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『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』

『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』
小宮一慶
ディスカヴァー・トゥエンティワン、2007/9/13、¥1,050(BO¥500)

「こうすれば、見えないものが見えてくる」という副題で、ビジネスでも日常でもいかに視野を広く持つようにできるかを説く。ローソンのロゴは何を使っているか、やセブンイレブンの最後のnだけ小文字だ、など気づこうと思わなければどうということのない事柄に気づくことで、それがビジネスにどのようにつながるか、と言った話など、興味深い内容。

結論は、何ごとにも関心を持ち、さらに仮説を持ってその事象を見ること。そのためには新聞は最初から読むなど、最初は関心のないことも時系列的に見続けることで関心の幅を広げることが大切。さらには、沢山のことを表面的にするのではなく、ある程度絞った範囲のことを徹底的にやることで、それまでは見えないことが見えてくる、といったところ。小宮の著書によく出てくる主旨だが、それぞれ納得できるので、改めてその大切さを認識できる。

▲正しい仮説を自分で立てられるようになるということが、ものが本当に見えるようになる、ということです。まず、分解して、見るポイントを絞る、つまり関心を持つべきターゲットを絞るとものは見えやすくなります。(pp.42-43)

▲会社の人(特に女性社員)の髪型の変化にいち早く気がつくには、月曜日にだけ、特に注意して見ることです。女性が美容院に行くと、男性よりずっと時間がかかります。働いている女性の場合、会社のあとで行くのはちょっとむずかしい。となると、週末に行くに決まっています。だから、月曜日だけ、どこか変わっているところはないか、切っていないか、染めていないかと注意してみればいいわけです。(p.52)

▲仮説を立てるための別のわざとして、全体像を推測しうる一点を見つけるというものがあります。
仕事柄、工場を見ることがときどきあります。そこで何を見るかというと、床を見ます。
ー床がきれいな工場は、まず間違いない。それが私が立てた仮説です。
少々汚れていても製造にそれほど影響はないため、掃除をするにしても一番後回しにされるのが、工場の床です。しかも、すぐに汚れる場所です。それがきれいになっているとしたら、その途中のプロセスもきれいに、きちんと行われているはずだと思ったのです。(pp.66-67)

●人は、関心のあることしか、目に入らない。だとしたら、関心の幅を広げることです。幅広い関心は、ものが見えるために必須です。そして、無理矢理にでも関心の幅を広げる上で、新聞はもっとも手軽で良い教材となります。(p.103)

●異常、つまり、病気だけを見ていると、病気か正常か分からないけれど、ノーマルをたくさん見ていると、異常が分かるのです。(p.119)

●どうすれば、問題発見能力を身につけることができるのか?わたしが出した結論は、問題解決を極めれば問題発見能力は高まるということです。(pp.122-123)

●関心の源について突き詰めていくと、そこにあるのは、やはりひとつは「責任」だと思いました。より正確に言うと「責任感」です。責任を責任と感じるとそれに必要なものが見えます。真剣さも違ってきます。(pp.134-135)

●あることについて真剣にやっているとき、人に、「ふつう」はないんです。「好き」か「嫌い」かしかなくて「ふつう」はない。(p.137)

●アメリカのビジネススクールに行っていたとき、1000ページとか2000ページの本やケースを読む課題が毎週渡されました。そんなもの、アメリカ人だって、全部、読めませんからどうするかというと、目次とはじめの概略部分を読む、それから、太文字になっているところだけをばーっと読んでいったり、見出しは太字が多いから、見出しだけ読んでいったり。そうやって、ハイライトされたものだけ見ていって、要点を知るわけです。それから、特に大切そうなところや関心のあるところだけ、すこし丁寧に読む。おそらくは、いわゆる速読というものも、基本的には、同じ考え方によるものではないかと思います。
 まずは、先に要点を知るだけで、ものはずいぶん見えやすくなります。(p.144)

