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『手帳300%活用術』

『手帳300%活用術』
日本能率協会マネジメントセンター
日本能率協会マネジメントセンター、2009/10/23、¥1,050(ローソン)

コンビニで目についてつい衝動買い。
特に目新しい中身はないが、手帳の使い方でよく言われていることを整理して書いてある。

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『コンサルタントの仕事力』

『コンサルタントの仕事力』
小宮一慶
朝日新書、2011/11/30、¥798(丸善本店)

コンサルティングの仕事は
1.お客さまの状況を正確に理解する
2.お客さまの状況を分析しながら、問題点の本質を探る
3.経営の原理原則や経営手法に照らし合わせながら、解決策や改善策を提案する
の三つであり、それを支えるのが
1.お客さまの話をよく「聞く」
2.お客さまの話を「理解する」
3.物事をこれまでの知識や経験と「関連づけ」て、問題解決のひらめきを得る
4.お客さまに解決策や改善策を「話す」
5.解決策や改善策を「書く」
6.お客さまに提案する際、「説得する」
という6つのスキルだと述べ、それはコンサルタントだけでなくすべてのビジネスマンに必要なスキルだと説く。

小宮の著書には同じ話が何度も出てくるが、それは本当に重要だと考えているからで、何度読んでも納得する話なので、その都度反省を迫られる。

●大切なことは、バイアス(偏見)がかかるとモノは見えない、ということです。異聞の意見が絶対だとか間違いないと思いこんでしまうと、「こうあるべきだ」という「べき論」のバイアスがかかってしまいます。しかし、そういう頑なな態度ではお客さまの話をきちんと聞くことはできません。(p.26)

●「アイデア社長は会社を潰す」
 その通りだと思います。アイデアはしょせん仮説ですから、検証しないままどんどん実行していたのでは、会社がおかしくなってしまいます。コンサル力を鍛えるのに下手なアイデアは一切不要です。素直さとすべてを仮説検証する姿勢が必要なのです。(p.29)

●新聞のなかで気づいたことはすかさずメモる
 ビジネマンなら、毎日、新聞を読むぐらいのことは当然、やっていることでしょう。ここで言いたいのは、その際に、分からない言葉やキーワードが出てきたらすぐに調べることを習慣化してほしいということです。
 これは基礎知識を身につけるための基本動作ですから、必ず実行してください。先程の記事でいえば、「レアアース」や「貿易収支」、「QE2」という言葉です。これらのキーワードを、なんとなくではなく、語彙や意味をきちんと他人に説明できるようになるまで、調べて勉強してほしいのです。
 また、新聞を読んでいて、気になったことは必ずメモする習慣もつけてください。一日ひとつでもかまいません。メモすることがコンサル力の強化に欠かせないのです。[略]
 記事のメモを続け、項目が増えてきて、ときどきそれを見返すことを行っていると、そのうちに記事間の関連づけが見えてくるようになります。そうなると先程説明したように、「レアアースが高騰した背景には何があるのだろう」と、"その先"を考えるクセがついていきます。いろいろな事を関連づけて考えた結果は「仮説」ですから、今度はそれを検証していけばよいのです。(pp.89-90)

●新聞は1面から読む [略]
 新聞は1面から読むことが大切です。なぜかというと、新聞社が読者に知ってほしい順番で1面のトップ記事から紙面の配列を行っているからです。[略] 皆さんの関心事が社会の多くの人が関心を持つことと同じとは限りません。ぜひ皆さんの関心を、社会の関心事に合わせてください。(PP.91-62)

●これまで経営コンサルタントとしてたくさんの会社を見てきて実感するのは、失敗する会社の経営者には共通のパターンがあることです。
・公私混同が激しい
・私利私欲が強い
・「CS(お客さま満足度)よりもES(従業員満足度)」を優先させている
・和気あいあいを良しとし、社内に切磋琢磨の気風がない
 もちろん、これらは私の体験に基づいた仮説です。ただし、さまざまな会社で検証を繰り返してきていますので、私は「ほとんどの会社に当てはまる」と結論づけています。(P.106)

●ところで私は、「お客さま志向の小さな行動を徹底している会社は、成功しているところが多い」という仮説も持っています。この仮説もかなりの確率で当たっていると感じています。「小さな行動の徹底」とは、次のようなことです。
・社内でも「お客さま」という言葉遣いを徹底しているか(大切なお客さまを「さん」づけしていないか)
・電話は3コール以内でとっているか
・自分の机は自分で片付けているか
・来客は玄関先まで「出迎える、見送る」を徹底しているか(P.108)

●私は講演会などで、成功する人に共通す5つの特色を話すことがあります。
1.せっかち
2.人を心から褒めることができる
3.他人のことでも自分のことのように思える
4.怖いけど優しい
5.素直
これらは、「成功する人に共通するものは何だろう_」と考え、さまざまなKせつを立てて検証した結果、得られたものです。(P120)

●まず、多くの人に会うことです。友人、知人、お客さま…。直接、人に会って、人の生き様を見たり生の情報を得たりすることはとても大事です。
 勉強で知識を得るのと並行して、時間の許す限り億劫がらずに人に会いに行ってください。多くの現場を見て、ときには見るだけでなく経験してください。その際に、自分の好きな人やウマの合う人だけに会うのではなく、さまざまな人と会うことが大切です。(P.153)

●今のアメリカの景気を考える上で、最も重要な指標の一つがこの住宅着工件数です。アメリカの景気が本格的に回復するには、雇用の数字が改善し、個人がモノを買い始めなければなりませんが、そこに至る道はまだ遠いようです。(P.157)

