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『「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術』

『「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術』
齋藤孝
大和書房、2009/9/1、¥ 1,470(有隣堂亀戸)

「情報は、自分の頭の働きをよくするために活用されるべきものなのだ」(p.2)「真の情報活用とは、頭の働きをよくし、知的生産力を鍛えることなのだ」(p.3)という思想で書かれた読書法の本。『三色ボールペン情報活用術』でも書かれているが、基本的に齋藤は本を汚して読むことを推奨している。これは、書斎スペースが充実していくらでも本を置けるのであれば有効だろうが、限られたスペースで置ける本が少ない人間には使いづらい方法なのが残念。また、知的生産法としての読書を扱う本は、常に最終アウトプットを念頭においてインプットをせよ、と説くが、自分は必ずしも明確なアウトプットを想定しなくてもよい、と考える方で、改めて自分は『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』にある「ただ本を読むのが好き」タイプなのだろうと認識した。

●人と話したり、テレビを見たりしているとき、ふっと自分に関わりのある情報だと感じ取ったら、すうにメモを取るなど、とりあえず何らかの行動をすべきなのだ。(p.32)

●情報を引き寄せるアンテナは、課題を持ち、それを考えていていると、しだいに立ってくるものだ。[略] こんな状態から脱するためにも、まず、[アンケート調査などで] 「とくになし」や空欄回答をやめよう。とにかく考え、自分の言葉を見つけて、何かを書くようにするのだ。(p.41)

●自分に縁のある情報だと思ったことは、その場でいったん、アウトプットする、つまり、だれかに話しておくとよい。
 声に出すことは記憶をよくするとてもよい方法だが、人に話すことは、自ずとそこに自分流の編集が加わるので、さらに確実に、情報が自分のものとして記憶されやすくなるのである。(p.53)

●情報を吸収したり、脳にしまうときにも五感を働かせることは重要だ。たとえば、自分の記憶を検索するとき、五感を働かせて、同じようなニオイの記憶をたどるように検索すると、一見、まったく違う情報なのに、同じ問題の課題解決に大いに役立つ。そんなことがよくあるものだ。(p.58)

●現在、情報は身のまわりのいたるところにあふれているから、収集は出会ったところで瞬時にやるしかないし、そのほうがずっと効率もいい。だが、情報を引き出すときには、ひきだしやすい、たとえば集中しやすい場にこもることも必要だ。こういう場にこもる、身をおくことも「構え」の一つである。(p.61)

●少し前までは、インタビューや面接などではよく「座右の書は?」とか「あなたを変えた本はどんな本ですか?」と聞いたものだ。実際、そうした本との出会いを持つ人は少なくなかった。一冊の本により、自分を変えてしまうほどの衝撃を受けることがある。本は、人の人生とそれほど深く関わる可能性を持っているものなのだ。本には、その著者が長年、蓄積してきた知的な資産や深い思考の流れなどがぎっしりと詰め込まれている。私は本を読むとき、よくこんな感覚を持つ。(p.65)

●読書をしない人と読書を多くしてきた人では雲泥の差がある。本は泥を黄金の雲に変える。まさに、読書は錬金術なのである。本を読むことにより、人はより輝かしい自分に変わっていける。同時に、バランスのとれた判断力や理解力の持ち主にも変わっていける。(p.66)

●本を読むのは苦手だ、嫌いだという人は間違いなく本に慣れていない。
 本は苦手だという小学生には、私は、まず、本を十冊読みなさいとすすめている。十冊目までは何が何でも我慢して読み続けなさい。薄い本や読みやすい本でいいから、絶対に本を途中で投げ出さない、と自分に約束して読み続けなさいと。
 ここまでは、ちょっとつらいかもしれない。だが、十冊目を超えた頃から、本を読むことがそんなにつらくなくなる。すーっと楽になってくる。(p.67)

●ものごとには「質量転化の法則」とでもいうべき現象がある。量的な蓄積によって質が変化するのだ。たくさんの経験を積み上げると、しだいにある能力が磨き上げられていき、ついには、一瞬の判断力が鋭くなったり、直感が働くようになるのである。[略]
 読書を情報活用として「ワザ化」[=あることがしっかり身につき、それが、自分の中で確立された方法になっていることをいう齋藤の造語] する。そのためには、できるだけ、たくさんの本を読む。これが大前提になる。情報活用の能力もある程度、量に比例するのである。
 たとえば、一冊、二冊読んだ程度では情報活用の能力はさほど増えない。だが、それが百冊になり、千冊、二千冊となっていくと、二千冊読んでいる人の二千一冊目は、十冊読んだ人の十一冊目に読む一冊よりはスピードが速く、なおかつ吸収力も高くなる。
 一万冊こなしている人は、一万一冊目になると、十五分か二十分もあれば内容をだいたい説明できるようになっているはずだ。それははぜか、たくさんの本を読むことを通じて、結果的に、速読法を身につけていくからだ。
 私は、速読とは目を速く動かすことではなく、理解力を増すことだと思っている。(pp.68-70)