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『伝説の外資トップが説く リーダーの教科書』

『伝説の外資トップが説く リーダーの教科書』
新将命
ランダムハウス講談社、2008/11/27、¥1,680(ABC丸ビル)

『経営の教科書』と対になるリーダーの教科書。経営者のみならず、それぞれの部署でのリーダー、これからリーダーになる人に向けて書かれている。
不易流行の不易の部分を自らの経験を元に説く本で、ほぼ全てのページに参考となる言葉があり、何度でも読み返す価値のある本。

●難しいからこそ、やる価値があるのだと気づいた会社や人だけが、大きく伸びるのだ。(p.25)

●謙虚さを持って、人から学ぶ姿勢がある人は、いつまでも人から尊敬されつづけるし、身を誤るこtもおない。(p.44)

●情熱の火を燃やし続ける二つの方法がある。そのひとつは、"長期と短期の納得目標を追いかける"ということだ。もうひとつが、"情熱の火を分けてくれる人とつきあう"ということである。[略] セルバンテスの『ドンキホーテ』にこんな一節があった。「おまえが誰とつきあっているか言ってごらん。おまえが誰だか当ててやる」 自分のまわりを、よく見回しておくことである。(p.57)

●「人は思ったとおりの自分に近づく」という言葉がある。思い続けていると現実化する傾向が強い。自分はダメだ、ダメだと思っていると、本当にダメになってしまうのである。[略] 逆にリーダーになる人は、[略] しっかりと目標を定め、人よりも多くの努力さえすれば、物事は必ず成就すると考える。(p.63)

●結果が出ない理由は、そもそも三つしかない。正しいことをやっていない、正しいことをやっているけれどもやり方が間違っている、正しいことを正しくやっているが徹底的でない、の三つだ。(p.74)

●方向性とは、三点セットから成り立っているものであると理解する必要がある。
 理念+目標+戦略=方向性 (p.101)

●私は「八褒め二叱り」と呼んでいるが、褒め・叱りのバランスは、褒めが八割、叱りが二割、くらいの比重がいい。(p.127)

●戦術の失敗を、戦略で補うことはできる。だが、戦略の欠如を戦術で補うことはできない。(p.171)

▲中途採用者を見分ける四つの質問
 1)あなたはなぜ、いまの会社を辞めて、ここに入りたいと思うのですか?
 2)あなたがいままでのビジネス人生の中で成し遂げた最大の功績は何でしたか?
 3)いままでのビジネス経験の中で、一番大きな失敗を一つか二つ、挙げてください。また、その失敗から何を学びましたか?
 4)あなたの短期と長期の人生の目標は何ですか? (pp.203-206)

●私は営業以外の仕事に就いているときは、働く時間の20パーセントから30パーセントは社外で過ごすという時間配分を心がけていた。店に行ってみる、営業に同行してみる、工場に行ってみる。社長時代には現実的な情報を手に入れるために少なくとも月に二度か三度は一日外に出て現場に足を運ぶ、という現場・現物・現状の三現主義を実行していた。[略] 顧客情報に対するリテラシーのない企業に、未来があろうはずがない。(p.233)

●かつてソニーを率いた盛田昭夫会長の講演会の席でこんな質問をした人がいた。「コミュニケーションで一番大事な点は何ですか」、と。会長は、例の人を引き込むような笑顔でこうおっしゃった。
「相手と波長を合わせることです」
 つまり、相手に伝わる表現で、相手にわかる言葉で、相手の価値観や感性と合わせて話しなさい、ということだ。(p.237)

●成功=〔情熱×スキル(仕事力)×マインド(人間力)〕×運 (p.276)

