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『人生を変える大人の読書術』

『人生を変える大人の読書術』
牧野剛
メディアックス、2009/2/25、¥1,575(L)

河合塾の国語教師が本の読み方を語った本。「大人の読書術」とはいいながら、予備校の生徒あたりを想定した書き方になっている。著者は全共闘の活動をしていただけあり、思想的な話になると左翼すぎてついていけない。特に、731部隊や下山事件など何冊かの本を著者流に解説した最終章は、思い込みに過ぎてほとんど参考にならなかった。が、読み方の技術的な部分では参考になるところもあった。

とにかく、毎日読むことを基本とし、週間とすること。同じことは佐藤優の『私のマルクス』にも書かれている。本を読むということは、僕にとって規則のようなものなのだ。(p.18)

自分にルールを課していると、それがいつしか習慣となっていく。(p.22)

多くの[新書]が速成で、喋ったものをテープにいれ、編集する者が起こして作ることによって、読みやすいが、内容が喋り手の自己満足に流れることが多くなった。(p.31)

生まれて初めて手に入れた本(p.32)

自分が初めて自分のお小遣いで買った本は、多分「キャンディ・キャンディ」だったと思う。そんなことをふと思い出した。

僕は考えたあげく、文章を要約することを生徒たちに強いてみることにした。 [略] だいたい本文の四分のぐらいを目安に線を引いていく。そして、その線を引いたところを書き写し、つなげてみる。順序はそのままで、言葉もそのままである。 そのとき、論理的に文章としてつながるように、指示語等を変更していく。 これができたら、それをさらに二分の一ぐらいに短く[し]、再びつなげていく。 これを三回ぐらい繰り返し、一行でもいいから文章を切り、短くしていくのだ。 この方法を一年間やり続けたら、生徒たちは間違いなく文章を読めるようになっていった。それこそ『現代国語・現代文』に関しては、成績がグンと上昇した。当然だ。何回も本文をよんでいるのだから。(p.205)


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『読書は1冊のノートにまとめなさい』

『読書は1冊のノートにまとめなさい』
奥野宣之
ナナ・コーポレート・コミュニケーション、2008/12/5、¥1,365(L)


『情報は1冊のノートにまとめなさい』の著者が本の読み方についてもノートにまとめることを提案した本。
『情報は~』を見たときに、ノートにまとめること自体は簡単でも、事後にそれを整理するためにPCを使う等結構労力を使うなあ、と思った記憶がある。
本書も、ほぼ同じメソッドを使っているが、「インストール・リーディング」と名付けたところが目新しい。所々自分でも真似のできそうな部分があり、その点については実践してみたい。

読書メモを手で書くのはキツい、と思う人は多いでしょう。[略] それでも、続けているのは十分な見返りがあるからです。感想や本の抜き書きを残すことはただの作業ではありません。確実に将来のアウトプットの種になるのです。 思考とはガスのようなものです。あると思っても、あっという間に霧消してしまうし、そのままではどんな考えなのか自分でもわからない。(p.24)

書くことを継続するコツは三つあります。
ひとつは習慣化で、寝る前の歯磨きを続けると、かえってしないほうが苦痛を感じるのと同じです。
もう一つは、見返りを大きくすることです。
「本に書いてあったすてきな言葉を簡単に参照することができた」「以前読んだ本の読書ノートからアイデアの核心を得た」。こういうことを実感できれば、誰でも読書ノートを付けるようになります。そのほうが結果的にラクだからです。
三つ目は自己流のアレンジです。[略] 自分のやりやすいように、続けやすいようにどんどんアレンジしていくのがポイントです。そのほうがノートに愛着もわくし、確実に使いやすくなります。(p.25)

本を読み終わったら、買うきっかけになった書評をもう一度見たくなる場面がよくあります。そんなとき[略] ノートに貼い付けて保存しておくと、すぐに見返すことができる。こうすれば、自分の考えと比較することによって、ほんの内容を多角的に見ることができるのです。
それに、購入前に読んだ書評をもう一度読むことで、「この人のすすめる本はこれからもチェックしておこう」と決めたり、「この書評家はぜんぜん自分と合わない」とわかったりする。これは意外と大きな収穫です。今後の本選びにも活かすことができるでしょう。(p.69)

検索では、オンライン書店以外に、「新書マップ」がおすすめです。(p.73)

著者は普通、本を何冊も出すことができないので、自分の「本の中で紹介する本」は、著者にとって、とっておきの本であることが多いわけです。(p.78)

僕は [メモ書き] 程度でも「読書ノートの効果はある」と断言します。継続することが第一のハードルだからです。何年、何十年と続けることができることができるシステムを運用してはじめて、参照したり、詳しい読書ノートを作ったりといった応用が利くようになるのです。だから、「継続できること」はすべてに優先します。(p.83)

