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『Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学』

『Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学』
ケン・シーガル、林 信行 (監修)、高橋 則明 (翻訳)
NHK出版、2012/5/23、¥1,680(Amazon)

スティーブ・ジョブスと"Think Different"を展開し、iMacを命名したクリエイティブ・ディレクターの著者による、アップルの企業哲学を語った本。

ジョブスが物事をシンプルに考え、それを徹底したことがアップルの成功を生んだということは本書を読めば疑いがない。しかし、幾多の大企業がシンプルの哲学を実行しようとして失敗してきたことを例示して、「シンプルはつまみぐいできない」「企業全体の問題として取り組まなければならない」という根本思想を主張している。結局、スティーブ・ジョブスのいたアップルだからできたことで、ティム・クックのアップルがどこまでその哲学を維持できるかはかなり疑わしいと思った。

本書に挙げられていた、ジョブスによる"The Crazy Ones"をyoutubeで見て、企業理念を一言で示し、しかもそれを見た者が等しく心を動かされるような芸当ができるのは、彼だけだったろうという考えを強くした。

▲容赦なく伝える:
率直さはシンプルであり、あいまいな言い方は複雑だ。(p.27)

☆難しいが、だからこそ真理。

●「充分によいでは、不充分だ」
 スティーブからすれば、その文句は全く手ぬるい。彼の基準では、妥協する余地はまったくないのだ。人を不快にさせたり、陰で悪口を言われたりすることがあっても、もっとよくできることがわかっているときは、これでいいかと自分を納得させてはならない。けっしてだ。次善の策で手を打てば、シンプルさのルールを破り、のちに失望や、多くの仕事や多くの会議を招くことになる。(p.30)

☆難しいが、だからこそ真理。

●[シンプルさの最重要ルールの一つは] 有能な少人数のグループで始め、その規模を守ることだ。(p.46)

☆難しいが、全く同意。

▲少人数の法則:
 プロジェクトの成果の質は、そこにかかわる人間の多さに反比例する。
 プロジェクトの成果の質は、最終的な意思決定者がかかわる程度に比例する(p.56)

☆至言。人数が増えると純度が下がるのは実感としてわかる。

●焦点を合わせるということは、その対象に対してイエスという意味だと人々は考える。だが、それだけではない。そこにあるほかの100のよいアイデアにノーということも意味するのだ。選ぶのは慎重にしなければならない。私は自分がしてきたことと同じくらい、してこなかったことに誇りを持っている。イノベーションは1000もの物事にノーということなのだ。(ジョブス、p.77)

☆「ノー」といえる自分に、果たしてなれるか。

▲ミニマルに徹する:
 人はいつでも、明確に述べられたひとつのアイデアに対してより反応する。複雑さが話し始めると、チャンネルを変えてしまうのだ。(p.103)
 疑わしきときは、ミニマル化せよ。(p.105)

☆難しいが、真理。

▲動かし続ける:
 偉大なことを成し遂げるには、ふたつのことが必要だ。計画と、充分ではない時間だ。(バーンスタイン、p.110)
 アップルではさらにふたつの要素が加わる。
 1. 現実的な高い目標を設定すること
 2. 動くのをやめないこと(p.111)

☆この企業風土を作るのは経営者の意思しかないだろう。

▲イメージを利用する:(→"Think Different"キャンペーン)
 [ジョブスは] 投資を選んだ。それも製品ラインアップを再建するのではなく、企業イメージを再建するために。アップルを救おうというスティーブの情熱に影響されて、シャイアットもすぐに彼の計画に夢中になった。そのとき必要だったのは、現実的になるようりも、できると信じることだった。私たちは有名なスティーブ・ジョブスの現実歪曲フィールドを最前列で見学することができた。(p.130)
 人が誰を尊敬しているかによって、その人のことがわかる。それがこのキャンペーンの哲学だ。アップルにひらめきを与えてくれた人物をたたえることで、アップルは「Think Different」の言葉以外には何も使わないでも、自分たちがどんな会社かを世界に告げられるのだ。何種類もの広告をつくるのではなく、アップルにとってのヒーローたちに賛辞を送るポスターだけを作ることにした。(p.134)

☆このキャンペーンからすべてが始まったと言える。そして今に至っても有効なメッセージとして生きている。

●シンプルさは明確な戦略とそれに続く一貫したメッセージを求める。(p.238)