●一つは、「お客さま翻意の言葉遣いがきちんとできている会社はお客さま志向の会社である」という仮説です。何度か述べてきましたが、「お客さま」という言葉や大切なお客さまを「さんづけ」で呼ぶことを幹部クラスの人間が徹底して行う会社でなければ、その言葉遣いが社員一人ひとりに浸透しているとは思えません。(P.162)

●経営者も同じです。リーダーとして人を動かすには、まずは自分が動かなければ成りません。経営者が楽をしていて、あれこれと指図してばかりでは社員がついてくるはずがありません。「指揮官先頭」の心構えが大切なのです。(P.182)

●[時間を上手にコントロールする] コツは大きく分けて二つです。
 一つは集中力を高めることです。私は銚子が避ければ、1200字程度の文章なら15分から20分で書けます。そのためには、自分にとってやる気の出る時間帯を把握し、その時間に大事な仕事を一気に片付けるように心がけるべきです。
 もう一つのコツは、自分にしかできない仕事が何であるのかを見極め、それ以外は他の人に任せることです。(P.193)

●世の中、何が評価の対象になるか分かったものではありません。だからこそ、どんな仕事であろうと全力投球で真剣に取り組むべきなのです。最後は、その積み重ねがものをいいます。(P.203)

●時間をコントロールする感覚を持つ、その訓練になるのが目標管理です。[略] といっても、大げさなものではありません。私が昔から実行していて皆さんにもおすすめしたいのが、「毎月1日に『月間目標』を立てる」ことです。仕事とプライベート、それぞれ一つずつ目標を立てるのです。ハードルの高い目標である必要はありません。(P.204)

●少しずつ努力を積み重ねる
 私はこれまでもたくさんの人に、「騙されたと思ってやってみては?」と月間目標を立てることをすすめてきました。でも実戦している人は、ほんの一握りです。
 実はこれこそが、人の成功を分ける「紙一重の差」だと思っています。人が良いとすすめることを、一歩踏み込んで素直にやれるかどうかです。
 月間目標を立てるか立てないか。それをやるかやらないか。さらに続けるか続けないかーこのちょっとした差が、いつしか大きな差になり、成功する人とそうでない人に分かれていくのだと思っています。(PP.209-210)

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『仲達』

『仲達』
塚本青史
角川文庫、2012/1/25、¥660(有隣堂亀戸)

三国時代末期、曹操なきあと初代魏皇帝曹丕を補佐してから、孔明の北伐に相対し、三代魏皇帝曹芳の時の内紛を収めて亡くなるまでの司馬仲達の一生を描く。

多少文章に読みづらく硬い部分があるのと、多岐にわたる登場人物を説明しなければならないため途中で説明不足で人物関係がよくわからなくなる部分がある。それ以外は、「死せる孔明、生ける仲達を走らす」という人口に膾炙した物語が実際にはそうではなく、仲達にはそこまでして蜀を追う理由がなかっただけ、という解釈と、孔明の戦略物資が麻薬または阿片であったという解釈に基づく、仲達の視点で描く三国志のストーリーで、大変面白く、最後まで読ませた。

▲『善く戦ふものの勝つや、智名なく勇功なし』=『戦いが巧いとは、勝っても、知謀や勇気が人目につかぬこと』(『孫子』)(p.204)

●この景初二年(238年)には、帯方郡太守劉夏のもとへ珍客があった。それは、海の彼方からやってきた倭人である。彼らは、邪馬台国の女王卑弥呼の使節と称していた。そして、洛陽にいる魏皇帝(曹叡)に挨拶したいと、土産を持って、まず劉夏を訪った(おとなった)のである。(p.230)

●だが本書の真骨頂は、戦略物資としての麻薬([略] 阿片と思われる)に着目し、諸葛亮が三国に麻薬を流していたことを前提に、歴史を読み替えたことにある。[略] 曹操の御典医になった華陀が開発した麻酔薬・麻沸散には阿片が含まれていたといわれている。(p.356)

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『増補 広告都市・東京: その誕生と死』

『増補 広告都市・東京: その誕生と死』
北田 暁大
ちくま学芸文庫、2011/7/10、¥945(蔦屋書店代官山T-Site)

廣済堂出版から出されて絶版になっていたものの改版。旧版を読んだことがあり、大変面白い内容だったので、購入した。

広告をキーワードに、その歴史的成り立ちを考察した上で、80年代から90年代の渋谷の変遷をたどる。

資本の論理の至上命題である「差異を見いだせ。そして利潤を得よ」(p.27)を満たすために生まれた広告は、近代初頭の段階では商品の機能を詳しく述べることによって差異を生み出していた。そして都市中産層が勃興する19世紀末になると、言葉による機能説明よりもヴィジュアルデザインによって差異を生み出す「ソフトセル」といわれる手法が広告に取り入れられていく。その後広告は自らが広告であることを隠すことによって広告するという「スーパー・ソフト・セル」とでも呼ぶべき幽霊的な身体を1930年代以降に身につけていく。その行き着く先に、映画『トゥルーマン・ショー』にシーヘヴンで描かれた、全てが広告という世界が誕生する。しかし、あまりに精密に計算された世界は、「脱文脈性を本質とする」広告自身によって崩壊する。
以上のような世界が、日本では80年代から90年代の渋谷で現実化した。80年代、西武パルコを中心とした街の設計によって、歩くもの見るものそしてそこに身を置く自分自身さえもが広告になり、広告は街の中に身を潜める現実のシーヘヴンが誕生した。90年代になり、それが崩れてむしろ広告が広告であることを隠さず、そこが「渋谷」である必然性もないCF化された空間として『ランキンランキン』や『QFRONT』が誕生し、「広告都市」は死を迎える。