人に教える目的で本を読むとよく身につく、という説があります。(p.85)

自分に取って本当に役立つ知恵や言葉を咀嚼して、吸収していくことがいちばん大切です。
逆の言い方をすれば、自分にとって不要な情報は思い切って捨ててしまってもいいのです。必要なことだけに着目し、それを自分の体に落とし込むことこそ重要なのです。
ならば、読者ノートに書く感想が「ひと言」だっていいはずです。
自分が本のどこに共感したのか、それに対してどう感じたか、それだけにフォーカスするのです。つまり
・「自分にとって」重要な内容(本の引用)
・そこで発生した「自分の考え」(本の感想)
の二点にフォーカスします。(p.88)

ペンでチェックしておいた箇所のうち、もう一度読んでも「おお」と思うところだけを抜き書きし、コメントをつけておく。僕は「ねぎま式読書ノート」と名付けた独自の方式でこれをやっています。ルールは、抜き書きには「●」、感想や補足説明等の自分の言葉には「☆」をそれぞれ付け、交互に書いていく。(p.99)

本を抜き書きすると、わざわざ自分の感想や考えを書かなくてもいいような気がしてきます。[略] でも、そこをぐっと堪えて、いまの自分の言葉を書いておくことが大事なのです。なぜ、その文を抜き書きしたのか、自分の考えを保存しておくことは貴重な資料になるからです。(pp.109-110)

[本を捨てることは] 最後の別れになってしまう可能性があるからです。
だから、せめて読書ノートという「語らいの記録」を残しておくことがその慰めになります。読書ノートだけが本と自分との関係の証明になるわけです。
重要なのは本自体より「読書体験」のほうです。
どの本が自分を作ったのか。これがわかっていると、落ち込んだり、切羽詰まったときにも、本が心の支えになってくれます。
僕の場合はアランの『幸福論』がそれにあたります。ほかにもあるけれど、一冊だけならこれです。(p.114)

わかりやすく言えば、「本にこう書いてあった」というのが「情報の摂取」。「本にこう書いてあったのを私はこう受け取った」「それをきっかけにこう考えた」というのが「読書体験」と言えます。(p.118)

情報がいくらあっても、アウトプットをやらないと体系的な知識にはならないわけです。
つまり、人はよく知っているからしゃべったり本を書いたりできるのではなく、講演したり文章を書いたりするから、より高度に「知る」ことができる。
その意味では、読書ノートを書いたときに、「どの部分を抜き出すか」それにどうコメントを書くか」と考えたことはれっきとしたアウトプットになります。(p.121)

記事の書き手の印象や考え、解釈は地の文、「書き手由来」ではない台詞や引用はカッコの中。これは新聞や雑誌の記事によく使われているフォーマットです。評論やノンフィクションでも、よく見かけます。(p.148)

「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ意外の何ものでもない」
ジェームス・W・ヤングは『アイデアのつくり方』(阪急コミュニケーションズ)の中でこういっています。(p.150)

いま仮に新刊書店で、あるテーマの本を探そうとすると、たいてい誰もがみんな同じ本にめぐり合うことになります。手に入る本は限られているからです。それに最近刊行された本はみんな、時代の精神のようなものに共通の影響を受けています。結果インプットに差異は生まれません。
ところが、定期的に古書店に通っていると、現在とは全く異なったものの見方に「不意に」出合うことができるのです。そのインプットのランダムさが、発想を飛躍させてくれます。(p.168)

疲れにくいイス:岡村製作所コンテッサ(p.203)

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『通勤大学財務コース 損益分岐点』

『通勤大学財務コース 損益分岐点 』
平野敦士
総合法令出版、2003/10、¥935(アマゾン¥278)

損益分岐点分析を考え方の基本から実務への応用まで段階的に説明する。
損益分岐点は限界利益による固定費の回収、という考え方や、設備廃棄や設備投資への損益分岐点分析の適用による判断、設備投資や人件費による固定費増加がいかに経営を圧迫するか、など、なんとなくしか分かっていなかったところがよくわかった。
特に、経営の安全性を確保する上で、固定費を常に低く抑えることの重要性を常に頭に置く必要があることを認識した。

損益分岐点は、限界利益によって固定費を回収することです。限界利益が固定費を上回っていれば利益が出ている状態で、逆であれば赤字です。限界利益と固定費が同額であれば、それが損益分岐点売上高です。(p.30)

