、その相手はその後三年間、自分のことを覚えている。最初は挨拶。その時に物を借りて二度目に物を返す。そしてさらに「お世話になりました」といって、三回目につなげる。そして三年の間に実績を作る。逆に別れるときは三ヶ月以内に三度会うことを避ける。(pp.120-121)
▲婚活女子を理解するには、中村うさぎを読め。『セックス放浪記』『女という病』『壊れたおねえさんは、好きですか?』など。自己確認の旅をしている女性は、パートナーを見つけるためでなく、自分の価値を確認するために行動していることがよくわかる。(p.127)
▲相手との上下関係など接待での知識の本。『国際ビジネスのためのプロトコール』寺西千代子。(p.164)
▲相手に足元を見られないようにするためには、相手に弱みを見せないこと。白紙領収書を切るなど下品なことをしない。お金、お酒、女性の三つは人間関係を構築していく場合特に気をつける。誰であれ仕事相手は丁寧に接し、恨みを買わないようにする。(p.165)
▲客観的に見て「こいつ、俺より下だな」と自分が思っている相手こそが、実際にはイーブンの相手。頭二つ出て初めて上と言える。(o.166)
▲相手から無礼なことをされたら、20回に1回くらいは大暴れしたほうがよい。舐めて貰ってはこまる、という態度表明。(p.167)
▲何も返させず、一方的にどんどん贈ってしまう。これは主従関係と同じで、「主」側が必ず何かを「従」に与え続ける関係で、上下関係を固定させることになる。こうしたときは返そうと思ってもなかなか返せる物ではなく、返せないことが重荷になって主従関係が固定化される。一番良い方法はばらまくこと。やがて権力という形の見返りとなる。(p.200)
▲相手と別れたいときは、くらたまの『だめんずうぉ〜か〜』をテキストとして使え。相手が引いて去っていく環境を作れ。(p.212)

☆すべてが使えるかどうかは別にして、考え方として参考になる。

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『交換殺人には向かない夜』

『交換殺人には向かない夜』
東川篤哉
光文社文庫、2010/9/9、¥680(借)

文字通り交換殺人を題材にした鵜飼探偵もの。ネタバレすると、交換殺人だがその時期がずれていることで色々な謎が生じ、さらに別人のように描かれた人物が同一人物だったりと、時間と人物の二つの謎を組み合わせることで話の筋を複雑にしている。

東川の小説は、そのまま読むと筋が混乱しやすいので、もしかすると図で整理しながら読むとすっきりするのかもしれない。わざわざそこまでする気はないけれど。


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『帝国ホテルの不思議』

『帝国ホテルの不思議』
村松友視
日本経済新聞出版社、2010/11/10、¥2,520(丸善日本橋)

帝国ホテルについて、上から見るのではなく、そこで働く人を描くことによってその全体像を浮かび上がらせることを目的として書かれた本。

さすがに最高級ホテルだけあって、従業員のプライドや職人技に感心する。少しでも真似ができればよいと思う。

また、村松の本は初めてだと思うが、変な癖のない素直な文章で非常に読みやすかった。

●多様なカテゴリのお客が存在し、[略] それらの人々が、それぞれのレベルの期待をもって帝国ホテルを訪れている。その全員に同じサービスをすることよりも、それぞれの人の期待値を、まず見抜いて対処するべきだ、と [デューティマネジャーの] 菅野さんは言う。
「それで、それに紙一枚を乗せたサービスをしなさいと」
紙一枚乗せなさい…これは見事な言葉だと感服した。(p.93)

☆いい表現。

●[シューシャイン] キンチャン:チャーチ [の靴] はブリティッシュですね。好みがありますけど、僕らの感覚では紳士物はイギリスがベストです。布地(クロース)でもそうです、素材(マテリアル)もそうです。靴もナンバーワンです。(p.268)

☆一度帝国ホテルのシューシャインに行きたくなる章。

●キンチャン:欧米、とくにアメリカのビジネスマンは、うすいゴムでできたオーバーシューズというのをロッカーに用意して、雨の時はこれを靴の上からすっぽりかぶせて、カバーリングをするという。彼らは洋服民族ですから、靴にこだわりがあるんです。雨の日に靴が傷まないように、そういうものを。(p.269)

