« 佐山展生 講演『リーダーの危機突破力』 | トップページ | 『ガリレオの苦悩』 »

『コラプティオ』

『コラプティオ』
真山仁
文藝春秋、2011/07/30、¥1,800(L)

日経の書評他で推薦されていたので読んでみた。

東日本大震災後の日本。既成政党に倦んだ国民の前に強いリーダーシップを持った宮藤が首相として現れる。停滞する経済を立て直すため、原発輸出を柱とする経済政策を打ち出し、国民の支持を集める。
宮藤の政策秘書白石は、自らの原発政策が実行されたことで忠実に宮藤に仕えるが、原料のウラン確保のためアフリカの内戦国ウエステリアとの関係を強める宮藤に疑問をいだく。一方、白石の同窓生で新聞記者の神林は、原発政策のために行われた強引な民間企業国有化に疑問をもち、取材を続けるうちにウエステリアでのウラン権益に不正の痕跡を見つける。

アマゾンなどでも高評価だったが、自分はあまりノれなかった。登場人物に現実感がない。白石と神林は慶応卒という設定だが慶応っぽくないし、宮藤は人物というより「こんな総理がいたらいいな」的な記号が動いているようだし、新聞記者はいやに一生懸命仕事をしている。

もう一つの違和感は、旧来型メディアである新聞が大きな役割を果たす一方、作中にインターネットがまったくといっていいほど取り上げられていない点。東日本大震災後は官民ともtwitterなどで積極活用で情報共有をしながら援助活動を行っていたのは記憶に新しい。むろん、新聞も重要であることは間違いないだろうが、ネットがまるでないかのように扱われていることで、大震災後の設定にも関わらず、本作に昭和の空気感を漂わせている。あまり小説の設定を複雑にしすぎないための配慮かもしれないが、その辺りで自分の感覚とのずれを感じた。

一通り面白く読み進めたが、読みながら「なんかちがうなぁ」と呟いているうちに読了。

|

« 佐山展生 講演『リーダーの危機突破力』 | トップページ | 『ガリレオの苦悩』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/40886/53536561

この記事へのトラックバック一覧です: 『コラプティオ』:

« 佐山展生 講演『リーダーの危機突破力』 | トップページ | 『ガリレオの苦悩』 »