●運はよくすることができる。そのためにはいくつかの具体的な方法がある。一つは「自分は運がいい」とつねに思い続けることだ。[略]
 もうひとつ、運を良くする方法がある。運のいい人とつきあうことだ。情熱の火をくれるような人とつきあうと情熱の火が高まるが、それと似ている。だから、会社の場合でも上昇気流の会社と合併や提携すると運がもらえるし、落ち目の会社と組むとこちらもダメになってしまう。しかも運のいい人というのは、運のいい人どうしで集まっていたりする。そういうところに加わると、相乗効果で運気が高まるのだ。
 さらにもうひとつ挙げるとすれば、信頼できるメンターを持つことである。生きる勇気、人生の知恵、ヒントをくれる。そういう師を三人持つ。[略] 三人メンターがいれば、挫折はあっても、大きな失敗はない。必ず苦境から這い上がれる。また、その苦境から這い上がるプロセスが人を一回りも二回りも大きくする。(pp.277-278)

●「今日の自分は、昨日までの自分の結果である。将来の自分は今日からの自分の結果である」(p.278)

●「未来を予測する最善の方法は、未来を自分で創ることである」(The best way to
predict the future is to create it.)(p.279)

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Letter from Steve Jobs

常にアップルと共に人生を歩んできた私にはショックのぱっぱらぱである。

http://www.apple.com/pr/library/2011/08/24Letter-from-Steve-Jobs.html

August 24, 2011

Letter from Steve Jobs
To the Apple Board of Directors and the Apple Community:

I have always said if there ever came a day when I could no longer meet my duties and expectations as Apple’s CEO, I would be the first to let you know. Unfortunately, that day has come.

I hereby resign as CEO of Apple. I would like to serve, if the Board sees fit, as Chairman of the Board, director and Apple employee.

As far as my successor goes, I strongly recommend that we execute our succession plan and name Tim Cook as CEO of Apple.

I believe Apple’s brightest and most innovative days are ahead of it. And I look forward to watching and contributing to its success in a new role.

I have made some of the best friends of my life at Apple, and I thank you all for the many years of being able to work alongside you.

Steve

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『万能鑑定士Qの事件簿IX』

『万能鑑定士Qの事件簿IX』
松岡圭祐
角川文庫、2011/4/23、¥540(L)

シリーズ第9作。大震災に見舞われた日本への支援策として37年振りに日本に来ることになった『モナ・リザ』展の臨時学芸員に、莉子は流泉寺里桜とともに選ばれることになるが、なぜか研修途中で鑑定眼が鈍り何もわからなくなってしまう。その陰にある陰謀を、小笠原、雨森華蓮、嵯峨敏也、宇賀神警部など今まで莉子と関わりのある人物が総出で解決し、莉子を真相に導く。

本作は莉子の鑑定眼に間違いがないという読者の先入観を利用して、その盲点をつく鑑定トリックが展開される。また、莉子と小笠原の関係に少し変化が見られ、この先どうなるのか読者に期待させる内容になっている。

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『題名のない音楽会』公開収録

日時:2011/8/22 18:45-21:00
題名:『題名のない音楽会』公開収録
場所:文京シビックホール 大ホール
出演:佐渡裕[司会・指揮]、本間智恵[司会]
   田村麻子[ソプラノ]、彌勒忠史[カウンターテナー]
   キュウ・ウォン・ハン[バリトン]、横田栄司[朗読]
   晋友会合唱団、東京FM少年合唱団
   シエナ・ウインド・オーケストラ
   森島英子[ピアノ]、巻島佐絵子[ピアノ]
   すずの木ハンドベル・クワイア
曲目:オルフ/カルミナ・ブラーナ
   ジングル・ベル、聖しこの夜、もろびとこぞりて
   いざ歌えいざ祝え、神の御子は、オーホーリーナイト
   ホワイトクリスマス、アヴェマリア(3曲)

12/4(日)、12/11(日)放送分公開収録。

甥が出演したこともあり、観覧。
公開収録を初めて見たが、スタッフがみな粛々と仕事を進めていてさすがと思いつつ見た。
無料でこれだけのものを見られるのは新たな発見だった。

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『顔に降りかかる雨』

『顔に降りかかる雨』
桐野夏生
講談社文庫、1996/7/13、¥660(借)