☆日本では稀だが、やるとよいとのこと。

●午前六時から十一時までの着信は「おはようございます、帝国ホテルでございます」、十一時から午後六時までは「ありがとうございます、帝国ホテルでございます」という言葉で迎える。また、三秒(一コール)待たせたら「お待たせいたしました」、十秒待たせたら「大変お待たせいたしました」と言葉遣いを区別する。(pp.301-302)

☆電話の受け方。

●[施設・情報システム担当役員] 椎名行弥:新しいものを考えると、新しい問題が三つ起きるんだから、その三つも解決しなさいと若い人にも言うんですけど、それをずっと実戦してやってきた。ですからやっぱり、使いにくいこと、困ったことが何か引っかかって、新しいものが生まれていくんですね。(p.338)

☆手動で動く電動カーテンレールや、くねくね型読書灯、ひものない電話交換機、など前例のない設備を自らで開発してきた。自給自足の帝国ホテルならではの話。

●椎名:私が二十七歳の時企画室に引っ張ってくれた、本館改修を担当した企画室長で山野寿雄って言う人がいたんです。その人が「二十代はがむしゃらに生きろ、三十代は選んで生きろ、四十代は図々しく生きろ」と言って、四十四歳で亡くなっちゃったんで、その先の生き方を効いていない。それで自分で考えて「五十代はこだわりと好奇心で生きましょう」と。ですから、遊びの免許は五十代で相当取りました。[略] 私は五十代で死ぬと思っていたので、貯金する必要はない。もうインカム(収入)は全部使っちまえと。いまだに貯金ゼロなんです(笑)。で、六十五まで生き残っちゃったので、「六十代は義理と人情で生きようと」。

☆年代ごとの指針として参考になる。


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『美女と竹林』

『美女と竹林』
森見登美彦
光文社文庫、2010/12/9、¥600(BO¥350)

美女と竹林にまつわるエッセイ。のはずだが、森見らしくいつもの妄想小説になってしまい、どこまでが真実でどこが妄想かわからない。そこがまた面白い、という不思議な本。

登美彦氏が小説だけでは食っていけない、とMBC(モリミ・バンブー・カンパニー)を夢見て先輩の鍵屋さんの竹林を刈る、という話なのだが、竹林の手入れはいっこうに進まず、最後まで編集者や鍵屋一家とのかけあいで終わってしまう。

森見の竹林への愛は異常。

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『密室の鍵貸します』

『密室の鍵貸します』
東川篤哉
光文社、2006/2/9、¥560(借)

戸村流平は、彼を振った元彼女と、一緒にビデオを見ていたはずの先輩の二人の殺人容疑をかけられる。どこからどう見ても戸村が怪しいが、本人はやっていない。元・義理の兄である探偵鵜飼杜夫に助けを求めた戸村は、警察に追われながら密室の謎に迫っていく。

プロットはそれほど複雑ではないが、東川の手にかかると複雑怪奇な事件を読んでいるような気にさせられる。暇つぶしに最適。

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『継続は、だれも裏切らない』

『継続は、だれも裏切らない』
内藤誼人
PHP文庫、2013/3/5、¥580(くまざわ錦糸町)

表紙だけ見て衝動買い。『継続は、だれも裏切らない。結局、努力を続けた人の勝ち』のタイトルがすべて。

▲成功したイメージを思い浮かべろ。
 赤いものを身につけろ。
 良い姿勢。
 友人はえらべ。→前向きに努力している人。
 とにかく基本トレーニングだけやれ。→目移りすると継続できない。
 「自分はすごい人間なんだ」と自画自賛せよ。→肯定的な自己評価を持っている人ほど伸びる。
 自分をけなすな、悪く評価するな。
 自分で自分を褒めまくれ。
 褒められるときはなるべく具体的かつ大げさに褒めて貰え。

☆自分に役立ちそうな部分。

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『お金という人生の呪縛について』

『お金という人生の呪縛について』
松本大
幻冬舎、2013/3/8、¥1,365(丸善日本橋)