☆一貫性の重要性。

▲不可能を疑う:
 誰かがビジネスにおいてアイデアを考えついたときに、この言葉[ノー]は実に頻繁に耳にする。何かが出来ない理由はいつでも1000はあるが、クリエイティブな思考を使って回避できないものはそのうちの数個にすぎない。だから同僚や取引先がノーと言ったときに、あなたは額面通りに受け取らない方がいい。かなりの場合でそれは、非常な努力が必要か、いつものやり方と違うか、とてもコストがかかる、といった意味に過ぎない。(p.257)

☆つい妥協してしまうが、ノーというのは本当に難しい。

●あなたも否定的な答えに遭ったときには精査するとよい。その「ノー」はたんにあなたの要求が高すぎると言うことを言っているだけかも知れない。しかし、そう要求することが、普通以上の結果を得るためには必要なのだ。ルールは破られるためにある。誰かに楽をさせてもいいが、それによって台無しになるのはあなたのアイデアなのだ。(pp.260-261)

☆経験があるだけに、何も言えない。

●ところが、アップルにとっては「ただの箱」ではないのだ。アップルは、顧客の体験すべてが一貫して極上のものであることに、信じられないほど気を配っている。そして、顧客が箱を開ける瞬間はその体験の重要な一部なのだ。(p.264)

☆"Myth of Excellence"で挙げられた"Experience"を最重要視しているということ。

●アップルのデザイナーは、ベンダーが「できません」と言ったときには、それは特別な努力なしではできないという意味だと知っている。うまみのある取引が部屋から出て行こうとしているのを見たときに、人は驚くほどのことを成し遂げられるものだ(p.266)

☆できないことはないということ。

●他人の意見によって、自分の内なる声を溺れさせてはならない。何よりも大切なのは、自分の気持ちや直感に従って行動する勇気を持つことです。(ジョブス、Stanford、p.267)

☆それができれば苦労はしないが、できないと言ってはおしまい。

▲戦いを挑む:
 シンプルさは人をひとつのことに集中させる。逆も真なりで、ひとつのことに集中するとシンプルになりやすくなる。アップルはインテルに戦争をしかけたことで、効果的に消費者の関心をひとつのことに向けさせた。それは、PCの代替品としてMacを真剣に考えることだ。(p.276)
 アップルは長年の間に、的を持つことの楽しさを見いだしてきた。そして、うまくやれば、とても儲かることを。(p.279)

☆一点集中。

●しかしながら、あなたにできる最大限のことで通常は充分なのだ。自分のアイデアを前進させるときに、チャンスはすべて使わなければならない。つまり、やりすぎてもいいということだ。自制することなく、武器庫にあるもっとも破壊力がありそうな武器だけを使うことが、自分のアイデアの生存確立を高くする。これは戦争だと考え(事実、そのとおりなのだ)、軍司令官の優雅さを持ち、圧倒的な兵力を使ってアイデアを推進しよう。(p.283)

☆そこまでの情熱を傾けたことがあるかどうか自省する。

●ある問題を解決しようとして、最初に考え出した解決策がとても複雑だったとしよう。ほとんどの人はそこで考えるのをやめてしまう。だが、そこでやめずに考え続けて、タマネギの皮をむくように、ムダなものをそぎ落としていくと、とても洗練されたシンプルな解決策にたどり着くことがよくある。(ジョブス、Newsweek、p.288)

☆シンプルなアイデアになるまで考え続けろ、ということ。

●企業はその歴史において成功と失敗を経験するので、スティーブは<ブランド銀行>という概念を強く信じていた。
 企業ブランドは銀行の預金口座のように動くと彼は考えた。企業がヒット商品を出したり、すばらしいキャンペーンを展開したりして成功を収めれば、ブランド銀行に預金をすることになる。反対に、使いにくいマウスや高すぎるコンピュータで失敗をすれば、預金は引き出される。ブランド銀行の預金額が多いときには、企業が苦況に経たされても顧客は一緒に乗り切ろうとするが、貯金が少なくなれば、見捨てて逃げ出しやすくなるのだ。(pp.294-295)

☆「企業の信用」を大事にするということ。

●非常時には非常手段が必要とされる。あなたのアイデアが生死の境にあるのならば、それはまぎれもなく非常時だ。戦場の兵士と同じで、的の弾丸に一発でも遣られたら終わりだ。あなたが先に当てなければならない。最大限の努力をしよう。あなたのアイデアの命運がかかっているときに、もっともやってはいけないことはフェアな戦いをすることだ。すべての武器を使おう。可能ならbあ、自分の有利な立場を利用してもいい。そして、忘れてはならないのは、自分のアイデアに対するあなたの情熱がもっとも強力な武器になりうることだ。(p.302)

☆情熱を持て。

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