1993年度江戸川乱歩賞受賞作。

親友のノンフィクションライター宇佐川耀子が一億円を持って失踪した、と言って彼女の愛人成瀬がチンピラを連れて私(村野ミロ)の家に無理矢理押し入り、耀子の捜索を強要される。捜索を進めるうち、死体愛好者・SM倶楽部、ネオナチなど話が複雑になり、真相はなかなか見えてこない。一件落着したかに見えた後も、もうひとひねりあって、最後にどんでん返しが訪れる。

話の展開に若干無理があり、乱歩賞というには少し水準が不足している感じがする。特に、最初に変な奴が来たらふつうすぐ警察呼ぶだろう、と思うのだが、それを言うと話が始まらないから言いっこなしというのではそもそも冒頭から構想が足りていない。

桐野夏生は多分初めて読んだが、初期の小説のためかもう少し構想を練れば面白かっただろうと思った。

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『偉大なる、しゅららぼん』

『偉大なる、しゅららぼん』
万城目学
集英社、2011/4/26、¥1,700(平安堂軽井沢)

滋賀県に広がる琵琶湖のほとりに、水を通じて不思議な力を使う「湖の民」が住んでいる。日出家は人の心を操り、棗(なつめ)家は人の体を操る。日出家はその力を使い石走市の名士となったが、棗家は滅亡寸前である。日出浩介は、しきたりに従い高校入学時に日出本家に下宿し、力を使うための修行をすることとなる。城に住む日出家には当主淡九郎、白馬にのった清子、弟で当主の息子淡十郎が住み、学校に通うのに舟にのって行く。高校には棗の息子広海や、昔の城主速瀬校長、その娘などが登場する。前半は本作の世界を紹介するための説明が多いが、校長が存在感を増すや万城目ワールド全開で、日出棗両家存亡の危機に立たされることになる。

『プリンセストヨトミ』で少し設定や話の展開に無理を感じたが、本作ではもともと「湖の民」が存在する前提の世界になっているので、すんなりと話についていくことができた。著者インタビューで万城目も言っている通り、あまり構成をきっちり考えず、作品に荒っぽさを取り戻すことには成功している気がする。設定に無理があるとすれば、種明かしの部分でそれほど危険だと分かっているなら、もっと根本的な対策をとっておくべきではなかったか、あるいは普通は取っておくだろう、と思うところが放置されていたこと。まあ、そのあたりは難しく考えずにファンタジーとして捉えるのが本書の読み方というものだろう。

話の筋を追うのはもちろん楽しいが、読了後再度読み返して部分部分の登場人物の会話や描写を楽しむことができる本。たとえば、「今でもときどき、冷やごはんにコーラをかけて食べてみたらうまかった、とか、比叡山の山の端にUFOを見てしまった、小さな窓が見えた、少し回転していた、とか[略]」(p.21)のような、奇想天外な描写が出てくる。冷やごはんにコーラをかけて食べるなどと想像すらしないようなことがさらっと出てくるところが万城目ワールドの真骨頂かもしれない。

●[棗] 「偶然は三度重ならないからな」(p.434)

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『下町ロケット』

『下町ロケット』
池井戸潤
小学館、2010/11/24、¥1,785(丸善日本橋)

直木賞受賞作。

小型エンジン製造で独自の技術を持つ佃製作所。佃航平はロケット技術者だったが、打ち上げ失敗の責任を取り研究者の道をあきらめ、父の経営する下町の中小企業(とは言っても売上100億社員200人規模)の経営者となる。今すぐには用途がはっきりしない水素エンジン部品の特許を持ち、それがないとロケットを飛ばすことができない大企業があの手この手で佃に迫る。

佃製作所が特許を持つはずの小型エンジンに大手上場企業ナカシマ工業に特許侵害で訴えられ、顧客離れ、資金繰り、と追いつめられて行く前半とロケットエンジン部品の特許を巡る帝国重工との駆け引きが描かれる後半の大まかに言って二部構成。中小に特許訴訟を仕掛け、資金繰りに詰まって倒産するのを待つのが常套手段のナカシマのモデルは多分松下、プライドがやたら高い帝国重工のモデルは多分三菱重工と、現実で言えば中小企業が戦うにはかなり辛い展開だが、それを不自然に見せない著者の描写はさすがと言ったところ。『空飛ぶタイヤ』を読んだ時も思ったが、著者は中小企業にとても優しい目線を送っている。資金繰りの辛さなど、自分の経験を思い出して涙した。想像できる結末ではあっても、最後のページをめくったときの感動は色あせず、「夢を忘れるな」というメッセージを直球で投げられた感じがした。

