« 21年振りの腕時計 | トップページ | 金環日食 »

『甘粕正彦 乱心の曠野』

『甘粕正彦 乱心の曠野』
佐野眞一
新潮文庫、2010/10、¥820(BO¥350)

1923年9月1日に発生した関東大震災の混乱に乗じて憲兵が無政府主義者大杉栄他二名を殺害した。いわゆる「大杉事件」の犯人として軍籍を剥奪された甘粕正彦憲兵大意が、それを契機にしてどのような経緯を経て満州にわたったか、そしてどのように満映の理事長となり終戦時青酸カリを服毒して自殺するに至ったのか、を初出資料も含めて描かれる。

人一倍天皇に忠誠を尽くし、軍人以上に軍人らしかった甘粕が、軍籍を剥奪されたことで非常に捻れた人格を持つに至り、満州事変に始まる満州国設立の謀略面を担うことになった過程や、今まで単に傲慢で残酷に描かれがちだった甘粕の内面を深く追求している。

本書は大杉事件の犯人が甘粕ではなかったとはっきり指摘しているが、言わば中間管理職だった甘粕が軍上層部にうまく使われてしまった様子が、現在の原発を巡る責任を電力会社にのみ押しつけようとする現政権と重なって、結局日本人は変わらないな、と思わされた。

|

« 21年振りの腕時計 | トップページ | 金環日食 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/40886/54725609

この記事へのトラックバック一覧です: 『甘粕正彦 乱心の曠野』:

« 21年振りの腕時計 | トップページ | 金環日食 »