今回の文庫化で収録された補遺では、「広告都市」の死後、終わりなき日常に耐えられない大人達が映画『ALWAYS 三丁目の夕日』などに見られる昭和30年代のシミュラークルに取り憑かれる様を、映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』を題材に考察する。
結論から言えば、不正・不条理な社会状態と、超時間的・非空間的な形で設定された理想状態とのズレを観察し、そのズレを埋めるべく人々へのコミットメントを求める、昭和30年代ブームを基礎づける「オトナ帝国」の主宰者ケンの思想が、おおよそ思想性をもたない、凡庸な日常に敗北する。終わりなき日常(の堕落)を拒絶するオトナ帝国の思想が、日常を生きるほかない郊外の子どもたちの現実に敗北する。

本書は、北田も告白しているように、本来は旧版に対して新版・続編として出版される予定だったが、まとまりきらずに補遺として付加されたものとして出されたものになっている。従って、前半のキーワードとなっていた広告は、補遺では触れられていない。恐らく、昭和30年代ブームの考察の後に広告との関係が描かれていくはずだったのではないかと思う。

2010年代に入り、twitterやfacebookなど、つながりを強要するインターネットプラットフォームの誕生とともに、広告はさらにその姿を変えて私たちの前に姿を現している。そのあたりの社会的変化がどのように展開されるのか、今後に期待したい。

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『フェイスブック 若き天才の野望』

『フェイスブック』
デビッド・カークパトリック、滑川海彦他 (翻訳)
日経BP社、2011/1/17、¥1,890(L)

マーク・ザッカーバーグがハーバード大学在学中にフェイスブックのアイデアを形にしてから世界にユーザーを広げていくまでの様子を描く。類書と違い、 ザッカーバーグの許可の下書かれた本であり、フェイスブック社員等関係者のインタビューもかなり詳細に描き込まれている。

読んで思ったのは、『グーグル秘録』もそうだが、やはりアメリカの西海岸でIT企業が狭い範囲で切磋琢磨する環境があって初めてフェイスブックのような企業が生まれるのだろうということ。言い古されているけれど、日本ではいいアイデアがあって熱意があってもそれをビジネスとして生かす仕組みがここまで整っていない。また、人材が揃っているのもアメリカの強みだとわかる。まだ起業したてのころ、ワシントンポストのCEOドン・グレアムをメンターのようにして指導を仰いだり、グーグルの副社長だったシェリルサンドバーグを引き抜いてCOOにしたことがフェイスブックが拡大した一つの大きな要因になっている。

大学生のサークルのノリだったころから会社が大きくなり、サンドバーグの入社を期に、昔の仲間が退社していく様子は、どの企業でも起こることとはいえ、寂しさを感じさせた。特に、アップルで言えばウォズニアックにあたるだろうCTOモスコヴィッツの退社がザッカーバーグに与えた影響は大きかっただろうと想像できる。

あと、フェイスブックが他の類似サービスより普及した大きな要因の一つが、「ハーバード大学発」というブランドだったことは間違いないだろう。ブランドをうまく使ったザッカーバーグの戦略勝ちだと思った。

最初はページ数の多さに読むのをためらったが、覚悟を決めて約500ページを3.5Hで読んだ。多分最近では最速だと思うが、最後の方は頭が痛くなってきた。自分の年齢を感じた。で、ブログ書くのに1H。後で振り返るためとはいえ、もう少し効率良く書かないと挫折する。

●[初期のCEO] ショーン・パーカーは言う。
「企業のリーダーたるものは、頭の中に決断が枝分かれのツリーになって入っていなければならない。もしこれが起きればこっちへ行く。しかし別のことが起きれば、別のこの方向に行く、という具合にね。マークは本能的にそういうことができた」(p.67)

●多くの学生がメールのアドレス帳を使わなくなった。ザ・フェイスブック[フェイスブックに社名変更する前の旧社名] なら相手に連絡するのに単に名前を打ち込むだけでよかったからだ。(p.127)

●[ザッカーバーグの手帳の] 表題には「変化の書〔易経の英訳名〕」とあり、世界を変えたければまず自分が変わらねばならないーマハトマ・ガニー」と引用が記されていた。中を開くと、ザッカーバーグの美しい筆記体で、数年のうちに彼がザ・フェイスブックに追加しようと考えているさまざまな機能が詳細に記入されていた。後に、ニュースフィード、一般ユーザーへの公開、サードーパーティーの開発したアプリケーションが作動するようなプラットフォームとして結実するアイデアがすべてこの手帳にあった。読んだことのある人間によると、一部は「意識の流れ」派の文学のような独白だったという。(p.195)

●[ザッカーバーグ]のプレゼンは恐ろしくシンプルだった。時には1枚のスライドにポイントがたった1行、「目標:利用時間を増大させる」などと書いてあることもあった。(p.240)

●師であるマーク・アンドリーセンはザッカーバーグを「働かない人間がいたら、ためらわず更迭するのはCEOの仕事だ」と励ました。(p.242)

