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『ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録』

『ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録』
西川善文
講談社、2011/10/14、¥1,680(丸善本店)

 元三井住友銀行頭取の著者による回顧録。
 安宅産業の処理、磯田一郎氏の暴走とイトマン事件処理、三井銀行との合併、わかしお銀行との逆さ合併とバブル崩壊後の不良債権処理、日本郵政社長就任と亀井大臣による辞任要求など、それぞれの時代に大きなニュースとなった出来事が西川氏の視点からまとめられている。それぞれの事件や出来事については過去の新聞などを見ればわかるだろうし、おそらくあえて本書に記載しなかった事柄もあるだろうが、一人の人生の集大成として一冊にまとめられたことに意味があると言える本。
 面白かったのは、当時の磯田頭取がマッキンゼーを入れて組織改革したことが後の融資審査の甘さとなって暴走を生んだと指摘していること。また、三井住友の後継頭取に、本当は奥正之氏ではなく宿澤広朗氏を念頭においていたということ。宿澤氏が早逝したため実現しなかったが、もし宿澤頭取が実現していたらその後の経過がどのようになっただろうか、と興味深く読んだ。

●私は調査部にいた六年半というもの、帳簿など財務資料の読み込み方を徹底的に鍛えられることになった。[略] 本当にいろいろなお客がいた。いい会社とも、よくない状態の会社とも付き合った。そしてわかったのは、会社はやはり最後は人だということだ。
 中堅中小企業は、経営者の考え方ややり方がそのまま会社全体に影響するから、私たちは特に重視した。
経営者が信頼できないのに財務内容だけがいいなど、まずありえない。会社の状態がいいからといって、先のことを展望せずに守りに徹するようになった経営者の会社もダメになる。(p.49)

●[不良債権の処理など] 自分が火の粉をかぶってでも、いまやらなければならないことを先送りせず、率先垂範、先頭に立ってやる。それを見て部下たちも進んで仕事をする。経営の責任者とはそういうものではないだろうか。
 リーダーシップの要諦を理解しないマスコミの記者たちは、私のようにトップが自ら動くと「西川の独断」などと言って批判する。[略] 私の頭取時代は外部環境が日々刻々と変化していた時期だった。それに対応していくにはこちらも日々刻々の変化、スピードが要求される。組織が危機に瀕した際にはとりわけスピーディーな経営判断が必要になる。スピーディーにものごとを進めるためにはトップが率先して動くしかない。(p.208)

●リーダーシップとは、直面する難題から逃げないことである。
 リーダーが逃げないから部下も逃げないし、前のめりで戦う。経営の責任者とはそういうものではないだろうか。(p.301)

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