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『ぼくらの祖国』

『ぼくらの祖国』
青山繁晴
扶桑社、2011/12/28、¥1,680(L)

どこかで推薦されていたのを見て読んだ。

タイトル通り、「祖国」とは何か、日本人があえて忘れてきた祖国について、北朝鮮拉致問題、南三陸町で最後まで避難放送を続けた市役所職員、福島第一原発で復旧にあたる職員、硫黄島で今も眠る日本兵の遺骨、調査さえされない日本海側のメタンハイドレートなど著者が取材したトピックを通じて考える本。

「祖国」について子どもに教えるために書いた本、ということで紙面に余裕をもたせ、多くの漢字にルビを振ってある。最初のうち、ちょっと右寄り過ぎか、と思ったが、読むうちに著者の熱意に当てられて最後まで読んだ。著者の青山には両極端の評価があるらしいが、少なくとも現地調査を実施した上で書いているので、その点は評価すべきだろう。

特に硫黄島やメタンハイドレートなど、知らなかったことも多く、「栗林中将の像が写真に写った」といったあたりを冷静に読めば、よい本。硫黄島に行くと帝国軍人がいらっしゃる、というのは他でもよく聞く話だから、全く嘘だ、ともいえないとは思うけれど。

時節柄、隣国との領土問題も緊張の度合いを増し、「祖国」と言うだけで「右翼」とレッテルを貼られてきた時代はそろそろ終わりにすべき時が来ているのではないかとは感じる。

●日本新聞協会に加盟している新聞社•通信社、あるいは民間放送連盟に加盟している放送局に属する記者かNHKの記者であれば、そこまでは誰でもできる。逆に言えば、ふつうに記者クラブに朝、顔を出し、ふつうに昼も夜も過ごしているのであれば、それ以上のことは何もできない。
 新聞•通信の記者であれば、官と民から提供される横書きの発表資料を、縦書きの記事に変えるだけである。テレビ•ラジオの記者であれば、アナウンサーの話し言葉に変えるだけだ。(p.69)

☆ネット上では常々言われていることだが、紙媒体でソースが付くのは重要なこと。

●ひとがひとを誤解してみるとき、それは、その誤解するひとの本性、欲望が露見している。(p.71)

☆「あいつは野心家だ」というなら、自分が野心家だということ。

●国民を護る仕事、分野はセイフティ(安全)とセキュリティ(防護)に分かれる。(p.81)

☆前者は自然災害等、後者はテロ等。

●学徒看護隊は、ひめゆり部隊の名でよく知られている。覚えられている。しかしほんとうは、ひめゆり部隊のほかに学徒看護隊は八つあった。ひめゆり部隊は、沖縄の第一高等女学校と師範学校女子部の生徒達でつくり、たとえば第二高等女学校の生徒は白梅学徒看護隊をつくった。
 正確に言えば、そうした名は戦後にわかりやすく与えられたものだ。それでも九つの看護隊があったことは間違いない。

●東京との硫黄島は「いおうとう」である。[略] しかしアメリカ軍に占領されたという理由だけで、私たちはアメリカ軍が間違って読んだ名前[いおうじま]をそのまま受け容れ、迷うことなく島の名を変えていたのだ。(p.174)

☆最近(2007年)「いおうとう」に名前が戻ったのは知っていたが、これが原因だとは知らなかった。

▲硫黄島戦死将兵21000人のうち、まだ13000人ほどの遺骨が帰国していない。滑走路の下に埋まったままになっている。(p.220あたり)

☆国のために戦った人を敬わないのはどこか間違っていると言わざるを得ない。

●ところが、その[アメリカと戦えば負けると知っていた] 山本[五十六]長官がみずから真っ先がけて、アメリカ•ハワイ州の真珠湾を攻撃して、アメリカと戦争を始めた。なぜか。山本長官が自分を見失ったのではない。もう一度、確認しよう。それは自前の資源がなかったからである。
 輸入に頼らねばならないのに、アメリカをはじめとする連合軍に輸入路を封鎖され、突破口を切り開くしかなかった。
 山本長官は、そのあとに早期の講和にこぎ着けることを祈り、願っていたが、これは山本長官の責任にも帰する読み違いであった。
 アメリカは、頭をたたかれれば、相手を殺害するまで戦う。褒めているのではない。カウボーイはそうしないと生きていけないからでらう。荒野に切り開いた牧場を少しでも襲う気配があれば、撃ち殺しておかねば、牧場は護れない。(p.242)

☆今も昔も資源が日本のネックであることに変わりはない。少なくとも現状は危険をコントロールした上で原発は必要。山本五十六の真珠湾攻撃について押井は「自分がやりたくてやった」ということを書いていたが根拠がなく、この点については青山の方が説得力がある。

●日本が原子力発電に自民党政権も民主党政権も、力点を置いてきたのは、これ[石油メジャー支配]にいくらかは抵抗しようという意味があった。
 原発も、燃やすウランを海外から買わねばならない。だが、ウランは世界中から採れる。石油や天然ガスと比べるとはるかに、アメリカの支配を受けにくい。原子力を準国産エネルギーと呼ぶこともある。そのことは、福島原子力災害があってなお、正答に評価せねばならない。(p.243)

☆エネルギー安全保障。

●実は日本は1968年の当時から、国連に「資源の豊かな国」と名指しされていた。沖縄県石垣市の尖閣諸島の海底に、イラクと同じくらいの原油があると報告されているのだから。(p.259)

☆歴代日本政府は何をしていたのか。

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