●ニュースフィードはフェイスブックにとって単なる変化以上のものだった。それは、人と人との間で情報が交換される方法に、重要な変化が訪れる前兆だった。それは、コミュニケーションの「普通の」方法を逆さまにした。今まで自分に関する情報を誰かに伝えたい時には、自らプロセスを始める、すなわち電話をかけたり、手紙やメールを送ったり、あるいはインスタントメッセージを使って会話するなど、相手に何かを「送る」必要があった。
 ところがニュースフィードはこのプロセスを逆転させた。誰かに自分に関する通知を送る代わりに、フェイスブックで自分について何かを書くだけで、その情報に興味を持ちそうな友だち宛にフェイスブックが送ってくれる。誰に送るかは、過去に相手が何に興味を持ったかに基づいてフェイスブックが計算する。そして自分のフェイスブックホームページを見ているこうした情報の受け手たちは、この新しい自動化された形のコミュニケーションによって、同時に多くの人たちと、最小限の労力で連絡を取り合うことが出来るようになった。ニュースフィードが世界を小さくしたのである。
 フェイスブックがつくったのは、実質的に友人の情報を「定期購読」する手段だったのだ。(p.281)

●「仕事上の友達や同僚と、それ以外の知り合いとで異なるイメージを見せる時代は、もうすぐ終わる」
と彼は言う。彼にはいくつか主張があった。
「2種類のアイデンティティーを持つことは、不誠実さの見本だ」
 ザッカーバーグが道徳家のように言う。しかし、実利的な面を挙げてこうも言った。
「現代社会の透明性は、ひとりがふたつのアイデンティティーを持つことを許さない」
 言い換えれば、自分のプライベートを仕事情報と隔離したいと思っても、個人情報がインターネットのあちこちに広がっているから無理だということだ。(p.290)

●「われわれのビジネスの本質は何なのか」[シェリルサンドバーグ](p.377)

●グーグルーサンドバーグの古巣であり、紛れもなくインターネット広告の王者ーは、ユーザーが欲しいとすでに決めているものを探す手助けをする。これに対してフェイスブックは、ユーザーは何が欲しいかを決める手助けをする。(p.379)

●ドン・タプスコットは『ウィキノミクス』(日経BP社刊)でビジネス協業の新しい形態について、『デジタルネイティブが世界を変える』(翔泳社刊)で、若者とテクノロジーについて書いた著作家だが、こう説明する。
「ソーシャルネットワーキングはソーシャルプロダクションになりつつある。これは友達との関係を変えただけではなく、イノベーションを起こし、製品やサービスを創造するために社会が能力を統合する方法を変えつつある」(p.389)

●キャンパスでは、米国内ほぼすべての高校や大学にフェイスブックが浸透した結果、従来の学校印刷メディアー新聞や卒業アルバムーの重要性は著しく衰えた。(p.429)

●「しかし非常に深遠な違いだと私[ピーター・シール] が思うのは、グーグルがその根本で、このグローバル化プロセスが終わった後、世界の中心はコンピュータになり、すべてをコンピュータが行うようになると信じていることだ。おそらく、グーグルがソーシャルネットワーキング現象で機会を逸した理由の一つがそれだろう。グーグルをけなすつもりはまったくないが、グーグルモデルでは情報が、世界の情報を体系化することが、もっとも重要なのだから」
「フェイスブックモデルは根本的に異なる。完全なグローバル化に関して私が最重要だと思っていることの中に、有る意味で人類はテクノロジーを支配するものであり、その逆ではないということがある。会社の価値は、経済的、政治的、文化的ー何の価値であれー一番大切なのは人であるという考えに端を発している。世界中の人たちが自らを組織化するのを手伝うことが一番大切なことだ」(p.474)

●フェイスブックのここ数年来の注目語が「ダサい奴になるな(Don't be lame)」だ。[製品担当副社長] クリス・コックスによるとその意味は、もっと金を儲けるためだけや、みんながやれと言うからというだけの理由で何かをするな、ということだという。これはグーグルの「邪悪になるな(Don't be evil)」と対照をなすフェイスブックのモットーだ。(p.483)

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『サラリーマン漫画の戦後史』

『サラリーマン漫画の戦後史』
真実一郎
洋泉社新書y、2010/8/6、¥777(Amazon)

そもそもサラリーマンという和製英語は、第一次世界大戦後の1920年代に本格的な企業社会を迎え、大量に生まれたホワイトカラーを「サラリーマン」と呼んだのが始まりだという。第二次世界大戦後にはブルーカラーもホワイトカラーも含めた日本独特の用語となって今日を迎えた。しかし、終身雇用・年功序列が崩れた今日、「サラリーマン」という概念がすでに役割を終えてしまったのではないか、というのが著者の問題意識で、それを漫画によって系譜学的に追ったのが本書である。

日本の漫画はすべからく1950年代以降にサラリーマン小説を大量に書いた源氏鶏太にその起源を求めることが出来る。源氏の小説においては、疑似家族としての会社が、「善良なサラリーマンを主人公とした勧善懲悪を」(p.19)描くと言う形で物語られる。その<源氏の血>(p.20)を最も正統に受け継いだのが『島耕作』シリーズでありその他諸々のサラリーマン漫画であった。しかし、バブル崩壊後、疑似家族としての会社は崩壊し、それぞれの「個」を描く漫画に変化していった、というのが著者の主張である。

改めて言われるとなるほどなあ、と思うことが多数あり、自分はまだサラリーマンではなかく学生だったけれど、時代の雰囲気によって無意識のうちにバブルに踊らされている部分もあったのだなぁ、と昔を思い返しながら読んだ。

●[バブル契機の絶頂期] 当時、アルバイト情報誌『フロム・エー』はフリーターを「既成概念を打ち破る新自由人種。敷かれたレールの上をそのまま走ることを拒否し、いつまでも夢を持ち続け、社会を遊泳する究極の仕事人」と定義した。今でこそこうした「夢追いフリーター」は、正規雇用志向型や期間限定型といったフリータータイプのうちのひとつにすぎないものの、バブル当時においては、フリーターといえば夢追い型かモラトリアム型のことであり、そしてその生き方は多くの正社員をも魅了していた。(p.105)