著者の経験による仕事観の本。いろいろ参考になる。一番興味深かったのは、予定を立てず目の前の仕事をどんどんこなしていけ、という考え方。

●仕事は慣れたことをやるのが一番。
 今の仕事をどんどん深掘りしていけば、やることはいくらでもあります。そして限られたフィールドで仕事をしていけば、その仕事で経験を積み、経験から学び知恵に変えていくことができ、成功する確率が高まっていきます。(p.48)

☆隣の芝生に目をくれるな、という教訓。

●私は中学生の頃からずっと同じスケジュール帳を使っています。ドイツの「rido」という会社のもので、極薄の手帳です。(p.56)

☆一度チェック。

●人は「仕事がすきかどうか」とか、「やりがいがあるのだろうか」と真剣に悩み始めるとどんどん悪循環に陥ってしまいます。そして仕事が手に着かなくなります。悩んだり考えてもキリがないのです。[略] 「そこに仕事があるから」仕事をするんだと割り切ってしまうのです。(p.61)

☆「やりがい」を求める最近の風潮とは逆の考え方。

●今日の自分は昨日と同じ自分でいいのか。
 同じ人生を続ける、同じ仕事を続ける、同じ会社に居続ける。これは毎朝、無意識であってもあなたがそう決断しているのです。今日の自分は昨日と同じでいいのか。(pp.70-71)

☆同意。

●さて、人間関係で信頼を損なう一番の原因は何でしょうか私はウソだと思います。たった一度のウソで、その人が信じられなくなってしまいます。他人を信じられなくなれば人間関係も仕事もうまくいくはずがないのです。(p.76)

☆一度も嘘をつかないことの難しさとだからこそ重要だ、ということの両面。

●[眠ることが出来ないときに] 思い出すのが、ゴールドマン・サックス時代のボスの言葉です。
「アメリカの大統領は、お前よりもはるかに多くの大きな問題を抱えて、かつ処理しているが、お前よりもはるかに睡眠時間は長い」(p.86)

☆睡眠の重要性。

●自分の長所を教えてくれる人と食事をしよう。
 自分のいいところを教えてくれる人と食事をすると気持ちが上向きますし、会話の内容も非常に生産的です。私も心が弱り気味になるときがあります。そんなときは長い付き合いで、よく知っている人と食事をします。(p.87)

☆意外だが効きそう。

●お金は稼ぎ方ではなく、使い方が問題。人が喜ぶように使いたい。(p.89)

☆稼ぐことばかりを考えない。

●夢や目標は曖昧な方がいいのです。方向性を示すだけでいいのです。あまり具体的に考えてはいけません。未来のことを事細かに考えたところで周りも変われば自分も変わります。[略] 方向性だけ決めたら、とにかく走り出してみるのです。(p.93)

☆面白い考え方だが、説得力はある。

●勝負は勝つだけでは足りず、勝ったところで止め、その場から離れ、かつそこに戻らないことが重要なのです。(p.104)

☆なかなかできない。

●長期的に株価を見たときには景気や経済との間に重要な関係があります。[略]
 過去の推移を見ると、日本でもアメリカでも上場企業の時価総額の総和の上限はGDPの140%程度です。下限のほうは日本で50%ほど、アメリカで70%ほどです。したがって日本の場合、いくら株価が高騰していても、時価総額の総和がGDPの140%に近づけばやがてピークに達する可能性が高く、株価がどんなに暴落しても50%近くまで落ちると回復するだろうと考えられるわけです。(p.127)

☆今後の参考。

●コマンディング・ハイツという言葉をご存知でしょうか。昔の軍事用語で、全体を俯瞰して戦局を有利に進めるための場所です。周りより高い丘に陣取って相手の動きを見て、打ち負かす戦略を立てるのです。企業経営や個人の仕事においてもコマンディング・ハイツと呼べる場所が存在するはずです。(p.162)