本書は、ビジネス娯楽小説としてよく描けていて、単に経営者からの経営という視点からのみならず、若手社員の鬱屈ややる気といった視点や、現実だけでなく夢を追うことの大切さを思い出させてくれるという視点からなど、様々な読み方ができる小説。

●こんな状況の中にあって、去る者も入れば、神谷のように親身になってくれる者もいる。数少ない支援者を信じられなくなったら、その先にあるのは、ただひとつーー破綻だ。(p.151)

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『彼女を言い負かすのはたぶん無理 2』

『彼女を言い負かすのはたぶん無理 2』
うれま庄司
PHPスマッシュ文庫、2011/6/24、¥620(BO¥350)

ディベート的ライトノベル『彼女を言い負かすのはたぶん無理』の続編。前刊ではディベートとは何か、から説明しディベートもある程度しっかり描かれていた印象があったが、本書ではどちらかというと普通の恋愛ラノベになった印象。

本書中でのトピックは『野球部のマネージャーにとってドラッカーのマネジメントは不要である』『校内での不純異性交遊は禁止すべきである』とそれなりにディベート的ではあるが、あくまでも主人公である桜井と先輩アイラの恋愛を描く過程で必要だから出てきた話で、第一巻で期待されたような桜井のディベート的成長を描くものではない。また、桜井に思いを寄せる橘の立場がまったく中途半端になっていたり、焦点が散漫になってしまい残念。

アイラの描かれ方も、「優秀なお姫様が後輩を成長させるために色々やる」といったお姫様キャラの方が似合うと思うが、本書では「桜井君に首ったけのツンデレさん」なので、この先の展開が大人にはついていくのが辛くなるかもしれない。「甘ーいスイーツとか、ほしいな」(p.238)とかまるで「ワールドイズマイン」の「世界で一番お姫様」そのままで、著者はここから拾ったのではないかと思うほどシチュエーションが似ているので笑った。

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『あなたが年収1000万円稼げない理由』

『あなたが年収1000万円稼げない理由。―給料氷河期を勝ち残るキャリア・デザイン』
田中和彦
幻冬舎新書、2007/1/30、¥ 756(BO¥350)

あまり期待できるタイトルではなかったが、古書店でぱらぱらとめくり、目次の「第二章 好きな世界が"ただの趣味"になっていないか」に引っかかり購入。自分の趣味の世界が仕事とは無関係で何が悪いというのか、と思ったため。章中小見出しで「意味のない資格は取っても無駄」とありながら、本文では「結論から言うなら、資格はただ持っているだけでは、それに意味があるかどうかは判断できない。要は使い方次第でどうにでも変わるものなのだ」(p.52)とタイトルと内容が微妙にずれていて、自分の疑問は解消しなかったが、著者の少し前のめりなところが微笑ましい。

本書の内容は、年収一千万を取るためには自分のスキルが最大限生かされる市場に自分を置いて、さらにそこで他人に代替されないような複数のスキルを持ちましょう、というもの。だからといって「あなたの年収がすぐに1000万円になるわけではない」(pp.6-7)ところがミソなのだけれど。

●能力や技術というものは、まわりのみんなも同じように持っているような場所で持っていてもただの人だが、ほかの誰も持っていないところに行けば、特別な人になれる。(p.41)

●私の好きな言葉のひとつに、日本映画界の巨匠・故黒澤明監督の、
 「みんな、自分が本当に好きなものを見つけてください。
 自分にとって本当に大切なものを見つけるといい。
 見つかったら、その大切なもののために努力しなさい」
 というものがある。(p.56)