●実は2000年代早々に、平均的なサラリーマンを主人公とした、最大公約数的な広告キャンペーンが社会現象化している。缶コーヒー「ジョージア」の「明日があるさ」キャンペーンだ。[略] このキャンペーンは、「失われた10年」に絶望しかかっていた全てのサラリーマン、全ての日本人に「明日への希望」を与える形で大きな反響を呼んだ。
 今にして思うと、「明日があるさ」が提供した希望は<古き良き昭和の復興>だった。昭和の大ヒット曲を使用し、「吉本ファミリー」という疑似家族を起用して家族的な温かい会社を描いたこのファンタジーは、つまりは源氏鶏太的感性のリバイバルだったのであり、2000年代半ばに『三丁目の夕日』を中心としてブームとなる昭和リバイバルの先行事例だったのだ。そしてこれは、<源氏の血>が輝いた最後の瞬間となった。(pp.136-137)

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『万能鑑定士Qの事件簿 XI』

『万能鑑定士Qの事件簿 XI』
松岡圭祐
角川文庫、2011/8/25、¥540(L)

凜田莉子シリーズ第11弾。祖父が建て、寂れ果てていた単立宗派の音隠寺を、願ったことが叶う「祈願箱」をメディアに売り込むことで観光スポットにまで作り上げた水無瀬瞬。そのからくりに気づき真相を明らかにしようとする莉子。しかし瞬は莉子と同じくチープグッズで瀬戸内陸の教えを受けた兄弟子だったため、なかなか真相をつかめない。

今回は莉子の兄弟子を出すことで知恵比べを演出している。毎回著者は何かしらの事柄に批判的な視線をそそぐが、今回は京都の有名寺院などの本音と建前を俎上にあげ、そのビジネス一辺倒の僧侶たちを皮肉った内容になっている。

●[瞬] 「建前の宗教論なんか要らないって。周りを見てみなよ。金閣寺の拝観料は四百円、清水寺は三百円。札やお守りみたいなグッズを売って、おみくじというアトラクションで稼ぐ。人は目新しい楽しみや歓び、風変わりなイベントを求めて足を運ぶんだよ。いいから、まかせてみなって」(p.18)

●歴史的な深み…。宗教としての純度を推しはかる目安にはならない。そのことは、彼ら[京都の住職や神主達] がいちばんよく判っている。神社仏閣の経営はビジネスにすぎないと割り切ったからこそ、ここにいる神主や住職たちは成功者の部類に入っているのだろう。どの寺社にも縁結び祈願のコーナーがあり、おみくじの自販機を置き、茶屋がある。パワースポットめぐりのスタンプラリーには、有名どころの寺社のほとんどが参加している。参拝料もしくは拝観料という名の入場料もとる。グッズも多種多様に作る。本堂のなかでも物販がおこなわれるのが京都だ。来客に夢を売る。テーマパークとどう違う?(p.39)

▲四つの数字を大から小へならべ、小から大へならべ、その差を出したら、もう一度大から小へならべ、小から大へならべてその差を出す。すると、答えは常に6174になる。(p.249)

☆証明は
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1012832050
など。

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備忘:Androidの問題点(2chソース)

Androidの問題点(追記版その2)

・アンドロイドのベースになったリナックスからセキュリティ関連の機能を
ごっそり「意図的に」削ってある。(ファイアーウォール・常駐ソフト/サービス
管理・権限関係制御)
・自分の端末であろうと、ハッキングしないと管理者権限がないので上記の
対策が出来ない。つまり勝手に通信するソフトを止めたりするのが困難。
・起動すると動作が緩慢になるまで意味不明な常駐アプリを立ち上げ続け、
多くが通信している(20個とか)。しかも、所有者が常駐管理出来ない。
一時的に殺しても何度も何度も立ち上げてくる。(ゾンビアプリ)
・切っても切ってもWebブラウザとグーグルマップが勝手に立ち上がって
くるので何も設定変更していない人は四六時中位置を捕捉される。
・金銭を伴う可能性のあるアプリケーション「アンドロイドマーケット」も勝手に
立ち上がる。
・SDカードは殆どのアプリケーションから覗けるのでほぼ丸見え。
・ウィルス対策ソフトが一般ユーザー権限なので、悪意のあるアプリケー
ションがその動作を切ろうと思えば簡単に出来る。
・多くのサードパーティー製ソフトが不必要な権限を持っていて色々な事を
悪意を持って行う事が可能。特に殆どのソフトが通信機能あり。
・よその人間が作るとキーロガーとしてウィルス認定される様な入力記録・
送信ソフトを「ソーシャルIME」として配布している。
・今回の規約改訂で端末内覗き放題・ノープライバシー
(ユーザー以外の情報が含まれていれば、その人の情報も筒抜け)
・デバイスでサードパーティ製アプリケーションを利用した場合、
そのアプリケーションにより収集されるすべての情報が製造元に送信され、
Google のプライバシー ポリシーは適用されない。
・Androidマーケットは無審査であるためマルウェアを購入するリスクがある。
・Android端末を持って歩いているだけで、人様のSSIDやMACアドレスの情報を収集してしまう

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『あらゆる領収書は経費で落とせる』

『あらゆる領収書は経費で落とせる』
大村大次郎
中公新書ラクレ、2011/9/9、¥777(有隣堂亀戸店)

元国税局調査官の著者による経費の立て方についての解説。書名は「あらゆる領収書は経費で落とせる」と謳っているが、本文中では「落とせる(可能性がある)」とトーンが下がる。
実務で会計をやっている人間には概ね既知のことが多いが、経費にする方法が整理して書かれているので、頭を整理するのに役立つ。