●多読と精読の二兎を追う技。その一つが二割読書法である。
 二割読書法といっても、全編、20%程度の意識の薄さで読むとか、あるいは、本の最初の二割だけを読む方法をいうわけではない。一冊の本の中に、自分にとって、ここは"使える"、ここが"おいしい"と思ったところを重点的に読む。その"おいしい部分"はだいたい、一冊の本の20%くらいではないだろうか。[略] 二割読書法とは、言い換えれば二割重点主義。たとえば、200ページの本を読むのなら、その二割、40ページをしっかり読み、最大効果をあげる読み方だともいえる。[略] 具体的に言えば、はじめにパラパラと本をめくり、読むところと読まないところを決めてしまう。そして、自分のためになる40ページを、普通の読みよりも深く読む。これが二割読書法なのである。(pp.78-79)

☆本田直之の『レバレッジリーディング』と同じ考え方。

●本の中身はそれほど均等にはできていないもので、著者がその本を書くにいたったポイントはどこかに集約されている。(p.83)

●多くの人は、ほんのページを読まないで飛ばしてしまうことに忠書する。なかには、飛ばしたところに大事なことが書かれているのでは、と不安になる人もいるかもしれない。だが、それを見逃すリスクよりも、一冊に時間を割きすぎて、ほかの本をもっと読めなくなるリスクのほうがずっと大きい。飛ばし読みするとき、読まないページをばっさり切り捨てるよりも、パラパラでいいからさぁーっと目は通す。このとき、問いやキーワードが頭にあると、飛ばしているページの中にも、「お、いいことが書いてあるぞ」というような一文が見つかることもあるからだ。本を読んで、のちに、人に話せる言葉や自分の課題や仕事に使える、つまり、引用できる文が一行見つかれば、その本と出会った意義は十分ある。それが本と人との出会いだといってよい。(pp.86-87)

●買ったその日が最高の読書チャンス[略]
 私は、原則として、買ったその日に読み終わるという締め切りを課している。なぜなら、買ったその日こそ、その本を読む最大のチャンスだからだ。[略] 私の場合は、たいてい、書店の帰りに喫茶店に立ち寄り、そこで読む。一冊をじっくりよむのではなく、買ってきた数冊を次々に読んでいく。このとき、前に述べた重点読書法を駆使。30分から1時間程度の限られた時間内でたくさんの本を読んでも、それぞれについて、中身を見ないでも要約をいえるぐらいまでの読み方をする。この方法は、知的生産の鍛錬には相当役立つ。(pp.88-89)

☆米原万里が同様のことを言っていた。内容を要約して言えるように読むというのは、確かに内容を把握しているかどうか確かめられるのでいい方法だと思う。

●よい本にはほとんど唯一の、だが、大きな欠点がある。それはおもしろすぎて、つい、時間がたつのを忘れて読みふけってしまうことだ。[略] [他の用事のための時間が浸食されて] 結果的には、その読書はマイナスだったということにもなりかねない。[略]私は、これまでスポーツや武道をやったり教えたりしてきた。その経験から、 時間の感覚がなければスピードも密度も上がらないと確信している。生産性を上げるには「時間の密度感覚」が不可欠なのだ。読書も例外ではない。時間経過は時計でもわかるのだが、ストップウォッチのほうが、「時間内に速くやれよ」というメッセージが伝わりやすい。仕事をするときの単位を私は90分に設定している。[略] 読書をする場合は、30分なり、1時間なり、許される範囲の時間をストップウォッチに設定し、その時間内は心おきなく本の世界に没入している。(pp.90-91)

●一般的に、批判的にものをいう、クリティカルシンキングをしていると、いかにも頭がよい人のように見てしまう傾向があるが、これはかなり危険なことだ。[略] 自分の立場は留保しておき、相手が立っているところに廻ってみる。こうすると、「なるほど、こういう立場に立て場そういうこともいえるのだな」という感覚がつかめるはずだ。もともと、対話とは、こうした共感的理解の上に立って、双方が話をしなければ成り立たないものであったのだが。(p.133)

☆齋藤は論理的思考やディベートに批判的な物言いをよくするが、その内容を見ると、必ずしも正確な理解をしているとは思えない。周りに変に論理を振り回す人間がいるのではないかと思わせる。

●雑誌の記事を一つ読んだら、何か一つ、アイディアを思いつくことを自分に課す。手帳のフリースペースに何かテーマを書き、時間があるときには、そこにどんどん、そのテーマから思いつく企画を書いていく。(p.203)

☆記事の本質を理解しないと企画も出せないので、インプットのためのアウトプットの訓練として使えるのではないか。

●[究極の情報源は「人と会う」こと] といっても、一般の人はそうそう、ビッグな人に生で会える機会はない。だが、講演会や公開講座、オープンカレッジなどなら門は広く開かれている。「これは!」と思う人の話を聞きに行き、その人と生で触れ合う機会を積極的に持つことも大事にしたい。(pp.210-211)


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