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『モテ記 ~映画『モテキ』監督日記~』

『モテ記 ~映画『モテキ』監督日記~』
大根仁
扶桑社、2011/09/19、¥1,365(L)

映画『モテキ』の監督による制作記録と大根・長澤まさみ・森山未來の対談、決定稿脚本を収録。
撮影の裏側や、大根が何を考えながら撮っていたかなどがわかり、改めて映画を見たときの衝撃がよみがえった。また、ロケ場所がどこだったか書かれているので、そのシーンを思い出しながら読むことができた。

書中、幸世とみゆきがマンションで交わす会話に関しての大根と久保のメールのやりとりは、女性の心理を知る上でとても参考になった。この部分だけでも本書を読む価値があると言えるかもしれない。読んでも結局よくわからないのだけれど。「女の子は自分に自信がない生き物です」(p.144)という久保のメールの言葉はや「すべてにおいて自信がない」(p.168)という長澤の言葉は、曰く言い難く驚きだった。

●さいたまスーパーアリーナ横の、さいたま新都心で朝から準備と撮影。ダンサーとエキストラ60人を入れての大ミュージカル。ドラマ版でやれなかった大がかりなセットや仕掛け、そしてまさかのPerfume本人東城。(p.102)

●午後、青山「プラマイ」で幸世・唐木・ダイスケのシーン80。美術部の飾りが完璧すぎで驚く。(p.110)

●朝3時集合で白金シェラトン都ホテル前のるみ子、シーン77。墨さんがるみ子を口説いて連れてくるとしたら都ホテルだろうなあ。と思い、制作部に交渉してもらったのだが、外資系は難しいと思っていたらあっさりOK。(p.116)

●吉野家高田馬場店でるみ子の牛丼一気食いシーン。(p.116)

●夕方、渋谷と代官山の間にある小さなトンネルでシーン74の幸世とるみ子の重いシーン。通称:るみ子ゾンビシーン。このロケーション(八幡通りの並木橋手前の側道トンネル)は何度か撮影したことがあって『ヴァンパイアホスト』『アキハラバ@DEEP』でも重要なシーンで使った。[略] 本当に何気ない場所なんだが、カメラを通すとその場所にあるすべてが活き活きとしてくる不思議な場所。着くと、何もなかったトンネルの壁に美術部がクラブ系のフライヤーを貼ってくれている。前のシーンがリキッドルームなので、さりげに雰囲気を繋げてくれる。(p.118)

●朝8時会誌で原宿キャットストリート近くにあるスターバックス表参道B-SIDE店。確か藤原ヒロシがプロデュースしているスタバ。幸世とみゆきの会話シーン。(p.120)

●昼。三軒茶屋に移動してキャロットタワー前でゲリラ撮影。下北沢同様撮影許可は取っているが、通行人やら車やらは停められない。Perfumeミュージカル前の幸世とみゆきのハグ〜「ほんとのモテキだこれ!」から音楽IN〜幸世2回転ターン〜を1カットで。カット割りも考えたが、今回のゲリラ撮影の中で一番条件が厳しいので一気に撮ることに。[略] 数回撮るがまたもや通行人がこっち見ちゃう問題。「最悪、さっきのテイク使ってCGでベルト消すか」と考えてラスト一回やってみる。と今度は通行人目線ほとんど無し、おまけに幸世が投げたバッグが通りかかったおばさんの目の前に落ちてギョッとするという面白アクシデント、さらに海老反りジャンプも一番高い!撮れたああ!!粘って良かったああ亜!!!(pp.120-121)

●夕方、四谷のセツ・モードセミナー横の階段でみゆきの通勤ショット。オレは坂道や階段が大好きで、、というかオレのような画作りのセンスのない監督にとっては坂道や階段は画も芝居も作りやすい。(p.121)

●夕方、代官山でみゆきのマンション外観。[略] 夜、みゆきマンション前で『失格』(橘いずみ)を流しながらの幸世の走り。[略]
 方南町に移動して幸世走りの続きと、爆発後の墨さんがタクシーで幸世を見つけるくだりと、冒頭シーンの幸世の自転車点描。(p.130)

●シーン87、こちらも寝かせていた期間、撮影をしながらつかんできた幸世とみゆきのキャラクターや関係に思いを馳せつつ、以前久保ミツロウと交わした「みゆきにとって幸世ではダメな理由」メールを読み返しながら書く。以下、そのメール。
大根:みゆきは元々、幸世と同じくらい自分に自信が無い?
久保:女の子は自分に自信がない生き物です。
大根:ダイスケによって仕事も人との関係も変わった?
久保:稀にいる尊敬できる男は神様みたいに思えるものです。ダイスケによってすべて変わりました。
大根:ダイスケは恋人であり憧れであり神?
久保:その通りです。でも神として、形骸化、ゲシュタルト崩壊してきた所もあり。要は母性は欠けています、みゆきは。なので、実は結婚して子どもが欲しいとかは思ってない。ダイスケとつながる手段として必要なら結婚してもいいとは思っている。でもそれは、ちゃんとした恋人、の役割を与えられていないから後天的に形成された考えかも。
大根:幸世と出会ったとき、本当は自分の身の丈サイズはこの人とのほうが合うと思った?
久保:そうそう。すごく自分主導で出来る楽な恋愛だったのです。去ることも自分主導でできる余裕があった。尊敬できる人との恋愛から先にしてしまったので、等身丈の自分と近い男と恋愛してこなかった。たぶん、それがすごく新鮮だったのかもしれません。
大根:だから何回もデーとしたしキスもした?
久保:そうですね。
大根:でもこの人では私は成長できない。
久保:自分を成長させてくれる存在が先にいるので、切り離せないでいる、が正しいです。自分に自信がないから、今野自分を好きでいてくれる人を、いつか裏切ってしまう不安がある。幸世を引っ張っていける自身が無い。
大根:だから好きだけど付き合うことはできない。
久保:付き合う決定打が無い。先約がある。付き合うことができないとリミットを決めているのではなく、この人じゃなきゃいけないんだっていう、何かが満たされるのを待っている感じ。(pp.144-145)

●長澤:監督をはじめ周りの人が「ビッチビッチ」言うからそれで気づいたくらいで、私はすごくいいコだと思って演じてましたよ。クランクインする前に監督に会って「コンプレックスは何?」って聞かれて、「すべてにおいて自信がない」って答えたんです。それを監督がみゆきというキャラクターに盛り込んでくれたおかげで、愛着を持って彼女に接することができましたね。(p.169)

●シーン28 ナタリー・オフィス(決定稿)
唐木「お前アイドルソング聴いてなにリアルでも気が大きくなってるんだバカ!」
三浦「気をつけろ…弱ってる時に聴くアイドルソングは麻薬だ…」
幸世「え?」
唐木「ももクロもAKBもスマイレージも全部構造は同じだ!【好き】って気持ちを伝えること至上主義の歌詞に洗脳されて告白したって現実じゃドン引きされるだけなんだよっ!」
幸世「…あ〜っ!そんなの分かってる分かってる!十分自覚してそれだけは気をつけていたはずなのにオレ今なにをやろうとしてたんだっ!(スタッフらを見て)あ〜すいません、ありがとうございます!あ〜もう自分が恐ろしいわあっ!!」(p.198)

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