●[あるベンチャー企業の]社長は応募者に対して、まず「あなたの夢は何ですか?」と聞くことにしている。そう聞かれて、すぐに自分の夢を答えられない人は、その時点でアウトらしい。[略]
 次に「その夢は、何年後に実現できますか?」と尋ねるそうだ。そこでまた、期限を答えられなかった人はアウト。[略]
 さらに、夢の期限を答えられた人の中で、5年とか10年とか、3年以上かかると答えた人には、社長は、「3年以内にその夢を実現するとしたら、何が必要になりますか?」とたたみかけるのである。すると、やはり半分は答えられなくて、脱落。で、そこまで答えてきた人に、最後に、「では、そのために今年何をしようと思っていますか?そして、それは、うちの会社で働くことに合致しますか?」と問うそうである。
 それにきちんと答えてくれれば、合格、10人に一人くらいまで絞れるそうである。[略]
 その社長が言うには、「時間に甘えを持っている人は、なかなか物事を成し遂げられないんですよ。それは、日常の仕事でも同じです」[略]。(pp.122-124)

●「納期のある夢」こそ、なりたいものになるための原理原則(p.131)

●安定は不安定で、不安定こそ安定(p.138)

☆旅客機は安定しているが気流の変化に弱く、戦闘機はもともと不安定に作られているから、気流の変化にむしろ対応しやすく安定する、とのこと。

●自ら機会を作り出し、機会によって自らを変えよ(p.183)


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『新版「続ける」技術』

『新版「続ける」技術』
石田淳
フォレスト出版、2011/7/8、¥ 945(丸善日本橋)

帯の「53万部」「続くポイントはたったの2つ!」に釣られて購入。
「行動科学に基づいて必ず続く技術を解説する」本書のポイントはまさに帯の通り2つで、このポイントだけ押さえれば本書の内容は尽くされる。

1)ターゲット行動の発生をコントロール
 →やりたいこと/やめたいことをやりやすく/やりづらくする環境を整える。
2)ライバル行動の発生をコントロール
 →やりたいこと/やめたいことを邪魔する環境を排除する。

何かをしたい/やめたいという意志は前提条件としてあり、それをいかに意識的に行動にブレークダウンするかを言語化したところが本書の売れた所以だろう。

●行動とは「具体的に、何をすればいいのか」がわかることを言います。
 専門的な言葉に、「MORSの原則」というものがあります。
 M…Measured 計測できること
 O…Observable 観察できること
 R…Reliable 信頼できること
 S…Specific 明確化できること
 別名「具体性の原則」とも言われ、この原則に当てはまらないものは、行動とは認められません。(pp.52-53)

☆つまり「やりたいこと」「やりたくないこと」をMORSで言語化し視覚化することでデータに基づいて管理ができる環境を作ることが重要だということ。

●継続のための基本は、目的によってふたつ必要です。
 1)ターゲット行動の発生をコントロールする。
 2)ターゲット行動を邪魔するライバル行動の発生をコントロールする。
 続ける技術とは、ズバリこのふたつを軸とするスキルです。(p.74)

▲続けるための5ステップ(p.107〜)
 1)継続すべきかを決定
 2)どの行動をターゲットにしたいか
 3)ゴールを設定し、周りに公開
  ・ラストゴールの設定
  ・スモールゴールの設定:中間目標の設定
 4)メジャーメント:期間を区切り、行動が増えたか減ったかを計測
 5)チェック:メジャーメントと違い、定量的ではなく定性的に行動の増減をチェック

☆スモールゴールの設定は今まで意識していなかったので、試してみたい。

▲スモールゴールなどを達成したご褒美にポイントカードを作ってスタンプを押すとよい。(p.140)