●「キャバ嬢への愛人手当を経費で落とす方法」は、大まかにいって三つのルートがあります。
 一つは、社員(もしくは役員)にする方法です。
 もう一つは、業務委託をする方法です。
 最後の一つは、キャバ嬢に情報提供料を払う方法です。(p.124)

●キャバクラ嬢を社員にして愛人手当を会社の経費で落とす方法というのは、身内に利益供与をする場合にも使えます。親や子どもに小遣いをやりたいときなどにも、この方法を使うことができるのです。そしてこの方法を使えば、家族全体でみるとかなりの節税になります。[略]
 月に2回くらい、[子どもに] オフィスの回りの草むしりなどやらせて、1回あたり1〜2万円くらいを払うのです。草むしりなどを普通に業者に頼めば、そんな金額ではとても足りませんので、支払額としては高すぎることはまったくないのです。
 年間20〜40万円程度ですが、これをポケットマネーで払おうと思えば、10万円前後の税金、社会保険料を払わなければならないのです。年間20〜40万円ならば、子どもには税金がかかりません。(pp.126-127)

●退職金では、けっこう大きな金額を出すことができます。
 役員に対する退職金は、税務署が時々文句を言ってくる部分でもありますが、以下の計算式で算出される金額くらいまでは、大丈夫だといえます。
 勤続年数×最終的な月収×3
 つまり20年勤務した役員で、最終的な月収は50万円だったとすれば、3千万円までの退職金ならば大丈夫ということです。社員の場合も、だいたいこの計算式の半分の退職金であれば、大丈夫だといえるでしょう。(pp.136-137)

●会計の目的は、表向きは「企業経営の正確な実態を反映したデータを作る」ということになっています。しかし、会計の本当の目的というのは、[略] 「計画したとおりの利益を出すこと」です。つまりは取引先、銀行、税務署に見せてもおかしくない申告書をつくることであり、「いかに見栄えのいい決算書を作るか」ということです。(p.144)

☆申告書は企業経営の正確な実態を示していないから、会計上の決算とのずれを正確に把握する必要がある。

●高度な情報化社会となった今でも、一番、成功しやすい脱税というのは領収書の発行がない取引なのです。売上金をポケットに入れてしまえば成立してしまうし、税務署がそれを見つけるのには相当な苦労をしなければならないのですから。(p.191)

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『聞く力―心をひらく35のヒント』

『聞く力―心をひらく35のヒント』
阿川佐和子
文春新書、2012/1/20、¥840(青山ブックセンター丸ビル店)

阿河佐和子は週刊文春で長い間対談記事を持ち、最近はテレビでもインタビュー番組を持っていて、どのようにインタビューの技術を身につけたのか興味があった。
様々な試行錯誤をしながら、いかに相手に話をさせるか、あざとくなく本音を引き出すかが書かれている。もちろん阿川の人柄がその聞く技術を類い希なレベルにしているとはいえ、経験に基づいているだけあって一般人にも随所に役に立つヒントがある。

●でも城山[三郎] さんのどこが、聞き上手なのだろう。
 城山さんは私の前で、鋭い突っ込みや、こちらがドキッとするような質問はなさいませんでした。ただひたすら、「そう」「それで?」「面白いねえ」「どうして?」「それから?」と、ほんの一言を挟むだけで、あとはニコニコ楽しそうに、私の世にもくだらない家庭内の愚痴を、穏やかな温かい表情で聞き続けてくださったのです。
「そうか!」
 私は合点しました。聞き上手というのは、必ずしもデーブ・スペクターさんのようにビシバシ切り込んでいくことだけではないのかもしれない。相手が「この人に語りたい」と思うような聞き手になればいいのではないか。こんなに自分の話を面白そうに聞いてくれるなら、もっと話しちゃおうかな。あの話もしちゃおうかな。そういう聞き手になろう。(pp.31-32)

●全部の資料に目を通す余裕がないのなら、どれかを捨てなければなりません。優先順位を決めよう。となると、私はだいたい、その人が自分で書いた著作や、本人が演じた映画や、演奏している音楽、ないしおsの映像などを優先するようにしています。もちろん、最低限のゲストのプロフィールは頭に入れておく必要があるので、その半生がわかるような過去のインタビュー記事は不可欠ですが、その次に大事なのは、実際に本人が手がけたものだと思っています。
 なぜならば、本人にとって、あちこちの媒体で受けたインタビューよりも、なんといっても自分が作ったものがどう評価されるかのほうが、気になるに決まっています。そしてそういう作品に目を通してみると、意外なものを発見することがあるのです。(p.58)

●「自分にヤキ入れてやろうと思ってね」、ピクニック気分で八十八カ所巡りを決心したものの、ジーパンTシャツ姿で歩いていくと、途中の食道のご主人に「歩いてやるならその格好はおやめなさい」と叱られて、おまけにビールを飲んでいることがばれるや、「金はいらないから」とビールを取り上げられ、「別格寺へ行って、口ゆすいで、お祓いしてこい。二度と酒を飲むな。そしてもう一回ここから歩け」と言われちゃう。
「バカ野郎、こんなこと真面目にできるか」と毒づいていたはずのショーケンが、しだいに心変わりをしていく。身につけていたウォークマンもカッパも無線も捨て、数珠一本と金剛杖だけを頼りに、マムシと戦い、道に迷い、来た道を引き返し、迷い人を助け、誕生日に嵐に遭い、とうとう、「出る前までは願いごとばっかりだったんですけどね、いい女が現れますようにとか。でも、なくなっちゃうんです、自分の願いごとなんて一つも。人のことばっか」祈るほどに心は清められてしまう。(p.71)

