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『映画の構造分析―ハリウッド映画で学べる現代思想』

『映画の構造分析―ハリウッド映画で学べる現代思想』
内田樹
文春文庫、2011/4/8、¥620(三省堂本店)

ひまつぶしに買った。
「エイリアン」が、表のストーリーでは女性ヒロインの活躍を描く一方で、裏では執拗に女性を性的に屈服させる男性的記号がちりばめられている、という話や、アメリカの女性嫌悪文化(ミソジニー)が、西部劇の時代の圧倒的男性過多で男性同士の絆を確かめるために女性を悪者にするという20世紀初頭の西部開拓終演の時代の説話原型にさかのぼる、と行った話など、今まで考えたことのない視点による話が興味深かった。

 ウラジーミル•プロップという学者は『昔話の形態学』という研究で、ロシアの民話を収集して、そのすべてについて構造分析を施したことがあります。その結果、登場人物のキャラクターは最大で七種類、物語の構成要素は最大で三十一という結論を得ました。
 「家族の誰かが行方不明になる」「主人公はその探索を命じられる」「贈与者が呪具を与える」「呪具を利用して移動する」「悪者と戦う」「主人公の偽物が現れる」……などなどです。[略]
実は私たちが「面白い」と思ってどきどきするストーリーラインというのは、たいていの場合、昔からある いくつかの「必勝」パターンをなぞっているにすぎないのです。ですから、物語の構造分析というのは、無数の物語が実は有限数の物語構造を反復しているにすぎないということ、ロラン•バルトの言葉を借りていえば、「私たちの精神の本質的な貧しさ」をあらわにする作業でもあります。(pp.26-27)

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