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『新日本フィル 金曜午後2時の名曲コンサート』

日時:2011/8/12 14:00-16:00
題名:<新・クラシックへの扉>金曜午後2時の名曲コンサート
場所:すみだトリフォニーホール ¥4,000
出演:小泉和裕[指揮]、広瀬悦子[ピアノ]
   新日本フィルハーモニー交響楽団[管弦楽]
曲目:ショパン作曲 ピアノ協奏曲第1番ホ短調 op.11
   ドヴォルジャーク作曲 交響曲第9番ホ短調『新世界より』 op.95
   スラブ舞曲第10番作品72-2 [アンコール]

本当に久しぶりのコンサート鑑賞。言葉を使う仕事をしていて頭が硬くなりすぎた感じがしていたので、マッサージする必要を感じていた。たまたま時間があいたので当日券で入場。

大変良い演奏で、幸せな気分になれた。

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『フーコー講義』

『フーコー講義』
檜垣立哉
河出書房新社、¥1,300

フーコーの著書を時代順に紹介し、その思想の変遷を追う。
これまで読んできた入門書は、それぞれの著書を各々解説はしているが全体の流れがなかなかわかりづらかった。それに対し、本書はフーコーの思想の変遷に乗っ取りながら著書間の違いを解説していて読みやすかった。

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『HBR 2011年 06月号 マイケル E. ポーター 戦略と競争優位』

『ハーバード・ビジネス・レビュー 2011年 06月号』
ダイヤモンド社、2011/5/10、¥2,200(L)

ポーターの論文を集めた特集号。本号用に書き下ろされた論文はCSV(Creating Shared Value)についてで、これからはCSRではなくCSVの時代だ、というもの。それ以外は過去の論文で、まだ有効性はあるが、ITに関する1985の論文はかなり時代遅れな感じ。
ポーターの中核となる主張は、業務効果と戦略は違う、一貫した戦略を持て、ITは業務効果を改善するが戦略ポジションがしっかりしていれば脅威とならない、といった点に集約される。

●業務効果とは、類似の活動を競合他社より優れて実行することである。[略] 対照的に、戦略ポジショニングは、競合他社とは「異なる」活動を行う、あるいは類似の活動を「異なる方法で」行うことである。(p.62)

●競争戦略とは、他社と異なる存在になることである。あえて異なる活動を選択することで、価値を独自に組み合わせ、これを提供できる。(p.66)

☆異なる存在になるためには、自社の守備範囲となる顧客像をしっかりと持つことが重要。本誌ではサウスウェスト航空とイケアが戦略ポジショニングの例としてあげられ、それぞれがターゲットとする顧客像をしっかりつかんでいることが述べられている。

●この低価格のポジションは、顧客のセルフサービスに負うところが大きいが、その一方でイケアは、他社が提供しないサービスを提供している。その一つが店内の託児所で、遅くまで営業している。これらのサービスは、同社の顧客固有のニーズに応えたものである。彼ら彼女らはまだ若く、また裕福でもなく、しかも幼い子供を抱えている可能性が高く、生活のために働いているため、遅い時間に買い物をする必要がある。(p.69)

●戦略の本質とは、「何をやらないか」を選択することである。トレード・オフがなければ、選択する必要はなく、したがって戦略も無用である。(p.76)

☆トレード・オフがない場合は純粋に業務効果の勝負になる。

●成長を追求する中で、妥協し、一貫性が損なわれると、自社独自の製品や対象顧客によって気づいてきた競争優位が崩れてしまう。さまざまな方法を並行させて競争しようとすると、混乱を招き、組織内のモチベーションと基軸が失われる。(p.86)

●戦略は「何をすべきか」のみならず、これと同じくらい重要である「何をするべきでないか」を示す。実際、制約を設けることはリーダーの役割の一つである。どの顧客グループに向けて、どの製品を提供し、どのニーズに対応するかを決めるのが、戦略立案の基本である。しかし、それ以外の顧客やニーズには対応しない、ある種類の特徴またはサービスは不要であると決定することも戦略の基本である。それゆえ戦略には、明確な規律とコミュニケーションが要求される。(pp.86/59)