製品を自製するか、外注するかの意思決定を行うことがあります。ポイントは埋没原価[=対象とする意思決定の如何によらず発生することが避けられない費用]ですが、この場合、製品の生産を外注することによって従前の費用のうちどれが埋没原価になるのかを抽出することが重要です。(p.78)

固定費ーマネジドコスト(管理可能費)
   ーコミッテドコスト(管理不能費)
    ーキャパシティーコスト(能力費)ー減価償却費、火災保険料など、企業の生産能力を規定
    ーオーガニゼーションコスト(組織費)ー給料、賞与、法定福利費など企業の組織力を規定
    (p.119)

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『国家の命運』

『国家の命運』
薮中 三十二
新潮新書390、2010/10/20、¥714

元外務事務次官の著者による日本外交についての所感。国家の命運について大上段に構えた本ではなく、外交官として著者が経験し、個人的に考えたことを綴っている。
一歩引いた、官僚的な人物かと思っていたが、内に秘める闘志は伝わってきた。特に、交渉ごとは50-50ではだめで、最低でも51-49でなければならない、という著者の考え方は、外交の一般的な考え方より攻撃的な姿勢だな、と少し驚いた。大阪大学3年でESS部長をしていた時に外交官試験を受け、中途退学して外務省に入省した経歴なども、そのような姿勢に影響しているのかもしれない。
「外交インサイダーとしての立場を利して、個々の政治家について論評したり、暴露的レポートをお届けしたりするつもりは毛頭ない」(p.7)という著者の言明は、次官まで務めた人間として、佐藤優など暴露的レポートをしている元外交官とは違うのだ、という矜持を見せた、とも受け取れるが、官僚エリートとして墓場まで持って行く立場の人間であるから、それは当然、という気もした。
そのような姿勢で書かれているので、秘密暴露的な話はないが、外交の基本的な考え方や日本としてあるべき姿勢を学ぶことはできた。

日本のなかだけの話なら、受け身のアプローチは「奥ゆかしい」とされるかもしれないが、世界を相手にした交渉ではまず通用しない。それよりオフェンス、何よりロジックのあるオフェンスが必要なのである。(p.52)

交渉という観点からは、「できない」を繰り返すのではなく、「何ができるのか」を自分の発意で示すこと、これが大きく効いてくる。要求に対して受け身ではなく、オフェンスに出る。つまり、「Yes, we can」であり、これこそが評価されるポイントなのだ。[略] 専門家たちがアフガン奥地まで入り込み、教育、医療、農業、道路、治安など社会的インフラ整備にたずさわる姿勢は各国の共感を呼んでいる。平和を構築するための、日本独自の方法がアメリカはじめ世界的にも高く評価されるようになってきた。(p.63)

外交官として各国の人々と接していると、「今の日本は、世界でもっとも素晴らしい国だ」とはっきり言う人が少なくない。
事務次官をつとめていた頃、私は、各国の駐日大使が離任するときにお別れのランチを差し上げることにしていた。その際、どの大使も、ほぼ例外なく、「ニッポンは素晴らしい国だ」「この地での勤務は自分の人生で最高の経験だった」と言ったものだ。[略]
では、日本はどう素晴らしいのか。彼らに聞くと、「自然がきれい」「文化が素晴らしい」「食べ物が美味しい」「安全でどこにでも安心して行ける」「日本人は親切」ーーなどが共通した評価だった。最近は大使達の間でも温泉ブームで、日本各地の温泉を絶賛する大使も多かった。
自然の美しさや、治安の良さは、日本人にとって当たり前で、とりたてて人に言う必要がないと思われるかもしれない。しかし、世界標準ということで考えると当然視すべきではなく、やはり素晴らしいことなのである。(pp.72-73)

他国からみると、日本が抱える最大の問題はデモグラフィー、すなわち人口動態の変化なのだ。高齢者が増え、それを支える現役世代が反比例して減ってゆく。その上、人口そのものが減少していく社会というのは、常識的には生活水準が下落し続ける、先行き不安だらけの世の中である。(p.77)

外交で一方勝ちはダメ、という原則がある。50対50のバランス感覚、フィフティ・フィフティが一番良い交渉結果だともいわれる。[略] しかし、私はしっくりと来ないものを感じている。やはり交渉ごとは結果が大事であって、そこで少しでも自分に有利な結果を勝ちとる、それが交渉の目的ではないかと思うし、実際、そう考えて外交交渉にたずさわった。
だから、できることなら60対40で、こちらに有利になるように考えをめぐらせる。[略] 最低限、確保すべきは51対49であり、そこから少しでも上乗せしていって、60に近づける。これは私の一貫した交渉原則だった。(pp.120-121)