☆少し抽象的で分かりづらいが、重要性はわかる。

●国際会議には情報、ヒント、人脈があふれている。
 国際会議では知己に会い、世界最新の問題点を確認し、意見交換します。世界で何が本当に問題になっているか、労働環境や文化的なことも含めて世界の企業の最前線はどうなっているのか、そういったことを実感として学べる場です。[略] 国際会議は私たちにとっても、あらゆる情報とヒント、人脈にあふれた場所です。
 もう一つ、国際会議の効用があります。それは、日本を出ると日本がよく見えるということです。(pp.174-175)

☆なるほど。


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『寝ても覚めても本の虫』

『寝ても覚めても本の虫』
児玉清
新潮文庫、2007/2/1、¥580

児玉清による書評。洋書ミステリーが主。俳優業のかたわらこれだけの本を原書で読破していたことに驚嘆した。

●1997年12月にアメリカを訪れた際、書店の平台にうずたかく積まれたハードカバーの一つに『MEMOIRS OF A GEISHA』というタイトルがあるのにドキッとした。思わず手に取ってみると、表紙に半玉姿と思われるまだ幼さの残る美女の写真が載っていて、タイトルの下にはNOVELすなわち小説という但し書きがついていた。(p.116)

☆色々と曰くのある小説らしいが、機会があれば読んでみた。

●[お座敷の話では] かつての日本の連合艦隊司令長官、山本五十六元帥のお座敷での話が面白い。何ごとにも勝負強く負けることを知らない元帥に、勝つ秘訣は何かと質問したところ、元帥は「自分は決して相手を負かそうとして対峙したことはない。ただ相手の自信を打ち崩す術を模索するのだ。人間は自信が揺らぐと勝利への道に心を集中することができなくなる。勝負はどちらも対等なのだ。絶対に対等なのだ。双方が同じ自信さえ持っているならば…」と答えた。この山本五十六元帥の言葉をヒロインのニッタ・サユリは教訓とし、彼女に敵対する朋輩芸者の戦意を喪失させる話は大いに楽しめる。(p.121)

☆上述小説中のエピソード。通常の人間間では通用する話でも、太平洋戦争ではこれが裏目に出た、という意味で興味深い。アメリカは真珠湾で意気消沈するどころかむしろ戦意を燃え立たせてしまったわけで、逆効果にしかならなかった。


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『戦後史の正体』

『戦後史の正体』
孫崎享
創元社、2012/7/24、¥1,575(L)

しばらく前書店で平積みになっていたが、多分買うほどではないと思ったので、図書館で借りた。

太平洋戦争後の日米関係は、常にアメリカに従属した形で展開し、少しでも自主外交をしようとすると、アメリカに潰されてきた、というのが大筋の話。話自体はよく言われていることなので驚きはそれほどないが、書籍という形にしたことが、それなりに売れた理由と言えるだろう。

著者の思想的には、中国と手を組んでアメリカと対抗せよ、ということなのだろうが、自分はあまり共感できなかった。そもそも歴史的に日本は常に中国に圧迫を受けていて、中国は朝鮮半島と組んで日本に進出を図るというのが歴史的図式だから、日本と中国が組む、というのは歴史的地理的に考えづらい。また、今の時代にアメリカを外すということに実現性があると思うのは理想主義に過ぎる。状況が変われば外交も変わるだろうが、対米協調が今の日本にとって現実的で最も利益のある政策であることを否定するのは困難だろう。

●「在日米軍基地の見直し」と「中国との関係改善」。結局、日本にとって踏んではいけない米国の「虎の尾」とは、このふたつの問題につきるのです(本格的に踏んだ首相がいないので証明できませんが、これにおそらく「米国債の売却」が加わります)。(p.355)

☆これらの問題については状況の変化によって将来変わりうる。

●[自主派の首相を追い落とす] パターンのいずれにおいても、大手マスコミが連動して、それぞれの首相に反対する強力なキャンペーンを行っています。(p.370)

☆鳩山由紀夫もこのパターンの例として挙げられている。しかし民主党が勝利した総選挙前のマスコミ報道を見れば、「最低でも県外」と言っていた鳩山に対しマスコミは政権交代を煽りに煽った。この一例を見ても、著者の主張を一概に信じることはできない。


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