●業務効果と戦略は、明確に区別されなければならない。どちらも重要だが、そもそも別物である。業務効果においてやるべきことは、トレード・オフが存在しないところでは、もれなく継続的改善を推進することである。[略] 一方、戦略においては、独自のポジションを定義し、まごうかたなきトレード・オフを作りだし、適合性を強化することが正しい。そのためには、自社のポジションを強化・拡大する方法をたえず模索する必要がある。戦略には、規律と継続性が求められる。そして、排除すべきはよそ見と妥協である。(pp.86-88)

●戦略ポジショニングの六原則
 第一に、まず「正しい目標」、すなわち「長期的に高いROI」から考えなければならない。
 第二に、企業の戦略は、「バリュー・プロポジション」(提供価値)、すなわちライバルが提供するものとは異なる便益を顧客に提供するものでなければならない。
 第三に、戦略は「独自のバリューチェーン」に反映されなければならない。
 第四に、揺るぎない戦略には「トレード・オフ」がある。ライバルと一線を画するには、製品特性やサービス、活動のなかで何かを諦める、あるいは何かを切り捨てる必要がある。つまり、製品やバリューチェーンにおいて、このようなトレード・オフが存在するからこそ、際だった存在になれる。
 第五に戦略は、「適合性(フィット)」、つまり企業内の要素すべてがどのように適合しているのかを定義する。
 そして最後に、戦略には方向の「継続性」すなわち、進むべき方向を守り続ける必要がある。企業は、みずからの拠り所となる独自のバリュー・プロポジションを定義しなければならない。たとえそれによって何らかのチャンスを逃すことになっても、である。(略あり、pp.116-117)

●業界分析入門(p.58)
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☆自社の業界分析をする際に見直すとよい。

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『売れる会社のすごい仕組み』

『売れる会社のすごい仕組み~明日から使えるマーケティング戦略』
佐藤義典
青春出版社、2009/8/15、¥1,500

発行は本書の方が先だが、ストーリー上は『新人OL、つぶれかけの会社をまかされる』の続編。

イタリアレストラン「そーれ・しちりあーの」社長に就任した売多真子は、親会社の広岡社長からチェーン展開を命じられる。しかし、彼女の前に本場イタリアンレストランや大手チェーンイタリアンレストランが立ちはだかり、事態打開のためいとこでマーケティングコンサルタントの売多勝にアドバイスを求める。

『新人OL』で書かれたマーケティングの基礎、差別化軸がさらに展開され、著者の理論である「戦略BASiCS」「売上五原則」「マインドフロー」「プロダクトフロー」の考え方を小説形式でわかりやすく解説している。著者は、これらマーケティング戦略要素が論理的に一貫していることを徹底的に重視し強調する。要素間で論理的一貫性が保たれていないとかならず不備が生じ、最終的に破綻するためで、計画時・数字策定時・実行時・評価時すべてのサイクルでこの一貫性を常にチェックすることを要求している。本書のポイントは、まさにこの「一貫性」の強調にあるといってよい。

本書は理論的背景はしっかりしながらも、わかりやすく解説をしているという点で、本格的な理論書である『実戦マーケティング戦略』への入り口という位置づけの本と考えられる。

●真子は広岡が言った「[会社の魂は] それがわかったら、それだとわかる」という言葉を思い出していた。その意味を今実感した。悩みに悩んで、ハッと気づいたという今野感覚。確かに「それがわかったら、それだとわかる」としか表現できない感覚だ。(p.205)

●「超長期的には仕組みそのものより、むしろ仕組みを作る能力が独自資源になる。競合と顧客の変化に合わせて、また一貫性と具体性をもってサイクルを回す人材、だな。究極の独自資源は人だと言うことだ。そこに投資を惜しむなよ」(p.256)

●私は、現代日本の成熟社会において最も効果的な戦略が密着軸だと考えています。成熟社会では顧客の好みが多様化します。密着軸は顧客の好みの分だけ「戦場」があり、生き残るチャンスが多いのです。戦場や顧客をうまく特化し、そこでの強みを磨くのです。(p.263)

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