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『阪急電車 』

『阪急電車 』
有川浩
幻冬舎文庫、2010/8/5、¥560(八重洲BC)

片道15分の阪急今津線の往復を舞台に、人が出会い、別れる物語。

いつも図書館で会い阪急電車でたまたま乗り合わせた若い男女、息子夫婦に孫の世話を押しつけられた女性、ウェディングドレスで元婚約者と寝取った女の結婚式に乗り込む女性、DV男となかなか別れられない女性、同級生にいじめられながら毅然としている少女など、それぞれ印象深い人物を描く。

女性の怖さ・切なさ・優しさなどがとてもよく描かれていて、女性作家ならではの物語になっている。『図書館戦争』も面白かったが、同じ作者とはなかなか信じられない。解説が児玉清というところでも、本書の評価がわかる。再読したい小説。

●「呪うには呪うだけの覚悟と贖いが要るものよ。あなたは我が身を傷つけてまで呪ったんでしょう、だとすればその決意に他人が賢しげに説教なんかできるものじゃないわ。そうでなくても私はただの通りすがりの野次馬なんだから」(p.46)
「今は気の済むまで呪うといいわ。[略] でも、気が済んだところでできれば会社を辞めなさい」(p.48)

☆年の功が感じられる忠告。

●白という色は花嫁だけの色ではない。時代劇なら、丑の刻参りの女性も仇討ちの女性も白装束を身にまとうのだ。祝いも呪いも恨みも飲み込む色だ。(p.50)

☆年の功。ある程度年齢のいった女性は理屈でなく理解していることかもしれない。

●こんな年でも少女たちはもう女だった。卑しく、優柔不断で、また誇り高い。
 あんな幼い、小さなコミュニティの中に、既に様々な女がいた。(p.213)

☆女の子は大変。小学校のモデルは小林聖心らしいが、本書がこれだけ売れてしまうと学校としても痛し痒しなのではないか。

●こんな年頃でも女は相手のランクを見抜いて接するが、翔子は自分が子供に舐められるほどちょろい女ではないことを知っていた。自分は老若男女を問わず大抵の相手には威嚇が利く女だ。牙を隠す術は知っているが、一度牙を剝いたら確実に相手の首を獲りにいく。見知らぬ老婦人に案じられ、諫められたほどに。(p.216)

☆ひとつひとつの物語がこういうふうにうまく繋がるところが上手い。

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