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『僕はいかにして指揮者になったのか』

『僕はいかにして指揮者になったのか』
佐渡裕
新潮文庫、2010/8/28、¥500(丸善日本橋)

今では世界的に有名な指揮者佐渡裕が、小学生のころ指揮者になることを夢見てから夢を実現するまでの自叙伝。

本書を読んでいかに自分が真剣に物事に向き合ってこなかったかを痛感させられる。ただ一つのことを思い続け努力を続けて初めて周囲の人の協力が得られ、夢に近づくことができるのだということをこれほど鮮やかに書かれてしまうと、自分の心に後悔の痛みが走る。

大学の時、急に真面目になった先輩に連れられて出会い、指導霊について教えた朽木丈人氏。レナードバーンスタインとの出会い。借金してでも勉強しろと後押しした小澤征爾。修行中からさまざまな援助をし、現在佐渡のマネージャーを務める佐野光徳氏との出会い。佐渡の情熱と努力が一流の人との出会いを生んだということが、(佐渡が意識したかどうかはさておき)本書ではこれでもかと明らかにされる。まさに、「天は自ら助くる者を助く」以外の何者でもない。

ところで、ブザンソン国際指揮者コンクールでこの二年間連続で日本人指揮者が優勝したが、本人達の努力は無論のことながら、本書があることも一役買ったのではないかと思えるほどよく書かれたノウハウ本としても読むことができる。若い指揮者希望の人はおそらく間違いなく本書を読んでいる。

才能のない平凡な人間は、地道な努力を続けることしかできないのだ、と改めて感じさせられた本。

●[朽木丈人]先生に「その人は僕の"守護霊"ですか?」と聞くと、「そうじゃない。その人は"指導霊"といって、君が努力したらしたぶんだけ、頑張って示唆を与えようとしてくれるひとだ。君はその人に恵まれている。だから、努力すればしただけ成長していくよ。だけど、君が怠けたらその人は君の所から離れていくよ」(p.51)

●小澤[征爾]先生は、「あんたね、バカじゃなかったら親に借金してでも、今は勉強続けて方がいいですよ。僕も、そして何よりバーンスタインがあなたのことを認めているんですから」と言ってくれたのである。(p.100)

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