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『「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ』

『「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ』
鈴木博毅
ダイヤモンド社、2012/04/05、¥1,575(丸善日本橋)

第二次世界大戦における日本軍の組織論を分析した『失敗の本質』の解説書。名著として定評があり、本来は原著を読むべきだが、あまりに重厚で手に取るのがためらわれてきた。そこをうまくマーケティング的に押さえた解説書。内容云々より、まずは本書を出版した著者と出版社の着眼点に感心した。

本書では『失敗の本質』で失敗例として分析された6つの作戦をもとに、7つの敗因を抽出し、それがいかに現代の日本にも受け継がれてしまっているか、という点を描き出す。したがって、原著の単純な簡略版ということではないので、その点注意して読む必要がある。

7つの敗因
1. 戦略性:戦略的に有効な戦闘だけ勝利することを目標にする。
2. 思考法:ゲームのルールを変えたものが勝つ。
3. イノベーション:有効な新たな指標を見つける。
4. 型の伝承:型や外見を伝承するのではなく、成功の本質を見極める。
5. 組織運営:上意下達ではなく現場力を活用しフィードバックする組織にする。
6. リーダーシップ:トップの行動力が組織の利益に直結する。
7. メンタリティ:「空気」に流される日本

●戦略とは「目標達成につながる勝利」を選ぶこと。[略]戦略のミスは戦術でカバーできない(pp.40-41)

●戦略とは「追いかける指標」のことであり、戦略決定とは「追いかける指標を決める」ことである(p.48)

●『失敗の本質』からかいま見える、現代日本企業の弱点
 ・前提条件が崩れると、新しい戦略を策定できない
 ・新しい概念を創造し、それを活用するという学習法のなさ
 ・目標のための組織ではなく、組織のための目標をつくりがち
 ・異質性や異端を排除しようとする集団文化(pp.79-80)

●「創造的破壊」とは、従来の指標とは大きく異なる「劇的な変化」を意味する。
 1. ヒトによる創造的破壊
  「米軍は重要な戦略発想の核心を、ダイナミックな指揮官・参謀の人事により実行した。
 2. 技術による創造的破壊
  [略] 一連の技術革新が米軍の大艦巨砲主義から航空主兵への転換を可能とする基盤となった。
 3. 運用方法による創造的破壊
  既存の技術を「運用する方法」を大きく変化させて、それまでの勝者を敗者に追い込む。
  (pp.83-84)

●イノベーションを創造する三ステップ
 ステップ1:戦場の勝敗を支配している「既存の指標」を発見する
 ステップ2:的が使いこなしている指標を「無効化」する
 ステップ3:支配的だった指標を凌駕する「新たな指標」で戦う(p.107)

●チャンスを潰す人の三つの特徴
 1. 自分が信じたいことを補強してくれる事実だけを見る
 2. 他人の能力を信じず、理解する姿勢がない
 3. 階級の上gを超えて、他者の視点を活用することを知らない(p.186)
 →リーダーとは「新たな指標」を見抜ける人物(p.187)

●リスクを隠すことで、損害は劇的に増えていく
 『失敗の本質』で分析された日本軍のように、コンティンジェンシー・プランのない状態が招く二つの悲劇とは、
 1. 損害を劇的に増やす
 2. 新たな損害を自ら生み出す
ということでしょう。(p.228)

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