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『コンサルティングとは何か』

『コンサルティングとは何か』
堀紘一
PHPビジネス新書、2011/5/10、¥861

前職時代、マッキンゼーやボストンといった戦略系コンサルティングの評判が、自分の周りでは今ひとつだったが今ひとつ内情がわからなかった。同業とはいえ会計事務所系と戦略系では見ているところが違うはずで、本書を読めば少しはわかるかと思ったので手に取った。まあ戦略系から見るとそうなのかな、と思っていた通りの内容で、戦略系を悪く言うのは単に顧客に使いこなす能力がないのだ、という自信に満ちている。また、本書は堀が現在経営するドリームインキュベータの宣伝色が強く、かなり割り引かないと本質を読み違える可能性がある。
とはいえ、思考自体は論理的な筋道に沿っていてコンサル以外の業種にも応用できるので、参考にすべき点は多々ある本。

●日本では、勉強や学問というと、答えを導くことが重要と考えられているが、それがまかりとおるのは受験勉強のようなレベルの話でしかない。現実社会で真に重要なのは、問題を解くことではなくて、何が問題なのかを探り当てることである。(p.7)

●未来を予測することは本当に難しいが、一つだけ言えることがあるとすれば、「未来は過去の延長線上にはない」ということ。テン、テン、テンの上には未来はないのである。戦略とは、未来に向けたものでなければ意味がない。そして、未来は変化する。だから未来の変化を見越して戦略を立てる必要がある。(p.78)

●コンサルティングの仕事の本質とは、「何が問題かを突き止め、その答えを考える」ということ。つまり、「知っていることを教える」のではなく、「考える」ことこそがこの仕事の価値なのである。(pp.96-97)

●私が常に部下に教えている「堀流」のプレゼンテーション術をお伝えしよう。
プレゼンテーションには押さえておくべき大きなポイントがある。
一つ目は文字数だ。素人がスライドを作ると、どうしても文字数が多くなる。受け手に訴求力を持って届くのは、スライド一枚あたり五行まで、一行当たり十五文字までだ。これ以上になるとまず見てもらえないし、物理的には見えていても頭には決して残らない。[略]
そして、全体の構成も重要だ。私たちの世界では、だいたい一コマ50分から60分でスライドのパッケージを作り、それを三コマで一日のプレゼンテーションを組むことが多い。[略] 一コマは四つのパーツで構成する。つまり一コマ十三分ほどになる。なぜ四つかと言えば、今の人は知らずのうちにテレビの時間配分に慣れてしまっているからだ。[略]
次のポイントは、顧客の前でどう話すかだ。
まずはスピード。聴き手が無理なく頭に入るのは、スライド一枚二分といったところだ。五十分で二十五枚。六十分なら三十枚だ。スライドの枚数がこれ以上多くなると、常にカサカサと動いているようで落ち着かない印象を与えてしまう。反対にこれ以上少なくなると、ペースが遅くなって間延びしてしまう。[略]
場数を踏んだ一流のプレゼンターが相手の反応のどこを見ているかというと、目の動きと肩の位置だ。「それはどうでもいい」「大事な話じゃない」「つまらない」と思うと、人は自然と反り返る姿勢を取る。つまり肩がプレゼンターから離れていく。
反対に、聴き手が「面白い」「これは重要だ」と思って乗ってくると、話している人に一センチでも近づこうとして、肩が自然と前に出る。肩が自然と前に出る。このように、肩の線の動きで相手の興味の度合いを計り、目の光り方でそれを確認する。(pp.126-129)

●私は、「プレゼン能力を高めたかったら、落語や講談を聞きにいけ」というアドバイスをすることがよくある。こうした話芸は、一見ただしゃべっているだけに見える。事実、コンテンツは取るに足らない。しかし、非常に高度な話す技術にもとづいて組み立てられているからだ。(p.130)

●ノートを取る技術は単純ではない。[略] 脳のいろいろな部分を瞬時に使い分ける必要がある。話の中から何が一番のポイントかをえぐり出して、その言葉を書き取るのが「ノートを取る」ということだ。ノートを取る人と取らない人では、頭の動き方が全然違う。優れた経営者の中には、いくつになってもノートを取る人が多い。イトーヨーカドー創業者である伊藤雅俊氏は、七十歳になっても、非常にまめにノートを取っていた。一緒にご飯を食べた翌日に、伊藤氏から電話がかかってくることもしょっちゅうで、「昨日の話の要点はこうこうでしたね」と、日を改めて復習までするほど熱心だった。[略] ノートを取ることで、日常的に頭を使う訓練をすることができるし、人の意見に耳を傾けるという姿勢を保つことができる。(pp.157-158)

☆ノートを取ることが重要だとわかっていても、翌日電話をして復習までするという発想はなかった。機会があればやってみたい。

●現場を知らなければコンサルティングの仕事は成立しない。[略] たとえば、今考えている戦略に具体性が欠けるとき、現場にいってみる。すると、必ずヒントがある。現場にいって、ユーザーが何に対してどのような文句を言っているか、小売店の店主が誰にどうやって商品を売っているか、そういうことを自分の目で見て、自分の耳で聞くと、必ず何かを見つけられるのだ。こうしたインタビューにもいろいろコツがあるが、とにかく現場の人に張り付いて、一緒に行動することが一番いい。(p.180)

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