« 『人事部は見ている。 』 | トップページ | 『「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術』 »

『官僚に学ぶ仕事術』

『官僚に学ぶ仕事術 ~最小のインプットで最良のアウトプットを実現する霞が関流テクニック~ 』
久保田崇
マイコミ新書、2011/5/31、¥872(丸善日本橋)

帯の「ニッポンをうごかす頭脳から学べ キャリア官僚はやっぱりすごい」というキャッチに騙されて購入。よく売れている自己啓発本やノウハウ本を切り貼りしたような内容で、どの章もどこかで見たなあ、という印象。著者が30代半ばと自分より一世代下ということもあるのかもしれないが、目新しい内容はほとんどなく、どこが「やっぱりすごい」のかよくわからなかった。担当になった分野の専門家と渡り合う知識を短期間に仕入れるために官僚が読書家であることや、徹夜や泊まり込みをしてまで仕事をやりとげるというのは、確かにすごいといえよう。が、それは官僚に限らない話であって、官僚に特有の「すごい」内容は見当たらなかった。むしろ、官僚も一般の社会人も、できる人間はやるべきことをしっかりやるのだ、という読み方をすべき本かもしれない。

読書時間を捻出するためにテレビと新聞を読まない、という著者の考え方には共感できる。特に、自分もいかに読書時間を作るかで苦労しているので、著者の割り切りは素晴らしい。自分の読書の考え方とは違うが、本書では速読の方法としてフォトリーディングが推薦されている。ただ、著者やスキミングの方法として採用しているので、見ただけですべてを記憶するというフォトではなく通常の速読法と考えてよいと思う。

これから社会に出る学生、特に官僚になりたい学生のための就職本の一種と考えれば役立つ本といえよう。

●[講演で聴衆に準備ができていないのは] 当たり前とも言えます。スピーチや挨拶といっても、聴衆がこちらの挨拶を待ちきれないくらいに熱心に聴く準備ができているなどということはほとんどありません。式の進行上、挨拶が設けられているから、仕方なく聞いているといったケースがほとんどです。そこで、最初に、「このスピーチはあなたに関係ある話だよ」とメッセージを送らねばなりません。[略] スピーチの達人であるデール・カーネギーも『話し方入門』(創元社)の中で、「大切なのは何を話すのかではなく、むしろどう話すかということだ」と述べています。そういう意味で、スピーチの導入部を念入りに準備することは、聴衆を話に引き込む、重要なパートと言えるでしょう。(pp.97-98)

●2009年の調査によると、全国の20代・30代のビジネスパーソンが過去1年間に読んだビジネス書は平均3.1冊だったそうです(2009年10月27日、株式会社リクルートエージェント・株式会社インテージ。回答者数1064人)。この調査からわかることは、1年間に3冊以上ビジネス書を読むだけで、平均的なビジネスパーソンを上回る自己啓発ができるということです。
 この他にも、読書好きには信じられない事実があります。[略] ビジネス書の潜在的読者の母数と考えられる労働力人口は、約6600万人。労働力人口のうち、[2009年]年間ベストセラー1位のビジネス書を読んだのは、たったの0.5%に過ぎないのです[略]。ということは、年間3冊以上ビジネス書を読むだけで、平均的なビジネスパーソンを上回り、月数冊など、常日頃からビジネス書を読む習慣がある一は、それだけでトップ0.5%に入れるということなのです。
 また、2006年に総務省統計局が実施した「社会生活基本調査」によれば、30〜49歳が1日あたりに費やしている(学業以外の)学習・研究」は7〜8分でした。このことから、1日10分でも勉強をすれば、平均を上回ることができます。(pp.104-105)

●通勤電車以外に、もっと読書の時間を増やしたい場合は、テレビを見るのをやめるのがおすすめです。テレビを見る時間が1日2時間なら、その分を丸ごと読書時間に充てることができます。実際、私はテレビを見ることをやめてから、年間数百冊の本を読む時間を確保できるようになりました。(pp.113-114)

●新聞は読むな:実は私は最近ほとんど新聞を読んでいません。新聞をじっくり読む時間があれば、むしろ読書をします。新聞を読まない理由は次の通りです。
•速報性に劣るためー新聞の性質上、リアルタイムなニュース配信は、テレビやネットにかないません。[略]
•一時的なフロー情報より、深く分析されたストック情報を得たいためーテレビを見ない理由と同じですが、書籍を読む時間を確保したいため、ニュースのチェックは最小限のものとしています。[略] そして、新聞がフロー情報といっても、主要なストレートニュースがすべて掲載されているのではなく、功名に取捨選択されていることにも注意が必要です。どのメディアにも一定のバイアスがあり、その主義・主張に合致するような事実のみを伝えているのです。[略]
•ネガティブなものに影響されないためー世の中のニュース[の][略]多数を占めているのは、殺人や強盗、交通事故や自殺などの事件です。しかし、 このような事件が起きたことを知ったところで、関係者が事件に巻き込まれていない限りは、一般人にはあまり意味はありません。[略] このようなネガティブなニュースに触れていると、自分の考え方までネガティブな雰囲気に侵されてしまう恐れがあります。[略] この点、書籍であれば前向きな内容(もしくは問題を解決する手段が述べられているような内容)のものが多いので、考えも前向きになれます。[略]
 私も本当に新聞を一切読まないというわけではありません。主要な記事はざっと斜め読みしています。[略] 現代のように情報が氾濫している時代には、新聞に書かれているフロー情報だけに触れていると、そこで起こっている重要な流れや節目を見逃してしまいます。全体の流れや出来事の意味に関する深い洞察を得るためには、深い分析の元に書かれている書籍を併せて読むことが必要ではないでしょうか。(pp.114-117)

●仕事上の決断、組織内においての決断は、あくまで論理的に決めていく必要がありますが、そうではない個人の裁量で決められる問題に着いては、理詰めで決めていくことなく、可能な限り個人の感覚を大事にしています(というより、その方が伸び伸びと生きられます)。(p.203)

☆羽生善治の直感力を例に挙げている。経験に裏打ちされた直感は時として論理に勝る。

●他人を変えることは極めて難しいです。上司や部下、友人を変えたいと思うことは誰にでもあるでしょうが、大概の場合、徒労に終わります。[略] 本人が自発的に変わろうと心の準備をしている場合を除き、他人には意見しないのが得策です。自分の「内」にあるもの(思考、感情、考え方、物の見方)をコントロールすることはできます。他人も含め、自分がコントロールできないものではなく、自分のコントロールできることに集中することで、物事を改善できるのです。(pp.205-206)

☆自分を律せよというドラッカーと同じ内容の主張。「ほかの人間をマネジメントできるなどということは証明されていない。しかし、自らをマネジメントすることは常に可能である。マネジメントとは、模範となることによって行うものである」。(『経営者の条件』)


|

« 『人事部は見ている。 』 | トップページ | 『「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/40886/52347687

この記事へのトラックバック一覧です: 『官僚に学ぶ仕事術』:

« 『人事部は見ている。 』 | トップページ | 『「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術』 »