●「もっとゴルフが上手になりたいのなら、失敗してもひきずらない。さっさと忘れて気分の切り替えをしなさい」と、教えてくれたのです。[略]
 そうだ、今日、こんないいお天気に、親しい仲間とゴルフができるだけで、私はなんて幸せなんだ!(p.82)

●人生において、誰かの「一言」がどれほど大切なものであるかを考えるとき、インタビュアーのほんの小さな相づちも、「きちんと打たなきゃダメだ」と肝に銘じます。(p.85)

●[英語でインタビューしなければならなくなりどうしようと思っていたとき] ある人に教えられたのは、「相手の言っていることがわからなかったらこう聞けばいいんだよ。『Please be more specific』ってね」。[略]
 たしかに、「あなたの英語がわからないので、もう一度、話してください」とお願いするよりはるかにカッコいい。こりゃ、便利な言葉を教えてもらったと、アメリカ滞在中はあちこちで乱発したものです。(p.160)

●[相手をなぐさめる反応をするには] 実験の結果、だいたい二秒ぐらいが妥当ではないかという意見で一致しました。三秒では長すぎる。でも一秒だと、わざとらしい。やっぱり二秒ぐらいがいいのではないかしらね。(pp.172-173)

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『東京ルフトアンサンブル第5回定期演奏会』

日時:2012/2/11 14:00-16:00
題名:第5回定期演奏会
場所:杉並公会堂 大ホール
出演:東京ルフトアンサンブル[管弦楽]
曲目:レスピーギ / 組曲「鳥」
   モーツァルト / 交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」
   シューマン / 交響曲第4番ニ短調作品120

知人が所属する楽団で、誘っていただいたので行ってみた。
指揮者のいない楽団ということでどんな音楽か興味があったが、各々しっかり演奏していて、非常によい演奏だった。女性のコンサートマスターがリードしていたようで、演奏の息をそこに合わせて演奏者それぞれ自分のパートを上手く演奏していた。
大学オーケストラのOBが中心になって運営しているとのことで、皆それなりのレベルの技術を持っているから指揮者なしでもここまで演奏できるのだろう。

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『モテ記 ~映画『モテキ』監督日記~』

『モテ記 ~映画『モテキ』監督日記~』
大根仁
扶桑社、2011/09/19、¥1,365(L)

映画『モテキ』の監督による制作記録と大根・長澤まさみ・森山未來の対談、決定稿脚本を収録。
撮影の裏側や、大根が何を考えながら撮っていたかなどがわかり、改めて映画を見たときの衝撃がよみがえった。また、ロケ場所がどこだったか書かれているので、そのシーンを思い出しながら読むことができた。

書中、幸世とみゆきがマンションで交わす会話に関しての大根と久保のメールのやりとりは、女性の心理を知る上でとても参考になった。この部分だけでも本書を読む価値があると言えるかもしれない。読んでも結局よくわからないのだけれど。「女の子は自分に自信がない生き物です」(p.144)という久保のメールの言葉はや「すべてにおいて自信がない」(p.168)という長澤の言葉は、曰く言い難く驚きだった。

●さいたまスーパーアリーナ横の、さいたま新都心で朝から準備と撮影。ダンサーとエキストラ60人を入れての大ミュージカル。ドラマ版でやれなかった大がかりなセットや仕掛け、そしてまさかのPerfume本人東城。(p.102)

●午後、青山「プラマイ」で幸世・唐木・ダイスケのシーン80。美術部の飾りが完璧すぎで驚く。(p.110)

●朝3時集合で白金シェラトン都ホテル前のるみ子、シーン77。墨さんがるみ子を口説いて連れてくるとしたら都ホテルだろうなあ。と思い、制作部に交渉してもらったのだが、外資系は難しいと思っていたらあっさりOK。(p.116)

●吉野家高田馬場店でるみ子の牛丼一気食いシーン。(p.116)

●夕方、渋谷と代官山の間にある小さなトンネルでシーン74の幸世とるみ子の重いシーン。通称:るみ子ゾンビシーン。このロケーション(八幡通りの並木橋手前の側道トンネル)は何度か撮影したことがあって『ヴァンパイアホスト』『アキハラバ@DEEP』でも重要なシーンで使った。[略] 本当に何気ない場所なんだが、カメラを通すとその場所にあるすべてが活き活きとしてくる不思議な場所。着くと、何もなかったトンネルの壁に美術部がクラブ系のフライヤーを貼ってくれている。前のシーンがリキッドルームなので、さりげに雰囲気を繋げてくれる。(p.118)

●朝8時会誌で原宿キャットストリート近くにあるスターバックス表参道B-SIDE店。確か藤原ヒロシがプロデュースしているスタバ。幸世とみゆきの会話シーン。(p.120)

●昼。三軒茶屋に移動してキャロットタワー前でゲリラ撮影。下北沢同様撮影許可は取っているが、通行人やら車やらは停められない。Perfumeミュージカル前の幸世とみゆきのハグ〜「ほんとのモテキだこれ!」から音楽IN〜幸世2回転ターン〜を1カットで。カット割りも考えたが、今回のゲリラ撮影の中で一番条件が厳しいので一気に撮ることに。[略] 数回撮るがまたもや通行人がこっち見ちゃう問題。「最悪、さっきのテイク使ってCGでベルト消すか」と考えてラスト一回やってみる。と今度は通行人目線ほとんど無し、おまけに幸世が投げたバッグが通りかかったおばさんの目の前に落ちてギョッとするという面白アクシデント、さらに海老反りジャンプも一番高い!撮れたああ!!粘って良かったああ亜!!!(pp.120-121)

