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『屍者の帝国』

『屍者の帝国』
伊藤計劃、円城塔
河出書房新社、2012/8/30、¥1,890(有隣堂亀戸)

アヴァンティで書評家の大森望が薦めていたので購入。
若干34歳で亡くなった伊藤計劃のプロローグを書き継ぐ形で円城塔が完成させたSF小説。

19世紀末、死んだ人間にプログラムをインストールし、屍者としてよみがえらせ、あらゆる産業の安価な担い手として不可欠な存在となっている世界が舞台。医学生ジョン・ワトソンは、英国諜報員となってフランケンシュタインのクリーチャ(=ザ・ワン)の謎を追う。

ワトソン、ヴァン・ヘルシング、M(多分マイクロフト・ホームズ)、ダーウィン、グラント、カラマーゾフの兄弟、山沢静吾、フランケンシュタインの怪物、レット・バトラー、ノーチラス号、アイリーンアドラーなど実在架空問わず無節操に色々なところから登場人物を繰り出してくる。

円城の表現は難解で、反面大胆に描写を省いているところもあり、意味を取るのに苦労した。部分の理解にとらわれるうち、本筋の理解がおろそかになり、大きな流れをつかみ損なったところが何カ所も出た。結局、人間の意志とはどこにあるのか、というのが大主題で、意志は言葉を生み言葉が意志を生む、という循環になっている、というのが結論と読んだ。面白かったが疲れた。SFってこんなに頭を使うものだったか?

●「我々は原理に反し矛盾する行動をとるわけではない。矛盾の方が原理であり本質なのだ。原理などは人間があとからその場しのぎに付け加えた屁理屈にすぎん」(p.381)

☆そう言われればそうかもしれない。

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