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『人事部は見ている。 』

『人事部は見ている。』
楠木新
日経プレミアシリーズ、2011/6/14、¥893(丸善日本橋)

書店で平積みになっていて帯の「社員はあまり知らない会社人事の決まり方」で、世間一般ではどうなっているのか多少興味があったので購入。

内容はごく普通で、人事部には部外の社員が思うほど絶大な裁量はないものの、その中で士気の高い仕事をしている、とか、一人の人間が管理できる人数は300人が限度で、企業の規模によって人事の役割が変わる、といったもの。期待していたようなどろどろした話はあまりなく、お行儀の良い本といった印象。ただ、引き上げてくれる立場の人と知り合いになる=コネを作る、ということが重要であるというのはどの組織でも通用する話で参考になった。

また、ある大手企業の人事担当者の話(p.134)で、まだ障害者雇用が整備されていない時代の話が印象に残った。彼が足が不自由な20代前半の女性を面接した際、通常の勤務は無理で本来なら不採用とすべきところ、通勤が可能な事務センターに頼み込んで採用した。人事部員の裁量として見ることもできるし、採用を通じて自信のある人間に成長させることのできる人事という仕事の魅力と見ることもできる。

●[中小公庫調査部長から経営コンサルタントに転身し、その後作家になった加藤廣氏は、トップが変わった途端評価が変わることを身を以て経験したことで] 一つの組織に依存していてはいけないと思った。10年後に公庫を辞めると決意した。38歳のときである。退職後も通用するスキルを身につけるため、ゴルフやマージャンを控え、会計学や語学を学んだ。意識して人脈を広げ、貯金もした。計画より少し遅れたものの、51歳で辞表を提出。経営コンサルタントに転身した。(pp.53-54)

☆転職を念頭におかなくても、現在のようにお客様の嗜好が多岐にわたり求められるレベルも多様な現代では、それらの状況に十分に対応する能力を身につけるため個人としてのスキルを高めることは、社員に限らず社長に至るまで心がけるべきことだと思う。

●具体的な能力云々の前に社内で昇進の階段を上るための1つ重要な条件を挙げると、「(結果として)エラくなった人」と出会い、知り合うことである。誰だって、人となりを十分知らない人物を「ヒキ」上げることはできない。「同じ部署に在籍した」「職場は違っても一緒に仕事をした」「労使交渉で役員と組合員として渡り合った」「好きなゴルフで何回も一緒にラウンドした」など、同じ時間、空間を共有することが必要なのである。実際に「ヒキ」上げるのは、その権限を持っている上司である。このため、客観的に能力があるとか、部下の人望があるというよりも、「(結果として)エラくなる(なった)人」と出会うことが大切なのである。(pp.121-122)

●中堅企業の社長が部下に忠誠心を求めていたり、大手企業の元トップが「自分の立場を覆すっk農政のある人物は後任に選べない」と語ったり、といった話を紹介した。これらの発言に裏付けられるように、実際に水からが発揮する能力を上位役職者が望む「範囲内」に留めおくことも求められる。上司を安心させておくのだ。周囲から、茶坊主、ゴマすりと見えるのはこの部分である。[略] 私も人事部や企画部を経験して、この「(結果的に)エラくなる人と長く一緒にやれる能力」や「大手企業の内部管理機構で活躍できる能力」などを頭では理解できていた。しかし、「知っていること」と「やれること」とはやはり別物なのだ。(pp.127-128)

☆物事はすべからく「知っている」だけではだめで、いかに「やれる」ようにするかが重要。

●体育会系の屈強な10人ほどのリクルーターが、「楠木さんは30分しか彼を見ていません。しかし私たちは4年間ずっと彼を見てきたので、いかに素晴らしい人物であるかが分かっています。ぜひもう一度面接をしてください」と連名の手紙を私に渡した。それを受けて私は、「僕たちが営業に行っても、30分もしないうちに、お客さんから評価を受ける。30分の面接と言うが、この時間内にプレゼンできる素養が試されているのだ。しかも私はきちんと面接して決断した。だから彼の不採用は動かない」言い切った。(p.152)

☆面接をする際の新しい視点を気付かされた。

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