●夕方、四谷のセツ・モードセミナー横の階段でみゆきの通勤ショット。オレは坂道や階段が大好きで、、というかオレのような画作りのセンスのない監督にとっては坂道や階段は画も芝居も作りやすい。(p.121)

●夕方、代官山でみゆきのマンション外観。[略] 夜、みゆきマンション前で『失格』(橘いずみ)を流しながらの幸世の走り。[略]
 方南町に移動して幸世走りの続きと、爆発後の墨さんがタクシーで幸世を見つけるくだりと、冒頭シーンの幸世の自転車点描。(p.130)

●シーン87、こちらも寝かせていた期間、撮影をしながらつかんできた幸世とみゆきのキャラクターや関係に思いを馳せつつ、以前久保ミツロウと交わした「みゆきにとって幸世ではダメな理由」メールを読み返しながら書く。以下、そのメール。
大根:みゆきは元々、幸世と同じくらい自分に自信が無い?
久保:女の子は自分に自信がない生き物です。
大根:ダイスケによって仕事も人との関係も変わった?
久保:稀にいる尊敬できる男は神様みたいに思えるものです。ダイスケによってすべて変わりました。
大根:ダイスケは恋人であり憧れであり神?
久保:その通りです。でも神として、形骸化、ゲシュタルト崩壊してきた所もあり。要は母性は欠けています、みゆきは。なので、実は結婚して子どもが欲しいとかは思ってない。ダイスケとつながる手段として必要なら結婚してもいいとは思っている。でもそれは、ちゃんとした恋人、の役割を与えられていないから後天的に形成された考えかも。
大根:幸世と出会ったとき、本当は自分の身の丈サイズはこの人とのほうが合うと思った?
久保:そうそう。すごく自分主導で出来る楽な恋愛だったのです。去ることも自分主導でできる余裕があった。尊敬できる人との恋愛から先にしてしまったので、等身丈の自分と近い男と恋愛してこなかった。たぶん、それがすごく新鮮だったのかもしれません。
大根:だから何回もデーとしたしキスもした?
久保:そうですね。
大根:でもこの人では私は成長できない。
久保:自分を成長させてくれる存在が先にいるので、切り離せないでいる、が正しいです。自分に自信がないから、今野自分を好きでいてくれる人を、いつか裏切ってしまう不安がある。幸世を引っ張っていける自身が無い。
大根:だから好きだけど付き合うことはできない。
久保:付き合う決定打が無い。先約がある。付き合うことができないとリミットを決めているのではなく、この人じゃなきゃいけないんだっていう、何かが満たされるのを待っている感じ。(pp.144-145)

●長澤:監督をはじめ周りの人が「ビッチビッチ」言うからそれで気づいたくらいで、私はすごくいいコだと思って演じてましたよ。クランクインする前に監督に会って「コンプレックスは何?」って聞かれて、「すべてにおいて自信がない」って答えたんです。それを監督がみゆきというキャラクターに盛り込んでくれたおかげで、愛着を持って彼女に接することができましたね。(p.169)

●シーン28 ナタリー・オフィス(決定稿)
唐木「お前アイドルソング聴いてなにリアルでも気が大きくなってるんだバカ!」
三浦「気をつけろ…弱ってる時に聴くアイドルソングは麻薬だ…」
幸世「え?」
唐木「ももクロもAKBもスマイレージも全部構造は同じだ!【好き】って気持ちを伝えること至上主義の歌詞に洗脳されて告白したって現実じゃドン引きされるだけなんだよっ!」
幸世「…あ〜っ!そんなの分かってる分かってる!十分自覚してそれだけは気をつけていたはずなのにオレ今なにをやろうとしてたんだっ!(スタッフらを見て)あ〜すいません、ありがとうございます!あ〜もう自分が恐ろしいわあっ!!」(p.198)

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映画『ロボジー』

映画『ロボジー』
109シネマズ木場
監督:矢口史靖
出演:五十嵐信次郎(ミッキー・カーチス)、吉高由里子、濱田岳

木村電器の窓際社員3人が3ヶ月で人型ロボット「ニュー潮風」を作るよう社長に命じられるが、完成しない。そこで、ロボットの外見だけ作って中に人を入れることを思いつく。オーディションの結果73歳の老人鈴木重光(五十嵐)が選ばれる。企ては成功し、ロボット博は何とか乗り切るが、その活躍振りに予想外の人気が出て様々なイベントに呼ばれるようになり、鈴木の予想外の行動が3人を振り回す。
ロボット博で柱が倒れるところを助けられ、ニュー潮風に恋をしたロボットオタク佐々木陽子(吉高)は、3人を大学のロボット研究課外イベントに呼んだり、木村電器に就活したりするが、ふとしたきっかけでニュー潮風の中に人がいることに気づく。いよいよ追い詰められた木村電器は記者会見を開くことになり、絶体絶命のピンチを迎える。

とにかくユルユルのファンタジーで、現実性を求めたら絶対に最後まで見られない映画。どこにポイントを置いてみて良いかが難しい映画でもある。家族や他の老人仲間に邪険にされた老人の自己回復の物語としても見られるし、嫌々やっていた窓際社員がロボットの情熱を燃やす学生達に触発されて目覚める物語としても見られる。また、ニュー潮風に恋をした女子大生が、現実を知った上でそれを消化してロボット製作に携わる成長物語としても見られるだろう。

最後に曲がりなりにもしっかり歩く「ニュー潮風2」がでてきたのには感動した。

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