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『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』

『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』
小宮一慶
ディスカヴァー・トゥエンティワン、2008/9/15、¥1,050(BO¥500)

「小宮流頭をよくする読書法」と副題のついた、読書法の本。目的別に読書の仕方を5つに分け、それぞれの読み方を解説する。中でも、熟読を強調しているところが特徴的。

1. 速読:求める情報を素早く探すために、要点を素早く把握する。
2. 通読:楽しみのためにするレベル1の通読
3. 通読:論点を整理し、考えながら読んでいくレベル2の通読。線を引いたりするが、レファレンスなどを参照しながらではなく、その本で完結する読み方。
4. 熟読:ほかの本を参照したり、ネットで関連情報をとりながら丁寧に読む。これが頭を鍛える読書法。
5. 重読(再読):自己啓発的な本を、何度も読み返す。

熟読が重要なことはわかるが、なかなかそれだけの時間を確保するのが難しく、実戦は難しいと感じる。ただ、他書を参照しながら読むというのは、意識的にはしていなかったので、今後の参考になった。

たとえば、わたしはビジネス書を読む際には、「お客さま第一」という視点をベースにして読んでいます。[略 ]わたしは企業を発展させる考え方の基本は「お客さま第一」だと信じています。[略] しかしこれはあくまでも仮説です。その「お客さま第一」という仮説に照らして、本の内容がそれに合っているかをチェックしながら読んでいくのです。[略] それ以外にも、成功している会社は、「キャッシュフロー経営」を行っているという仮説も持っています。成功するリーダーについては「指揮官先頭」の仮説を持っています。[略] もちろん、これらのほかにも、多くの仮説を持っています。ビジネス書を読むときにはそうした自分の仮説が正しいのかどうか、自分の仮説と照らし合わせて、著者の言わんとしていることをチェックしています。(pp.78-79)

自分で仮説を持ってそれを検証する読み方をすることで、自分の知識や姿勢の修正を常に図ることが、独善的にならないために重要だということを指摘している。

[通読レベル2で読む本で] わたしがいまもバイブルとしているのが、『抄訳マネジメント』(ダイヤモンド社 1975)です。[略] この抄訳をさらに簡単にした『エッセンシャル版 マネジメント』というのもありますが、わたしは『抄訳』のほうをお勧めします。[略] わたしの場合は、先にもお話ししたように、「お客さま第一」などの仮説を持って読みます。さらには、「IT」、「規制緩和」、「少子高齢化(人口動態の変化)」、「知識社会」などの観点からの土ラッカーの社会状況に対する洞察を参考にしています。(pp.116-117)

著者はドラッカーがマクロミクロ双方を同時に捉えていると述べ、読者もその双方についてのインプットを持たないと、ドラッカーの本を理解できないことを指摘している。

経営コンサルタントとして独立したとき、ひとつ心に決めたのが、「成功したければ成功者に学ぶ」ということでした。[略] 失敗の反対は必ずしも成功ではない、ということに、あるとき、気づいたのです。「失敗の反対は、別の失敗」という例をたくさん見てきたのです (企業を多く見ていると、ダメな企業は、経営者の姿勢、戦略などさまざまな理由でダメですが、成功している企業は、一様に、お客さま、従業員さん、お金を、この順番で大切にしているようにわたしには思えます)。つまり、失敗にはいろいろなパターンがありますが、成功はワンパターンです。[略] だったら、成功者の本質をストレートに知ったほうが早い。そう思ったわけです。(p.119)

著者の成功に対する考え方はシンプルでわかりやすい。そして、成功を学ぶために著者は、『抄訳マネジメント』と松下幸之助の『道をひらく』『実戦経営哲学』を重読したことを述べている。

自然科学といのは、自然界に存在する「絶対の法則を見つけ出そうとするということです。[略] それに対して、社会科学というのは、人の営みを対象にしますから、実は「絶対」なんてありえないわけです。[社会科学が求めるのは] 「かくあるべし」という「規範」です。多くの人が幸せになるためにはどうすればいいかという規範を求めるのが社会科学です。(p.122)

どうも、世の中全般に、「むずかしいのはいけないことだ」というような風潮があるように思います。[略] 一般の人にはそれでよいかもしれませんが、やはりビジネスリーダーや政治のリーダーなどを目指す人たちは、学者ではなくても、ある一定レベルを読みこなす、それによってある一定レベルの知的ベースや論理的思考力を持つ努力をするべきだと思います。(pp.148-149)

熟読では、必ずしも、本の最初から最後まで全部をよまなくてもいい。[略]
知りたいことだけをきっちり論理立てて読む。[略]
多くのことと関連づけながら読んでいく ということです。まとめますと、
1. 自分の専門分野や興味のある分野のものを、必要なところだけ、
2. 多くのことと関連づけながら、きっちり論理立てて読んでいく。
これが、頭をよくする最強の読書法「熟読」です。(pp.159-160)

わたしの経験では、こうした熟読レベルで、ふさわしい本を一冊読み込めば、
おおよそ30時間で、だいたいのことがある一定レベル(専門家レベル)に達します。(p.172)

著者は、何か新しいことを学ぼうとするときに、まず、その分野の第一人者が書いた入門書を通読で読み、少し難しい専門書を熟読した後、「専門書が理解できたら、また入門書を読」む(p.174) 読書法を勧めている。入門書が省略した難しいところを、行間にそれを読む込むことができるようになるからだという。これは、今まで試みたことがないので、機会があれば試してみたい。

重読は、頭をというより心を磨くほん。いわば座右の書ですから、自宅の机において、心が欲したときにいつでも開きます。夜寝る前に5分くらい毎晩読みます。(p.205)

なんというか、熟読した本というのは、わたしにとっては成果物みたいなものなのです。自分の本につくり上げるというか、読み上げるという意識があるのです。
ですから、丁寧に線を引くし、色も、もちろん三色ボールペンで、重要度の度合いというより、そのときの感性で、[略] 引いていきます。(p.207)

読書力を高めるうえで最後のヒントは、書くことです。書くためには読むことが必要ですが、書くことによって、また、読む力が格段に高まります。(p.222)

インプットは、アウトプットをともなうことによって、飛躍的に上がります。間違いありません。(p.224)

著者推薦書のうち面白そうなもの:
通読レベル2 
 『戦略の本質』
 『会計学入門』(桜井久勝、日経文庫版、2006)
熟読:
 『菜根譚』(守屋洋訳、ディスカバー21、2007)
 『道をひらく』(松下幸之助)
 『論語の活字』(安岡正篤、プレジデント社、1987)

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