私はいつの頃からか、六者協議が北朝鮮の立場を守る安全弁になっているのではないか、という疑問を持つようになった。北朝鮮が六者協議の再開を否定すると、各国が過剰に反応する。そして北朝鮮が六者協議に戻ってきさえすれば、問題が解決したかのような錯覚を起こすからである。(p.124)

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『節税が分かれば、会社は簡単に潰れない』

『節税が分かれば、会社は簡単に潰れない』
出口秀樹
光文社新書、2010/11/20、¥777

節税がわかれば会社がつぶれないなら誰も苦労はしないよなぁ、と思いつつタイトルに釣られて買った。
本書の内容は、どのようにすれば費用が損金処理できるかの基本を説明したもので、経営者であれば普通に知っていることが大半で、これを知っていたからといってつぶれないというわけではない。
接待交際費と会議費、福利厚生費と従業員賞与、生命保険による税金繰延効果、貸倒処理、消費税の取扱、減価償却費を大きくするには、在庫を圧縮して節税など、とりあえずここは理解しておくべき、という点を説明している。
ただ、なぜ偽装請負が企業に広まったかを消費税という観点から説明した点や、交際費損金算入上限600万への改正など、知らない点もあった。特に、派遣社員・請負について、従業員給料からは消費税が非課税だが、派遣社員・請負の費用は消費税課税であることから、派遣・請負は従業員給料より消費税分控除され、結果として節税になるのは、今まで理解していなかった。
企業の税金についてわかりやすく説明されているので、一読の価値はあった。

どんなゲームでも、その勝負に勝つ人は、ルールに精通している人なのです。(p.6)

消費税の対象となる取引は「国内において事業者が事業として行う資産の譲渡等」という大原則があります。[略] 会社の従業員は、労働という対価を提供することによって、賃金をもらっている労働者であって、事業者ではありません。そうなると、従業員の給料は、消費税が規定する「事業者が事業として」という条件には当てはまらないことになります。
派遣社員が給料をもらうのはあくまで派遣元の会社からであって、派遣先の会社からではありません。言い換えると、派遣先の会社は派遣社員に直接賃金を支払うのではなく、派遣元の会社に賃金相当分として支払っているkとおになるわけです。双方の取引に、派遣社員は関係がなく、単に会社間の取引にすぎません。これは「事業者が事業として」行う取引に該当し、この取引には、消費税が課税されることになるのです。(pp.133-134)

「偽装請負」が大きな問題になっているのは、労働形態もさることながら、それが税務処理の問題にまで発展しているからです。請負契約で働いている人の賃金(請負の場合は「報酬」)は、派遣社員の賃金と同じく「外注費」として扱われます。つまり、請負元の会社(ないしは請負契約で働く個人事業者)に払う費用として、消費税の控除の対象となるのです。自社の従業員同様に働かせることができて、しかも節税につながる。まさに「税金を一円でも安く納めたい」という会社の欲求が「偽装請負」を生んだと言えるでしょう。(p.136)

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2010年の10冊

2010年に読んだ102冊の中から選んだ、今年の10冊。

1. 『獄中記』:獄中での自己修練のあり方に衝撃を受けた。
2. 『ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊』:自分の読書のあり方に反省を迫られた。
3. 『打ちのめされるようなすごい本』:多読と同時に深く読むこともできることを学んだ。
4. 『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』:数字に対する新たな見方を学んだ。
5. 『星野リゾートの教科書』:書店に一冊しかないような教科書こそ重要だ、という見方を学んだ。
6. 『走ることについて語るときに僕の語ること』:村上の著作とマラソンの関係が興味深かった。
7. 『坂の上の雲(1)〜(8)』:多少明治期を美化しすぎているきらいもあるが、日露戦争については最もよくできた小説の一つ。
8. 『万能鑑定士Qの事件簿 I〜IV』:ライトノベルのような、推理小説のようなストーリー。
9. 『泣き虫弱虫諸葛孔明 第一部〜第弐部』:酒見による新解釈の三国志。
10. 『武士の家計簿』:資料に基づいているので、客観的に士族の暮らしがわかる。

前半あまり読めなかったが、後半加速して102冊読むことができた。
2010年は、本の読み方、勉強の仕方、心構え、といった点で学ぶべき本が多かった。特に、『獄中記』を始め何冊か読んだ佐藤優の著作は、その内容というよりは、背後にある著者の姿勢や哲学に学ぶところが多かった。
また、今までは経営書を読んでもピンとくることが少なかったが、自らの経験と照らし合わせて読むことができるようになってきたので、少しは自分が成長したのかもしれない。
小説では、『万能鑑定士Q』シリーズがヒットだった。あまり難しく考えることなく、しかし浅過ぎないストーリー展開が自分に合っていた。

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