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シモネッタのデカメロン

シモネッタのデカメロン―イタリア的恋愛のススメ
田丸久美子
文春文庫、2008/2/8

米原万里の親友でイタリア語通訳の著者によるエッセイ。通訳で経験した様々な話を面白おかしく語る。
同じ通訳でも、米原の書いたものと趣が違うのは、やはりロシア人とイタリア人の気質の差だろう。イタリア人の明るさが、本書にも反映されていて、読んでいて楽しい。
文庫版あとがきで、米原への追悼を書いているが、心情が切々と伝わっていて涙を禁じ得ない。彼女も、自分が「打ちのめされるようなすごい本」を読んで感じたのと同様、米原の民間療法への傾斜に危惧を覚えていたのを知り、今更ながら、なぜ西洋医学に頼らなかったか、と悔やまれる。

普通、イタリアで食事中に飲むのはワイン。あまり酒に強くない男性は、女性より先に酔いつぶれる失態をさけるため、デート前に大さじ一杯程度のオリーブオイルを飲んでおく。こうするとオイルが胃壁をカバーし、アルコール吸収を妨げてくれるのだ。食事中は、パンを口にしてはワインを流し込み、パンにワインをすわせる。彼らはこんな涙ぐましい努力をして、その後の《愛の格闘技》に備える。(p.28)

イタリアの男性は女性を甘やかし、つけあがらせるとは思っていたが、[ローマに絵画留学中の]彼女も二年の滞伊ですっかいイタリアずれしていた。[略] 自分の下腹部に手を置き「今はここを日本で休ませてるの。イタリアじゃ、ほんと休む暇もないもの。そういえば、あなた日本の近て大宇で、寝たくなる男って見つかる?一人もいないでしょ。ローマじゃね、必ず一つの車両に三〜四人は、あー、寝たいなと思う色気のある男がいるのよ」[略] 日本女性は昔と比べると、バスとも大きくなり随分セクシーになっているというのに、男性、特にサラリーマンはおしゃれも下手で、まだ色気を発散するレベルに達していない。(pp.56-57)

科学的かつ論理的アプローチを好んでいた万里が、医学的な裏付けの薄い民間療法にこり始めていることに、私は一抹の危惧を覚えていた。(p.284)

(9月読了)

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