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『武士の家計簿』

『武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新』
磯田道史
新潮新書、2003/4/10、¥680

「金沢藩士猪山家文書」に含まれていた「武士の家計簿」をもとに、幕末から明治初期の武家の経済状況を実証的に解き明かした本。
幕末の武士は様々な儀式に必要な費用が収入を上回り、借金で首が回らない状況になっていた。明治になって、多くの武士があまり抵抗をせずに新体制に従ったのは、そのような理由もあったのではないかと考えられる。
猪山家は金沢藩ご算用係から明治の海軍に出仕し、極貧から現代換算で年収3600万の裕福な家になった。

映画にもなって話題になったので読んでみた。
幕末の武士階級の生活が実証的に述べられていて、今までの漠然とした印象とは違う姿が描かれていて興味深い。

[猪山成之の長男] 綱太郎は海軍兵学校にはいった。司馬遼太郎『坂野上の雲』で有名な秋山真之と同期(第17期・明治23年卒)であった。大佐までいっている。(p.214)

私はというと、猪山家の人々から、大切なことを教えてもらったように思う。大きな社会変動のある時代には、「今いる組織の外に出ても、必要とされる技術や能力をもっているか」が人の死活をわける。かつて家柄を誇った士族たちの多くは、過去をなつかしみ、現状に不平をいい、そして将来を不安がった。彼らに未来はきていない。栄光の加賀藩とともに美しく沈んでいったのである。一方、自分の現状をなげくより、自分の現行をなげき、社会に役立つ技術を身につけようとした士族には、未来がきた。(p.218)

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