« 『本は、これから』 | トップページ | 『座右の諭吉 才能より決断』 »

『「1秒!」で財務諸表を読む方法』

『「1秒!」で財務諸表を読む方法』
小宮一慶
東洋経済新報社、2008/2/7、¥1,575

タイトルの種明かしは、財務諸表全体を一秒で読むのではなく、一秒しか見ないならポイントはどこか、ということで、流動比率を見ておけ、という話。それ以外はいたって普通の財務諸表の解説書。日産が投資キャッシュフローをいじった影響は数期先に新製品の停滞という形で出てくる、と言った例を使った話が多く参考になる。

私が一秒だけ、どこかの会社の貸借対照表を見せてくれると言われたら、どこを見るでしょうか?[略] それはズバリ、短期的な負債の返済能力です。企業はたいていの場合、「流動負債」を返済できなくなって倒産します。[略] その流動負債の返済能力を見る指標のひとつを「流動比率」と言います。これを見るのです。(pp.13-14)

安定性の指標として、「手元流動性」という言葉を覚えておいてください。実は、経営的には、これが一番大切です。第一優先順位です。式で表すと「(現預金+すぐに売れる有価証券等)÷月商」です。{略] この比率の特色は、貸借対照表の数字だけで算出できる自己資本比率や流動比率と違い、損益計算書状の売上高と、貸借対照表上の手持ちの現預金との比率を表していることです。[略] 「会社が潰れそうだ」といって、駆け込んでこられる社長がもしいらっしゃるとすれば、[略] 大切なことは、当面の資金繰りです。それを知るのに最も良いのが「手元流動性」なのです。
大企業で1ヶ月分、中小企業だと1.5ヶ月分くらいの手元流動性が常にないと心許ないでしょう。[略] とにかく借金してでもよいから手元流動性を確保することが重要です。(pp.22-23)

「純資産の調達コストは株主の期待利回り」と考えられています。[略] そして、この純資産の調達コストである「株主の期待利回り」は、[略] 「国債金利プラスα」というように計算されます。[略] そしてこのプラスαは、株式の変動率等にもよりますが、数%から10%以上まで、企業によってさまざまです。ですから、資本の調達コストは、優良企業でも最低5%程度はかかっています。(pp.27-28)

現在の企業経営、特に上場企業の経営では、「売上高−費用=利益」という考え方より「売上高−利益=費用」という考え方で経営計画を作る企業が増えています。つまり、想定した売上高から、出すべき利益をまず決めて、売上高からその利益を引いたものの範囲内に費用を抑えるという考え方です。(P.201)

「売上高−利益=費用」という考え方をしなければならないほど、なぜ利益にこだわらなければならないのでしょうか。それは、一つには、株主の発言力が強くなっているということがありますが、他に「経営的に出さなければならない利益」というものがあるからです。(P.204)

私は、売上高は、企業と社会との接点だと考えています。企業が商品やサービスを提供した「対価」なのです。社会でのプレゼンス(存在)そのものだといってもよいかもしれません。[略] 商品やサービスを提供してそれをお客様が買ってくれている結果が売上高ですから、売上高をこれまで以上に上げること、つまりより良い商品やサービスをこれまで以上に提供して、お客様や社会に貢献することに信念を持たなければなりません。(P.207)

コスト削減に関しては、まず、非付加価値活動から手をつけるのが大原則です。お客様に関わる部分から手をつけるとさらなる売上減少や結果として利益減少を招きかねないからです。[略] 本気になってやってみると、ムダや非合理的な非付加価値活動がどの企業でもかなり多いのが分かります。従来のやり方に悪い意味で「慣れ」てしまっている場合や、環境が変化しているのに従来通りにやっているケースも少なくありません。(P.208)

|

« 『本は、これから』 | トップページ | 『座右の諭吉 才能より決断』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/40886/50967084

この記事へのトラックバック一覧です: 『「1秒!」で財務諸表を読む方法』:

« 『本は、これから』 | トップページ | 『座右の諭吉 才能より決断』 »