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『私、社長ではなくなりました。』

『私、社長ではなくなりました。 ― ワイキューブとの7435日』
安田佳生
プレジデント社、2012/2/28、¥1,470(有隣堂亀戸)2H(含blog)

2011/3/30に民事再生法適用を申請したワイキューブの元社長による回顧録。回顧録というよりは懺悔録になっている。『千円札を拾うな』などのイケイケの頃からは180度回転して今の暗い気持ちのまま書いたという感じがする。あまり役に立つ内容ではないかもしれないが、倒産した「今」だから書ける本、という意味で他山の石として一読の価値はあった。

学生時代、アメリカ大学留学、リクルート時代、ワイキューブでの独立、豪華なオフィスなど奇抜なマーケティングで一世を風靡した頃、そして民事再生に至るまでの過程。それらを非常に鬱々とした感じで書き連ねている。

とにかくコツコツやることが嫌いで一発逆転的な発想で物事を考えるため、うまくいくときはうまくいくが、基本に忠実な経営をしていないために少し歯車が狂うとあっという間に転落してしまった、ということがわかる。本人も言うとおり、経営者というタイプではなかったのだろう。そういう意味で、ワイキューブ役員だった中川智尚氏が事業継続会社のカケハシスカイソリューションズの代表に就任し、優秀な人材を引き留めたことは将来に希望を残す会社の終わらせ方ではあったと言えるかも知れない。

それにしても、ワイキューブ立ち上げから民事再生まで、本当に盟友と言える役員達を複数得られたということは、少なくとも著者にそれだけの魅力があったということで、それは本当にうらやましく思いながら読んだ。

●私たちがこの業界で生き残るには、大手と同じ事をやっていても無理だ。自社媒体を売るという大手と同じビジネスモデルからは、脱却する必要があった。
 私たちはひとつの決断を迫られていた。
 2005年、翌春卒業分の採用を最後に「就職コンパス」を綴じた。媒体事業に関しては、私たちは同業である毎日コミュニケーションズの代理店となった。
 デジタル媒体への挑戦を最後に、寺社媒体を捨て、採用コンサルティングに特化する道を選んだのだ。(p.92)

☆星野リゾートが「リゾート運営の達人」を目指して所有を捨て運営に特化したのと同様に、選択と集中をしたということになる。では私たちの会社はどのように選択すべきか。例えばコンサルティングの道はあるのだろうか。今後の検討課題。

●[アルバイト部隊を解散して落ちた営業力を補うために] 始めたのが、DMによる集客だった。こちらから電話をして顧客をつかまえる営業から、顧客から問い合わせてもらう営業へ転換しようと考えたのである。(p.95)

☆一つの営業手法として参考になる。

●[営業先で会う社長たちが自分の知らないことを知っていて劣等感に苛まれ、営業に行くのが嫌だったが] 根本的に変わらないといけないと思い始めてからは、どういうビジネスモデルをつくるべきなのかをとことん考えた。昼も夜も考え続けた。
 そうやって考えたことをメルマガで発信していった。
 三、四年が経ったころ、気づくと営業先の社長の話がわかるようになっていた。相手に対し、「では次はこういう取組をしてみたらどうですか」といった提案もできるようになっていた。
 何年か真剣に考え続けた結果、世の中の社長たちが何を考えているのかが、わかるようになった。そればかりでなく、考えなくてはならないことの内、何を考えていないのかがわかるようになっていたのだ。[略]
 同時にこうも考えた。世の中の社長達が考えることの半歩先を提案し続ければ、必ず売れるはずだ。(pp.98-99)

●[本を出版した] 少し前からは、自分たち自身のブランディングにも気を遣うようになった。
 まだ売上が伸び悩んでいたころ、得意先の社長から「おたくの売上が伸びないのは、安田さんも役員も社員もみんなダサいからだ」というキツい一言を浴びたのがきっかけだった。[略]
 「ダサい奴に仕事なんかださないだろう?おしゃれになればそれだけで売上が上がる」と話す社長に連れられ、丸の内近くのセレクトショップ「トゥモローランド」でスーツを何着か購入し、恵比寿の美容院で髪を明るい茶色に染めた。[略]
 七億円で頭打ちだった売上が、十億円を超えたのもこのころだった。売上とスーツが関係あるのか半信半疑だったが、他人のアドバイスは聞いてみるものだと思った。(pp.134-135)

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